P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

色々悩みましたが、番長だけでなく、仲間達sideのエピソードも描く事にしました。
彼らのやり取りが好きなんですよねー。
ま、作者に原作ほどの面白いやり取りが描けるかは分かりませんが(笑)。


花村陽介は運が悪い

 

3/29

 

星side

 

「ヨースケー。クマ、今日はバイト休みだから、ナナチャントコに遊びに行くクマ!」

「あー、そういやお前、今日は休みだったか・・・。けど、俺も今日はバイト休みだけど、初家庭教師の日だからなー。お前一人で大丈夫か?」

「ヨースケは心配性クマねー。ナナチャンの家くらい、一人でヘーキクマよー。」

「いや、そうじゃねぇよ。堂島さんに迷惑掛けねぇかを心配してんだっつーの。」

「失礼クマねー。クマはパパさんとも仲良しクマ!」

「・・・ま、お前、案外人当たりは良いもんな。ちょっと変わったヤツ、程度で流してくれるか・・・。それに、なんだかんだで悠が帰っちまったから、菜々子ちゃん一人の時間も増えただろーし、こんなんでもいねーよりはマシかな・・・。」

「・・・聞こえてるクマよ。っつーワケで、おバカなヨースケは放っといて、クマは遊んでくるクマよー!」

「誰がバカだっ!って、おい!・・・行っちまったよ。ま、一応一本電話入れといてやるか・・・。」

 

・・・

 

「ナーナーチャーン、あそびましょ〜!」

 

あっという間にナナチャン家に着いたクマは、呼び鈴を鳴らしながらそう掛け声をあげていたクマ。

何でも、センセイ曰く、これはオトモダチと遊ぶ時の合言葉みたいなモノらしいクマ。

 

「はぁ〜い!」

「あ、菜々子。私も一緒に行くよ。」

 

少しすると、ナナチャンの声が返ってきて、玄関に向かってくるフンイキが伝わってくるクマ。

・・・けど、変クマねー?

ナナチャン以外の、女の人の声も聞こえてきたよーな気がするクマ。

 

ガラガラ。

 

「あ、クマさんいらっしゃい!」

「何だ、キミか・・・。」

「ナナチャン、遊びに来たクマよ〜。って、あれ、マリーちゃんクマ!?」

「あれ?マリーちゃん、クマさんと知り合いなのー?」

「まぁ、一応ね。悠の仲間だし。」

「あー、なるほどー。って、あれ、クマさん、どーしたのー?」

「あ、いや、何でもないクマよー。」

「???変なクマさん。それよりも、まだまだ寒いから早く上がって上がって。」

「あ、うん、お邪魔しますクマー。」

 

そこには、ナナチャンと一緒にマリーちゃんがクマを出迎えたクマ。

何でマリーちゃんがナナチャン家にいるのか分からないけど、ナナチャンを不安がらせないよーに、とりあえずクマは何事もなかったよーに振る舞うクマ。

 

「何でマリーちゃんがここに居るクマ?ってか、センセイの話じゃ、マリーちゃんの行方は分からなかったハズだクマ・・・。(ヒソヒソ)」

「ま、色々あってね。詳しい話は、後で()()に聞いてよ。どーせ、キミ達にはバレちゃうんだし、兄貴もその事は分かってるハズだから。今は、菜々子を不安がらせない様に、話を合わせておいて。(ヒソヒソ)」

「何かよく分からんけど、分かったクマ。(ヒソヒソ)」

「どうしたの、二人とも?」

「いや、なんでもないよ、菜々子。」

「そ、そうだクマ。それよりも、今日は何して遊ぶクマ?」

「うーんとねー、菜々子、マリーちゃんの知ってる遊びをやりたい!」

「え、私の・・・?」

「うん、ダメ?」

「あ、いや、ダメじゃないけど、結構古臭い遊びしか知らないよ?・・・ま、私の半身の記憶、なんだけど・・・。」

「???まぁ、いいや。じゃあ、どんな遊びか教えてよー。」

「あ、うん、分かった。じゃ、お手玉をしよっか。室内でもできるし。」

「お手玉ってなーに?」

「こういう玉を、こうして投げて遊ぶんだよ。」

 

そういうと、マリーちゃんはどこから出したのか、柔らかい布の玉を何個か取り出して投げたり取ったりし始めたクマ。

 

「すごーい!何か、テレビで見たダイドーゲーのジャグリング?、みたいだねー。」

「ま、似たようなモンかもね。上手い子は、一度に複数の玉を使ったりするけど、菜々子は初めてだから、今日は2個で遊んでみよっか?」

「うんっ!」

「はい、これクマの分。キミもやってみなよ。」

「おー、任せろクマ。これでも、こういうのは得意クマよ!」

 

