P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

原作でもそれなりに登場する横島の学校ですが、本作ではそこの教師陣や学生達もかなりネタやスペック盛り盛りにしてお届けしております(笑)。
ま、これでも、原作でも相当無茶苦茶な事を平然とやってのけていたので、あまりぶっ飛んだ印象がないのが不思議なんですがね。


奇妙な学校

 

4/6

 

道化師side

 

「鳴上悠です。よろしく。」

「・・・まさか、同じクラスとはなぁー。」

 

あまりの偶然に、俺は思わずそうこぼしていた。

 

っつか、流石にノーテンキな俺でも、そんな偶然が重なる訳がないと思っているので、改めて美神さんのゴリ押しっぷりに薄ら寒さを感じていたのだが。

いくら同じ学年、同じ学校とは言え、俺、タイガー、ピートに愛子と、霊能関係者が揃っているクラスに、異世界人である鳴上まで入ってくるのは、流石に人為的な思惑が働いたとしか思えなかったからである。

 

ま、管理する側としては、同じカテゴリーの奴らは同じクラスにした方が効率が良い、って事情もあるのかもしれんが。

それはともかく。

 

だが、ウチのクラスの奴らは、基本的にノーテンキだから、そんな事は気にしていないよーである。

ま、こっちの事情には詳しくないってのもあるし、そもそも鳴上が異世界人であると知っているのは、現時点では俺とタイガーくらいのモノだからな。

 

ってなワケで、突如として現れたイケメン転校生に、女子達は普通に色めき立っていたワケである。

 

「キャアァァァーーー!イ、イケメンが二人にっ!!!」

「ピートくんも捨てがたいけど、転校生も中々っ・・!」

「ピー×鳴、アリかもしれないわね・・・。」

「バッカ、オメー、鳴×ピーだろうがよっ!!」

「いやいや、横×ピー、あるいは横×鳴の三角関係で決まりでしょっ!?」

 

・・・うん、一部過激な嗜好を持っている女子がウチのクラスには多いよーだ。

とりあえず、聞かなかった事にしよう。

 

「くっ、ピートに続いてまたしてもイケメンとはっ・・・!!!神は、我々を見捨てたもうたのかっ・・・!!!」

「イケメン死すべし、慈悲はない。」

「くそっ!モブに生まれた俺らは、やはり一生モブだと言いたいのかっ・・・!」

 

男連中は男連中で、新たなるイケメンの登場に戦々恐々としていた。

ま、気持ちは分かる。

俺も、以前はそちらのカテゴリーに所属していた存在だからなー。

ま、中にはメタい事を言っているヤツもいたが、こちらも華麗にスルーしておこう。

 

「ほれ、お前ら騒いでないで、始業式が始まるからさっさと体育館に行け。その後はホームルームだけだから、転校生に構いたいなら、その後にしろ。」

「「「「「ハーイ。」」」」」

 

が、担任の一言でアッサリと騒ぎは収拾した。

案外、このクラスはノリがいいからなー。

と。

 

「・・・まさか、お前と同じクラスとはな。」

「俺も思ったぜ、鳴上。ま、多分美神さんがゴリ押したんじゃねーかな?」

「・・・流石にそれはないんじゃないか?」

「甘いぜ、鳴上。お前はまだ美神さんの非常識っぷりが分かってねぇーな。」

「そ、そうなのか?」

「ああ。ま、悪い人、ではあるが、人に迷惑掛けない、事もないが、ま、一癖も二癖もある人だからなー。オメーみてぇーに人が良いと、散々利用されるだけ利用されちまうぜ。美神さんと付き合うなら、こっちも知恵をつけんとなー。」

「・・・そういうものか。」

「ああ。」

 

ワイワイ盛り上がってるクラスの連中をよそに、普通に友人である俺らは、どこか遠い目をしながら、そんな会話を交わしていた。

 

「奇遇ですノー、鳴上サン。同じクラスになれて嬉しいですケン。」

「こんにちは、タイガーさん。これからはクラスメイトとしてもよろしく。」

「いやいや、こちらこそですケンノー。」

 

そこに、すでに顔見知りであるタイガーも会話に加わった。

鳴上とタイガーは、西条のヤツの仕事の手伝いで、何回か顔を合わせているよーで、すでに気安い関係を築いているよーである。

ま、元々鳴上のヤツは、かなりのコミュ強だからなー。

 

