P4GS   作:笠井裕二

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続きです。


マジカル・ナイトメア・ツアー 2

 

・・・

 

道化師side

 

「キャハハァ〜!ヨコシマァ〜!!」

「お〜う、ちゃんと見てるぞぉ〜!!」

 

あの後、俺達はとにかくアトラクションに乗り倒した。

ゴールデンウィーク中という事もあって、割と混雑していたが、それでも一通りのアトラクションは回ったと思う。

ま、中々の強行軍であったが・・・。

 

んで、時刻はそろそろ夕暮れ時に差し掛かる時間帯であり、そろそろお開きの雰囲気になる。

一応パピリオは、見た目的にはお子様だからなー。

それ故に、あんまり遅い時間帯まで連れ回すワケにも行かんかったのである。

 

とは言え、子供+魔族って事もあって、その有り余るエネルギーは少しも衰えておらず、まだまだ帰りたくない、という雰囲気を醸し出していた。

それで、後数か所、気に入ったアトラクションを回る事でとりあえず手を打ったのである。

 

後、何故かその様子を、運動会の父兄よろしく、撮影してくれ、と俺はねだられていた。

んで、こうしてまるで娘を撮る父親かの様に、笑顔のパピリオを撮る事となっていたワケであるが・・・。

 

「やっぱ、子供のエネルギーって半端ないわ。」

「確かに。ひのめちゃんも、起きてる間はずっと元気だからなー。ま、俺の場合は、ジャアクフロストという遊び相手がいるから、かなり楽ではあるが。」

「改めて、お前のペルソナ能力は便利やなー。・・・しかし、何だって急に写真を撮ってくれ、なんて言い出したのかねー?」

「別に不思議は話じゃないだろう?今日の“思い出”として、記録を残しておきたかったんじゃないのか?ほら、もうすぐ帰るワケだし。」

「っ!!!」

 

鳴上の何でもない風の感想に、しかし俺は少々衝撃を受けていた。

 

と、言うのも、今回も直接ではないものの、前も似た様な出来事があったからである。

 

今現在は、その問題はすでに解決しているが、パピリオ、ベスパ、そしてルシオラは、元々一年しか生きられない身体だった。

いや、別に病気とかそういう話ではなく、そう()()されて生まれてきたのである。

しかしそれ故に、誰かの記憶に残る事を強く望んでいた節があったのだ。

 

今はそれは解決しているとは言え、その“思い出”を残しておきたい、って気持ちは変わらずにあったのかもしれない。

そして、俺自身も、アイツと見た“思い出”の夕焼けは、今でも心の中に残っているーーー。

 

「ん?どうしたんだ、横島?ボーっとして?」

「あっ、いや、何でもっ!ヌハハハハッ!」

「・・・?変なヤツだな・・・。」

 

一瞬、彼女を思い出してボーっとしてしまっていた様だが、鳴上に指摘されて俺は現実に引き戻されていた。

・・・いけね、いけね。

今はパピリオを見てやんなきゃな。

 

と、割と珍しくシリアスな感じに感傷に浸っていると、その雰囲気をぶち壊すかの様に、俺を呼ぶ声が上げられる。

 

「あっ、いたいたっ!おぉ〜いっ、横島さぁ〜んっ!!」

「ん・・・?あれ?社長さんだ。」

「・・・激しく嫌な予感がするなー。」

 

それは、先程別れたばかりのデジャヴーランドの社長であった。

その様子は些か焦った様子であり、俺は嫌な予感を感じ取っていたのであったーーー。

 

 

「「システムを乗っ取られたっ!!??」」

「し、シッー、声が大きいですぞっ!」

「あ、すいません・・・。」

 

やはりトラブルの様である。

何でも、先程のマジカル・ナイトメア・ツアーが、何者かによって乗っ取られた様なのであった。

 

「って事は、また悪霊絡みっすか?」

 

前回のトラブルは低級霊が合体しかなりの知能を持った事、また究極の体験型アトラクションを目指して人々の霊力を吸い取る仕掛けが仇となって、霊能力を一時的に失った美神さんがアラストルに捕まった事で起こった事件だったが、それ故に俺はそう推測した。

ってか、俺を呼びに来たって事は、霊能絡みである可能性が極めて高いからなのだが。

 

しかし、その予測に反して、社長はそれを否定した。

 

