続きです。
・・・
道化師side
「ほぉ~ん、そんな事が密かに流行しとるんかー。」
「みたいだな。」
「・・・いかにもお主が好きそうなアイテムではないか。のぅ、横島?」
「い、嫌だなー、師匠。俺の煩悩が人一倍強い事は否定しないっすけど、そういう無理矢理って感じは好きじゃないっすよ。」
「ほぉ~・・・?」
鳴上から西条のトコで手伝った事件の事を聞いた師匠から、最初に出た言葉がそれであった。
ったく、このバカ猿。
俺を何だと思っとるんだ。
・・・ま、過去には
しかし、実際、嫌がる相手に無理矢理ってのは俺のポリシーではない。
これでも俺も、人を選んでセクハラをしてるつもりなのだ。
・・・ま、誇らしく言う事ではないかもしれんがな。
ちなみに、鳴上のヤツが、守秘義務的な事を一切無視している様な感じに見えるが、そこはそれ、俺らにはそんなモンあってないよーなものだ。
仮にその件が、オカルト的な事件であった場合は、俺らGSにも深く関わってくるかもしれないので、西条のヤツもそこは強くは口止めしなかったのであろう。
ま、そもそも、鳴上のヤツは、こっちの世界ではまだ知り合いが多くないからな。
顔を合わせたのは、マジで俺らの関係者くらいだろうから、西条のヤツもそこは考慮しとるのだろう。
「しかし、“さいばー”に“あぷり”ですか・・・。人間の技術は、どんどん進化しているんですねー。」
「今や、スマホなんか当たり前にみんな持ってますからねー。
「俺らの時代・・・?」
「あ、いや、こっちの話だ。」
「・・・?そうか。」
・・・あぶねーあぶねー。
メタ的発言が出てしまった。
「ま、ともかく、そっちは進展待ち、って事でいいんだよな?」
「ああ。俺も、コウゼオンは初めて使ったペルソナだ。どの程度の精度で探索や探知ができるのかは俺にも分からないから、その場所に犯人に繋がる手掛かりはないかもしれないからな。どっちにせよ、調べてみない事には何も分からないだろう。」
「なるほどねー。しっかし、そんなモンバラまいて、そいつらは何が目的なんだろーな?愉快犯とかか?」
「かもしれないな。」
世の中には、他人が慌てふためいとるのを見て、悦に入っとるヤツもおるからなー。
ま、どっちにしても、進展がない事には憶測でしかないが。
「ところで鳴上よ。まだ、霊力の扱い方には手こずっておる様だのぅ。」
「あ、ええ。何とかペルソナとの繋がりから、朧気に霊力を感じ取る事まではできましたが、それを操る事までは全然・・・。」
「まぁ、それも致し方ない事じゃ。前にも言ったが、ある特定の形で霊能力を開花された者は、基本的にその方法でしか霊力を操る術を知らんからのぅ。お主はペルソナ能力者な訳じゃから、やはりその形が一番安定しておるのじゃよ。」
「そーだなー。俺も、安定して使える様になったのは、“
言って、俺は自分の手の甲に、“籠手”の様なモノを発生させる。
「おおっ!」
「逆に、俺は“放出”は苦手なモンで、霊波砲とかは不得意なんだよなー。ま、実際には、これも考え方次第で、この“
「形が変化したっ・・・!?」
俺は、“
基本形態は“籠手”だが、それを俺は“霊波刀”に変える事が最初からできた。
そして、それを更に引き伸ばす事もできた訳だから、仮にその形態を“銃”とかの形態に変える事ができれば、放出する事も可能なのではないかと思い至ったのである。
ドオォォォーーーンッ!
