P4GS   作:笠井裕二

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続きです。


デジャヴーランドに行こう! 1

 

番長side

 

その後、案外素直というかなんというか、美神さんの事務所に置いてある蔵書の閲覧許可を得た横島は、空いた時間に読書する、という光景が見られる様になった。

 

先程の美神さんやおキヌさんの話が刺激になったのだろう。

何においても、やはり知識や情報が大事、って事で。

 

時折、分からない事は美神さんに聞いたり、おキヌさんに聞いたり(おキヌさんは、六道女学院の現役生だからそうした授業があるみたいである)、あるいはシロやタマモに聞くなど、勉強に励む横島。

美神さんもなんだかんだ言いながらも、面倒くさそうに、しかし、結構懇切丁寧に教えていたりするので、やはり先程も感じた事ではあるが、改めて美神さんは横島の師匠なんだなぁ、と実感したりもした。

 

ちなみに、流石に部外者である俺はそれらの蔵書に触れる事はしない。

どちらにせよ、こちらの世界の住人ではないのだし、まさに専門家が存在するこちらの世界なら、わざわざ俺が出しゃばる必要もないからな。

 

それに、俺にはひのめちゃんのベビーシッターや西条さんの手伝いで案外忙しかったりするし。

ま、間接的とは言え、美智恵さん、美神さん、西条さん達の役には立っているだろうし、完全な部外者、って事ではないのかもしれないが。

 

そんなこんなで、なんだかんだ慌ただしい生活にも慣れてきた頃、世間的にはゴールデンウィークがやってきた訳だがーーー。

 

・・・

 

5/1

 

道化師side

 

「そういやお前、ゴールデンウィークの予定はどうなっとるんだ?」

「ん?どうした、やぶからぼうに。」

「あ、いや。前にパピリオと約束したんだわ。どっかに連れてく、ってよ。んで、ちょうどゴールデンウィーク中に、美神さん達がたまには親子水入らずでゆっくりする、ってんで、休みが貰えそうなんだよなぁ〜。なもんで、当然ひのめちゃんのベビーシッターも休みだろうから、お前もどうか、と思ってよ。パピリオのヤツ、お前には結構懐いてるみたいだし、その方が喜ぶかも、ってな。」

「ああ、そういう事か。」

「すまん。何か予定があったか?」

「いや、今のところは何もない。本来ならば、ゴールデンウィークを利用して稲羽市に戻ろうかとも考えていたんだが、今はこんな状況だからな。西条さんからも要請は受けていないから、美神さんがそういう事なら多分フリーだろう。」

「あぁ〜、お前、狙われてる身だもんなぁ〜。オーケー、分かったぜ。なら、そのつもりでいてくれよ。もう少し詳しい事が分かったら連絡すっから。」

「ああ、分かった。」

 

「・・・随分、余裕が出てきたみたいですねぇ〜。」

「組手中に日常会話か・・・。ま、しっかり修業には身が入っとるから、儂も何も言えんが・・・。」

「けれど、やっぱり修業に“慣れ”って禁物じゃない?一度ここは、孫くんの一喝で、こうバシっとさぁ〜。」

「それはそうですねぇ〜。・・・って、イザナギさまっ!!??」

「・・・何じゃい。シレッと戻ってきおったのか。」

「どもどもぉ〜。向こうの世界での仕込みも順調だから、少し戻ってきてみたよぉ〜。」

「ず、随分急ですね・・・。ま、まぁ、以前に来られた時も急と言えば急でしたが・・・。」

「あぁ〜、イザナギのおじちゃんでちゅー!」

「やあやあ、パピリオちゃん。いい子にしてたかい?」

「はいでちゅっ!」

「それは結構。じゃあ、そんなパピリオちゃんには、おじさんお土産をあげちゃおうっ!」

「わーいっ!」

「ちょっ、イザナギさまっ!?」

「まあまあ。なんだかんだ言っても、彼女、こんなところに縛り付けられていてつまんないだろうし、これくらいは大目に見てよ。」(ヒソヒソ)

「・・・し、しかしっ!」(ヒソヒソ)

「・・・こんなところで悪かったのぅ〜。」(ヒソヒソ)

「あ、いや、これは言葉のあやだよ。だけど、彼女、見た目以上に精神的には幼いだろうし、あんまり厳しくするのもアレだと思うよ?」(ヒソヒソ)

「は、はぁ・・・。」(ヒソヒソ)

「・・・ま、小竜姫や。コヤツの言う事も一理ある。そう目くじらを立てるでないわ。」(ヒソヒソ)

「・・・もうっ!老師もイザナギさまも、パピリオには甘いんですからっ!」(ヒソヒソ)

((・・・しつけに厳しい母親かな?))

