P4GS   作:笠井裕二

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続きです。
今回は陽介達側のお話。


行け!自称特別捜査隊
マヨナカサイト 1


 

5/4

 

魔術師side

 

「・・・んで?それからどうなったん?」

『どうもこうもないさ。幸いな事に、被害者達はかなり衰弱している人もいたみたいだけど、とりあえず命に別状はないみたいだ。けど、犯人だけは、依然として意識不明のまま。犯人の意識が戻らない以上、詳しい犯行動機や、どうやって最新技術のシステムを乗っ取ったとか、あの異界化空間は何だったのかとか、そういった事は一切分かってないんだ。』

「けどさぁ〜。ほら、ゆーても、犯人は特定できてんだから、家宅捜索なり何なり、別方向から分かる事もあるじゃん?」

『もちろん、そっちも捜査したみたいだ。しかし、それでも手掛かりはあまり掴めていないみたいだな。もっとも、俺は警察じゃないから、いくら犯罪捜査に協力していると言っても、詳しい事まで教えてもらえる訳じゃないからな。もしかしたら、本当はかなり重要な手掛かりを得ている可能性もあるが・・・。けど、おそらくそれは本当の事の様に思う。ただ・・・。』

「・・・ただ?」

『美智恵さんや西条さん、あ、彼らはこっちで知り合った人達で、オカルトに関する事に対処したり捜査する特別な捜査官なんだが、が言うには、以前にとある事件でも話題に出た、“裏サイト”を犯人が利用していたらしい、って事は分かったらしい。ま、例によって、そのサイトはすでに閉鎖されていて、大きな手掛かりにはならなかったみたいだがな。』

「ああ、前に話していた人達か。それに、“裏サイト”、ね・・・。」

 

俺は今、自室で相棒と電話していた。

 

流石に毎日電話する様な事はないのだが、定期的に連絡は取っているのである。

ま、特に、今はお互いにかなり変わった状況になっちまったからなぁ〜。

 

んで、相棒が奇妙な事件に巻き込まれたので、その事を聞いていた、ってところである。

 

『ん?何か気になる事でもあるのか?』

 

俺の含みのある呟きに、相棒はそんな事を聞いてくる。

あいかわらず、変なところで勘の鋭いヤツである。

 

「まぁ、ちょっとな。俺も、まだ詳しくは知らないんだが、こっちでもその“裏サイト”に関わる事件が起きてるみたいなんだよなぁ〜。」

『・・・偶然、か?』

「どうかね?ま、イザナギさまの話じゃ、そっちとこっちは直接的に繋がってるワケじゃねぇ〜みたいだし、それこそ、行き来できる様なヤツはほとんどいねぇ〜んだろ?だったら、普通に考えたら完全なる偶然、って線で確定だろ。」

『まぁ、それはそうだろうが・・・。』

「ま、あんま心配すんなって。相棒もかなりぶっとんでるみたいだが、俺らだってかなり進化してるぜ?マリーちゃんだっているんだし、菜々子ちゃんの事は心配すんなよ!」

『みんなの事は信頼している。それに、陽介が言うのなら安心だな。だけど、下手に事件に首を突っ込もうとはするなよ?』

「わぁ〜ってるよ!ま、お前の心配も分からんではないがな。こっちには、クマとか里中とか、トラブルメーカーも多いしなぁ〜。」

 

相棒の言葉に、俺は軽く既視感を抱いていた。

そう、その言葉のチョイスが、だんだん堂島さんに似てきたからかもしれない。

 

『ところで話は変わるんだが、勉強の方はどうなんだ、陽介?』

 

話が一段落すると、相棒はそんな事を聞いてくる。

確かに、相棒にも仲間達にも、俺が進学するつもりなのは言ってあるからなぁ〜。

 

ただ、いかんせん、元々学力はお世辞にも良いとは言えない俺を、相棒が心配するのも分かる。

・・・分かるんだが、それに対して俺は、自信満々にこう返した。

 