異界の修業場に、俺の“大砲”から霊波砲が発射された。
「こんな感じに、俺は苦手な“放出”も克服できたワケだ。ま、合体とか、“
「・・・なるほど。」
「改めて、横島さんも随分立派になりましたねー。」
「タハハハ、小竜姫さまのお陰っすよ。俺が霊力に目覚めるキッカケを与えてくれたのは小竜姫さまでしたし。」
「しかし、それをここまで成長させたのは間違いなく貴方の努力ですよ。私も、師匠の一人として誇らしい気分です。」
「ま、まだまだっすけどね。自分の霊力はほぼ完璧に扱う事ができるまでに至りましたが、アイツの方はまだ全然で・・・。ま、それでも、ヤバい事態からは何とか脱しましたが。」
「ヨコシマ・・・。」
「ま、そこは仕方ありませんよ。人の身には過ぎた力ですから。むしろ、霊力のコントロールが得意な横島さんだからこそ、何とかなったと言っても過言ではないかもしれませんね。」
「なるほどー。」
昔の、ただの貧弱な坊やでしかなかった俺しか知らない人は、今の俺を見たら別人の様に見えるだろうなー。
ま、かくいう俺も、ここまでになったのは致し方ない事情があっての事だったが。
「応用、か・・・。」
「おい横島。霊力のコントロールに長けた先輩として、鳴上に何かアドバイスをしてやったらどうじゃ?」
「えっ!?そんなん、師匠の方が適任っしょ?」
「忘れとるかもしれんが、ワシは人間ではないからのぅ。それ故、導く事はできても、人間の尺度で物事を考えるのは苦手なんじゃ。ワシのやり方を知っとるお主なら、その意味が分かるじゃろう?」
「あー・・・。」
師匠のやり方はスパルタだからなー。
鳴上には、結構丁寧に教えているから忘れがちだが、能力を伸ばすか死ぬか、って選択を迫るよーなお人である。
・・・後、師匠が人間じゃないってのは、見た目的にも忘れようがないのだが、そこはスルーしておこう。
しかし、鳴上へのアドバイスねー。
やっぱりここは、俺の経験談からの意見を述べるべきだろうか?
「あー、鳴上。お前のペルソナなんだが、仮に自身に
「
「俺もちょっと調べたのよ。美神さんトコには、その手の本はごまんとあるからなー。それによると、ペルソナとは“心の具現化”とも言えるワケだ。で、お前の心の力だとしたら、お前自身に降ろす事もできんじゃねーかと思ったワケよ。そうすりゃ、ペルソナの能力をお前自身が使えるよーになるんじゃねーの?」
「な、なるほどっ・・・!確かに、ペルソナをチェンジする事によって、俺自身のパラメータにも変化があったが、その発想はなかったな・・・。」
「ま、“神降ろし”って技もあるみたいだし、多分できると思うぜ。で、ペルソナってのある意味霊力そのものな訳だから、お前自身に降ろす事によって、今までピンと来なかった霊力とは何なのかを体感する事ができんじゃねーかな?」
「なるほど・・・。とりあえず、やってみようか。
こい、ピクシー!」
カッーーー!
「はいはぁ~い!」
「ピクシー・・・、妖精か~。妖精にはあまり良い思い出がないんだが。」
「何だ横島。お前、妖精に会った事もあるのか?老師の話だと、この世界の人間界でも随分稀少な存在だと言っていた気がするが。」
「確かに稀少なんだが・・・、普通に美神さんトコに住み着いてるぞ?“
「そ、それはまた・・・。」
「ま、それでも人間界では、もしかしたら最後の妖精かもしれないってんで、そう邪険にもできないんだが、本人の性癖がアレなモンで、どうしようか困っとるんだわ。いっそ、妖精界にぶちこんだ方が、本人の為かもしれん。」
「ほぉ~。」
「ま、お前のペルソナとは言え、同族と会えれば喜ぶかもしれんから、こんど美神さんのトコへ行った時には紹介してやるよ。」
「ああ、分かった。」
「あの、ご主人。そんな話を聞いて、私は会いたくないんだけどぉ~?」
「「・・・。」」
ピクシーは、嫌そうな顔をしていた。
ま、そりゃそーだ。
もしかしたら、自分の貞操の危機かもしれんのだからな。
「ま、それは追々考えるとしてだ。早速降ろしてみろよ。」
「・・・それはいいんだが、具体的にはどうやればいいんだろうか?」
「イメージとしちゃ“憑依”とか合体って感じだ。俺の見たところ、お前のペルソナは半実体って感じだし、多分できると思うぜ?」
「なぁ~にぃ~?ご主人も私の貞操を狙ってるのぉ~?」
「あ、いや、誤解だ。ちょっとした実験でな。すまないが付き合ってくれ。」
「冗談よ、冗談。じゃ、いっくよぉ~!」
茶々を入れつつ、ピクシーは鳴上の“中”に入っていった。
カッーーー!!
