続きです。
次回辺りから、ペルソナ本編の様に日付がちょいちょい進んだりもします。
4/1
魔術師side
今日は4月1日。
世間一般的には“エイプリルフール”なんだが、もちろん俺らもそういうイベントは大好物だが、今回は参加していなかったりする。
と、言うのも、今日はみんなで堂島さん家に行き、行方不明だったマリーちゃんとの再会&相談をする必要があったからである。
そんな日に、流石にウソはつけない、っつーワケで。
ちなみに、わざわざ堂島さん家に出向いたのは、本来なら俺らのいつもの溜まり場と化していたジュネスのフードコートでも良かったんだけど、菜々子ちゃんの事を考慮してである。
ま、菜々子ちゃんは、ありがたい事にジュネスを気に入ってくれてるんだが、せっかく来てもらったのに彼女の分からない話で置いてきぼりをくらわせるのもアレだっつー事で、結果落ち着いて話せる場所として堂島さん家が選ばれたってワケである。
更にちなみに、堂島さんがこの日は遅くなるみたいで、その事も関係している。
堂島さんは信頼できるお人だが、流石にこの件には巻き込めないからな。
「みんなぁ~、いらっしゃ〜いっ!!!」
「いらっしゃい。」
「やあやあ、菜々子ちゃんっ!元気にしてたかなぁ〜?」
「うんっ!」
「・・・もうすっかり元気そうだね。去年あんな事があったから・・・。」
「菜々子はもう元気いっぱいだよぉ〜?運動だってできるもんっ!」
「そりゃ良かったぜ。んじゃ、新学期が楽しみだなぁ〜?」
「うんっ!菜々子、早く学校に行きたいっ!あっ、けど、今はマリーちゃんもいるから、お家にいても楽しいんだけどねっ!」
「菜々子っ・・・!」
「あいかわらずの天使っぷりっだなー。マリーちゃんも、すっかり骨抜きになっちまってるし。」
「・・・先輩のお気持ちも分かりますよね。」
「それはいいけど、早くお家に入るクマ。ナナチャ〜ンッ!今日は、ジュネスで一杯買い物をしてきたクマよぉ〜!」
「わぁ〜、すごい一杯だねぇ〜!」
「ま、ちょっとしたパーティーをな。っつーワケで菜々子ちゃん。上がっても良いかな?」
「うん、どうぞ~!みんなもあがってあがって〜!」
「「「「「「「おじゃましまーす。」」」」」」」
お菓子や出来合いの物を買い込んだ俺らは、表向きはマリーちゃんのお帰りパーティーと称して菜々子ちゃん家に来ていた。
んで、時間の節約も兼ねて、料理の時間を短縮する上で、こうして大量の持参品を持ち込んだ、っつーワケだが、実際にはウチの女性陣の料理下手対策の一環でもあった。
里中と天城、りせの料理は壊滅的だからな・・・。
ま、直斗だけは大丈夫なんだが、それにマリーちゃんの家事スキルは未知数だが、せっかくの主役に料理をさせるワケにもいかねぇ〜からな。
我ながら、中々良い言い訳を思い付いたモノである。
ま、説得には中々苦労したが。
勝手知ったる菜々子ちゃん家、っつー事で、わいわい言いながら速攻で居間に到着。
そして、テーブルに持ち込んだ物を広げて、あっという間にパーティーのセッティング完了である。
「んじゃ、みんな、コップは持ったか?」
「OKだよ。」
「よし。じゃ、まぁ、ひとまずマリーちゃんお帰りっつー事で。カンパーイッ!」
「「「「「「「カンパーイッ!!」」」」」」」
「あ、ありがと。か、カンパイ。」
マリーちゃんは照れ臭そうにうつむきながら、しかし、ハッキリとそうお礼を言ってきた。
それに、俺らも顔をほころばせて、パーティーの開始である。
っつか、思ったんだけど、マリーちゃんが無事に帰ってきた事で、本当の意味で例の事件がようやく終わったのかもしんねぇ〜な。
ま、っつっても、今度は別の事件なのか何なのかはよく分かんねぇ〜けど、それに俺らは立ち向かう事になるワケだから、また新たなる始まり、となるのかもしんねぇ〜けど。
なんて事を考えていると、和やかに進んでいたパーティーの途中で、りせが爆弾を投下した。
「ところでマリーちゃん?どーしてマリーちゃんが、普通に菜々子ちゃんの家に居るのか知りたいんだけどなー。」
「お、おい、りせっ!」
「花村先輩は黙っててっ!これは、女の戦いなんだからっ!!」
「・・・。」
真剣な表情のりせに、俺も二の句が継げなかった。
ま、考えてみれば、りせは最初から悠に好意を向けていたからなぁ〜。
里中や天城、それに直斗も、大なり小なり悠に好意を持ってるだろーし、コイツらも、口にこそ出さなかったが、りせと同様に悠とマリーちゃんの関係を気にしている風だったしな。
っつか、考えてみれば、悠のヤツどんだけモテんだよっ!?
