P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

今回は、特に独自解釈が多いですね。
もっとも、原作でも厄珍が一般人にオカルトグッズを誤って売ってしまい、美神に泣き付いていた事もあるし、厄珍がオカルトグッズを使ってあくどい商売をした時には、普通に警察当局に捕まっていた事もあるので、おそらくそこまで遠い解釈ではないと思われますが。


おバカなイベント…かと思いきや

 

・・・

 

道化師side

 

「ええい、キリキリ吐けぃ!本当は覗いたんだろっ!?」

「い、いや、だから知らないっすよっ!」

「さっきも言っただろ、横島。証拠はあがっとるんだ。目撃情報に加えて、女子更衣室のドアにべったりとお前の指紋がな。」

「い、いや、マジで知らんっすよ!ってか、指紋って何だよっ!?ここはいつから警察になったんじゃっ!!それと、何で俺の指紋が取られてんのっ!?」

「・・・まぁ、細かい事は気にするな。」

 

いや、気にするわいっ!

・・・ま、大方、これまでの俺の素行から、万が一の為に指紋を取っておいたのだろーが。

この学校の連中は、無駄に能力があるヤツも多いからなー。

(以前にも、しょーもない事件だったが、物品の販売店を簡単に割り出していたし。)

 

しかし、今回の件は完全に冤罪である。

ま、俺が人一番煩悩が強いのは否定しないし、過去にノゾキの前科がない事もないが、ルシオラとの一件の後は、そうした行動はしない様にしている。

 

すでに死に別れちまってるが、ルシオラに情けない男に惚れたとは思われたくないからな。

 

「・・・なぁ、横島。知ってるとは思うが、ノゾキは立派な犯罪だぞ?わしも、この学校から犯罪者を出したくはない。それ故に、今のところは内々で収めるつもりだが、お前がどうしても認めないと言うのならば、わしはこの学校の責任者として、親御さんや警察に連絡せざるをえなくなる。分かるだろ?」

「そ、そりゃ分かりますが、マジで知らないんですってっ!」

「待ってください!横島は嘘を言ってません!!」

 

何故か妙に親しい校長と、そんな押し問答をしていると、そこに俺のとっての救世主が現れた。

 

「な、鳴上ぃー!」

「遅くなってすまなかったな。さっきは、あまりの事に呆気に取られてしまった。」

 

ポリポリと、気恥ずかしげに鳴上は頭をかいた。

ま、さっきも言ったが、この学校の連中は妙にノリが良いし、無駄に能力も高いので、慣れてないヤツは中々ついてこれんだろーな。

 

「どういう事だね、転校生くん?」

「横島は、今日はずっと俺達と一緒に行動していました。つまり、俺達の目を盗んで犯行に及ぶ事は不可能です。」

「・・・しかし、目撃情報や指紋はどう説明する?これがある以上、君達が横島を庇っていると思われたとしても無理はなくなるぞ?」

「確かに。ですが、それを可能とする手法はありますし、すでに真犯人の行方は掴んでいます。」

「何・・・?」

「とにかく、結論を急ぐのは少し待って下さい。すぐにタイガーさんとピートさんが真犯人を捕まえてきますので。」

 

・・・

 

???side

 

「クックック。こんなに上手くいくとはなー。やっぱり、オカルトって神だわー。」

 

俺は、遠くで横島が連行されていく様子を眺めながら、上機嫌でそう呟いた。

 

「ケッ!問題児のくせに、霊能者だからってチョーシ乗りやがってっ!ざまーみろ!!」

 

涙ながらに冤罪を主張する横島だが、ヤツのこれまでの素行を考えれば、そんな主張を周囲が信じるハズもない。

アッサリと教師連中や風紀委員会に連れて行かれた。

 

「これで、少しはウチの学校の治安は良くなるだろーぜ。ってか、さっさと警察に突き出せばいーのに、あんな性犯罪者。」

 

横島の奇行は、学校内だけに限らず、地域社会の一部ではかなり有名だった。

それ故に、お前はあの横島が通える程度の学校に行ってんのか、と周囲に見下される事も多かった。

 

それは、ハッキリ言って迷惑極まりない事だ。

少なくとも、俺はあんなヤツより数倍頭が良い。

 

今だって、一流大学に合格する為に必死で勉強しているところだ。

だと言うのに、オカルトの才能があるってだけで、あんなノンキなヤツが野放しになってるのが無性に腹が立った。

 

