続きです。
一応明言しておきますが、番長が扱うペルソナはかなり魔改造しています。
なので、そんな能力持ってねぇ〜よ、ってツッコミはスルーの方向でよろしくお願いいたします(笑)。
まぁ、そもそも仲間のペルソナまで使える時点で、かなり原作とは異なっている訳ですが。
???
「さて、と。奴らはどんな感じかねぇ〜?」
今回の首謀者である青年は、横島らに間接的に接触した後、謎の空間に転移していた。
実は彼には、目的らしい目的がない。
とある理由で“力”を手にした事がキッカケで、ある種のテロ行為を思い付き、それを実行したに過ぎないのである。
それが、“幸せそうな人々を絶望のどん底に叩き落とす”、という、何とも性格の悪さが滲み出ているモノだった。
そうした意味では、まさにデジャヴーランドはうってつけの場所であろう。
社長も言及していた通り、ここでは完璧な夢、幻想的な非日常を楽しむ場であり、言ってしまえばリア充達の集う場所でもある。
家族連れ、恋人同士、友人グループなどなど。
ある意味、青年の一番嫌悪する人種であり、そして実際には、一番羨ましいと思っている人々でもある。
まぁ、そうした彼の心理はともかくとして、ほとんど行き当たりばったりの計画ながらも、その“力”によって美神のマジカル・ナイトメア・ツアー”を乗っ取り、異界化に成功。
と、同時にその体験者達を閉じ込める事にも成功した訳であった。
そこからも、思い付きだけで行動している。
上手く人質を取れたので、今度は大企業をおちょくってやろうと身代金を要求。
それで、右往左往する人々を見て、楽しもうとしていたのであった。
ところが、そこに想定外の事態が起こる。
乗っ取り、アクセス不能にした筈の空間に、どういう経緯か侵入者が入り込んでしまったのである。
一瞬、慌てふためいた彼だったが、ここで彼は、再び意地の悪い事を思い付く。
それは、その侵入者達を使って、更なる恐怖の演出に利用しようとしたのである。
と、同時に、“力”を試したい、という思惑もあった。
せっかく手に入れた“力”だ。
そう思ったとしても不思議はなかった。
そんな事もあり、身代金とか人質の事は一旦頭から抜け落ちて、今はこの侵入者達との“ゲーム”に夢中になっていたのだがーーー。
おもむろに手をふると、何もなかった空間から、彼の目の前にモニターが現れる。
それで、テレビよろしく、横島らの状況を確認しようというのだろう。
なるほど、まるで神の如き“力”だ。
少なくとも、この空間における彼は、全知全能に近しい存在なのかもしれなかった。
だが、早くもそんな彼の自尊心は消え去る事となる。
何故ならば、横島らには、“常識”というモノが一切通用しないからである。
「な、何だとっ・・・!?」
彼は驚愕していた。
彼が見た光景は、ズタボロになっている横島達でも、すでに事切れている横島らでもなく、危なげなく影を殲滅し、その勢いそのままに、この異界化空間を攻略開始した姿であったからである。
まぁ、これはある意味当然である。
なんだかんだ言っても、横島らはとんでもない英傑揃いだからである。
かたや、少なくともこの空間にて神の如き“力”を持っているとは言えど、何の覚悟も経験もない、増長しただけに過ぎない一般人に毛が生えた程度の青年。
かたや、鳴上は、まさしく“神”の一柱を打ち倒し、“世界”を救った英雄であるし、横島も“魔神”を打ち倒し、この世界に平和をもたらした英雄である。
シロとタマモは、カテゴリー的には妖怪であるが、シロは人狼にして犬神族の貴重な女性だ。
神の末裔でもあるシロには、成長途上ではあるが、強力な潜在能力が眠っているし、タマモについては、彼女自身はその転生体に過ぎないが、前世は“金毛白面九尾の妖狐”、通称“九尾の狐”と呼ばれた大妖怪であり、こちらも信仰によっては神に等しい存在でもある。
つまり言ってしまえば、横島らはこの世界でも最強レベルの集団なのである。
しかも、それに鳴上の、正確には久慈川りせのペルソナであるヒミコがついているとなると、もはや勝負は目に見えているのである。
もっとも、そんな冷静な判断力や分析力がこの青年にある筈もなく、苛立った様に影達を再び生み出す。
「クソがっ!テメェら、奴らをぶっ殺せっ!!」
「ギギィ・・・。」
「アー・・・、ウー・・・。」
青年の命令を受けた大量の影達は、何事かうめくと、横島らのもとに向かっていく。
「それと・・・、もうちっとこの空間を工夫しねーとな。迷路みてぇにできねぇかよ?」
ブツブツ呟く青年の言葉に反応して、横島らを見ているモニターとは別のモニターが現れる。
「おっ!そうそう。これをこうして・・・、ここに罠を設置してもおもしれーかもな・・・。」