「まー、いーじゃねーッスか、花村先輩。コイツらも、しっかり決着つけねぇ〜と前に進めねぇ〜スよ。」
「案外大人なんですね、完二くん・・・。」
「こんな事に大人も子供もねぇ〜だろ?」
ま、そりゃそーだ。
俺だって、いまだに小西先輩の事は引きずってるけど、それも踏まえて前に進むと決めた事だからな。
コイツらは、俺とは違って、ハッキリと恋愛的な決着をつける事ができる立場にあるんだ。
良い結果にしろ、悪い結果にしろ、しっかりと答えを出して、それで改めて前に進めばいい。
「まー、もしみんながフラれる事があってもー、クマが受け止めてあげるクマよー。」
「・・・お前は黙ってろ・・・。」
後、間違ってもそれを本人達に言うなよな?
とばっちりを受けるのは俺なんだからな?
「えっと、キミたちが何を聞きたいかはよく分からないけど、私と悠は付き合っているから、最終的には彼とは家族になる訳でしょ?だから、家族になる人の家にいても、何らおかしな話じゃないと思うけど?」
「「「「っ!!!!」」」」
出ました爆弾発言。
ま、俺は知ってたんだけど、悠のヤツは皆には言ってなかったからなー。
っつっても、正式に付き合い始めたのは去年の12月半ばらしいから、実質的にはまだ3〜4ヶ月しか付き合ってる訳じゃないし、悠の話だと今年の初めから“虚ろの森”の事件まで行方不明だったらしいから、実際には付き合っている期間としてはもっと短い。
それなのに結婚の話が飛び出してくるワケだから、悠としてもさぞ驚いた事だろう。
ま、マリーちゃんって、ちょっと天然入ってるしな。
それに、詳しくは知らないが、マリーちゃんはイザナミの半身らしいから、案外考え方が古風なのかもしれない。
付き合う=結婚、って図式があるのかもな。
「な、鳴上くんと付き合ってる、ってコトォッ!?」
「千枝、それマリーちゃんの言葉繰り返してるだけだから・・・。で、いつから?」
「確か、去年の12月から。」
「まだ3〜4ヶ月しか経ってないじゃんっ!」
「しかも、マリーさんは“虚ろの森”の事件もあって、確か行方不明だったハズ・・・。という事は、実質的には付き合っている期間はもっと短いですよね?」
「えっ!?それなのに結婚とかって話になってるワケッ!!??」
「そうだけど・・・、何かおかしい?付き合ってる男女は、結婚するワケでしょ?」
「まぁ完全には否定しづらいけど、それは今は一般的ではないかも。」
「ってか、先輩はまだ高校生だから、結婚なんてできないよ。」
「そうなの?」
「まぁ、先輩はまだ未成年ですし、18歳にもなってませんから、いずれにせよご両親の承諾は必要だと思われます。」
「そーなんだ。ま、それくらい、どうとでもなるけどね。」
「ちょ、ちょっと待ったっ!マリーちゃんさ。流石にカミサマ的な力を使うのはダメだよっ!?」
「そーなの?」
「えっと、それは鳴上くんも同意してるのかな?そうじゃないなら、あんまりに一方的じゃない、かな?」
「マリーちゃん、いくらなんでも束縛しすぎじゃない?そんなんじゃ、先輩に見捨てられちゃうよ?ま、私としては、そっちの方が都合が良いけどねー。」
「久慈川さんの意見はともかく、あまり強引に事を推し進めるのは褒められた手段ではありませんね。昔とは違い、これは付き合うのも同じ事ですが、結婚には両者の同意が必要ですから。」
「・・・確かに、今回の事は悠には言ってなかったな。まぁ、菜々子の事もあったから、堂島家に入り込む為の口実として“婚約者”を名乗ったワケだけど・・・。」
「まぁ、鳴上くん達の事情は特別だから、そこまで強く否定は出来ないけどさー。」
「そうだね。けど、鳴上くんの同意なく事を進めるのはあまり良くないかも。」
「そーそー。それにフェアじゃないじゃんっ!」
「里中先輩や天城先輩の言う通り、先輩達の事情も分かりますから、百歩譲って“婚約者”として菜々子ちゃんのそばにいる事までは否定しませんが、貴女の力で事象を歪めるのは、これ以上は止めた方が良いと思います。それこそ、それは、イザナミがやろうとしていた事と規模の大小はあれど、似通った事ではないでしょうか?」
「っ!!!」
直斗の発言に、マリーちゃんは目を見開いた。
