続きです。
随分日が空きましたが、今回から一応新章となります。
また、作中には、GS本編にもペルソナ本編にも出てこない様なワードもありますが、作者による造語&独自解釈ですので、あらかじめご了承下さい。
お人好し神父とバンパイア・ハーフ 登場
4/5
半吸血鬼side
「くらえっ、ダンピールフラッシュ!!」
「ギァアアアアッーーー!」
僕のトドメの一撃に、悪霊は無事に浄化された様である。
・・・うん、以前に比べても、最近はマシになってきたな。
前は、先生の足を引っ張ってばかりだったが。
「お見事だったよ、ピート君。もはや、私に教えられる事はないかもしれないね。」
「ありがとうございます、唐巣先生っ!ですが、まだまだですよ。それに、高校生活も、後一年は残っていますから、引き続き、御指導よろしくお願いいたします。」
「ああ、うむ、そうだったね。オカルトGメン入りには高卒の資格が必須だったか。」
「はい。それに、“魔”の力はともかく、“聖”の力は、まだまだ先生の様には上手く引き出せておりませんし・・・。」
「うむ、確かに。元々ピート君は、我々“人間”とは違い、霊能力に対する高い素養があるからね。“個”の力と“全”の力では、その考え方も真逆だ。それが、逆に“聖”の力を引き出す場合には邪魔をしているのかもしれないね。まぁ、ピート君は、それでもよく学んでいる方だが。・・・それに、美神くんの様に、私の教えが必要ではなかった例もある。あまり、そこにはこだわらなくとも良いかもしれないよ?」
「ま、まぁ、美神さんはある意味例外ですよ。前世は魔族でしたし、例の“エネルギー結晶”が魂とほぼ混じっていた影響で、人間離れした霊的パワーを持っていますからねー。」
「・・・そういえば、美智恵くんも、悪魔チューブラー・ベルを取り込んで、更にはパワーを増したんだったなぁー。元々美神家は優秀な霊能者家系だったが、その中でもあの親子は特殊、か。」
「まぁ、僕の場合は、単純に力が欲しいワケではありません。バンパイア・ハーフとして、僕らの存在を人間達に認めさせる必要がありますからね。その為には、確かな実績と実力が必要となります。それに・・・。」
「・・・それに?」
「気恥ずかしいですが、友人として、横島さんに置いていかれない様に、ってのもあります。欲深い事ではある、とは思うのですが・・・。」
「ハハハ、なるほど。」
そうなのだ。
出会った当初、横島さんは霊能者ではなかった。
いや、後で聞いた話だが、元々高いポテンシャルは持っていた様だが、その才能に本人は全く気付いていなかったのである。
かくいう僕も、横島さんの事は美神さんの助手である以上の印象はなかった。
それが変わり始めたのは、GS試験の頃からである。
元々横島さんのポテンシャルを感じ取っていた小竜姫さまの助けを借りて、霊能力が一気に開花。
その後の成長スピードは驚異的であり、最終的には美神さんに並ぶ人間の中の最高戦力の一人となっていった。
それ自体は、友人としては刺激されたが、焦りを感じる様な事ではなかった。
しかし、例の事件を受けて、彼は後天的に“半人半魔”という存在となってしまう。
これは、言わば僕と同じ状況だ。
しかし、その事が、彼の存在を大きく揺るがす事となった。
当たり前だが、“人間”と“魔族”では、その力のレベルが全く異なる。
僕自身も経験があるが、その“魔”の大きすぎる力によって、内側から崩壊する危険性があるのである。
これは、僕ら吸血鬼、半吸血鬼の間では、“半魔症”と呼ばれている状態だ。
人間と吸血鬼の特性を併せ持って生まれてきた僕や、他のバンパイア・ハーフは、一度は吸血鬼の強大な力に苦しむ事となる。
しかし、長い歴史のある僕らは、その対処療法を確立していたのである。
すなわち、その強大過ぎる吸血鬼の力が暴走するのが“半魔症”の正体であるから、それをコントロールする術を学べば良いのである。
元々、人間と吸血鬼の特性を併せ持って生まれてきた事もあり、そのコントロール自体はさして難しい事ではない。
それ故、これは現在の人間と同様に、成長の過程で経験する病気の一つの様な扱いで、今では全く脅威ではなくなった症例の一つなのであった。
むしろ僕らの場合は、これを経験する事により、吸血鬼としての力に目覚める儀式の様な扱いだ。
それ故、自然と“魔”としての力を扱う術を学んでいるので、元々高い力を制御する事ができていた訳である。
だが、当然、元々人間として生まれた横島さんの場合、いきなり魔族、それも吸血鬼を更には越える中〜上位魔族の力を制御するのは容易ではない。
まぁ、彼の場合は、そうしなければ死んでいた可能性が高いので、生存する為にはそれしかなかった訳だが、それ故に、例の事件が解決した後、僕らの“半魔症”同様に、強大な“魔”の力が内側から暴走する苦しみに、人知れず耐えねばならなかったのである。