そんな折り、俺はとある面白いサイトに辿り着いたのである。

と、言っても、かなり怪しさ満点であり、普通なら相手にもしないだろう。

普通なら。

 

具体的には、“催眠アプリ 譲ります”とか、“能力開発アプリがすごい。僕はこれで、学力が向上しました。”とか、完全に詐欺って感じの内容が羅列されてる感じのサイトである。

が、俺はあえてそれに乗っかってみた。

詐欺ならさっさと逃げればいいだけだし、正直ちょっと行き詰まっていた事もあったからな。

 

そんな訳で、とりあえず“能力開発アプリ”とやらをダウンロードし、試した結果、これがマジモンだった訳だ。

俺は、ラッキーだと思ったね。

と、同時に、怪しいってだけで二の足を踏んでる連中を、バカな連中だと思った。

 

このサイトが本物だと確信した俺は、かねてから目障りだった横島をどうにか陥れられないかと考えた。

っつか、あんな性犯罪者、将来どうせ捕まる事になるんだから、今の内に痛い目に遭わせて、矯正できれば社会の為だろう。

 

で、このサイトには“簡易オカルトグッズ”ってのも取り扱っていた訳だ。

普通なら信じもしないだろうが、すでに本物であると知っていた俺は、躊躇しなかった。

 

それで送られてきたのが、“なりきり仮装セット”だった訳である。

結構高かったが、このサイトのお陰で学力がアップしていた俺は、お小遣いもアップしていたので、そこまで痛い出費でもなかった。

それに、このグッズの価値を考えれば、まだ学生である俺に手が届くだけ、かなり良心的と言えるだろう。

 

もちろん俺は、そこまでオカルトには詳しい方ではないので具体的なメカニズムは分からないのであるが、これを使えば、他人になりすます事が可能なのである。

悪用すれば、かなりあくどい事もできる代物だろう。

 

いくらなんでも、俺も流石に犯罪者にはなりたくないので、これまでこれを使う事はなかったのだが、ある時ふと思い付いたのである。

これを使えば、目障りな横島を学校から追い出す事ができるんじゃないか、と。

 

さっきも言ったが、これは社会秩序の為になる。

少なくとも、横島によってセクハラの被害に遭う女性は格段に減る事となるだろう。

そう、これは、言わば正義の行いなのである。

 

そう考えた俺は、もはや躊躇はなかった。

 

そして、今日、それを決行したのである。

と、言うのも、横島は遅刻や欠席の常習犯だからだ。

まぁ、一応は学校側もヤツがGS見習い、かつ助手のバイトをしている事は把握しているので、そこまで咎める事はないのだが、俺にしてみれば、確実にヤツが登校してくる日を特定するのが難しかった訳である。

 

とは言え、流石に新学期初日には登校してくるだろうと踏んで、準備を進めておいたのだ。

そして、ヤツが登校している事を確認して決行したのである。

 

まず、ヤツになりすまして、女子更衣室を覗く。

まぁ、正直ちょっと役得感はあったが。

で、わざと見付かる様にしておいた。

まぁ、まさか指紋まで特定するとは流石に想定外だったが、これの凄いところは、俺の指紋ではなく横島の指紋がそっくりコピーされたところだろう。

 

そんな事もあって、無事に横島を陥れる事に成功した、って訳である。

それに、俺がやった証拠などどこにもない。

言い方は悪いが、完全犯罪の出来上がりであった。

 

と、思っていたのだが・・・。

 

「ちょっといいですか?」

「あん・・・?」

 

しかし、そこに二人組の男が現れた事で、俺の計画は崩れ去る事となるとは思わなかった。

 

そこに立っていたのは、横島とは別の意味でこの学校では有名な、バンパイア・ハーフのピート、大男のタイガーだったのである。

二人とも、横島と同じく霊能者であり、二枚目なピートは女生徒から人気があって目立っていたし、タイガーの方は、その二メートル近い巨体でただでさえ目立つからな。

 

「お、俺、あ、いや、ボクに何か御用ですか?」

 

急にそんな有名人に話し掛けられて、俺は軽くキョドってしまった。

くそ、俺の情けない姿を心の中で笑ってるんだろうな。

 

「はい。ズバリ聞きますけど、貴方がノゾキの真犯人ですね?」

「っ!!??」

 

と、思っていたが、次の一言に俺は本当に狼狽してしまった。

な、何でバレたんだっ・・・?

