P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

皆さん、明けましておめでとうございます。
あいかわらず不定期掲載ではありますが、ボチボチやっていきますので本年もよろしくお願いいたします。


天才錬金術師と鋼鉄の乙女 登場

 

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番長side

 

という様なあった事を、陽介からの恨みのこもった連絡で俺は知った。

ま、これに関しては、俺も全く想定外の事であったので、持ち前の言霊使いな伝達力で何とか陽介の怒りをおさめる事には成功したが。

と、言うよりも、最終的には、それらはイザナギとマリーの暴走によるモノであると知った陽介からは、

 

“お前も大変だな・・・。”

 

と、どこか同情がこめられた言葉を貰う事になったのである。

まぁ、それはともかく。

 

しかし、気になるのは、イザナギが示した情報である。

仲間達に今回の事を伝える事については、俺も事前にイザナギから言われていて知っていたが、それに伴い仲間達の力を借りる事となるかもしれない、との言葉については、今はまだ深く教える事はできない、という事で、俺もほとんど情報を持っていなかったのである。

その事について、陽介とも話題になったのだが、結局はお互いに知る情報も少なく、それについては今後の展開次第である、との意見で一致した。

マリーの件で、事前に情報を伝えると言ったイザナギが約束を違えるとも思えないので、そこには何かしらの意図があるのだろう。

 

まぁ、そんな感じで、怒涛の展開から始まった新生活も10日前後過ぎ、いよいよ明日からは4月である。

つまりは、新学期である。

 

とは言え、始業式は4/6からなので、それまではまだ春休みなのであるが、世間的には明日から新たなスタートを切る事となる。

俺の波乱万丈な高校生活最後の年も、いよいよ始まるという訳であったがーーー。

 

・・・

 

「あーだーだー。」

「きょ、今日はこの辺にしてやるホー。」

「何か、最近お前の方が遊ばれてる感が否めないんだが・・・。」

「そ、そんな事ないホー!」

 

今日俺は、久々のひのめちゃんのベビーシッターを請け負っていた。

やはり、美智恵さんは多忙を極める様で、急遽お願いされたのである。

 

まぁ、今のところは春休みであった俺はすぐに快諾したのだが、後一週間ほどすれば、俺も高校があるのでこれまでの様に簡単には受けられなくなる。

その事は美智恵さんも了解しているので、今後はそれらを事前に調整する様だ。

 

ま、最悪美神さんに頼む事もできるので、そこら辺は何とでもなる様である。

というか、そもそも俺は元々居なかった存在であるから、今がある種イレギュラーな状況なのかもしれないが。

 

「すっかりひのめとも仲良しになったのねー、鳴上くん。」

「いえ、多分ジャアクフロストを気に入っているだと思いますよ。やっぱり赤ちゃんって、マスコットキャラクターみたいなモノが好きですからね。」

「それは確かに。キミにもお世話になっちゃったわね。」

「フン、構わないホー。ワルは細かい事にはこだわらないホー。」

 

まるでどこかのツンデレみたいなセリフを言うジャアクフロスト。

というか、ペルソナは俺の心も同然だから、俺もツンデレ的な要素がどこかにあるのだろうか?

 

などとくだらない事をチラッと考えていると、美神さん達も仕事を終えてゾロゾロと戻ってくるのだった。

 

「ただいまー。」

「お疲れっす。」

「あ、隊長さんもいらっしゃっていたんですね。すぐにお茶の用意をします。」

「お疲れ様、令子、おキヌちゃん、横島くん。いえ、構わないのよ。」

「ま、鳴上がある意味留守番も兼ねとるから、そこら辺は気にせんでもいーだろ、おキヌちゃん。そもそも、隊長やひのめちゃんにとっては、ここは自分の家族の家なワケだからなー。」

「そゆこと。」

「・・・なるほど。」

 

ベビーシッターをするに当たって、実は色々と取り決めがあった。

その中の一つが、ひのめちゃんを預かるのは基本的に美神さんの事務所で、という事であった。

 

これは、ひのめちゃんの能力に関係する話だ。

流石によそで念力発火能力(パイロキネシス)が発動してしまった場合、ま、それも俺のペルソナであるジャアクフロストがいるので周囲に被害が及ぶ心配はないのだが、それでもひと騒ぎ起きてしまう可能性は高い。

特に、この世界ではGSの世間からの注目度は高いので、いらぬトラブルに発展するのもアレだ、という事で美神さんの事務所を使う事としたのである。

 