 

「あれ?イザナギさまじゃないっすか。」

「お前、こっちに帰ってくるなら連絡しろよ・・・。」

「いやぁ〜、メンゴメンゴ。」

 

そういや、一度イザナギさまの連絡ミス(ってか、多分確信犯だろーけど)によって痛い目に遭ってる鳴上は、そう若干不機嫌そうにそう呟いた。

それに対して、イザナギさまはあまり悪びれるでもなく、軽くそう返した。

 

それに、どこか諦めた様な表情の鳴上は、別の話題に切り換える事にした様である。

 

「・・・で?そっちは順調なのか?」

「まーねー。陽介くん達はかなり実力を付けているし、ボクの方も各方面への根回しは順調だよ。ま、最初はボクに近しい存在から回っているから、それも当然と言えば当然なんだけどねー。あ、ただ、雪子くんと完二くんが、たまにクマくんをいじめているけど。」

「な、何っ!?」

「何でも、“サウナの事は言うなっつってるだろっ!”、とか、“お城での事は忘れてっ!・・・忘れないと、燃やすっ!”、という会話が繰り広げられていたけど。」

「あ、ああ、なるほど・・・。」

 

・・・若干不穏な言葉が聞こえたが、それを聞いた鳴上は何故か納得していた。

多分、その“クマ”ってのは、こっちでいう、俺みたいな立ち位置なのだろう。

 

「そっちはそっちで、中々愉快そうな仲間がおるんだなぁ〜。」

「まあな。本来なら、お前にもぜひ紹介したいんだが・・・。」

「・・・そりゃ難しいだろ。元々、俺とお前は別世界の住人だ。本来なら、お前とだって、こうして知り合う事なんでないハズだったんだからよぉ〜。ましてや、どういう影響があるのかも分からんのに、そうホイホイお互いの世界に行き来するワケにもいかんだろーし。」

「それに関しては、横島くんの言っている事の方が正しい認識だろうね。本来なら、人間がこちらに来るのもほとんど不可能に近いんだ。まぁ、とは言え、世の中には何事も例外があるから、偶発的に“時空の歪み”、みたいなモノに飲み込まれてしまう者がいる可能性は否定しない。所謂“神隠し”みたいな現象だね。ある日突然、忽然とこの世から姿を消してしまうんだ。そうした者達は、運が良ければ別世界、無数に存在する平行世界(パラレルワールド)に辿り着いている可能性はある。もっとも、運が悪ければ、そのまま“時空の狭間”に落っこちて、そのままジ・エンドだけどね。」

「マジか・・・。」

「こわぁ〜。」

「ま、キミの場合は、ボクがついてるから特に問題はないけどね。それに、横島くんの場合は、もしかしたら自力での別世界への渡航も可能かもしれないけど・・・、さっきの例もあるから、あんまりオススメはしないかなぁ〜。」

「っ!!!」

「???」

 

・・・流石に神様やなぁ〜。

しっかり俺の“文珠(もんじゅ)”の能力について把握している。

 

文珠(もんじゅ)”とは、俺の能力にして切り札である。

その効果は、簡単に言うと、“霊力を凝縮しキーワードで一定の特性を持たせて解凍する技”、である。

 

俺自身もあまり全てを把握していないのだが、俺の“文珠(もんじゅ)”は極めて高い汎用性と応用力を持っている、らしい。

それこそ、発想力次第では、現実を歪める事すら可能だからな。(大戦中の記憶だが、硬いコンクリートを『柔』の文字でまるでクッションの様に変質させた事もあるし。)

それ故に、やろうと思えば、それこそ『時間移動』も『異世界転移』も可能、だと思う。

 

けど、もちろん俺もそんな危険な真似をするつもりはない。

残念ながら、今の俺でも、“文珠(もんじゅ)”の文字を安定的に制御出来るのは二つか三つまでである。

それ以上となると、成功率はどんどん低くなるだろうからな。

 

(ま、朧気な記憶によると、これを数十個制御した超人がいたよーな気もするが・・・。

・・・多分気の所為だろう。)

 

と、まぁ、この様に、俺の能力ならイザナギさまの言う通り、自力での別世界への渡航も可能かもしれないが、その為にはとてつもない精神力を必要とする。

その上、イザナギさまから語られたリスクを考えると、わざわざ危険を犯す必要はないだろう。

ま、いざとなれば、やるしかないんだろうけど。

 

「それはまた、凄い能力だな・・・。もはや何でもありじゃないか。」

「ま、当然、それ相応の制限もあるけどな。基本的に“文珠(もんじゅ)”は、量産する事が不可能なんだ。今の俺の霊力でも、“文珠(もんじゅ)”一つ生成するのに数日は掛かる。一度生成した“文珠(もんじゅ)”を俺の意識下にストックしておく事もできんだが、なんだかんだ言って、困ったら使っちまうからよー。美神さんには“もったいないから多用すんなっ!”って言われてんだけどよー。」