い、いや、ただカマをかけているだけかもしれない。

ここは、冷静にとぼける事としよう。

 

「は、はい?ノゾキ・・・??い、いったい何の話ですかっ!!??」

 

・・・うん、我ながら素晴らしい名演技である。

ここで、俺は覗いていない、と言うと、そもそも何でそんな事知ってんのか、って話になる。

一応学校側としても、この件をすぐに公にする事は外聞に関わるからな。

つまり、現時点では、情報統制をされていて、当事者とか関係者でなければ、そもそもノゾキがあった、って事自体知らない可能性があるのである。

 

「とぼけなくてもいいですよ。貴方がやった事だと分かっていますからね。」

 

だが、ピートにはそんな演技は通用しなかった。

どうも、明らかな確信があって、俺に声を掛けた様である。

 

だが、ここでゲロる訳には行かない。

そんな事をすれば、俺のこれまでの努力が水の泡と消える。

それ故に、俺は、とうとう切り札を切る事とした。

 

「そ、そんな、言いがかりですよ。その、ノゾキについてはよく分かりませんが、ボクがやったと言う証拠でもあるんですか?」

「「・・・。」」

 

そうなのだ。

俺は、犯行の最中は、キッチリと横島になりすませていた。

つまり、ノゾキをした横島=俺を繋ぐ根拠などありはしないのである。

 

もっとも、その横島に成る場面を見られたとか、俺が今隠し持っている“なりきり仮装セット”を押さえられたら終わってしまうのだが、もちろんそんな危険は分かっているから、十分に注意したし、流石に警察でもないコイツらが、人の荷物を勝手に漁る訳もない。

そんな事をすれば、逆にコイツらが窃盗犯になるからな。

 

ピートとタイガーは、顔を見合わせた。

やっぱり、カマをかけてたんだろうな。

 

「どうしたんですか?証拠ですよ。」

「・・・残念ながら、そんな物は持っていません。」

「だったらっ!」

 

ほれ見た事かっ!

俺は勝ちを確信して、ほくそ笑むのを必死に堪えていた。

が、続くピートの言葉に、背筋が凍り付く。

 

「・・・けど、貴方が用途不明の“オカルトグッズ”を持っている事は、確証を持ってYESと言えます。だよね、タイガー。」

「間違いないですケンノー、ピートさん。」

「はっ・・・?」

 

そこには、いつの間にかよく分からないアイテムでこちらを見ていたタイガーの姿があったのである。

 

「な、何ですか、それ・・・?」

「これは“霊視ゴーグル”と言います。悪霊や霊気の乱れを追い掛ける為に使う物ですね。僕らGSにはお馴染みのアイテムなんですが、これを使えば、一般の人にも見えないモノが見えるし、僕ら霊能者が使えば、更に隠されたモノを発見出来る可能性があります。」

「これによれば、アンタさんの懐から霊気の乱れを感じるんジャ。十中八九、“オカルトグッズ”ジャノー。」

「だ、だったら何だって言うんですか!?普通の人は、“オカルトグッズ”を持っていちゃいけないってんですか!!??」

「ええ、いけませんね。少なくとも、“GS資格”か、“危険呪物取扱者”の資格をお持ちでないのでしたら。」

「・・・・・・・・・えっ?」

 

“GS資格”は知っているが、“危険呪物取扱者”という単語に聞き覚えのなかった俺は、間の抜けた声を上げてしまった。

 

「一般の方々はご存知でない事も多いかもしれませんが、“オカルトグッズ”を取り扱う為には、厳格なルールが存在します。これは何故かと言うと、簡単です。危険だからですよ。“オカルトグッズ”は銃火器や刀剣類と同じ様な物です。場合によっては、簡単に他者に危害を加える事ができる代物だからですよ。」

「わっしが今持っとる“霊視ゴーグル”についても同じジャ。これは、場合によっては、他者の秘密を簡単に暴いてしまう事ができる代物ですケンノー。」

「ですが、先程も述べた通り、我々GSにとっては有用なアイテムです。これを使えば、悪霊や妖怪の痕跡を辿る事ができる。しかし、タイガーも述べた通り、使い方によっては悪用もできてしまう。そこで、その抑止として、所謂“免許制度”が存在するのです。“危険呪物取扱者”、つまり“オカルトグッズ”を取り扱う者は、正式な登録と免許が必要となり、そして、それらを購入する為には、“GS資格”、またはそれに類する特別な許可証が必要なのです。これによって、先程も例に挙げた銃火器や刀剣類と同様に、一般の方々の手に、危険物が渡らない様にしているのです。」