ここなら、“人工幽霊壱号”の結界によって、万一何かあったとしても周囲に被害が及ぶ可能性は皆無であるし、庭や駐車場を含めるとそれなりに遊び場はあるからな。

まだ歩けないひのめちゃんからしたら、十分過ぎるスペースと言えるだろう。

 

ちなみに、“人工幽霊壱号”とは、美神さんの事務所に住み着いている幽霊なんだとか。

そもそも、この建物はその“人工幽霊壱号”の持ち物であったが、強力な霊力の持ち主に所有される事によって、彼、あるいは彼女は自身の存在を安定させる必要があったらしく、紆余曲折を経て美神さんの事務所になった経緯があるそうだ。

 

流石に幽霊の存在には当初は驚いたのだが、今ではすっかり打ち解けている。

まぁ、美神さん達と付き合う上では、あまり細かい事に驚いていたらキリがないからな。

それに、基本的に“人工幽霊壱号”はおキヌさんを除くと、この事務所で一番良識的な存在かもしれないからなー。

ま、そこら辺は口が裂けても言えない事ではあるが・・・。

 

「ただいまでござるー!」

「ふう、やれやれ。何だか、例の一件以来、西条には良いように使われてるわねー。」

「犯罪捜査のお手伝いでござるよ?素晴らしい事ではござらんか!」

「アンタは単純でいいわねー。ま、これも一つの社会勉強にはなるし、報酬も貰えるから、今は私も文句はないんだけど、さ。」

「もー、素直じゃないでござるなー、タマモは。」

「な、なによ。」

「まーまー。」

「おー、シロ達も帰ってきたかー。なんや、西条の捜査に付き合わされたんだったか?」

「そ。ま、以前の事件ほど大袈裟なモンじゃなかったけど、私達の霊波追跡能力が必要だったらしいわ。そっちはアッサリと解決したけどね。」

「ほーん。」

「以前にも言ったと思うけど、ただ単純に悪霊なんかを退治するのとは違って、オカルト犯罪捜査には人間離れした霊波追跡能力が必要よ。あるいは、それに特化した能力、例えば“精神感応者(テレパス)”や“接触感応能力者(サイコメトラー)”なんかはそれに適しているけど、そうした能力者は貴重なの。オカルトGメンのデータベースにも数えるほどしか登録されていないくらいね。もっとも、パパの事を鑑みると、あえて申告していない事もありえるでしょうけど。」

「彼らは一般の社会では生きづらいでしょうからねー。私だったら、相手の考えてる事がダイレクトに伝わってきたら、とてもじゃないけど耐えられないかも。」

「パパもその事には悩んでいたわ。今は、人里離れた場所に居場所ができたからまだマシだけど、それは結構幸運な例かもね。他のその手の能力者の人達は、彼らにとっては地獄みたいな環境で生きてるのかもしれないわ。」

「・・・なるほど。」

「ま、そんな訳もあって、シロちゃんやタマモちゃんの霊波追跡能力はとても貴重なのよ。もちろん報酬はしっかり支払うから、悪いけど今後も何かあれば力を貸してくれると助かるわ。」

「もちろんでござるよ!」

「ま、報酬が貰えるならね。そうすれば、好きなだけきつねうどんが食べられる訳だし。」

「・・・ありがとう。」

 

以前にも西条さんから聞いたが、オカルト犯罪捜査は人材不足が深刻なんだとか。

さっき美智恵さんも言っていたが、それだけそれに適した能力者がいないからだろう。

俺も、なるべくなら平和な方が良い。

借り物の力とは言え、俺も力になれるのならできるだけ協力しよう、と改めて思ったのだった。

 

「しかし、それなら、別アプローチから攻めるのも有りなんじゃないっすかねー?例えば、何らかのオカルトグッズを利用するとか。それか、カオスのじーさんに依頼するなんてのも有りかも・・・。」

「アンタねー。そんな都合の良いアイテムがそこらに転がってるハズないでしょ。もし仮にあったら、すでに実用化されてるわよ。それに、()()カオスならそうしたアイテムを開発する事もできるかもしれないけど、あのじーさん、例の事件の後始末の為に、各国政府はもちろん、新魔族からも依頼が殺到してんのよ?残念ながらそんな暇はないわよ。」

「そりゃそーか。」

 

すると、横島がそんな事をポツリと呟いて、それに美神さんがそう返答をしていた。

・・・カオス?

聞いた事のない名前である。

まぁ、ここで名前が挙がると言う事は、おそらく、まだ知らない美神さんや横島の仲間なのであろう。

 

「・・・呼んだかの?」

「・・・。」

「「「「・・・・・・・・・えっ!?」」」」

「「「「???」」」」

 

すると、突然全身黒ずくめの白髪のナイスミドルと、不思議なコートを纏った無表情な美女という何とも不思議な組み合わせの二人組が事務所に現れたのだった。

・・・誰だろうか?