「楽しそうですね。タイガー、横島さん。僕にも、彼を紹介して貰えますか?」

「おお、ピートか。おい、鳴上。コイツはピエトロ=ド=ブラドー。通称ピートだ。で、こっちは鳴上悠な。この学校じゃ有名なんだが、ピートはバンパイア・ハーフなんだ。」

「ピエトロ=ド=ブラドーです。あまり本名は好きではないので、ピートでお願いいたします。よろしく、鳴上さん。」

「鳴上悠です。よろしく、ピートさん。」

 

そう挨拶すると、ピートと鳴上のヤツはにこやかに握手を交わしていた。

・・・うむ、悔しいが絵になる二人である。

 

ってか、やっぱりピートのヤツは、いまだに親父に対するコンプレックスが強いみてーだなー。

ま、あんな親父なら無理はねーけど。

 

 

「グフフ、イケメンが二人・・・。」

「眼福眼福・・・。」

「わ、私、もうっ・・・!」ブフッ!!

「お、おい、しっかりしろっ!衛生兵、衛生兵っ!!」

 

 

・・・うむ、周囲が何やら騒がしいが、とりあえず無視しておこう。

それに、さっさと体育館に向かわないと、担任にどやされるからなー。

 

「ほいじゃ、自己紹介も終わった事だし、さっさと体育館に向かおうぜー。」

「ああ。」「ええ。」「ハイですケン。」

 

・・・

 

「どーして校長ってのは、あーも話が長いのかねー?」

「こればかりは、どこの学校でもあるあるだよなー。」

 

それから2時間ほどして始業式とホームルームも終わり、俺らは教室で駄弁っていた。

ま、いよいよ最終学年になったと言っても、俺らは気楽なモンだからなー。

 

っつっても、人によっちゃ、受験とかが本格的に始まる節目の学年だから、俺らのよーにノンキにもしてられねーんだろーけど。

ってか、鳴上のヤツは大学に行くつもりっだったか。

ま、コイツの場合は、イザナギさまの話じゃ、すでにどの大学でも楽勝合格の学力があるって事だったが。

 

「あー、ところで横島。」

「あん、どしたん?」

 

偶然にも近い席になった事もあり、教室に戻ると、鳴上のヤツがヒソヒソと小声で話し掛けてきた。

その様子に、訝しげな表情と声で俺は応じた。

 

・・・ちなみに、元々知り合いだっつー事もあり、ミョーに親しげな様子の俺らの事を、そこら辺の女子達がヒソヒソと噂していた事を俺は知っている。

どういう内容かは甚だ気になるが、そこを気にしない事にしよう。

主に、俺らの精神衛生上、であるが。

 

「その、さっきから気になっていたのだが、あそこの女の子、()()()()()()()()()()()()?と言うか、何で誰もツッコまないんだ?」

「あー、愛子の事か。っつか、考えてみればそりゃそーか。お前は愛子の正体知らねぇーんだもんなー。」

「正体?」

 

慣れってのは恐ろしいモンだが、確かに鳴上の言う通り、どこの世界を探しても、机を背負っとる女子など愛子以外見当たらねぇーだろーな。

鳴上の疑問ももっともである。

 

「ついでだから紹介しとくか。おーい、愛子ー。」

「ん?なーに、横島君。」

 

普通に女子達の輪に入って話していた愛子を呼ぶと、愛子は他の女子達に断りを入れて、トテトテとこちらにやって来た。

机を背負って、であるが。

 

その様子に、鳴上は珍しく焦っていたが、ま、とって食われる事はねーから安心しろ。

・・・多分。

 

「あー、ついでに鳴上に紹介しちまおーと思ってな。それに、鳴上のヤツが、お前の背負ってる机が気になってるよーだからなー。」

「あー、なるほど。オッケーよ。」

 

本人も結構慣れてるのか、そんな軽い調子で俺の提案に応じてくれた。

 

「っつーワケで、お前の疑問に答えるとだなー。コイツは愛子。実は、妖怪なんだわ。」

「・・・はっ?」

「はじめまして、鳴上君。私は“机妖怪”の愛子よ。よろしくね。」

 

