P4GS   作:笠井裕二

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続きです。


マジカル・ナイトメア・ツアー 1

 

女帝side

 

「そういえば、横島くん達、パピリオを連れてデジャヴーランドに行くって言ってたわねー。」

「あら、そうなの?・・・よく神魔族上層部が認めたわねー。」

「何か、横島くんが掛け合ったらしいわ。ま、それに関しては横島くんの言う事も一理あるしね。見た目通り、パピリオはまだ幼いから、無理に妙神山に縛り付けていてもストレスが溜まるわ。今はそんな風には見えないけど、彼女の力なら、下手すれば人間を大量虐殺する事もできる。そして、ずっと閉じ込めていてはかえってその最悪の未来を呼び起こしてしまう恐れもある、ってね。それで、小竜姫が同行する事を条件に上を納得させたみたいよ。」

「なるほど・・・。確かにありうる話ね。“子供”ならある程度のガス抜きは必要、って事か。あいかわらず、あの子には妖怪も悪魔も神族もないのねー。ま、彼女の妹なら、特別に気に掛けていたとしても不思議ではないけど。」

「・・・そーね。」

 

彼女の話題が上がると、私は若干不機嫌になった。

ママは、そんな私を若干呆れた様な、それでいて優しげな顔で見ていた。

 

・・・分かってる。

横島くんの心には、まだ彼女、ルシオラの存在があるって事は。

そして、あまり認めたくないけど、私は、私の前世も含めて横島くんに惹かれていた事も。

 

けど、今はその時じゃない。

それに、おキヌちゃんや他にも、横島くんに惹かれている女性は結構いるし。

 

いずれにせよ、この先どうなるかは分からないけど、まずは横島くんには時間が必要だろう。

 

それにぶっちゃけると、こちらもどうなるかは分からないけど、流石に世間的に見れば未成年の高校生と社会人の女性では、倫理的に色々マズいしねー。

っつーワケだから、どっちにしても彼が高校を卒業して独立するまでは、こちらとしても時間が必要なのである。

 

「・・・ま、私からは何も言わないわ。ただ、時には自分の気持ちに素直になる事も必要よ?」

「分かってる、けどねー。」

「ま、アンタなりにやんなさいな。」

 

私の性格を熟知しているママは、多くを語らずにそう締めくくった。

 

私なり、か・・・。

 

「・・・ところで話は変わるけど、デジャヴーランドと言えば、アンタ何かのアトラクションとコラボしてるんじゃなかった?」

「あ、そうそう。第一弾がかなり好評だったからねー。それで、第二弾も是非に、って話が来たワケ。」

「商魂たくましいわねー。」

「ま、それは否定しないけど、今は横島くんのご両親との約束もあるから、本業をセーブする以上、どうしても他で稼がないといけないのよ。それに、あくまで遊びの範疇とは言え、GSの仕事を世間にアピールする事もできるワケだし。」

「ふ〜ん。案外色々と考えてはいるのねー。けど、確かにGSの世間から見た印象は、得体の知れない職業、ってのは否定できないわね。オカルトGメンでも、色々とイメージアップに努めてはいるけど。」

「ま、単純にデジャヴーランドは世界的大手企業だから、繋がりを持っておきたかった、っていうのもあるんだけどねー。」

「そっちの方が、アンタらしいわね。で、具体的にはどんな感じのアトラクションなの?」

「それはねー・・・。」

 

・・・

 

道化師side

 

『あっ、お手伝いに来てくださったGS助手の皆さんですね?

こんにちは。

美神除霊事務所へようこそ。

 

私、美神さんの助手で、幽霊のおキヌっていいます。

よろしくね。』

 

「あのぉ〜。導入は以前と何ら変わりないんすけど?これのどこが、最新のVR技術なんすか?」(ヒソヒソ)

「ここからですよ、横島さん。それに、わかりやすさは重要です。お客様の中には、第一弾を体験していない方もいらっしゃるでしょうからな。」(ヒソヒソ)

「・・・なるほど。」(ヒソヒソ)

 

ピー・・・!ピー・・・!!