 

「ド、ドクター・カオスッ!?」

 

カオス?

では、このナイスミドルが先程話題に挙がっていたカオスさんなのだろうか?

 

「ってか、アンタ何で普通にこんなトコにいんのよっ!!??」

「ド、ドクターは、今は御多忙の身ではないのですか?」

「おう、まぁ、色々と抱えてはいるが、何じゃ、中々興味深い人物が現れたと聞き及んでのぅ。居ても立っても居られず、色々ブッチしてここに来た訳じゃ。のぅ、マリアよ。」

「イエス。ドクター・カオス。」

 

これが、“ヨーロッパの魔王”の異名を持つ、稀代の天才錬金術師であるドクター・カオスと、その従者にして、人工的な霊魂を持つ、鋼鉄の乙女であるアンドロイドのマリアとの初コンタクトであったーーー。

 

・・・

 

道化師side

 

「いやいや、じーさん。色々ブッチすると、後がこぇーんじゃねぇーか?」

「その辺は抜かりないわ、小僧。しっかり書き置きは残しておいたからのぅ。それに、あれから仕事続きじゃから、たまには休暇も必要じゃしの。っつー訳じゃから、さっさと(くだん)の“異世界人”とやらに早く会わせるのじゃっ!!」

 

“異世界人”?

・・・ああ、このじーさん、鳴上に興味を持ったワケか。

まったく、どこで聞きつけたやら。

 

「あいかわらず自由なじーさんだなー。」

「そ、そういう問題じゃないでしょ、横島くんっ!?多分ドクターは、ほとんど無断でこの場にやって来てるわよ?」

「いや、そりゃそーなんでしょうが、各国政府も新魔族も、じーさんの機嫌を損ねるのは得策じゃないっすよ。じーさんの頭脳無しじゃ、色んな研究に支障をきたしますし。」

「そ、それはそうだけど・・・。」

「それにじーさんは、基本的に自由人よ。彼を縛り付ける事はほぼ不可能でしょーね。ま、じーさんを思い通りに操るのなんて不可能に近いし、好きにさせるのが得策よ。しかも、今は横島くんの“文珠(もんじゅ)”の力で全盛期に近い頭脳と肉体に戻ってるから、下手すれば“第三次世界大戦”が起こる可能性すらあるわねー。」

「そ、そんな、まさか・・・。」

「ああ、そういえばママは知らなかったっけ?けど、実際に私達は全盛期のカオスに会った事があるけど、その名に違わぬ天才っぷりだったわ。オカルト的にも科学的にもね。ま、現代のロボット工学を軽く越えるアンドロイドを700年も前に完成させたんだから、今更言うまでもない事だけどね。しかも、さっきも言ったけど、今はその全盛期の頭脳や肉体に近い状態よ?現在の軍事技術を軽く越える発明をしたとしても何らかおかしな事じゃないわよ。」

「わ、分かったわ。二人がそこまで言うのなら、今のところは目を瞑ります。」

「そうしてもらえると助かるわ。こっちとしても、あまりトラブルを増やしたくないしねー。」

 

俺も美神さんの説得に、隊長も一応は納得したよーだ。

ま、俺も好きでこんな歩く爆弾みたいなじーさんを若返らせたワケじゃない。

例の事件の“後始末”には、どーしてもじーさんの力が必要だったからである。

ま、ここら辺は、各国政府や新魔族の了解を得ているので問題はないのだが。

 

しかし、その結果、じーさんがそのフリーダムっぷりに磨きがかかるとは思ってもみなかったのだろう。

っつっても、俺らは付き合いも長いから、その辺の事は分かっていたのだが、な。

ま、その辺は何とでもなるだろう。

 

「ドクター・カオス。この場に・見慣れぬ顔が・あります。」

「ん・・・?おーおー、確かに見慣れぬ顔じゃ。よくやったぞ、マリア。」

「イエス。ドクター・カオス。」

「お、俺っ!?」

 

そうこうしている内に、マリアとカオスのじーさんは鳴上にロックオンしたよーである。

ま、確かシロやタマモもじーさんとは初対面だったかもしれんが、二人はカテゴリー的には妖怪だから、そんなモン、マリアのスキャンですぐに分かるだろう。

となれば、人間で、しかも見慣れぬ顔が当たりだと、瞬時に判断するだろう、この二人なら。

 