そうなのだ。

愛子は妖怪であり、彼女が背負っている机こそ、ある意味本体なのである。

だからこそ、机から離れられないので、移動する時は背負ったりして持ち運びしているのである。

 

俺らにとっちゃ、すっかり見慣れた光景なんだが、ま、それ故に、普通のヤツからは奇妙に映る事を失念していたのだが。

 

「よ、妖怪?キミが?」

「そーよ。」

「よーく霊気を探ってみろ。普通の人間とは違う波長を感じるだろ?」

「・・・た、確かに。し、しかし、“机”の妖怪とはな・・・。シロとタマモで、一応妖怪に対する免疫はできていたと思っていたんだが・・・。」

「ま、“妖怪”ってのも千差万別だからなー。美神さんの話じゃ、“学校”ってのは多かれ少なかれ霊的な存在がすみついてるらしーんだが、ほら、学校七不思議とか、トイレの花子さんとか有名だろ?愛子はその中でも、長年使われた“机”が変化した一種の“付喪神(つくもがみ)”ってヤツなのよ。ま、かなり珍しい妖怪なんだが、“物”に霊が宿る事自体は珍しくないからなー。ま、一口に“妖怪”っつっても、まだまだ俺らの知らない奴らも多いってこったな。」

「なるほどなー。」

「あ、ちなみに、コイツは所謂“討伐対象外”な。ちょっと前は問題を起こした事もあったんだが、今は無害認定されている妖怪だ。俺らGSも、何も誰彼構わず祓うワケじゃねーってこったな。」

「・・・案外しっかりとしたルールがあるんだな。」

「そりゃそーよ。誤解されがちだが、確かにGSは祓い屋ではあるが、()()()じゃねーのよ。人間側に害がなけりゃ、放霊する事も珍しくない。お前はまだ霊視には慣れてないかもしれないけど、案外そこら辺に浮遊霊なんかは結構存在するんだぜ?じゃあ、特に害はないけど、目障りだ、何か怖い、ってだけで、そいつらを祓っちまったらどうなると思う?」

「それは・・・、ああ、そうか。当然ながら、霊や妖怪なんかが、人間に対する敵愾心を一層強める事となる。つまり、結果より危険が増す、って事か。」

「そ。意味もねーのに、そこら辺にケンカ売ってりゃ、それは周りは敵だらけだからな。そんな事もあって、“GSは現在進行中の具体的害ありと認められる霊的存在に対してのみ攻撃するものとする。”、つまり人に害がない限りは基本的に放置するってのがルールなワケよ。後は、単純に人材不足の問題もあるけどな。基本的に霊能者は、もっと言えばGSになれるほどの強力な力を持った能力者は限られてくるから、人にとって住み良い環境、つまり、妖怪や霊なんかを絶滅させる事なんて現実的には不可能だからよ。ま、対話が可能なら、共存共栄が一番、っつー事さ。」

「なるほど。納得したよ。あ、それと、愛子さんも、変な反応してすいませんでした。」

「全然大丈夫よ。ってか、最近は普通に馴染んでいたから、逆に鳴上君の反応は新鮮だったかも。ま、人間ではないけど、良ければ仲良くしてね。」

「ああ、もちろん。」

 

そう言うと、鳴上と愛子は握手を交わしていた。

・・・流石に順応性の高いやっちゃなー。

 

「っ!握手して気付いたんだけど、鳴上君も高い霊能力を持っているんだねー。」

「ああ、そうみたいだな。俺自身も、最近になってようやく自覚したところだから、詳しくは知らなかったんだが。」

「へー。って事は、鳴上君も将来はGSに?横島君とタイガー君はほぼ確定してるし、ピート君はオカGだったし。」

「いや、俺は勉強したい事があるから大学に行くつもりだ。それに、将来は民俗学者になりたいと思っている。」

「あら、そうなの?それだけの力を持っているのに勿体ないわねー。」

「確かに、GSは儲かる仕事みたいだが、()()()()にはない職業だからな。」

「あ、おいっ!」

「・・・あっ。」

「・・・()()()()?」

 

ったく、コイツ、自分の正体隠すつもりあんのかよ?