「おおっ!」
「どうだ?」
「・・・これは、今まで味わった事のない感覚だ。朧気にしか感じられなかった“霊力”ってモノが、今はハッキリと感じ取れるよ。」
「そーか。なら、実験は成功とみて良さそうだな。」
「ああ。と言うか、今まではよく分からなかったのだが、老師や小竜姫さま、パピリオちゃんの周りが光ってる様に見えるな・・・。」
「ああ、それは霊気だよ。師匠達は神族や魔族だから、その内包している霊気は俺らとは比べ物にならない。もっとも、今はただ立っているだけで、霊気を解放しちゃいないんだが、そーか、霊視もできる様になるんだなー。」
「ほぉ、中々面白いアプローチじゃな、横島。」
「横島さんは、人を導く才能があるのかもしれませんね。」
「凄いでちゅ、ヨコシマ。」
「あ、いやー。俺自身、あまりデキの良い方じゃなかったんモンで、あれこれ試行錯誤してたのが良かったのかもしれません。」
鳴上の実験の成功に、師匠や小竜姫さま、パピリオが俺を誉めてくれる。
それに、少し照れ臭くなり、俺はそんな事を言って誤魔化した。
カッーーー!
「ふぅ・・・。」
「はわぁ~!ご主人と溶け合う、みたいな変な感じ~!」
「お、流石にその状態を維持するのは、まだ難しいみたいだな。」
「ああ、そうだな。何だかドッと疲れたよ。けど、感覚は掴んだ、様な気がする。」
「ま、そっからはひたすら基本の繰り返しだよ。お前の場合は、やっぱりペルソナを基本ベースとして考えた方が良いとは思うが、慣れてくれば素の状態でもある程度は霊力を操る事もできんじゃねーかな?」
「なるほど・・・。参考になったよ、横島。ありがとう。」
「ダハハハハ。ま、師匠に頼まれちゃーな。」
コイツ、照れもなくストレートにお礼を言う事に慣れとるなー。
こりゃ、勘違いするヤツも多いんじゃなかろーか?
「横島のアドバイスで鳴上が何かのコツを掴んだ様じゃな。さて、それでは、本日の修業はこの辺りにしておこうかのぅ。」
「「ありがとうございました。」」
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様でちゅー。」
・・・
番長side
横島の的確なアドバイスのお陰で、俺は霊力を操る事に一歩前進した様な気がする。
案外、横島は頭のキレる奴なのかもしれない。
そんなところが、ますます陽介に重なってみえる。
まぁ、陽介は流石にここまでスケベな奴ではなかったが・・・。
しかし、先程横島が“霊気”と言っていた光、改めて老師や小竜姫、パピリオちゃんが人間ではない事を実感する光景であった。
人間である横島は、それでもそれなりに光って見えたが、やはり老師達ほどではなかったからな。
けど、少しだけ気になる事もあった。
俺が、“霊視”に慣れていない事もあるかもしれないが、横島を取り巻く霊気の中には、また別の霊気もあった様な気がするのである。
まぁ、そこはプライベートな事かもしれないから、ここでは聞くのを止めておいたが。
人には、他人に隠しておきたい事の一つや二つはあるモノだからな。
仲間達と共にシャドウと対峙した俺には、その事が痛いほど理解できたのである。
と、
エビディ、ヤングライフ、ジュネス♪︎エビディ、ヤングライフ、ジュネス♪︎
「っと、電話だ。」
「それはいいんだが、何じゃ、その着信音は・・・。」
「・・・?ハイカラだろ?」
菜々子の超絶キュートボイスの着信音に、怪訝そうな顔をする横島。
フッ、先程は見直したが、横島もまだまだだな。
「あれ、叔父さんからだ。・・・もしもし?」
〈お〜う、悠、俺だ。今時間大丈夫か?〉
「あ、はい。大丈夫です。」
〈そうか。連絡できなくてすまなかったな。お前も大変だろうが、こっちも少しあってな。〉
「えっ!?な、何か問題でもあったんですかっ!?」
ま、まさか、菜々子の身に何かあったのではっ・・・!?