「それなんだけどさぁ〜。あ、いや、まだ本格的な模試とかは受けてないから、実際はどうか分からんけど、俺的にはメチャクチャ学力が上がった気がすんだよねぇ〜。里中辺りは、“勘違いじゃない?”って言うんだけど。それに、結構分かってくると、勉強もおもしれぇ〜って思ったりもしてるしよ。」

『ほう、そうなのか。・・・もしかしたら、マリーやイザナギの指導を受けているからかもしれないな。』

「は?・・・確かに、イザナギさまからは勉強を教えて貰ってるが、マリーちゃんには別に勉強は教えて貰ってないぜ?」

『しかし、“修業”は受けているだろう?イザナギの話だと、ペルソナ能力者は集合的無意識と繋がっているのだそうだ。そこには、膨大な量の人々の記憶とか記録が蓄積されている、らしい。で、そこには当然、戦い方に関する知識や技能も存在するから、俺達はそれによってシャドウと戦う事ができた訳だ。もっとも、イザナギの発言によれば、達人や名人達の知識や技能を引き出せても、それらを完全に自分自身のモノとするには、やはりそれなりの修練を繰り返す必要があるらしい。だから俺達も、最初の頃と最後の方で、その実力が段違いになっているんだ。』

「ほぉ〜ん。そうなのか。てっきり、それってペルソナ能力によるモンだと思ってたぜ。」

『それも間違っていない。そもそもペルソナ能力に目覚めなければ、超人的な力を発揮する事もできないからな。で、集合的無意識には、当然ながら、他の様々な知識についても存在しているから、その中には学問に関するものもある筈だ。そして、“修業”によって霊力を増しているだろう陽介達は、以前よりもそれらにアクセスしやすい状態にあるんだと思う。』

「なるほどなぁ〜。」

 

・・・そう考えると、実は腑に落ちる点があったりする。

それは、相棒の完璧超人ぶりについてであった。

 

今まであまり気にしなかったが(まぁ、相棒だしな、で済ませていたが)、よくよく考えてみれば相棒のスペックは明らかにおかしいからな。

 

しかしそれが、実はペルソナ能力の恩恵によるものだと仮定すると、色々と納得がいく。

ま、相棒の場合は、素のスペックも凄いんだろうがな。

 

『おっと、少し長話をしてしまったな。勉強の邪魔になるかもしれないし、そろそろ切るぞ?』

「りょうか〜い。じゃ、また何かあったら連絡しろよ?こっちも連絡するし。」

『分かった。じゃ、またな。』

「おう。」

 

そう言って、俺らは電話を切った。

さっきも言ったが、お互いに受験生でもあるからな。

 

ま、相棒の場合は特に問題ないだろうが、いくら学力が上がってる(様な気がする)とは言っても、俺はまだまだだから、それに対する気遣いだろう。

 

さて、その気遣いを無駄にしない為にも、俺も頑張りますかねぇ〜!

 

・・・

 

5/5

 

今日は“こどもの日”だ。

だと言うのに、いつもの様に忙しい堂島さんは朝から仕事であり、菜々子ちゃんはさみしい思いをしていた。

 

まぁ、今はマリーちゃんがいるし、菜々子ちゃん自身も小さいながらに堂島さんの仕事の大変さ、そして大切さがよく分かっているのか、“菜々子、平気だよ。”とは言っていたのだが、いかんせん、俺らはお節介揃いだからな。

 

って訳で、別に何をするワケでもないのだが、菜々子ちゃんとマリーちゃんを誘って、外に遊びに出ていたりする。

ま、行き先はいつも通り、ジュネスのフードコートなんだがな。

 

それでも、本当に菜々子ちゃんはジュネスが好きらしく、屈託のない笑顔を浮かべていた。

正直、相棒がシスコンになるのも分かる気がするぜ。

 

「ところでさぁ〜。皆、“マヨナカサイト”って知ってる?」

 

一通り駄弁って後、唐突に里中がそんな事を言い始める。

 