確かに、今回の事は端から見ればバカげた事かもしれないけど、カミサマ的な力を使って現実を歪めたのは、“真実”から目を逸らして、“霧”で世界を覆い隠そうとしたイザナミに通じるところがあるかもしんねぇ〜な。
マリーちゃんは、ある意味イザナミに見捨てられた存在だっつーのに、結局は似たような事をしてるってのは、なんつーか血は争えない、って感じかも。
「・・・確かに、キミの言う通りかも。そっか、私、どこかで道を間違えたのかもしれないな。」
「あー、気付いたんならそれでいーんじゃん?誰にだって失敗はあるし。」
「そうだね。それに、マリーちゃんがやった事、全てを否定するつもりはないし。」
「まー、菜々子ちゃんが関わってるとなると、私も強くは言えないかなー。」
「ご自身の過ちに気付いたのなら、それは大きな前進でしょう。ボクらだって、間違いは犯しますし。」
「ね。それに気付かせてくれるのが“仲間”ってモンでしょっ!?」
「“仲間”、か。私も、キミ達の“仲間”って認めてくれるんだ・・・。」
「当ったり前じゃんっ!」
「ってか、もうとっくに“仲間”だと思っていたけど。」
「ま、まー、そうじゃなきゃ、“お帰りパーティー”とかやんないよねー。」
「フフフ、そうですね。」
「・・・うん、そっか。・・・その、ありがと。」
「いやいや。」「うん。」「ふ、ふんっ!」「どういたしまして。」
「・・・けど、悠は渡さないから。ま、もう私と付き合ってるワケだから、入り込む余地なんてないんだけど。」
「「「「なっ・・・!!!」」」」
うん、良い感じにまとまりかけていたが、ここでマリーちゃんから不敵な宣戦布告によって、再び一触即発の雰囲気に早変わりしてしまった。
・・・悠、やっぱり俺にはお前の代わりは無理かもしんねぇ〜。
っつか、考えてみればこの状況も、半分は悠のせいだけどなっ!
「みんな、ケンカ・・・?」
と、そこへ、これまで黙って聞いていた菜々子ちゃんが、ギスギスした雰囲気を感じ取ったのか、そう口を開いた。
流石にそれには焦ったのか、内心はともかく、里中達もマリーちゃんも矛を納める。
「い、いや、違うよ、菜々子ちゃん。ちょっとジャレついてただけで・・・。」
「そ、そうそう。」
「あー、それよりもカンパイだけしてご飯がまだだったね。菜々子ちゃんは何が食べたい?」
「い、色々買い込んできていますから、好きな物に手を出して下さいね。」
「届かなかったら、私が取ってあげるよ、菜々子。」
「・・・うんっ!!!」
里中達とマリーちゃんの視線が一瞬交錯する。
“とりあえず、ここでは一旦停戦ってコトで。”
““““了解。””””
と、言ったところか。
流石は天使。
場の混乱を一瞬で収めてしまった。
・・・菜々子ちゃんには、今後“自称特別捜査隊”のマスコット兼ストッパーとして常駐して貰う事としようかと、俺は真剣に検討し始めていた。
「す、すげっ・・・!」
「ナナチャンには誰も敵わんクマねー。」
蚊帳の外に置かれていた完二とクマも、そんな事を呟いていたのだったーーー。
・・・
その後は、菜々子ちゃんの手前、和やかなパーティーとなっていた。
それと同時に、菜々子ちゃんとマリーちゃんの仲の良さそうな雰囲気が伝わってくる。
若干、里中達からは複雑な雰囲気が伝わってくるが、しかし、それでも、一時は命が危うかった菜々子ちゃんの幸せな表情は、俺ら皆にも元気を与えてくれる。
ま、悠のヤツじゃないが、これはシスコンになったとしても無理はないよなぁ〜。
途中、完二とクマの、空気を読んでるのか読んでないのか分からないやり取りもあって、表面上はいつもの雰囲気に戻っていた。
簡単な遊びなんかもした。
何でも、最近はマリーちゃんに教わってハマっていると言う菜々子ちゃんの発言を受けて、皆でお手玉に興じたりしたのである。
っつか、何気に皆レベルが高くてビックリしたが。
女性陣は、幼い頃に経験していた様だし、完二も幼い頃の趣味が女の子寄りだった事もあるんだろーが。
クマも良く分からんが、ジャグラー並みの腕前を披露していて結構盛り上がった。
コイツ、何気にハイスペックだよなー。
っつっても、マリーちゃんは別格だったけど。
何、そのスキル?