そういうと、クマはジャグラー並みにお手玉を操るクマ。

 

「クマさん、すごーい!」

「案外やるね、キミ。」

「フッ、クマは遊びの達人クマよ。そんじょそこらのヤツには負けないクマ。」

「お、言ったな?じゃ、どっちがより多くお手玉を回せるか勝負よ。」

「望むところクマ!」

 

こうして、クマ達は、一通りお手玉で遊び尽くしたクマ。

 

ちなみに、勝負の行方は、マリーちゃんの圧勝だったクマ。

流石にクマも、何十個もお手玉は操れないクマ・・・。

 

・・・

 

魔術師side

 

「はー、緊張すんなー。どんな先生がくんだろ?できれば、若くて綺麗なお姉さんがいいんだけど・・・。」

 

クマを見送った俺は、菜々子ちゃんに一本電話を入れてから、自室にて家庭教師が来るのを待っていた。

 

勉強を本格的に取り組み始めたっつっても、元々俺はそこまでできる方じゃないからなー。

っつっても、沖奈市ならともかく、稲羽市じゃ塾なんかねぇ〜モンで、こうして家庭教師に来てもらう事になったっつー訳だ。

たまーに遊びに行くならともかく、頻繁に行くには沖奈は流石に遠すぎるからな。

 

で、結局親からは家庭教師の素性を知らされなかった俺は、こうして青少年らしい事を呟いていたのである。

ま、それに関しては、お袋が意味ありげにニヤニヤした顔をしていた事も合わせると、あんまり期待はできないけど・・・。

と、

 

「陽介ー。家庭教師の先生がいらっしゃったわよー。アンタもお出迎えなさい。」

「き、来たっ!分かったー、今行くー!」

 

ソワソワしていた俺に、お袋からそう声が掛かる。

い、いよいよだな。

 

 

自室を飛び出し、玄関先で談笑するお袋のもとへ。

で、そこで見たモノを、俺はしばらく忘れないだろう。

 

「あ、来た来た。久須美先生。あれが息子の陽介ですわ。」

「ああ、彼が。中々利発そうな青年ではありませんか。」

「あらあら、オホホ。先生ったら、お世辞がお上手ですわねー。」

「いえいえ、そんなつもりはありませんよ。」

 

アハハ、オホホ、と余所行きのお袋に若干引きながらも、俺は思わず二度見しそうになった。

 

ま、お袋の様子から、家庭教師が()なのはいい。

俺のステータスは運が低いからなー。

ある程度は予想していたので、そこまでの落胆はない。

 

しかし、流石に2m近い大男だと言うのは予想外であった。

むしろ、そんな大男と普通に会話を交わしているお袋を、少しだけ尊敬したりする。

いや、こぇーよ。

ま、その身体の大きさとは対象的に、物腰が柔らかいのは見て取れるんだけどさ。

 

「あ、ど、ども。俺、あ、いや、僕、花村陽介って言います。」

「やあ、こんにちは。今日からお世話になります。久須美薙輔(くすみなぎすけ)です。こう見えても、一応は“大学生”です。ま、今は民俗学のフィールドワークで、一年間の休学中なんだけどね。」

「あ、ああ、そうなんですか。」

「久須美先生は、○✕大学の現役生なんですって。」

「○✕大学っ!?お、俺でも知ってるよーな有名大学じゃん。」

「そ。今はここがいいところだって分かってるけど、それでもこんな片田舎にそんな有名大学の現役生に家庭教師に来てもらえる事なんてないのよ?」

「そりゃそーだ。」

「たまたまこの地方の伝承なんかに興味がありましてね。ま、他のところも見て回るつもりですが、それでもしばらくはこの地に滞在しようかと思ってまして。で、一応は蓄えはありますが、どうせなら家庭教師のバイトを始めようかと。ほら、いつ何時何があるか分からないじゃないですか。」

「それは確かにそうですわねー。まぁ、お陰でこちらとしては大助かりですけれど。」

「なるほど。」

 

勝手なイメージだが、大学生ってお気楽な感じだと思っていたけど、久須美先生はそれとはちょっと違うのかもしれない。

多分、民俗学、とかゆー学問に本気で取り組んでいるのだろう。

 