「いえいえ、先程も申し上げた通り、今回のアトラクションには前回の反省も踏まえて霊的処理は施しておりません。あくまで仮想空間で除霊体験をする事を主軸にしておりますからな。つまり・・・。」

「人間、がそれをした、と?」

「そう考えるのが一番自然でしょうな。しかし、その場合も、ほぼ不可能に近い。我がデジャヴーランドは、高度な電子化が売りですし、そのセキュリティは世界でも最高峰だと自負しております。そもそも外部とはネットワークで繋がっておりませんので、ハッキングなどもできない様になっておりますからな。」

「ま、この手の企業なら、サイバーテロには警戒するだろーしな。しかし、そうなると原因が皆目検討がつかんのだが・・・。」

「いえ、それなんですが・・・。犯人とおぼしき人物からのメッセージが届いておるのです。」

「「・・・へっ???」」

「と、とにかくこちらへっ!!!」

「は、はぁ・・・。」

 

『と、いうワケでこのシステムは俺が乗っ取った!人質を返してほしくば、身代金を用意しなっ!!そうだな・・・、一人当たり1億円でどうだ?・・・良い返答を期待している。』

「・・・なるほど。犯人は客の中に紛れ込んでいたのか。これなら、犯行を防ぐ事はほぼ不可能に近いか。」

「っつっても、どうやって乗っ取ったのかは結局分からずじまいだけどなー。それに、一緒にアトラクションを体験していた人達を、()()()に戻す方法も、な。」

「当然、このアトラクションの制作者の美神さんとドクターにも連絡をしてありますが、大至急こちらに向かうとの事でしたが、どちらも原因に心当たりがないとの事でして・・・。」

「それじゃあ、結局俺らには何もできんのだが・・・。小竜姫さまは、何か分かりませんか?」

「生憎と、電子関連の事はサッパリ。それに、仮想空間についても私は専門外です。もしかしたら、老師なら何か分かるかもしれませんが・・・。」

「あー、師匠は妙神山を離れられんからなー。」

「そもそも神魔族が俗界に関わる事は、例の事件もあって今やタブーとなっていますからね。私とパピリオが今日ここにいられるのも、例外中の例外ですし。」

「こりゃ、万事休す、か・・・?」

「そこを何とかっ!我がデジャヴーランドの使命は、お客様に完璧な夢を提供することですっ!テロに屈するワケにはいかんのですよっ!!」

「そう言われてもな~・・・。」

「・・・いや、何とかなるかもしれん。」

「「「・・・へっ???」」」

 

デジャヴーランドの地下部分。

地上における“夢”の裏側であり、その“夢”を支える為にそこかしこに高度に電子化された(くだん)のアトラクションを管理する一室にて、俺らは議論を交わしていた。

 

しかし霊能絡みでないとなると(まぁ、完全にオカルトと関係ないかと言われたら、現時点では判断がつかんが)、完全に専門外である俺はお手上げ状態だったワケである。

 

だが、そこへ来て、しばらく黙り込んでいた鳴上が、ポツリとそう呟いたのである。

 

「ど、どういう事だ、鳴上?」

「ああ。横島は、俺の()()については知っているよな?」

()()・・・?ってーと、ペルソナ能力の事か?」

「いや、そっちじゃない。それに、これまでの事から考えれば、ペルソナ能力に目覚めたのも、その()()がキッカケとなったと思われる。」

「・・・???」

「・・・もしかして、()()()()()()()()()の事ですか?」

「あっ・・・!」

「その通りです、小竜姫さま。俺が、いや、俺達3人がイザナミから与えられたのは、異界に入り込む能力だけです。ペルソナ能力については、イザナギの言葉を借りると、“脅威に対抗する為”、すなわちシャドウに対抗する為に後に目覚めたモノだと推察されます。まぁ、ペルソナ能力に目覚めた結果、異界へも行ける様になる様なので、ある意味卵が先か、鶏が先か、という感じにはなりますけど。しかし、今重要なのは、俺には異界へと侵入できる能力があるらしい、って事です。」

「って事は鳴上は、電子的に繋がってなくとも、システムを乗っ取られていようとも、関係なく異空間に入り込める、って事?」

「おそらくは。そもそもマヨナカテレビについても、電源すらついていない状況の中でも入り込めたからな。窓、あるいは入口となる部分さえ確保できれば、入れるんじゃないかと思ったんだ。とりあえず、そちらのモニターで確認しても?」