今にして思えば、とてつもない精神力である。
いや、むしろ、ルシオラさんに対する愛の為せるワザだったのだろうか。
しかし、それは、根本的な解決には成り得なかった。
結局は、その強大な魔族の力を制御する事で初めて克服する事ができる症状なので、自然と治る事はないからである。
その事を、百合子さん、横島さんのお母様から知らされた僕ら仲間達は、そこで初めて横島さんがあれからずっと苦しんでいた事に気付いたのである。
まぁ、その時、泣き崩れたり、隠していた事を責め立てたりと様々あったのだが、最終的には僕の経験から対処療法がある事に思い至り、彼はその強大な力の制御の為に、改めて老師や小竜姫さまへと弟子入りを果たしたのであった。
そこからは、これまでの成長スピードを更に上回る成長を遂げる事となった。
人間を遥かに上回る力も持っている魔族の霊的パワーなど、人間に制御する事など本来は不可能に近い。
しかし、彼は、“サイキックソーサー”や“
もちろん、そこには、老師や小竜姫さま、パピリオなどの尽力があった事は否定しないが、結果として彼は、短期間の内に“半魔症”を克服。
今や彼は、人間でありながら、神魔族の領域にまで迫る力を身に付けている。
これは、似た様な存在である僕には、大いに刺激となった。
いや、これは、むしろ仲間達も同様かもしれない。
別に、力が欲しいとか、そういう欲望は僕らは強い方ではないのだが(己の強さにこだわる雪之丞くんなんかは、大いに刺激されたみたいだが)、友人が頑張っているのなら奮起するのが仲間というモノだろう。
まぁ、他の人達は、中々素直ではないので、表面上は変わった感じはないかもしれないが・・・。
そうした訳で、すでにGS試験もクリアし、師匠である唐巣先生のお墨付きを貰っている僕は、GSとして独立する事は可能だ。
もちろん、オカルトGメンに入る目的もあって、高校に通う必要があるのは事実であるが、その事を口実に、すでに修了している研修期間を超えて、尊敬する唐巣先生のもと、こうしていまだに修業に明け暮れている、という状況なのであった。
ま、先生には無理を言っていると思うし、雪之丞くんには遠回しに迷惑を掛けたみたいだが、そっちは何とかなったみたいである。
・・・
「神父さま。息子を助けて頂いて、本当にありがとうございます!」
「ありがとうございました!!」
「ハハハ、いや、何。これも神の思し召しですよ。これからは、あまり根を詰め過ぎ無い様に。悪魔は、人々の弱った心につけ込んできますからね。」
「分かりました。」
「あの、これ、少ないですけど・・・。寄付、という事で。」
「ありがたく頂戴致します。では、お元気で。」
「「ありがとうございました。」」
依頼達成後、唐巣先生は依頼者であった親子とそんな会話を交わしていた。
ちなみに、先生は所謂“教会”の正式な神父ではない。
僕も詳しくは知らないが、“教会”では悪魔祓い(つまりは現代風に言うとGSだが)を認めていない事もあり、かなり前に破門されているのである。
故に、“神父”と言うのはニックネームの様なモノである。
しかし、実際に霊障などを救われた人々にとっては、先生は“神の御使い”に等しい存在だ。
ここら辺は、人間とは違う種族である僕の価値観ではあるが、ある意味教えに添うような活動を行っている先生を、それでも伝統とかしがらみの結果排除する人間という生き物を、たまにくだらないと思う事もある。
もっとも、先生はそんな事はもはや気にしていない様だ。
何故ならば、先生は過去に神とは和解をはたしているそうだし、“例の事件”の記憶を持っている僕達は、神族の代表者である存在とも邂逅している。
ここら辺はややこしいのだが、“教会”などという存在ではなく、その信仰の対象である“神”そのものに認められているのだから、今更そんな事にこだわっても意味がないのかもしれない。
ま、それはともかく。
更にちなみに、お人好しな先生は、以前は無償で働く事も多かったのだが、それが原因で倒れた事もあり、弟子である美神さんに諭されて、最低限必要経費は受け取る事としているそうだ。
なんだかんだ言っても、美神さんも先生の事は慕っている様だし、弟子の言葉を無視する様な先生でもないのである。
それに、これは表では言わなかった事だが、金銭の支払いをする事によって後腐れがなくなる、とも美神さんは言っていたそうだ。
表向きは守銭奴と名高く、実際、度を超えてお金が好きな美神さんではあるが、それがビジネスマナーなんだとか。
考えてみれば納得であり、つまり、こちらは善意で無償にしていたとしても、それは受け取り手によっては意味合いが変わってくる事もある。