 

・・・なるほど。

そんな制度があるとは知らなかった。

 

だが、まだ言い訳の余地はある。

 

「そ、そうだったんですか・・・。それは知りませんでした。ですが、待ってください。ボクは、確かによく分からない物、もしかしたらそれが“オカルトグッズ”なのかもしれませんが、を持っていますが、それはただ単に拾っただけでして・・・。」

「なるほど。遺失物である、とおっしゃるのですね?」

 

俺の言い分に、ピートは納得した様に頷いた。

 

そうなのだ。

俺は、あくまで落とし物を拾っただけだという事にするのである。

これならば、俺が持っていても不自然ではない。

 

「でしたら、誰の落とし物か()()しますので、提出して頂けますか?」

「・・・・・・・・・はっ?」

 

だが、その言い訳も秒で論破されてしまった。

 

「ですから、()()です。それが、仮に遺失物と言うのでしたら、そのアイテムの製造番号やシリアルナンバーなどから“危険呪物取扱者”、つまり、そのアイテムを売買していた店舗、そして、それを購入した者を特定する事が可能です。もちろん、僕は“GS免許”を持っていますが、学生の身である事には変わりありませんから、僕らが信用できないと言うのであれば、警察に届け出するのも有りです。ただ、一つ注意しなければならない点は、速やかに届け出をしなかった場合、“危険呪物所持”の疑いで、貴方は逮捕される可能性がある事です。」

「た、逮捕っ!?」

「ええ、先程も申し上げましたよね?“オカルトグッズ”は銃火器や刀剣類と同様の扱いとなります。つまり、貴方が特別な許可など無しにそれらを所持していた場合は、普通に犯罪行為となるのです。もっとも、遺失物をただ拾っただけで逮捕されてはかないませんから、速やかにそれらを警察やオカルトGメンに届け出れば、先程も述べた通り、そのアイテムの製造番号やシリアルナンバーから販売店、購入者を特定できる。つまり、貴方が遺失物を拾った事の証明になりますから、疑いを晴らす事ができるのです。」

「な、なるほど・・・。」

 

し、知らなかった。

ってか、ヤベえ。

 

当然ながら、俺が持ってる“オカルトグッズ”は、所謂“裏サイト”から入手した物だ。

つまり、正規のルートで手に入れたい物ではないので、製造番号やシリアルナンバーが登録されている筈もないのである。

 

いや、そんな事は知らぬ存ぜぬを貫き通せば、まだワンチャンあるかもしれないが・・・。

 

「ああ、後、ついでに、ですが、仮にそのアイテムが登録されていなかった場合は、警察やオカルトGメンは、その足取りを追う事となるでしょう。先程も述べた通り、未許可での製造や販売は認められていませんので、当然と言えば当然ですが。」

「・・・・・・・・・。」

 

・・・詰んだ。

警察やオカルトGメンが本気を出せば、裏サイトには簡単に辿り着けるだろう。

で、その購入履歴から、俺の嘘が暴かれる事になる。

 

・・・いや、ここで逃げ切れば、まだ活路はあるか?

 

「ああ、一つ忠告しておきましょうか。僕らから逃げ切れるとは思わない方が賢明ですね。」

「っ!?」

「何故、霊能者が“GS免許”を必要としているか、考えた事はありますか?これも、危険だからですよ。僕ら霊能者は、人間社会のトップアスリートすら凌駕する超人的な身体能力や超能力的な力の行使が可能です。そして、超常現象に立ち向かう為には、それくらいの力がなければ太刀打ちできません。しかし、その力を悪用されては困った事になりますから、“オカルトグッズ”なんかの扱いと同様に、霊能者には“GS免許”や特別な登録や許可が義務付けられているのです。もっとも、“GS免許”と言うのは、あくまで営業資格に類する事ですから、ビジネスとして、つまり金品のやり取りをする為に必要な資格であって、霊能力を行使する為に必ず必要となるモノでもありませんがね。」

「・・・・・・・・・。」

 

・・・完全に詰んだ。

 

かくして俺は、面白半分で首を突っ込んだ事によって、人生を大いに狂わされる事となったのであるーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、ご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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