世の大道芸人が裸足で逃げ出すレベルじゃん。
え、俺?
俺はあんまりやった事なかったからなー。
っつっても、結構器用な方だと自覚してるので、失敗しなければ結構やれる方になったぜ?
ま、クナイよりは危なくないしな。
「zzz・・・。」
そうこうしていると、遊び疲れたのか、菜々子ちゃんが、マリーちゃんに寄り掛かって寝落ちしてしまう。
ま、なんのかんの言いながらも、菜々子ちゃんはまだ小学生低学年だしな。
「んで?イザナギさまにも言われたんだけど、俺らはどんな風に鍛えりゃいいんだ、マリーちゃん?」
それを、お姉さんみたいな雰囲気で介抱する様子を見ながら、菜々子ちゃんの手前聞けなかった事を俺は聞いた。
「私も、具体的な事はまだ聞いてないよ。けど、やっぱり元に戻ったマヨナカテレビ、正確には真の“虚ろの森”を使う事になるんじゃないかな?ほら、現実世界でも、キミ達のペルソナ能力は使えるけど、土地?、みたいのがないじゃん。」
「なるほど・・・。相手に気取られる事なく、密かにパワーアップをはかるのならば、それがもっとも現実的かつ合理的ですからね。」
「あー、けど、あれじゃん?その、“敵”の中には、マヨナカテレビの様子を見れるヤツもいんじゃないの?じゃなきゃ、そもそも鳴上くんが狙われる事態にならなかったワケだしさー。」
「それは、私の半身、イザナミがそこに制限を設けなかったからだよ。言っちゃえば、“テレビ”って人に見せる事が前提のモノだからね。だけど、今はマヨナカテレビ、つまり“虚ろの森”は私の支配下にあるから、それを選択する事ができる。ほら、放っといたら、せっかく元に戻ったのに、またマヨナカテレビの噂を信じて人間の悪意が蓄積しちゃうかもしんないし。」
「なるほど・・・。つまり、本来は“閉じた”世界だったモノを開放していただけ。今は、それを元の“閉じた”世界に戻しているので、その管理者であるマリーさん以外からは干渉する事が不可能になった、と?」
「ま、そんな感じ。て、言っても、本来は“虚ろの森”自体は人々の普遍的無意識が作り出した世界だから、“カギ”さえ持っていれば誰でも入る事が可能なんだけど、それを切り取って“マヨナカテレビ”に仕立てたのはイザナミだからね。」
「あん・・・?ま、まー、よく分かんねぇ〜けど、とりあえず、前みたいにマヨナカテレビん中が俺らの活動拠点になる、っつー事でいいんだよな?」
「そ。」
「なら、またジュネスのテレビから入ればいいのかな?」
「いや、それだとその“誰か”にも見られちゃう可能性があるからダメだよ。キミ達の自宅のテレビから入れる様にするつもり。それなら、バレないと思うし。」
「けど、それだとどこに出るかも分からんクマよ?」
「さっき言ったでしょ?今のマヨナカテレビは、私の管理下に入ってるから、その心配は無用だよ。皆、同じところに出る様にするし、それぞれの自宅に出れる様に設定できるし。」
「なるほど・・・。」
「ま、さっきも言ったけど、具体的な事はまだ私も知らないから、それはまた後でになるけどね。」
「今後の事はイナザギさま次第って事か。ま、とりあえずは、今はそれが確認できてりゃいーか。皆も、そんな感じらしーからよろしくな。」
「「「うん!」」」「うっすっ!」「ええ。」「了解クマ!」
「んじゃ、菜々子ちゃんも寝ちゃったし、後片付けしてそろそろお開きにしよ〜ぜ。」
一通りの事を確認し、頃合いも良かった事もあり、後片付けをして、その日はお開きとなった。
ま、何はともあれ、女子連中の関係が表向きにでもギスギスしなくて済んで、個人的にはホッとしていた。
やはり、我らが天使こと菜々子ちゃんには、できるだけ一緒に居てもらえないかねぇ〜?
ま、堂島さんと
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。