「お主が噂の“異世界人”じゃな?」

「ま、まぁ、そうです。この世界とは別の世界線からやって来た、らしいですから。」

「ふむ。して、お主の名前は?」

「鳴上悠と言います。」

「ふむ。鳴上か。よしっ!ではマリアよ。鳴上悠を()()するんじゃっ!!!」

「・・・・・・・・・へっ?」

「イエス。ドクター・カオス。ロケットアームッ!!!」

「う、うわぁっ!な、なんだなんだっ!?」

 

・・・うん、この二人にマトモな対応は期待しとらん。

じーさんは有無を言わさず、マリアに命じて鳴上のヤツを捕らえにかかった。

 

流石の鳴上も、咄嗟の事に反応できず、マリアのロケットアームにてアッサリと捕獲される。

ま、なんだかんだ言ってマリアは優しいから、鳴上のヤツを傷付けるよーなマネはせんかったが。

 

「フハハハハハッ!よくやったぞ、マリアッ!さて、貴重なサンプルが確保できた事じゃし、そろそろお暇しよーではないか。」

「イエス。ドクター・カオス。」

「待て待て。鳴上をどこに連れてくつもりじゃ。」

「知れた事。我がラボに連れ帰り、じっくりと研究するのじゃっ!“異世界人”などとゆー面白そうなサンプル、儂が見逃すワケがなかろうっ!のぅ、マリアよ。」

「イエス。ドクター・カオス。」

「ちょっと待ちなさいよっ!鳴上はウチの丁稚なのよっ!勝手な事は許さないわよっ!!」

「だ、誰が丁稚ですかっ!!」

 

流石は美神さん。

一度受け入れると、全て私物扱いするあたり、以前と全く変わりない。

ま、それだけ鳴上のヤツを気に入ってるのだろう。

主に、ひのめちゃんのベビーシッターとして、だとは思うけど。

 

「れ、令子の言う事はともかく、ドクター。鳴上くんに手を出すのはお止めになった方がよろしいかと思います。一応は彼、“妙神山”にて庇護されている扱いですから、最悪、神族と敵対する恐れがありますわ。」

「なんじゃとっ!?くそぅ、せっかく面白そうなオモチャが手に入ったと思ったのにっ・・・!」

 

そうなのだ。

鳴上はイザナギさまが老師に預けたワケだから、扱いとしては“妙神山”、っつか、老師と小竜姫さまの庇護下にある。

当然ながら、そうした人物を勝手に拉致・監禁した場合、神族が黙っていない。

 

流石のじーさんも、シャレでは済まない事態に顔色を変えた。

 

「あ、あの、とりあえず落ち着きませんか?」

 

そこに、おキヌちゃんの仲裁が入り、混乱したその場が少し落ち着きを取り戻したのだったーーー。

 

・・・

 

番長side

 

「すまんかったな、鳴上よ。改めて自己紹介をしておこうっ!儂は“ヨーロッパの魔王”こと、天才錬金術師のドクター・カオスじゃっ!!んで、こっちが相棒のマリアじゃ。」

「はじめまして・鳴上・サン。ドクター・カオスの・ご命令とは言え・いきなり拘束してしまい・大変申し訳ありませんでした。」

「あ、いえ、分かって頂ければそれで。特に実害もなかった訳ですし。」

 

いきなり訳の分からない事に巻き込まれた俺だが、そこはオカン級の寛容さで受け入れていた。

まぁ、イザナギから始まって、こちらの世界に来てからは何かと巻き込まれる事も多かった事もあり、慣れた、という事もあったが。

 

それに、おキヌさんの説得を受けてドクターはともかく、マリアさんは、表情こそ出さなかったが、どことなくしゅんとしていたので、そこを更には責めるのも躊躇われた、という事もある。

 

・・・案外、おキヌさんは怒らせると一番怖い人なのかもしれない。

と、頭の片隅にそう記憶しながら、俺も方も改めて自己紹介をしていた。

 

「改めまして、俺は鳴上悠です。お気付きの通り、確かに“異世界人”という存在ではあります。けど、そこまでドクターが注目するほどの存在ではないかと。俺もそこまでこっちの世界に来てから日が経ってはいませんが、基本的に俺も美神さん達も、同じ“人間”である事には変わりありませんからね。」

「確かに鳴上は、普通の人間とそう大差はないわなー。ま、ペルソナ能力とか、どうやら俺らとは違う歴史を進んでいる世界線で生きていた、とゆー違いは存在するが、じーさんは歴史認識とかはキョーミないだろー?」

「いや、そうでもないわい。儂らの生きる世界線とは、どの地点で分かたれた世界なのかは大いに興味があるわ。それに、やはり詳しい構成物質を調べん事には、本当にこちらの世界の人間と大差ないのかも分からんからのぅ。」