「あら嫌だわ、私ったら。さ、玄関で立ち話も何ですから、上がってくださいな。」

「それでは、お邪魔します。いや、それにしてもかなり大きなお宅ですねぇ〜。花村さんのお家は、もしやかなりの名家では?」

「いえいえ、そんな事はありませんわよ。田舎だから土地が余ってるだけですよ。ま、それも含めて気に入っているんですけれど。ほら、都会だと、これほどのお家に住むなら、それこそかなりのお金持ちでもないと無理でしょう?」

「ああ、そうなんですね・・・。」

 

そんな世間話をしながら、久須美先生を我が家に招き入れるのだったーーー。

 

 

こう言っては何だが、ウチの両親は結構寛容だったりする。

ま、俺が説得した事もあるが、正体不明のクマを居候として普通に受け入れている事からも、それはお分かり頂ける事だろう。

 

それと同時にかなり順応性が高く、当初は親父がジュネスの(雇われ)店長である事も手伝って地元の人達からは敬遠されていたにも関わらず、お袋は普通に近所の人達ともコミュニケーションを取っていたり、地元のコミュニティに積極的に参加したりと、普通に近所付き合いをしている。

最近では、ジュネスを敵視する人達も減り、逆にお袋の伝手で親父が地元商店街の会合に呼ばれるなど、案外侮れないのがウチのお袋なのである。

ま、そんなコミュ強なところは、俺にも受け継がれている訳だが。

お陰で、結構面倒な事を押し付けられる事も多いんだけどな・・・。

 

ただ、そのおしゃべり好きは、時としてマイナスにもなる。

 

「それでねー・・・。」

「は、はぁ・・・。」

「ちょっとお袋、いい加減にしなよ。久須美先生は家庭教師で来てんだからさー。」

 

家に上げたはいいが、おしゃべり好きが災いしたのか、久須美先生に対してマシンガントークを繰り広げるお袋に、俺はいい加減ツッコミを入れざるを得なかった。

新しい知り合いができるとすぐこれである。

・・・そういや、クマが当初家に来た時も、散々だったからなー。

ま、クマの場合は、お袋の性格ともマッチしてんのか、実の息子である俺よりも仲が良いくらいだが。

 

「あら、そうだったわねー。先生はお話しやすかったから、つい。」

 

いや、2m近い大男に対して“話しやすい”って、そんなんお袋くらいのモンじゃねーか?

ま、確かに久須美先生からは、そのたっぱとは裏腹に、取っ付きやすそうな雰囲気は伝わってくるが。

 

「ハハハ、お話は楽しかったのですが、陽介くんの言う通り、ボクは彼の家庭教師として来ていますので、そろそろお仕事を始めたいと思いますよ。」

「では、久須美先生。陽介の事、よろしくお願いします。」

「ええ、お任せ下さい。じゃ、行こうか。」

「うっす!」

 

俺の言葉で、ようやく俺と久須美先生は俺の部屋に移動するのだったーーー。

 

・・・

 

世界side

 

ボクは今、“人間の姿”で陽介くんの家にお邪魔していた。

目的は陽介くんの家庭教師として、ではなく、彼に事情を説明する為である。

 

悠くんとも話し合ったのだが、すでに悠くんの安全は確保されたので、これ以上は仲間達を騙したくない、という彼の意向を受けて、彼の仲間達、すなわち“自称特別捜査隊”のメンバー達にも、ある程度の情報を共有しておこう、という事になったのである。

ま、マリーが堂島家に滞在している以上、遅かれ早かれ情報は漏れてしまう訳だから、それはボクとしても反対しなかったのである。

それに、()()の次の一手の可能性を考えれば、彼らには事情を話しておかないとならないだろうしね。

 

そこで、家庭教師を募集していた花村家に、家庭教師として接触した、という訳である。

 

 

「ま、マジかよ。悠のヤツ、そんな事に巻き込まれてたんか・・・。」

 

ボクの正体を明かし、ここまでの一通りの顛末を聞いた陽介くんの反応がこれであった。

 

「今まで黙っていたのはすまない、との事だよ。だけど、悠くんを責めないでやってくれないか。キミ達に黙っている様に言ったのはボクだし。」

「あ、いや、それはそこまで怒ってないっすけど・・・。それに、ヤバイ連中に狙われてるってんなら、ただの高校生の俺らじゃどうしようもない訳ですし。」

「理解が早くて助かるよ。もっとも、キミ達は実は現実世界でもペルソナ能力は発現可能だから、“ただの高校生”では最早ないんだけど、流石に人間相手にそれを行使するのはいささか問題がある。状況はともかくとして、仮に人間を傷付けてしまった場合、逆にキミらの方が犯罪者の烙印をおされる事になりかねないからね。」