「なるほど。回数制限付き、ってトコか。」

「そ。ま、言わば俺の切り札だな。っつっても、流石に桁違いな力を持つ存在にはこれが効かない事もあるし、現実を大きく改変する事も不可能だ。例えば、“この世の女が全員俺に惚れる”、ってのはまず不可能だしよー。(まぁ、一人二人なら不可能じゃないんだけど。)」

「ハハハ。女好きなお前には、ちょうどいい制限じゃないか。」

「バッカ、オメー、俺だって誰彼構わずそんな事しねーよ。・・・しないと思う。」

「・・・。」

 

俺の小さな呟きに、鳴上はジト目でこちらを見てくる。

いや、最近はかなりマトモになってきたが、基本俺は、自分の事を信じていないからなー。

俺の溢れ出る煩悩が開放されれば、節操なくそういった事をしかねないのが俺なのである。

・・・まぁ、誇らしげに言う事ではないかもしれんが。

 

「しかし、見たところ、二人とも大分仕上がってきてるんじゃない?横島くんは当然として、悠くんも大分霊力の扱いには慣れてきたみたいだしさー。」

「ま、期せずして霊力を扱う事も多かったからな。主に、ベビーシッターとかベビーシッターとか。あ、後、たまに調査協力とかな。」

「稲羽市の時もそうだったけど、中々ハードな日常生活を送っているみたいだねー。」

「まあな。」

 

俺も人の事は言えんが、かなりハードな生活の割に、イザナギさまの発言に軽く返した鳴上。

いや、お前、前のところでもハードな生活を送っとったんかいっ!

 

それで、学力はもはや大学合格が余裕で狙えるレベルって・・・。

一方の俺は、GSの助手の為に、かなり学校生活を犠牲にしてきたんだが・・・。

知り合ってそれなりになるが、たまにコイツの時間の使い方や頭の構造が不思議に思えてくるわ。

 

「けど、たまには息抜きも必要だろう?」

「ああ、それに関しては問題ないっすよ。イザナギさまは聞こえてなかったかもしんないっすけど、ゴールデンウィークにちょっと出かける予定を話してたんで。まぁ、一応パピリオの付き添い、っつー名目もあるんで、息抜きって言えるかはビミョーですけど。」

「何だ、そうなのかい。なら、ボクが心配する事もなかったね。横島くん。改めてになるけど、悠くんの事、よろしくね。・・・彼、放っておくと、すぐに色々詰め込んじゃう癖があるから。案外、遊びに誘ってくる者の存在は貴重なんだよ。」(ボソボソ)

「あ、そうなんっすね・・・。」(ボソボソ)

「???」

 

完璧超人にみえて、鳴上の意外な弱点がイザナギさまから告げられた。

ま、他の事ならともかく、“遊び”に関しちゃ、こっちはある意味プロだからな。

そういう事なら、できるだけコイツを誘ってやるのもアリかもしれん。

 

ま、なんだかんた言っても、俺もコイツも、後残り一年の高校生活だからなー。

思い出の一つや二つはあってもいいだろうーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“遊び”と言えば、ナギよ。ワシへのお土産も忘れておらんだろうな?」

「もちろんさっ!パラリパッパラァ~!ニンテ○ドース○ッチィ〜、&マリオ○ートォ〜!」

「おおっ!!」

 

真面目な雰囲気から一変して、そんなやりとりを交わす老師とイザナギさま。

うん、ま、今更彼らにそんな事は求めていないが、威厳も何もあったもんじゃねーな。

 

「うむうむ、これは素晴らしいっ・・・!、が、ワシは、どちらかと言うと、対戦格闘モノが良いんじゃがのぅ〜?」

「もぉ〜、いくら武神だからって、ゲームくらいはもう少し平和的なモノでもいいんじゃない?それに、これも、ある意味では対戦ゲームの一つだし、案外奥は深いよ?・・・それに、これなら子供と一緒に遊ぶ事ができると思うんだけど・・・。」(ヒソヒソ)

「なぬっ!?パピリオともかっ!!??」(ヒソヒソ)

「もちろんもちろん。いや、むしろ、対戦格闘より、子供にとってはこちらの方がハードルは低いと言えるだろう。キミも神の端くれなら、様々な分野に手を広げるのもアリじゃないかな?」

「・・・ふむ。一理ある、か。」

「幸い、パピリオちゃん用とは別にもう一台ハードとソフトを用意している。・・・何なら、しばらく“修業”に付き合っても良いよ?」

「・・・ふむ。お主と戦り合うのも、随分と久しぶりじゃのぅ〜。いいじゃろう。ボコボコにしてやるわっ!」

「なにを〜!直接戦闘ならともかく、このゲームでならボクの方が一日の長があるよっ!!」

 

「あいかわらず、おじーちゃん達楽しそうでちゅねー。」

「ハハハ。・・・もはや、怒ればいいのか、呆れればいいのか分かりません・・・。」

「あんま気にしない方がいいっすよ、小竜姫さま。」

「・・・そっとしておこう。」

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、ご興味ありましたら、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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