P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

少しずつ書いていた物を毎日投稿予定。
ですが、それも5話くらいまで、ですかね。

その後は不定期掲載となる予定です。


番長は巻き込まれ体質

 

◇◆◇

 

「ちょっと待ってくれ。また頭が混乱してきた。神性の仲間入り・・・?じ、じゃあ、俺は神様の仲間入りを果たした、ってのか?」

「そうだよ。まぁ、正確にはその前段階。英雄的偉業を成し遂げた、ってところだけどね。意外、ではないかもしれないけど、人の身でありながら、その後神様に成った例はそんなに珍しい話じゃないんだ。この国はもちろん、海外なんかでも、過去に偉業を成し遂げた偉人やら英雄が、神様に祀り上げられる事は割とよくある話だからね。」

「・・・確かに。」

 

俺のペルソナでもあるヨシツネとか、それこそ、彼は歴史上の偉人ではあるが、それと同時に、土地によっては神様として祀られている話を聞いた事がある。

俺も、それに該当する存在に成った、と言う事だろうか・・・?

 

「・・・いや、ちょっと待ってくれ。その話が本当だとしたら、確かに俺()は偉業を成し遂げた事になるから、百歩譲って神性の仲間入りを果たしつつある、って話は納得できるんだが、しかし、それって周囲にそう認識されている必要があるんじゃないのか?それこそ、俺のペルソナの例で挙げれば、ヨシツネとか、彼は確かに英雄的偉業を成し遂げた存在だけど、それは歴史書や伝承として伝わっている前提があるじゃないか。しかし、俺()の功績は、周囲に認識されている事ではないだろう?」

「おっ、流石に鋭いねぇ~!その通り。確かにキミ()は“世界”を救ったけど、それはあくまで“マヨナカテレビ”での出来事だ。だから、それこそヨシツネくんの様な、表向き後世に語られる様な偉業を成し遂げた訳ではないから、そうした条件には当てはまらない・・・。確かにその通りだよ。キミ()()は、ね。」

「・・・どういう事だ?」

 

含みのあるイザナギの発言に、俺はゴクリッと唾を飲み込んだ。

 

「実は“マヨナカテレビ”ってのは、他の神々からの注目度もそれなりに高かったんだよねぇ~。まぁ、本来は“マヨナカテレビ”は、あくまで都市伝説みたいなモノで、八十稲羽周辺でしか見られない現象なんだけど、神様にはそのルールは適用されないからさぁ~。だから、キミらの活躍は、人々には曖昧なモノとしてうやむやにできたんだけど、他の神々にはバッチリ見られちゃってた訳。まぁ、神様にも事情ってのがあるから、いくらイザナミが暴走したからと言っても、彼女が治めている土地に勝手に入っていく訳にも行かないから、彼女の行動に介入できなかった訳だけど、やっぱりその影響が他に波及してしまっては問題だからね。そうした訳で、都合良く“マヨナカテレビ”ってツールがあったから、それを通じて彼女の行動はある程度把握されていたんだよ。」

「そうなのかっ・・・!?」

 

・・・いや、実際に目の前のイザナギや、昨日出会ったイザナミの事を鑑みると、他の神々が存在したとしても不思議な話ではないが・・・。

 

「で、その事が今回問題となるんだよねぇ~。さっきの話だと、キミらは確かに英雄的偉業を成し遂げたけど、それは人知れず行った事だから、後年、あるいは死後に神様に成る、って事態とはならない可能性のが高いんだけど、キミだけは、明らかに“奇跡”を起こしてしまったからねぇ~。」

「・・・“奇跡”?」

「さっきも言ったでしょ?ボクを呼び起こした事さ。」

「・・・ああ。」

 

先程のイザナギの話だと、彼はすでに現代では引退している状態だったか?

俺も、今回の事件の事もあって軽く調べてはいるが、確かイザナギはこの国の始まりの神様の一柱だから、それは騒ぎになったとしても不思議ではない話か・・・。

 

「いやいや、そんな呑気な話じゃないんだってっ!確かにボクは、この国の始祖神の一柱だけど、現代的にはそこまで重要な存在じゃない。けど、その系譜が問題となるんだよ。」

「・・・系譜?」

「ボクの娘の一柱であるアーちゃん。あ、三貴子の一柱のアマテラスね。は、こちらも直接的にはあまり関係はないんだけど、この国で一番偉いとある家系の先祖、って位置に居るんだ。つまり、ボクも、その家系の遠い先祖に当たる、とも言える訳だよ。」

「ふむふむ。」

「・・・いや、本当に分かってる?そんなボクを宿したキミは、それこそこの国じゃ、一番偉い立場になっちゃったって事だよ?」

「・・・・・・・・・はっ?」

 

・・・偉いとある家系ってのは、()()()()の事だよな?