「え、ええ。もちろんです。」

 

突然の提案に、社長も戸惑いながらもそう了承する。

そして鳴上は、先程犯人からのメッセージを映し出していたモニターに手をかざす。

 

チャポンッーーー。

 

「「「「っ!!!」」」」

 

すると、まるで水面に手を突っ込んだみたいに、鳴上の右手がモニターに吸い込まれていった。

 

「問題なく入れる様だな。」

「す、凄いですぞっ!これなら、犯人を追い掛ける事ができますなっ!」

「い、いや、ちょっと待ってくれ。一応確認なんだが、入れるのは鳴上()()か?」

「あっ・・・!」

 

興奮した様にそう大声を上げる社長を制して、俺はそう確認する。

当たり前だが、入れるのが鳴上だけならば、流石に単独で行かせるワケにはいかんからな。

 

「いや、以前は俺以外の数人が同時に入っている。おそらくだが、俺がチーム、あるいは仲間と認識している者なら一緒に入れるんじゃないかと思う。もちろん、人数制限はあるとは思うが。」

「なら大丈夫そうだな。一番の問題点であった侵入経路が確保できただけでも大きな前進だぜ。と、なると次なる問題は、誰が一緒に行くか、って事だが・・・。」

「???小竜姫さまとパピリオちゃんは無理だとしても、俺、横島、シロ、タマモの四人でいいんじゃないのか?」

「いや、それは最終手段だ。いきなり飛び込むのは得策じゃない。少なくとも、このアトラクションの制作者である美神さんとカオスのじーさんの到着を待ってから、意見を聞いた方がいい。」

「そ、そんな悠長なっ!」

「慎重にもなるっすよ。人の、自分らの命が懸かってるんすから。」

「あっ・・・!」

 

社長がそう反論したが、俺は至極真っ当な意見を返した。

ま、このトラブルは企業にとっちゃ大ダメージだろうから焦るのも無理はないが、事前準備や情報は多ければ多いほどいいからな。

 

それ故に、美神さんとじーさんの到着を待つべきだと主張した俺だったが、どうやら()()は待ってはくれない様である。

 

『ああ、そうそう。言い忘れてたんだけどよ。なるべく早めに結論を出した方が良い。でなきゃ、何人かは死んじまうかもしれんからなぁー。』

「た、大変です、社長っ!」

「ど、どうしたっ!?」

「取り込まれた人々のバイタルに、異常を示している者達がおりますっ!」

「な、何だとっ!?」

 

・・・そうか。

一応、仮想空間に行っている間は、客の身体は一時的に幽体離脱している様な状況だ。

それで、万が一に備えて、身体情報をモニターしていた、って事か。

 

「確かに、言ってしまえば強制的に幽体離脱をしている様な状況ですから、長時間元に戻れなければ、衰弱する事はあるかもしれません。場合によっては、命を落としてしまう事も・・・。」

「そ、そんなっ!?そんな事になれば大問題ですぞっ!!」

「確かに、これは悠長な事は言っていられない状況の様だな・・・。」

「お願いします、横島さんっ!お客様方の救出に協力して下さいっ!」

『私からも頼むわ、横島くん。アンタの判断は間違ってないけど、今は一刻を争う状況よ。私の名前が冠されている以上、それで人死を出すワケには行かないわ!私も大急ぎで向かってるけど、最速でも一時間は掛かるだろうし・・・。』

「美神さんっ!?聞いてたんすかっ!?」

『社長に専用通話を繋いでおいて貰ったのよ。そこだと、情報流出なんかを警戒して、通常の電波が届かない仕様になってるからね。とにかく、私やカオスは到着に時間が掛かるから、頼みの綱はアンタ達だけってワケ。大丈夫。今のアンタならやれるわっ!』

「り、了解しましたっ!」

 

美神さんの後押しもあって、俺は覚悟を決めていた。

 

「行こうっ!」

「ああ。俺も、精一杯サポートするよ。」

「任せるでござる!」

「ま、付き合ってあげるわよ。」

「気をつけて。」

「皆、頑張るでちゅよぉ〜!」

 

 

こうして、俺、鳴上、シロ、タマモの急造チームによって、突発的に発生したトラブル解決に乗り出す事となったのであるがーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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