ラッキーと思う人もいれば、それをむしろ申し訳なく、ある意味プレッシャーとなる人もいるのだ。
逆に言えば、お互いが仕事として納得の上で金銭の支払いをすれば、お互いにスッキリするのである。
なるほど、色々と非常識な人ではあるが、その反面大人として、社会人としての良識も美神さんは持ち合わせている様である。
何度となく頭を下げて、先生の教会を出ていく親子。
助ける事ができて良かった。
「・・・しかし、先生。最近は、あの手の人達が多いですね。特に、あの子くらいの中高生の被害者が・・・。」
「言われてみればそうだねぇ〜。しかし、実は思春期頃の少年・少女が霊障にあう事は別に珍しい事ではないんだよ。その頃は、心の機微が激しく揺れ動く時期だからね。ほら、例のアンくんの様に、キミへの恋心をつけこまれた例もあるだろう?」
「あれは少々特殊な例ですが・・・、しかし、なるほど。心の機微、ですか。」
「そうさ。恋心だけでなく、強い思いは、場合によってはプラスに作用するが、その反面、マイナスの作用をもたらす事も往々にしてある。例えば、嫉妬心なんかは、相手を強く思っているからこそ生まれる心の作用だが、これがある程度で制御出来れば、あの人は一途である、と好意的に解釈されるが、それが行き過ぎると束縛とか執着に繋がる訳だ。こうしたマイナス方面の心は、悪魔や悪霊がもっとも好むモノさ。それ故に、霊障に憑かれやすくなる、と言う訳だね。そして、思春期頃、あるいは、心の成熟していない者達は、精神のコントロールがまだ上手く機能していない。つまり、それだけそうした状況に陥りやすい、と言う訳だね。」
「なるほど・・・。そういえば、ポルターガイスト現象なんかも、思春期頃に顕著に現れる、と聞いた事がありますが・・・。」
「それも精神作用によるケースもある。が、本人が無自覚な能力者である場合もあるね。僕の知り合いだと、公彦くんなんかは、彼の場合は事故による後遺症だが、脳機能が何らかの要素によってダメージ、あるいは活性化された結果、能力に目覚める事となってしまっている。そして、事故だけでなく、外部環境によっても、脳機能は同じ様や事を起こす可能性がある。例えば、強いストレスを感じる、とかね。」
「ふむ・・・。」
「先程の親子、息子さんの方は、どうやら受験生の様だ。そのストレスによってか、あるいは他の要素によるものかは不明だが、その結果、彼は霊障に悩まされる事となった訳だね。だが、その根本的な解決方法は、“受験から解放される”、という一点しかないので、これは我々の領分を越える事でもある。人生のかかっている事だから、見ず知らずの僕が、受験を止めろ、とは言えないからね。」
「だから、“あまり根を詰め過ぎ無い様に。”、ですか。」
「そう。それが、せめてものアドバイスさ。歯痒いがね。」
「・・・。」
人の良い先生の事だ。
人々が不幸になる事を見たくはないだろう。
しかし、それはその人の人生に踏み込む事でもある。
恋愛をするな、挑戦をするな、などと他人の人生に干渉する事は、GSの領分どころか、身内の領分さえ超えた事だからな。
だから、せめてもの、アドバイス。
心の持ちようを改めるキッカケとなれば、と先生は考えているのかもしれない。
改めて、大きい人である。
「まぁ、それはそれとして、少々手こずってしまったね。明日から新学期だと言うのに、遅くまで申し訳ない。」
「あ、いえ、それは大丈夫です。明日は始業式だけですから。」
「ああ、そうか。いや、学生の頃など、もう二十年以上前の話で忘れていたよ。」
「ハハハ。」
「あ、いや、しかし、そういえば美神くんの話だと、明日から彼女の知り合いがキミの学校に通う事となる、って事だったね。」
「そうですね。詳しくは知りませんが、中々複雑な事情を抱えているとか。実は、密かに会えるのを楽しみにしているんですよ。」
「そうか。新しい友人の輪が広がると良いね。」
「はいっ!」
僕ら仲間達は、普段マメに連絡を取り合う様な関係性ではないのだが、実は連絡網の様なネットワークを持っていたりする。
それに、ありがたい事に、エミさんは僕の事を気に入ってくれている様で、頻繁に顔を出したりしてくれるのである。
で、エミさんは、その美神さんの知り合いの人と面識がある様で、そんな情報が僕らにも届いていた、って訳である。
流石にプライベートな事であるから、詳しい情報は喋らなかったエミさんではあるが、中々面白そうな子だと頻繁に褒めていたので、僕も密かに気になっていたのである。
ま、明日になれば、その人と直接会える訳だけどね。
さて、新たなる友人は、一体どの様な人物なのであろうか?
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、こちらも本作共々チェックして頂けたら嬉しく思います。