思った事が実現する空間に、再び彼の精神は持ち直した様である。
「これなら、確実に奴らを始末できんだろ。」
一通りの作業が終わると、意地悪く笑みを浮かべた青年は、再び横島らを映すモニターに目を向けた。
だが、残念ながら彼の目論見は、横島らには通用しないのであるがーーー。
番長side
「また敵か・・・。」
「あんま疲れねーとは言え、こう敵が多いと面倒だよなー。」
「文句言わないの。・・・プッ。こ、こっち向くな、横島っ!」
「どないせいちゅーんじゃっ!」
「ま、まぁ、見た目はともかく、このメガネは便利でござるからなー。とりあえず、この空間を抜けるまでは、このままでいくでござるよ。」
「せめて、もうちょっとマシなメガネにしてくれんか?」
「それはダメよ。その方が面白、もとい敵を油断させられるかもしんないし。」
「何でじゃーーー!!!」
「・・・案外、タマモはいじめっ子なのか?」(ヒソヒソ)
「うぅ〜ん、どうでござるかなー?多分、先生のお姿が、タマモのツボに入ってるだけじゃないかと。」(ヒソヒソ)
「タマモは“雪子枠”か・・・?そういえば、どことなく戦闘スタイルも似てる様な・・・?」(ヒソヒソ)
ギャーギャーとタマモと言い合いをしている横島を横目に、俺とシロはそんな会話を交わしていた。
まぁ、実は周囲は敵だらけであり、こんなノンキな事をしていられる状況ではないのだが、流石は怪異や霊能の専門家である横島らである。
俺の(正確にはヒミコの)サポートがあるとは言え、そんな状況下でも危なげなく敵を殲滅していた。
「おっと、そっちへ行くと罠があるな。若干遠回りだが、そちらのルートを通った方が良さそうだ。」
「罠まで分かんのかよ・・・。」
俺の指摘に、横島はもはやツッコミすら入れずそう呟いた。
確かに、りせのペルソナであるヒミコ、カンゼオン、コウゼオンの力はとんでもないからな。
一応は非戦闘型のペルソナだが、それを補って余りある性能を備えている。
“アナライズ”に“トレジャーサーチ”、“エネミーサーチ”などなど。
これらを応用すると、罠を見破る事も可能な様だ。
おそらく、俺の霊力がアップした事によって、よりヒミコの能力を引き出せる様になったのかもしれない。
まぁ、それはともかく。
「んじゃ、さっさと行こうぜ。結構時間取られてるし、閉じ込められた人達の事が心配だ。この空間に長くいると、衰弱しちまうみてーだしな。」
「了解でござる。」
「ん。」
「ああ、先を急ごう。」
???
「な、何で奴ら罠にかからねぇんだっ!?罠をことごとくスルーして、一直線にこっちに向かってきやがるっ!!」
青年は焦っていた。
まぁ、ご存知の通り、これはヒミコの能力によるモノだが、と、同時に、横島、シロ、タマモの規格外の実力によって、向かってくる敵を簡単に殲滅してしまうからでもあった。
少なくとも、横島チームを相手するには、青年は力不足と言わざるを得ないであろう。
「どうするっ!?奴ら、すぐにでもここに来ちまうっ!何かしらいい手はっ・・・!」
ブツブツと呟く青年。
残念ながらこの青年には、起死回生の一手を思い付く様な戦略や戦術を含めた知識や経験など皆無であった。
ここら辺が、ただ“力”を得ただけの者の弊害であろう。
だが、追い詰められた者が何をしでかすかは分かったモノではない。
そうした意味では、横島らはもう少し慎重に行動すべきだったかもしれないが、そこら辺は不可抗力であろう。
何せ、勝手に横島らの様子を覗いていた彼が、ヒミコのサーチに引っ掛かるモノを感じた鳴上と、影越しに目が合っただけなのだから。
しかし、その意志の強そうな視線は、彼にとってはある種の恐怖となってしまう。
ー見付けた・・・!ー
別に、鳴上がそう呟いた訳ではない。
しかし、受け取り手によってはそう感じるだろうある種のプレッシャーに、青年は心理的に追い詰められてしまう。
「ま、まさか、この場所が分かるってのかっ!?あんなバケモン共が、ここにっ・・・!!??」
パニックになった青年は、そう狼狽える。
まぁ、それは完全なる誤解だったが、少なくともヒミコの能力によって、いずれ青年のもとに来る事は確定している未来なので、全くの勘違いでもなかったが。
しかし、先程も述べた通り、追い詰められた者は、何をしでかすか分かったモノではないのだ。
そして、彼が思い出したのは、自分には人質がいる事だった。
「さ、流石に奴らも、人質がいれば手出しできねぇだろっ!な、何でそんな事も頭から抜けてたんだかっ・・・!!」
青年としては起死回生の思い付きに、彼は饒舌にひとりごちる。
「そうと決まれば人質共のもとに戻ろう。クククッ、今度こそ、奴らの息の根を止めてやるっ!!!」
ヒュンッ!
