続きです。
ここら辺からP4G本編とは異なる世界線へと突入していきます。
ま、番長が別世界に旅立ってる時点で、今更なんですが(笑)。
・・・
世界side
「いらっしゃいませ。御予約のお客様で御座いますか?」
「どうもこんばんわ。いや、予約はしてない飛び込みなんですけど、一部屋空いてないですか?どの部屋でも大丈夫なんですけど。」
「あ、はい、かしこまりました。確認して参りますので、少々お待ちくださいね。」
「はぁ~い。」
ボクは今、“妙神山”を介してこちらの世界に戻り、その足で八十稲羽市に戻ってきていた。
で、今は雪子くんの実家である、天城屋旅館に着いたところである。
・・・うん、しっかり
「お待たせ致しました。生憎、どのお部屋も満室で御座いまして・・・。ただ、一部屋なら空いているんですけれど・・・。」
「お、ラッキー。じゃ、その部屋でいいですよ。」
「あ、いえ、それが・・・、お客様も御存知じゃありませんか?去年、連続殺人事件がこの街で起きてまして・・・。で、その被害者のお一人が生前滞在していたのがそのお部屋なんです。もちろん、そのお部屋で何かあった訳じゃないって警察の方も結論を出されてるんですけど、やっぱり皆さん気味悪がってしまって・・・。そうした訳もあって空いてるんですよ。」
「あー、なるほどー。」
「やはり、お止めになった方がよろしいのでは?他に泊まれるお宿にお困りでしたら、こちらで知り合いの宿屋さんを当たってみますが。」
「いえいえ、それには及びませんよ。そのお部屋で結構です。」
「えっ・・・!?ほ、本当によろしいので?」
「構いませんよ。ボクは迷信は信じないタチでしてね。」
「そうですか・・・。でしたら、御案内致します。こちらへどうぞ。」
「はい。」
“何か御座いましたら、すぐに御連絡ください。”と出ていった女の人。
多分、あれが雪子くんのお母さんだろう。
しかし、人間とは、やはり噂に踊らされる生き物だね~。
確かに、例の事件の被害者である山野真由美がこの部屋に泊まっていた事は事実だが、もちろん真相を知っているボクや悠くん達も、この旅館の広間がある種の犯行現場となった事も間違いないが、しかしこの部屋自体には何の問題ない訳で。
それでも、やはり奇妙な死に方をした被害者の泊まった部屋、って事で、忌避する者達が後を絶えないのであろう。
本来、春休みシーズンもあって、先程のやり取りからも分かる様に、満員御礼状態であっても、この部屋だけが残っていた事がその何よりの証左だろう。
ま、それもいずれ時間が解決する事だろう。
とにかく、天城屋旅館には申し訳ないが、本日のボクの泊まれる場所が確保できた事は良かった。
もちろん、ボクにとっては野宿でも何ら問題はないのだが、一応監視されている身としては、不審な態度は取らない方が賢明だからねー。
「ふぅ・・・。落ち着いた雰囲気の、良い旅館じゃないか。」
ボクは一人、お茶をすすりながらそんな事をひとりごちた。
ま、謎のお札がはってある事には気付いているけど、この場には何も居ない事は分かりきってるからねー。
「さて、と。じゃ、これからの事を少し考えておくか。」
まずは、早々にマリーを復帰させるべきだろう。
土地神不在は、八十稲羽にとっても良くないし、何より、それに勘付いた者達が、いらぬちょっかいをかけてくる可能性が高まる。
何より、悠くんの現状唯一の弱点となりうる遼太郎くん、はまだ良いにしても、菜々子くんを守るにはそれがもっとも最良だろう。
しかし、マリーを探すのはまだアテはあるが、問題は彼女をどうやって菜々子くんの近くに配置するか、だよねー。
遼太郎くんとしても、不審な人物が菜々子くんに近付くのは警戒するだろうし・・・。
「ふぅ~む、何か良い案はないだろうか・・・?」
などと考えながら、ボクは旅館に備え付けられている有料のテレビをポチっとつけた。
そして、そこに流れていたドラマで、ボクはピンッと来たのである。
「これだっ・・・!!!」
ドラマタイトル『家政婦は見た、かもしれない。~愛と憎しみの遺産相続~』
・・・
法王(&正義)side
「ただいまぁ~。」
「あっ、おかえりなさぁ~いっ!」
「おぉ~、悪かったな、菜々子。少し遅くなっちまった。」