 

『あっ、先に現場に向かった美神さんからの通信です。』

 

ガー・・・。

 

『おキヌちゃん!

助手のみんなはいる!?』

『はい。皆さんいらっしゃっていますよ。』

『そう!

それじゃみんなお願い!

今すぐ私を助けに来て!!』

『えっ・・・!?』

『まずい事になったの!

相手は思いの外強力な悪魔だったわ!

今は何とか逃げ回ってるけど、捕まったら殺されてしまうわ・・・!

みんなの助けが必要なの!!

お願いーーー!』

 

ヴッ・・・!

 

『み、美神さんーーー!?

た、大変!

急いで救出に向かわないと!!

皆さん、こちらへっーーー!』

 

「・・・あれ?俺が出てこんのですが・・・?後で登場する予定っすか?」(ボソボソ)

「あ、ああぁ〜、それに関しては若干申し上げにくいのですが・・・。今回のコンセプト的に、お客様自身が戦う、という都合上、本物の助手である貴方の存在は少し都合が悪かったと言いますか・・・。おキヌさんはお客様のサポート兼ガイド役として必要だったんですが・・・。」(ボソボソ)

「なるほど。それなら納得っすね。」(ボソボソ)

「・・・あれ?社長どの。何か落としたでござるよ?」

「あっ!!そ、それはっーーー!!!」

「なになに?お客様からのご意見?

 

“美女と美少女の間にブサイクがうろちょろしてるのが不快でした。”

“バンダナ男はいらんやろ。”

“世界観を壊すので、ブサイクは目障り。”

“アトラクション自体は楽しかったですけど、バンダナ男の存在は謎。”

“美神お姉様に近付く害虫は滅ぶべし!”

 

か。

散々な言われようねー、アンタ。」

「ブサイクで悪かったなー、コンチクショー!!!」

 

思わず俺はそう叫んでいた。

 

 

「・・・別に横島はブサイクではないと思いますが・・・。」

「ま、まぁ、それはそうですが・・・。逆に特別整った容姿、という訳でもありませんからねー。私は嫌いではありませんが。」

「パピリオもヨコシマの顔、好きでちゅけどねー。」

「拙者もでござる。先生は、どこか安心するお顔をしているでござるよ。」

「ま、私も嫌いじゃないけど、世間一般から見れば、こんなモンなのかもしれないわよ?特に、美神さんは、性格はともかく、見た目だけ“は”絶世の美女だし、おキヌちゃんもほんわか美少女だしねー。」

 

 

「い、いや、私にそう申されましても・・・。」

「・・・そういや、以前に美神さんとおキヌちゃんをモチーフにした小説家がいたな・・・。俺は、完全にハブられたヤツ。そのイメージがあんのかもしれんか・・・。」

 

どこでどういう風に影響があるかも分からんモンだ。

 

「と、まぁ、そうした経緯もありまして、今回の貴方の出番はないのですよ。もちろん、お客様のご要望に応じた、という点は否定しませんが、本音を申しますと、費用を抑える為にも必要な措置だったのですよ。」

「ま、まー、あんま気にせん事にしますわ。ちょっとヘコみますけど・・・。」

 

などとしょーもないやり取りをしていると、おキヌちゃんのロボットが俺らを次の部屋に誘導した。

 

「あれ・・・?これって・・・!」

 

『皆さんは、“夢魔”ってご存知ですか?

人々に悪夢を見せる悪魔の事です。

今回、美神さんはそれを退治する様にと依頼を受けていました。

 

しかし、こうした悪魔は強力でして、万が一の場合を想定してこうして皆さんをバックアップとしてお呼びしていたんですけど・・・。

 

“夢魔”は精神に寄生していますので、普通の方法では倒すのは困難です。

そこで皆さんには、ここから被害者の精神に直接ダイブして、被害者、並びに美神さんの救出をお願いしたいのです!』

 

「老師の仮想空間の入口に似ていますね・・・。あれは、老師と対象者の魂を繋げ、その過負荷から解放された事で魂の出力を一時的に増幅。その後、そこから潜在能力を解放、固定するプロセスですけど・・・。」

「なるほど!そういや美神さんも、老師の訓練を受けた事がありましたもんね。それで、“仮想空間”への入口のアイデアとして、似たような部屋を思い付いたのかっ・・・!」

「その通りです。そして、今回の敵を“夢魔”に設定する事で、自然と精神世界への誘導、すなわち仮想空間へと誘う流れですよ。」

「なるほどなー。それで、“ナイトメア”、って事ね。」

 

中々考えられている仕組みである。

流石は美神さん、といったところか。

 

『それでは、皆さん、準備はよろしいですか?