ゲームで言えば、所謂“ラスボスの間”を早々に放棄して、彼は人質達を閉じ込めている空間へと急いだ。
確かに、立てこもりはある種効果的な戦略であったかもしれない。
少なくとも、この空間の特性を鑑みれば、時間がかかればかかるほど、閉じ込められた者達の生存率が大きく低下するからである。
しかし、彼には誤算があった。
いや、ぶっちゃけて言ってしまえば、誤算だらけなのだが、彼は理解しておくべきだった。
横島らはまだまだ本気を全然出していない事と、鳴上悠は、まだ戦闘用のペルソナすら出していない事をーーー。
道化師side
「っ!?動いたっ!!」
「どしたん、鳴上?」
「ああ。何か視線を感じたから、ヒミコにサーチさせていたんだが、さっきのヤツがいた空間から別の空間に移動したみたいでな。」
「・・・もしかして、逃げた、とか?」
「いや、それはないみたいだ。少なくとも、まだこの空間内にその存在が感じ取れる。もしかしたら、自力でこの空間から抜け出せないか、はたまた抜け出してしまうと、乗っ取っていられなくなるのかもしれない。」
「あー、それはありそうだなー。ってか、仮に自力で脱出できたとしても、被害者の人達は保護されてるだろーから、その中に紛れ込んであのヤロウが一人だけ目を覚ませば、当然速攻で拘束される事になる。つまり、この空間から逃げるのはすでに不可能だ。それも関係するんじゃねーかな?」
「確かに、それはそうでござるな。まぁ、本来はこちら側からは手出しできないアドバンテージがあったのでござろうが、鳴上どのの能力でそのアドバンテージも消えているでござるよ。なおかつ、拙者達を上手く排除できずに、焦ったとしたら・・・。」
「・・・十中八九、人質のもとに向かったんでしょーね。保身に走る人間の考えそうな事よ。」
「ふむ・・・。」
俺らは、断片的な情報からそんな結論に至っていた。
あくまで予測だが、逃げ場がない以上、人質を使った籠城戦しかもはやないだろうからな。
まぁ、真正面から俺らを叩き潰せれば、それがベストなんだろーが、俺らはこの通りピンピンしてるから、選択肢はそれしかないと思われる。
「となると、かなり厄介だな。もちろん油断はできないが、コイツらのレベルを考えればヤツの力は大した脅威ではなさそうだ。しかし、それが人質込みとなると、話は変わってきちまう。」
「だな。このまま策もなく追いかけても、逆に俺達の不利になってしまう事だろう。しかし・・・、ではどうする?」
「任せとけって。悪知恵対決ってんなら、こっちは日々
「ほう。」
「いいか、よく聞けよ・・・。」
俺は、悪人顔で鳴上達に作戦を伝えた。
「なるほど・・・。」
「いーんじゃない?私達の能力なら、そっちのが安全だろーしね。」
「拙者も了解でござる。」
「オーケー。なら、とりあえず、ヤツのもとまで辿り着こう。ヤツがいる場所に近付いたら、作戦開始、って事で。」
「分かった。」
「ん。」
「了解でござる!」
そう締めくくると、俺らはいよいよヤツとの直接対決に向けて動き出すのであったーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、よろしければ本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。