〈いや、違う違う。っつか、考えてみりゃ、お前が知らん筈はなかったな。ほら、例のお前の
「はっ・・・・・・・・・?」
・・・婚約者?
「婚約者とは、結婚の約束を交わした相手。許嫁、フィアンセとも言う。」
「そんな事は分かってるっ!横島、横で茶々を入れるんじゃないっ!」
「ダハハハハ、すまんすまん。」
〈ん?誰か居るのか?〉
「あ、すいません。こっちでできた友達が一緒でして・・・。」
〈何だそうか。もう友達ができたんだな。やっぱりお前はたくましいなぁ〜。姉さん達に振り回されて大変そうだとは思ったが、その分じゃ余計な心配だったかな?〉
「あ、いえ、嬉しいですよ。」
〈そうか・・・。〉
叔父さんの優しさが伝わってくる。
やはり、一度築いた“絆”は、遠く離れてもそう簡単には崩れない様である。
〈ま、何だ、いきなりまた転校したお前が心配だったんでな。それで電話してみた訳だ。だが、元気そうで安心したよ。こっちも元気でやってるからな。また、まとまった時間がある時はこっちにも遊びに来い。何せ、ここはもうお前の“家”、なんだからな。〉
「叔父さん・・・。」
その言葉に、俺は胸がじーんと熱くなった。
〈ま、まぁ、そんな訳だからな。悪かったな、忙しいのに。〉
「いえ、そんな事は・・・。」
〈じゃ、長話すると、菜々子にせっつかれるからな。そろそろ切るぞ。〉
「はい、また・・・。じゃなかった。ちょっと待ってください、叔父さん!」
〈ん〜、どうしたぁ〜?〉
「えっと、その婚約者って、何て名前なんですか?」
〈・・・?変な事聞くヤツだなぁ〜?ま、いいが。確か、“
「ああっ・・・。」
〈何か分からんが、納得したか?〉
「あ、はい。あ、それともう一つだけ。」
〈・・・ん?〉
「もしかしてですけど、そのマリーと一緒に、大男が現れませんでしたか?」
〈お〜う、来たぞ。“
「ははは、ま、まぁ、色々ありまして。」
〈まぁ、当初はビックリしたが、菜々子も懐いてるから、俺としちゃかなり助かってたりする。やっぱり一人だと心配だからな。ま、流石に婚約者ってのには驚いたが。〉
「・・・何かすいません。」
〈何、構わんさ。・・・しかし、人生の先輩としてのアドバイスだ。ちゃんと責任は取れよ?〉
「は、はいっ!それはもちろん!!」
〈ならいいんだ。まぁ、お前の事だから心配はしちゃいないがな。じゃ、そろそろ切るぞ?また連絡する。〉
「はい、それじゃ・・・。」
電話を切った俺は、頭を抱えていた。
「・・・イザナギとマリーだ。一体どうなってるんだっ!?」
「なぁ〜んか、またややこしい事になっとるよーだなぁー。」
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんと「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆・投稿していますので、よろしければ本作と合わせてチェックして頂けると嬉しく思います。