「・・・だからと言って、鳴上さんを勝手に拘束する事は許しませんよ・・・?」

「い、いや、おキヌよ。先程はちょっとチョーシに乗っただけじゃ。今はそんな事するつもりはないから安心せい。」

「・・・ならいいんですけど。」

 

やはり、おキヌさんは一番怒らせてはいけない一人なのかもしれない。

まぁ、その様子は、端から見ると孫娘に甘い好好爺、といった感じにも見えるのだが。

 

「ま、まぁ、いずれにせよ、儂も“異世界人”を見るのは初めてじゃし、神族が関わっておるならそう心配もあるまいが、儂の知的好奇心ももちろんあるが、あるいはお主の存在がこちらの世界に何某かの影響を与える事ともなりかねんからな。どちらにせよ、強制ではないが、儂のラボで一度調べてみた方が良いとは思うぞ?・・・ほれ、例の事件もあるし、今は色々と調()()もしとるワケじゃからのぅ。」

「「あー・・・。」」

「確かに、それはあるかもしれませんね・・・。」

「・・・けど、老師や小竜姫さま、イザナギさまが関わっている以上、そこまで心配する事ではないのでは?」

「甘いわよ、おキヌちゃん。アイツら、案外抜けたところがあるからねー。」

「あぁ〜・・・。」

 

神様相手に、アイツら呼ばわりの美神さんに軽く驚いていたが、おキヌさんや横島の反応は、案外納得している様に見えた。

・・・もしかして、神様って思ったより頼りないのかもしれない。

 

「そういう事なら、健康診断も兼ねて、一度じーさんの検査を受けてもいーかもね。下手な事をしなければ、だけど。」

「いくら儂でも、神族が関わっとるのに無茶な真似はせんわい。何じゃ、信用ないのぅ。」

「さっきの事があって、何で信用されると思っとるんじゃ?」

「それは・・・、まぁ、細かい事は気にするなっ!ヌハハハハッ!!」

 

・・・激しく不安である。

 

「って事だけど、どうする鳴上?俺は、じーさんの言う事は一理あると思う。これは俺の経験談だけど、早めに調べておいて損はないと思うぜ?まぁ、俺とは違って、特に問題はないと思うけど。」

「「「横島くん(さん)・・・。」」」

 

たまーに見せるシリアスな表情の横島にそう問われ、俺は頷いた。

 

「そうだな。確かに言われてみれば、他の世界の住人である俺が、こっちの世界に存在する影響は気になるところではある。何かしらの迷惑になっていたら嫌だからな。ドクターの診察を受けてみる事にするよ。」

「おうおう、そうかそうかっ!!では、さっそくっ・・・!」

「ちょっと待たんかいっ!どっちにせよ、まずは小竜姫達の了解を取ってからよ、カオス。それに、アンタも、面倒な事になる前に研究に戻った方がいいでしょ?」

「何じゃ、焦らすのぅ〜。」

「子供かっ!ったく、手続きはしっかりしておいた方が良いわ。何なら、楽しみは先に取っておく、って考えてもいいじゃない?」

「ふむ、そういう考えもあるか・・・。ならば、鳴上よ。儂らはラボに戻っとるので、諸々の状況が整ったら、儂のラボに来ると良いぞっ!」

「は、はぁ・・・。」

「そうと決まれば、儂は研究に戻るとしようかのぅ。行くぞ、マリアよ。」

「イエス。ドクター・カオス。」

「ではさらばじゃっ!ヌハハハハハッ!!」

 

そう言い残し、嵐の様に去って行くドクター。

 

「ったく、まるで嵐の様ねー。ま、前からあんなチョーシだったけど、若返った事で更にそれに拍車が掛かったよーな・・・。」

「ま、俺にも責任の一端はありますけど、じーさんの力なくして今の状況はありえないっすからねー。」

「それは分かってるわ、横島くん。けど、もうちょっと何とかなんないのかしらねー。」

 

あ、やっぱり美神さん達もそういう認識なのね。

 

「ま、っつーワケだから、じーさんの暴走を防ぐ上でも、アンタがこっちにいる影響を知る上でも、小竜姫達に了解を取ってから、鳴上くんはじーさんのラボを一度訪ねてちょーだい。また押し掛けられたら、たまったモンじゃないし。」

「分かりました。」

 

と、いう様な経緯があり、俺は天才錬金術師であるドクター・カオスと、心優しきアンドロイドのマリアと知り合ったのであったーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、横島達の口から度々聞こえてくる、“例の事件”とは一体何なのだろうか?

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、そちらも本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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