確かに、日本書紀や古事記なんかでは、アマテラスの孫のニニギノミコトが、あの家の始まりとされている。

 

しかし、俺はあくまで一般人だ。

確かにイザナギを召還したのは紛れもない事実だが、それで俺がこの国で一番偉い立ち位置になる、ってのはいささか突拍子もない話だろう。

 

それに、あくまで“伊邪那岐大神”を呼び起こしたのは、俺だけの力じゃない。

仲間達や、コミュニティを築いた人々の、更には、この“世界”の可能性を信じていた者達全員が呼び起こした“奇跡”だ。

俺一人では、とてもじゃないがイザナミに打ち勝てはしなかっただろう。

 

「キミの謙虚さは美徳だけど、ここではあまり関係のない話だよ。それに、キミがそうした人々の願いの依り代、中心となって、実際にボクを顕現させた事には変わりはない。重要なのは結果の方だよ。端から見た分には、キミがボクを呼び起こした事には変わりないのさ。そして、そうなると、キミの存在を他の神々も放っておく事はできない。」

「・・・?なぜだ?」

「さっきも言ったかもしれないけど、ボクにもそんなつもりはないけど、とにかく権威だけはあるからねぇ~。単純にキミを取り込めば、国内のパワーバランスが一気に傾く可能性がある。それこそ、さっきも言ったけど、ボクを宿したキミが、この国の正統な所有者である、という言い分も成り立ってしまうからねぇ~。」

「なんだそれはっ!?」

「まぁ、神様ってのも一枚岩ではないからねぇ~。特にこの国には、八百万の神々が存在する。中には、現在の状況をよしとしていない神も居ないとも限らないのさ。それに、むしろこちらの方がかなり厄介なんだけど、数自体はそうは多くないが、神々と直接コンタクトを取れる存在も居る事には居る。しかも、そうした存在、団体や組織は、政治的なあれこれに裏で深い関わりがある者も多いから、この国の根幹を揺るがしかねないキミの存在を、良くも悪くも放っておけないって事さ。キミごとボクを取り込みたい連中もいれば、キミの存在を抹消したい、って連中も居る訳だね。」

「そ、そんなっ・・!!!」

「もちろん、折角“世界”を救ってくれたキミ達に対して、それはあまりに酷な話だ。それ故に、こうしてボクが顕れたって訳さ。」

「・・・なるほど。」

 

ようやく合点がいった。

その事を懸念して、こうしてイザナギは俺の目の前に顕れた、って事か・・・。

しかし、イザナギの口振りだと・・・。

 

「じゃあ、それを回避する方法がある、って事でいいんだよな?」

「それはまだ何とも言えないねぇ~。ただ、このまま何の手だてもなく都会に帰るのはいささか無用心が過ぎる、って訳で、慌ててキミの前に顕れた訳だけど、具体的な事はまだ何とも・・・。もちろん、一番簡単なのは、ボクが消える、って事だけど、それも根本的な解決にはならないからねぇ~。」

「・・・なぜだ?お前の存在がなければ、俺はただの一般人に過ぎない。まぁ、ペルソナ能力者である、という点は消えない訳だが。」

「それだけなら、まぁ、何とかなると思う。言ってなかったけど、キミ達の他にもペルソナ能力者は存在するし、所謂超常的な能力を操る存在も居るからね。まぁ、それだけでも、普通の人々に比べたらトラブルに巻き込まれる可能性は高いんだけど、さっきも言った通り、何もなければペルソナ能力者は一般人とそう大差はないからね。もっとも、それを判断するのは相手な訳だから、絶対の保証はできないんだけどさ。ただ、キミの場合は、一度“奇跡”を起こしてしまった事が問題となる。仮にボクが消えたとしても、一度起こった事なら、二度目もあるんじゃないかと考えたとしても不思議な話じゃないからね。」

「・・・なるほど。」

 

・・・参ったな。

まさかこんな事態となるとは。

 