「お仕事だもん。しょーがないよ。」
「すまんな。・・・さて、ジュネスで晩ごはん買ってきたんだ。一緒に食うか。」
「うんっ!けど、お父さん。まずは、手を洗ってきてから、だよ。」
「あ、お、おう。そうだったな。」
悠のお陰で、俺達の関係はかなり良好になった。
と、言っても、菜々子の奴、年々千里の奴に似てきて、それが少し、嬉しい様な、苦しい様な感じもあった。
「いただきます。」
「いただきまーす。」
「・・・そういや、悠の奴、また別の場所に転校するんだってな。」
「うん、知ってるよー。お兄ちゃんから電話きたー。あのね、住んでるトコでしか電波が届かないんだって。」
「そりゃ、どこのド田舎だよ。ここら辺だって、山奥ならともかく、普通に電波飛んでるってのに。」
「うーんと、分かんない。けど、なるべく連絡するよーにするって。」
「そうか・・・。」
ま、姉さん達の自由奔放さは今に始まった事じゃないからな。
悠には大変な状況だろうが、ま、アイツなら、どこでだってやっていけるだろう。
楽しそうに悠の話をする菜々子を見て、俺はそんな事を思っていた。
「その、菜々子。悠がいなくなって、やっぱりさみしいんじゃないか?」
「・・・うん。けど、菜々子にはお父さんもいるし、千枝お姉ちゃんや雪子お姉ちゃん、クマさんや皆が時々遊びに来てくれるから、前に比べたら全然さみしくないよ。」
「・・・そうか。」
一瞬うつむいた菜々子だったが、すぐに楽しそうにそう言った。
・・・アイツらには感謝しなきゃならんな。
悠の奴は、本当に良い友達を持ったモンだ。
しかし、実際問題としちゃ、最近は結構しっかりしてきた感じはするが、菜々子はまだ小学生だ。
俺も、以前に比べたら菜々子を構う心の余裕ができたが、それでも仕事柄、家を空ける事も多い。
もちろん、近所の人達なんかにお願いしちゃいるが、やっぱり心配だよな・・・。
特に、例の事件の事もあるしな。
悠が居た時は、そんな事考えなくても良かったんだが、それだけアイツが俺や菜々子にとっちゃ、大きい存在になってたんだな・・・。
「お父さん?ご飯、さめちゃうよ?」
「あ、おお、いかんいかん。」
「変なのー。」
「ハッハッハ、すまんすまん。」
「フフフ。」
しかし、悠はもう居ないんだ。
無い物ねだりしても仕方ない。
さて、どうしたモンかな・・・。
・・・
番長side
「それで、知恵熱が出た、と?」
「そうみたいですね。」
「ヨコシマ情けないでちゅ。パピリオは、ベンキョーも頑張ってるでちゅよ?」
「偉いな、パピリオちゃんは。」
「えへへ~!」
「うるへー。あんな文字の羅列、もはや拷問だろ・・・。」
無事に編入試験と面接を終えた俺は、“妙神山”に戻っていた。
そこには、マンガの様に氷のうを額に当てていた横島がいたので、事情を訪ねると事務仕事を叩き込まれた結果、知恵熱が出た、との事だったのである。
「もとはといやー、オメーがよけーな事を言ったせいだぞ、鳴上!」
「・・・?俺が?・・・何か言ったか?」
「隊長に事務の専門家の案を話したんだろ!?それを聞いた美神さんが、そういやアンタにも事務仕事をそろそろ仕込まないとね、って事になったんだよっ!」
「それは、むしろ一人前に一歩前進しただけでは?GSでも警察でも、ドンパチなんて仕事の極々一部ですからねー。」
「・・・確かに。」
「うっ・・・。」
小竜姫さまの冷静なツッコミに、横島は二の句が告げなかった様である。
「まぁ、そういう仕事は地味だし根気のいる作業だからな。お前の気持ちも分からんではない。」
「・・・。」
「だが、少しずつ慣れていけばすぐにできるようになるさ。まぁ、美神さんは加減を知らないところがありそうだから、今度会った時には、それとなく諭しておくよ。」
「マジかっ!?確かにあの人、自分が天才肌だからって、結構ムチャクチャなよーきゃーをしてる事も多いからなー。俺が文句言っても聞く耳もたねー事も多いが、何故かお前の言う事は結構聞くみたいだし、いっちょ頼むわ!」
「あ、ああ・・・。」
突然復活した横島に圧倒されながらそう請け負った俺。
・・・やはり、言霊使いクラスの伝達力が功を奏しているのだろうか?
そんな事を考えながら、その日は軽めの修業を終えて、就寝するのだったーーー。
???