もちろん、私も皆さんのサポートとして同行しますのでご安心下さい。

 

では、GO!』

「おわぁっ!!!」

「おおっ!!!」

 

俺らが等間隔に設置された椅子に座ると、ロボットおキヌちゃんはそう掛け声を上げる。

すると、先程とは全く違った雰囲気の部屋に、俺らは移動していた。

 

「こ、これがVRっすかっ!?全く現実と違和感がないっ・・・!」

「これは、凄いなっ・・・!」

「どうです?我が社の技術は?」

 

老師の仮想空間と比べても遜色のないレベルの光景が広がっていた。

これを、現代科学で再現した、って事だろうか?

 

「と、自信満々に申し上げましたが、実は我々とドクター・カオスの合作に近いのですよ。ほとんど、ドクターの力、と言っても過言ではありませんな。」

「あのじーさん、こんな事もやっとったんかいっ!忙しいとちゃうんかっ!?」

「ま、まぁ、ドクターからしたら、片手間だったのでしょうな。“研究の息抜き”、と申しておりました。それに、ある意味、お遊びではあるが、研究の一貫にもなるから、との事でして。我々にはよく分かりませんでしたが・・・。」

「あぁ〜、なるほど・・・。」

 

・・・おそらくだが、“宇宙のタマゴ”の理論を応用したのだろう。

それなら、現実そっくりの仮想現実を作り出すのも不可能ではないし、じーさんが片手間でも協力した意味も分かってくる。

今のじーさんは、あれの応用にご執心だからなー。

ま、各国政府からも依頼を受けている訳だが。

 

「やはりドクターは、とんでもないお人なんじゃないだろうか・・・?」

「あのじーさん、マジモンの天才だからなー。しかも、その専攻は多岐に渡るし。魔法や魔術にも精通しとるし、錬金術や現代科学も網羅しとる。しかも、今は全盛期にほぼ近い肉体と頭脳だから、最先端科学技術すら凌駕する発明を生み出したとして不思議じゃないわなー。」

「・・・ちょっと、ドクターのラボに訪れるのを躊躇してしまうんだが・・・。」

「そういや、お前じーさんに興味持たれてたんだよなー。ま、取って食われる事はないと思うから、安心しろって。・・・多分。」

「・・・。」

 

とんでもない技術が故に、逆に不安そうになった鳴上(いや、今はホンモノじゃないんだったか?)に俺はそう力なくエールを送る。

ま、あんまり自信はないけど、マリアもいるし、どーにかなるだろ。

 

「凄いでちゃねー、これっ!」

「これが“ぶいあーる”でござるかー。・・・で、ここからどうするでござるかおキヌどの?」

『はい。

皆さんには、この“洋館”を探索しながら、美神さんを探して貰います。

もちろん、“夢魔”の妨害もありえますが、その時は、身に付けている呪具で対処して下さい。』

「呪具?あ、いつの間にか、“神通棍”と“霊体ボーガン”、“破魔札”を持っているわねー。」

「おお、本当だ。流石、仮想空間やな。」

『よくご存じですね。

一応説明しておきますが、“神通棍”は近距離用の武器で、“霊体ボーガン”が遠距離用の武器です。

“破魔札”は、まぁ、ダイナマイトみたいな物です。

いざという時や、ピンチの時に使ってください。』

「ここでは、我々の霊力は使えない様ですね。ま、不可能ではありませんが、下手をしたら、この仮想現実を破壊しかねませんし。」

「そ、それはご勘弁願いたい。まだまだ、この施設は稼働し始めたばかりですので・・・。」

「分かっていますよ。郷に入っては郷に従え。パピリオもいいわね?」

「大丈夫でちゅ。ゲームと同じ、って事でちゅよね?」

「確かに、バイ○ハザードっぽいモンなー。ま、リアリティはゲームの比じゃねーけど。」

「面白そうだな。実は、密かに悪霊退治がどういうモノか、興味があったんだ。」

「・・・アンタも男の子なのねー。」

 