別に、俺らの仲間ならいーかもしれんが、下手に変な奴らに知られたら、厄介事に巻き込まれるかもしんねーのによ。

 

一応鳴上のヤツも、しまったって顔をしてるので多少の自覚はあるみてーだが、これは後で言い含めておいた方がいいかもなー。

 

「あー、実はな、愛子・・・。」

 

・・・ま、それはそれとして、訝しげな表情の愛子に説明すべく、俺はその口を開くのだったーーー。

 

 

「へー、“異世界人”かー。私も結構長く生きてる方だけど、初めて見るわねー。」

「・・・やっぱり、あんまり驚かないんだな。」

「ま、愛子自身が妖怪だからなー。普通は、信じられんと思うし、最悪頭のおかしなヤツと思われるのがオチだぜ。オメーも、自分の言動には注意した方がいーぜ。」

「あ、ああ。すまない、横島。愛子さんも、なるべく黙っていてくれないか?」

「オッケー。私も、人の秘密を言いふらす趣味はないからねー。ま、そういう事をする妖怪もいるから、横島君の言う通り、気を付けた方がいいと思うけど。」

「そうなのか?」

「そんなしょーもない事する妖怪もいんのかよ?」

「さっき横島君も言ってたでしょ?妖怪も千差万別なのよ。前に、横島君も会った事ある『メゾピアノ』みたいな、夜中に学校に入りこんでピアノを弾くだけ、なんて妖怪もいるくらいだからねー。」

「あー、アイツかー。」

「なるほど。以後気を付ける事とするよ。」

「それがいいな。」

 

と、話が一段落した頃に、突然教室のドアが勢いよく開いた。

 

「横島ァー、横島はいるかァーッ!!!???」

「あん?何事だ?」

 

すでに始業式とホームルームも終わっている状況であるから、部活があるヤツだったり受験に命をかけてるヤツはソッコウで消え去っていたが、それでも教室内にはそれなりの人数がまだ残っている状況だ。

ま、これは、転校生である鳴上の様子を窺っていた、って事もあるんだろーが。

 

ちなみに、入ってきたのは教師陣と風紀委員会である。

・・・何か、イヤーな予感がする。

 

「あっ、いたぞォー!」

「確保ォー!!!」

「おのれはァー!最近は落ち着いてきたと思ったらそれかっ!?そんなにわしの学校を破壊したいんかっ!?ああんっ!!!???」

「えっ!?えっ!!??な、何、なにっ!!!???」

「11時36分、被疑者を確保。君には黙秘権がある。不利な証言はしなくていい。君には弁護士を雇う権利がある。もし、費用がないのであれば、国選弁護人を・・・。」

 

あっという間に囲まれた俺は、何故か彼らに拘束される事態となっていた。

 

「ちょ、ちょっとどうしたんですかっ!!??」

 

見かねた鳴上が、彼らを問いただす。

もっと言ってやってくれ!

 

「キミは・・・、転校生か。ならば、知らないのも無理はない。コイツ、横島はお恥ずかしい話だが、我が校ではかなりの問題児でな。遅刻や欠席はもちろん、ノゾキやセクハラの常習犯なのだ。まぁ、最近は落ち着きを見せていたのだが、それが我々を油断させるブラフだったのだっ!」

「今日は始業式とホームルームだけだ。つまり、放課後は部活動が盛んに行われる。と言う事は、当然ながら着替えをする女子も多い事だろう。で、そこでノゾキ騒ぎがあったのだ。」

「・・・それが、横島だと?」

「残念ながらな。目撃情報や指紋も検出されている。証拠が残っている以上、もはや、言い逃れのできない状況なのだ。」

「違うわー!俺は無実だぁーーー!!!」

「犯人はみんなそう言うんじゃっ!!ええい、キリキリ歩けぇっ!!!」

「と、言う訳で、彼を連行し、事情聴取をするので、我々はこれにて失礼する。」

「離せ、コンチクショー!!!」

 

・・・

 

番長side

 

あっという間に横島は連行されて行ってしまう。

その様子を、俺はあまりの事に呆然と見守る事しかできなかった。

まぁ、横島がスケベなヤツである事は否定していないのだが・・・。

 

「・・・ってか、横島君は鳴上君や私とずっと一緒にいたよね?流石に、今回は冤罪じゃないかしら・・・?」

「・・・・・・・・・あっ。」

 

またに、自分が抜けているところがあるんじゃないかと、俺は密かに自己嫌悪に陥るのだったーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしよろしければ本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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