永劫side
「・・リー・・・マリー・・・起きておくれ・・・。」
んー、何だかうっさい。
人が気持ち良く寝てるところに、自分を呼ぶ声がして、私はそんな事を思っていた。
「えっと、マリーちゃーん?朝ですよー?」
「・・・後5年・・・、むにゃむにゃ。」
「いや長いわっ!その間、悠くんの事は放っとくつもりかいっ!?」
何よ、うっさいなー。
悠・・・?
悠っ・・・!?
ガバッ!
「あ、起きた。」
勢い良く起き上がった私は、キョロキョロと周囲を見渡した。
ここは・・・。
ああ、そうか。
私は、正常に戻った“虚ろの森”に還ってきたんだった。
私の半身が残した力を取り戻すべく。
で、美しい原風景とも言える場所の、大きな木の下で、疲れて眠ってしまったのだろう。
ふと、横を見ると、見知らぬ男の姿があった。
まだ年若い様にも見えるし、少しは年がいってる様にも見える、かなり大きな男だ。
が、不思議と不快感は感じなかった。
・・・いや、私の中の半身の残滓は、何故か懐かしい気持ちやら、愛おしさやら、憎しみやらの複雑な感情を抱いている様だが、生憎今は私がベースとなっている。
だから、私に分かったのは、半身はこの人を知っている事と、この人が人間じゃないって事くらいだが。
「・・・アンタ、誰?」
だから、一番最初に出てきた言葉がこれだった。
もっと聞くべき事が色々ある様な気もするけど。
「はじめまして、と言った方が良いのかな、この場合。ボクはイザナギ。」
「イザナギ・・・?」
彼の言葉を繰り返すと、私の中の半身の残滓が暴れまわった、様に感じる。
並々ならぬ関係性がある様だ。
「実はね・・・。」
「私の半身の旦那さん、か。じゃあ、私にとっても旦那さん、になるのかな?」
「それは違うね。キミとイザナミはある意味同一の存在だけど、またある意味では別個の存在でもあるからね。悠くんで言えば、ボクや他のペルソナの様なモノだよ。ボクらは悠くんの半身とも言える存在だけど、当然同一の存在じゃない。ま、キミの場合はイザナミの娘や親戚、って感じに捉えてくれれば良いかもね。ボクの事も、悠くんの代理人、とでも考えてくれたらいいさ。」
「ふぅ~ん。」
突然現れて、意味分かんない事を言われているのに、イザナギの言葉はすっと入ってきていた。
多分、私はどこかでそれを真実だと分かってるからなんだと思う。
「で、その悠の代理人が、私に何の用?悠は、今都会に帰っちゃったんでしょ?」
私の事すきだっていったくせに、ばかきらいさいてー。
・・・仕方がない事だと思っていても、心にそんな言葉が渦巻いてしまう。
「あぁ~、その事で折り入って相談があってねー。」
「???」
「じゃあ、その悠の事を利用しようしてる神々や人間をぶっ飛ばせば良いんだね?」
「どう解釈したらそーなるのっ!?違う、違う!」
「・・・違うの?少なくとも、その人達は悠にとって迷惑でしょ?」
「ま、それについては否定しないけど、それはボクが担当するよ。キミは交渉事には向いてないからねー。(ボソ)それに、キミは基本的に八十稲羽一帯からは出られない立場だ。土地神としての役割があるからね。」
「???・・・じゃあ、相談ってのは何なの?」
「それは、色々と動き回るボクに代わって、この地で堂島親子を守って欲しいんだ。知ってる?悠くんの親戚、つまりは家族だね。」
「っ!!!悠の家族・・・。」
「彼のご両親は、すでに海外へと旅立っている。ま、ちょっと
「・・・悠の事だから、家族に危害が及べば、それを守る為には自分を犠牲にしてしまいかねない、ってコト?」
「その通りだね。そこで、キミの出番、って訳だよ。」
「・・・なるほどね。」
正直、神々が、どうとか、人間の組織がどうとかはよく分からないが、悠が狙われる可能性がある事は何となく分かる。
もちろん、彼の仲間達の存在も大きいけど、私の半身を退けたのは悠の功績がやはり大きいからだ。
それだけの力を持った存在なら、当然、他の連中も放ってはおかないだろう。
「とりあえず、よく分からないけど、分かった。悠の為だもん。私も力を貸すよ。で、具体的にはどうすればいいの?」
「それはだね・・・。」
to be continued
誤字・脱字がありましたらご指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆・掲載しておりますので、そちらも本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。