「まあまあそんな顔しないで。ボクも、これでも色々と考えてはいるからさ。」

「・・・しかし、そうは言っても難しいんだろ?参ったな・・・。()()にでも高飛びすればいいのか?まぁ、まだ高校生の身である俺には難しい話だが。」

「確かに、海外ならボクのネームバリューもさほど強くはないけどっ・・・。いや、ちょっと待ってくれよっ!?それ、案外良い案かもしんないよっ!!!」

「・・・へっ?」

 

何とはなしに放った俺の言葉に、イザナギは食い付いてきた。

 

「き、急にどうしたんだ?」

「いや、キミの言葉で思い付いた事があるんだよ。要は、キミが一時的に避難できる場所が確保できれば良いんだから、()()ってのも有りだと思ってね。」

「いやいや・・・。さっきも言ったけど、俺はまだ高校生の身だぞ?簡単に海外になんて行ける筈もないだろう。それに、まぁ、今更そこを心配しても仕方ないかもしれないが、学校はどうするんだ?」

「大丈夫大丈夫、そこも考えているから。いやぁ~、盲点だったよ。()()の庇護下に入れば、他の神々もそう易々とは手出しできないし、何なら自分達の立場を危うくするだけだしねぇ~。後は、どう説得するかって話だけど・・・、うん、まぁ、それもどうとでもなるかな?」

 

イザナギは、一人で納得した様に呟きながら、一度こちらをチラリと眺めながら、再びブツブツと何やら呟いていた。

 

「・・・???とりあえず、何とかなるのか?」

「ああ、置いてきぼりにしちゃって悪かったね。うん、その認識で概ね間違っていない。・・・ただ、本っ当にキミには迷惑な話だけど、少なくともキミの残りの高校生活が、普通じゃなくなるのも間違いないと思う。ただ、これだけは約束させて貰うけど、キミが望まない限り、キミを神々の仲間入り、なんて話からは絶対に守り切ってみせるよ。ハニーの暴走を食い止めてくれたキミらへの、ボクなりのせめてもの誠意、ってヤツさ。」

「そうか・・・。」

 

内心、俺はホッとしていた。

と、言うのも、俺も巻き込まれた感はあるものの、イザナギを巡るイザコザに、仲間達や堂島親子まで巻き込まれずに済みそうだからである。

・・・まぁ、特別捜査隊のメンバーならば、事情を話せば協力してくれるかもしれないが・・・。

 

「なるべくなら、今のところそれは控えた方が賢明かもね。キミほどではないにしても、彼らも十分に利用価値がある。と、言っても、彼らの場合は、ペルソナ能力者として、ってだけだから、まだ安全だしね。それに、さっきの話で分かるかもしれないけど、八十稲羽はイザナミの、いや、今は行方不明だけど、マリーが管轄する土地だから、他の神々がそう易々とは入って行けない場所でもあるから、二重の意味で安全なんだ。逆に言えば、ボクがどうこうする前に、八十稲羽を離れられてしまった場合、その安全も保証できなくなる。そして、仲間想いなキミの仲間達の事だ。キミに何かあるって分かれば、無茶だと分かっていても駆け付けて来てしまいかねないからねぇ~。」

「・・・確かに。」

 

それはありえそうだ。

普通に考えれば、俺達はまだ高校生の身であるから、何もなければ仲間達がむやみに稲羽市を出る事もないだろう。

 

しかし、仮に俺にトラブルが発生したと知れば、行動力のある彼らの事だ。

イザナギの言う通り、駆け付けて来てしまうかもしれない。

 

それならば、今は知らせない方が賢明だろう。

隠し事をする様で心苦しいが、彼らなら、後に事情を話せばきっと分かってくれるだろう。

 

「そうそう。ボクを呼び起こしたキミらの“絆”はダテじゃないんだ。そこは信じて上げると良いよ。」

「ああっ・・・!」

 

イザナギの言葉に、先程別れたばかりの彼らの、稲羽市の方向を見やり、俺は力強く頷いた。

 

「・・・さて、とりあえずはさしあたっては、キミのご両親を()()する事だよねぇ~。」

「・・・。」

 

前言撤回。

本当にイザナギに任せても良いのか不安になってきた・・・。

 

菜々子、お兄ちゃんの無事を祈ってくれっ・・・!

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら、御指摘頂けると幸いです。

後、他サイトで恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんで、「『英雄の因子』所持者の異世界生活日記」というオリジナル小説を執筆しておりますので、気になった方は是非チェックしてみて下さい。
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