「・・・そりゃそーだ。」

 

これまで情報を隠していたのは、危険があると言うのはもちろんあるが、やはり一番の問題はそこなのである。

“マヨナカテレビ”でシャドウと戦うのとは違い、現実世界では、例え悪人と言えど人権が存在する。

仮に正当防衛が成立する状況ならばともかく、ペルソナ能力という強力な力を使って相手を傷付けてしまった、あるいは殺してしまえば、彼らの人生はそこで終わりかねない。

 

「ま、多少の不安要素はあるが、激動の一年を乗り越えたキミ達が、今更そんな軽率な真似をするとは思っていなかったんだけどね。だから、今回キミに情報を開示したのは、そうした警告の為じゃないんだよ。実は、本題はこっちの方だ。まだ確定的な情報ではないんだけど、近い将来、おそらくキミ達の力を借りる事態になりかねないんだ。」

「俺らの力、って、ペルソナ能力って事っすか?」

「そう。“敵”は本命である悠くんを取り逃がす事となってしまった。また、次の策として、悠くんを引っ張り出す為の手段として、菜々子くんを使う事も、これもマリーを配置した事で未然に防ぐ事ができる。」

「なら問題ないじゃないっすか。それで、連中は諦めるんじゃないっすか?」

「それは、いささか楽観的に過ぎるね。妄執に駆られた人々の執着心を、キミはまだ甘く見ている。そうなれば、次のターゲットはキミ達かもしれないよ?」

「っ!?そ、そうか。俺らは悠の仲間だからっ・・・!」

「もちろん、直接的な手段ではないかもしれないけどね。菜々子くんと違い、キミらがペルソナ能力者である事は“敵”も知っている可能性が高いからね。けど、それならそれでやりようはある。」

「っ!!!」

 

まだまだ未熟な彼らであるが、多少なりとも例の事件で人間の“裏側”を垣間見た彼は、ボクの言葉に何か察した様である。

 

残念ながら、人間の中には悪人が存在する。

そして、“真の悪人”は、相手にその正体を悟らせない狡猾さがある。

悠くんを狙っている連中は、そうしたたぐいの人種なのである。

だが・・・。

 

「だけど、ボクの“力”でも、連中の思惑を完全に把握する事はできないんだけど、それでも彼らが何をしてくるかはおおよそ予測がつくから、キミ達が不安に思う必要はない。だけど、何もしないままならキミらは連中に良いように利用させてしまう可能性が高い。なら逆に、キミらが更に力をつければ、それを返り討ちにする事もできるって訳さ。」

「なるほど・・・。で、具体的にはどういった事なんですか?」

「それはまた追々話すよ。一度に詰め込み過ぎてもアレだからね。それよりも、まずは今聞いた話を仲間達と共有して欲しいんだ。ボクは、立場上あまりキミらと関わっている事を連中に悟らせたくない。とは言え、どうしても誰かと接触しない事には、情報を伝える事もできない。そこで、一番適任だと思ったキミに接触した、って訳さ。ま、家庭教師の件もあったから、って理由もあるけどね。」

「いいっ!?いや、それだったら直斗とかいるじゃないっすか。」

「確かに直斗くんは素晴らしい頭脳の持ち主だけど、それに“リーダー”としての素質もあるだろうけど、“自称特別捜査隊”として見た場合は、悠くんとキミが中心的に立ち上げた集団だ。リーダーである悠くんが不在の場合は、副リーダー的存在だったキミが代わりを務める方が自然だよ。それに、悠くんからの伝言だ。“俺が居ない間は、仲間達の事を任せたぞ、相棒。”、との事だよ。」

「っ!!!分かったっすっ!任せて下さいっ!!」

「うん。よろしく頼んだよ。」

 

コクリと頷く陽介くん。

やはり、悠くんと陽介くんの関係は素晴らしいなぁ〜。

 

お互いがお互いに高め合っていける関係。

お互いがお互いに補い合える関係。

 

こうした人間関係は、そうは簡単に手に入るモノじゃないからねーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、ところで、家庭教師の件って、やっぱりただのカモフラージュだったんすよね?」

「いや、そんな事はないよ?確かにカモフラージュの一環ではあるけど、ちゃんと教えるから安心してね。これでも、幅広い学問に精通しているからね。」

「あ、そーすか。・・・安心したよーな、残念なよーな。(ボソボソ)」

 

うん、聞こえてるよ、陽介くん?

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿していますので、よろしければそちらも本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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