俺らは、手慣れた手付きで呪具を確認すると、目の前に見える扉を見据えた。

 

「そんじゃ、行ってみますかっ!」

「「「「「おー!!!!!」」」」」

 

番長side

 

「結構面白かったでちゅっ!」

「最後は、まさか救出した美神さんと共闘する展開になるとは・・・。」

「敵もかなりリアルに作り込まれていたでござるなー。“らすぼす”も馬面でインパクトがあったでござるし。」

「ありゃ、実際に美神さんが退治した悪魔ナイトメアをモチーフにしてんだろーな。“夢魔”の代表格だし。ま、他にはインキュバスとかサキュバスとかいるけど、それだとR18になっちまうしな。」

「・・・横島は好きそうよね。」

「確かに。」

「うぐっ!否定は出来ん・・・。」

 

無事にエンディングを迎えた俺達は、そんな感想を言いながらゾロゾロと施設から出ていた。

 

「み、皆さん流石ですなー。まさか、ものの数分でクリアするとは思いませんでした。」

「ま、一応プロっすからね。武器が制限されてるつっても、普段やってる事の延長線上でしかないし。」

「それに、“霊体ボーガン”と“破魔札”が弾数無制限は流石にやり過ぎだと思う。ま、一般人にはそれくらいでちょうどいいのかもしれないけど。ただ、ある程度のインターバルを設けるなりすれば、もうちょっと緊張感が出るかもね。」

「なるほど・・・。参考になります。」

「後、道中の妨害についても工夫出来ると思う。ラッシュとかあると、かなり恐怖感が増すんじゃないかしら?ま、こっちも、一般人にはハードルが高いかもだけど。」

「なるほどなるほど。」

 

「・・・何や、タマモのヤツ、みょーに詳しくないか?」

「タマモは割とげーむが好きでござるからなー。」

「事務所でも結構やってるよな。」

「ほーん。そうなのかー。知らんかったなー。」

「先生は、最近だとあまり事務所におらんでござるからなー。その点、鳴上どのはベビーシッターで結構我々と共にいるでござるよ。」

「なるほど。」

 

妙に饒舌に語るタマモに、社長さんはうんうんと頷きつつメモを取ったりしていた。

仕事熱心なんだな・・・。

 

「ま、総括すると、私達みたいな専門家には多少ヌルくても、普通の人にとってはちょうどいい塩梅なんじゃないかしら?流石に美神さんが監修しているだけあるわね。けど、もう少し工夫出来る事もあるわ。ま、そこら辺は、アトラクションの回転率も考えなきゃならないだろうけど。」

「なるほど・・・。いやぁ、大変参考になりましたよっ!ありがとうございますっ!!」

「そっ・・・。」

 

最近分かる様になってきたが、社長さんにお礼を言われてそっけなく返したタマモだが、アレは単純にテレているだけである。

クールそうに見えて、割と外見相応の可愛らしい一面があるのである。

 

社長さんとタマモの会話が一段落すると、待ちきれないとばかりにパピリオちゃんが横島に駆け寄る。

 

「さ、ヨコシマ、次行こう、次!」

「お、おうっ!まだまだ回りきれてないからな。」

「では、社長さん。私達はこれで。お仕事、頑張って下さい。」

「いえいえ、こちらこそ貴重なお時間を頂きまして。引き続き、デジャヴーランドを楽しんで下さい。」

 

そう言い残すと、社長さんは足取り軽く去っていった。

・・・大企業の社長さんとは思えない、フットワークの軽さだな・・・。

 

 

こうして社長さんと別れた俺達は、他のアトラクションを満喫するのだったがーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がありましたら、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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