「“マヨナカサイト”・・・?何すか、そりゃ?」

「あ、いや、私も噂を聞いただけなんだけど、そういう“裏サイト”があるらしーいんよ。」

「“裏サイト”についちゃ、俺も聞いた覚えがあんな。だけど、“マヨナカサイト”ってのは初耳だぜ。」

「・・・何だか、“マヨナカテレビ”に名前がそっくりだね。」

「都市伝説と言うのは、多少のおひれがつくモノですからね。もしかしたら、その“マヨナカサイト”の噂も、“マヨナカテレビ”から派生した可能性がありますね。」

「そういえば、他の都市伝説なんかも似た様な話が多いもんねぇ〜。」

「ま、人ってのはそういう話が好きなのかもしんないね。で、千枝。その“マヨナカサイト”って、具体的にはどんな話なの?」

「あ〜、それなんだけどさぁ〜。ほら、前の“マヨナカテレビ”って、雨の夜、午前0時に電源の入っていないテレビを見ると運命の人が映る、ってヤツだったじゃん。」

「ああ。結局、その噂もテキトーなモンだったけどな。確かに、雨の日にテレビが映ったのはホントの事だが、運命の人どころか、被害者やシャドウが映っただけだもんなー。」

「それに対して、“マヨナカサイト”は、深夜にだけ現れる謎のサイトがあって、それを見付けてアクセスできた人は夢が叶う、って内容らしーんだよね。」

「・・・似てる様な、似てない様な内容ですね。言ってしまえば、眉唾な内容ですし、いかにも都市伝説、と言う感じですが・・・。しかし、“マヨナカテレビ”の事も鑑みると、ただの都市伝説と片付けるには早計な感じもしますね。」

「だよねー。“マヨナカテレビ”みたいに、そこにどんな裏事情があるかも分かんないし。」

「実際、イザナギさまからも警告も受けてるからなー。このタイミングでそういう噂が出てるのって、やっぱり悠を狙ってる連中が仕掛けた可能性が考えられる、か。ちょっと調べた方がよさそうだな。」

 

俺の言葉に、皆が頷く。

 

「けど、どうするっすか?いかんせん、内容が曖昧過ぎっしょ。」

「確かに。条件としては、割と緩い感じもしますが、にも関わらず里中先輩に聞くまで僕はその存在を知りませんでした。と考えると、偶然そこに辿り着く事は困難なのではないでしょうか?」

「ま、今やネットサーフィンなんて当たり前にやるモンなー。簡単にそこに辿り着いちまえば、もっと色んな噂が飛び交っていても不思議じゃねぇ〜し。」

「・・・もしかしたら、特定のURLを知ってるとか、パスワードが必要なのかも。」

「なるほど・・・。それはありえそうですね。それが“裏サイト”と似たようなモノだと仮定すれば、普通の検索機能には引っ掛からない様にしている可能性はあります。特定の人々だけが使用したり、閲覧できる仕組みなのかもしれませんね。」

「だけど、そうなると、見付けるのはかなり困難じゃねーの?」

「・・・いえ、そんな事はないかもしれません。以前ならば、地道に聞き込みをする必要があったかもしれませんが、今の僕らには、久慈川さんやマリーさんがいますからね。」

「えっ!?わ、私?」

「・・・私もなの?」

 

直斗の言葉に、りせとマリーちゃんが目を丸くする。

 

「ええ。鳴上先輩の話だと、久慈川さんのペルソナはとてつもない情報処理能力を有しているそうです。基本的には、僕らは“マヨナカテレビ”内のそれしか目にした事はありませんが、先輩は向こうで犯罪捜査なんかに活用しているそうですし、先輩でそれなら、本来のペルソナの持ち主である久慈川さんなら、もっと複雑な情報処理が可能かもしれません。」

「けど直斗くん。そうは言っても、何の手掛かりもなく見付けるのは、流石に難しいと思うよ?ほら、以前の時も、ある程度の情報は必要だったよね?」

「今んとこ分かってんのは、そういうサイトがあるらしい、って事だけだもんなー。」

「それについては、先輩も、ある程度の情報は必要だろうも言っていました。向こうでも、断片的な情報を頼りに、捜査の足掛かりにしているとの事でしたからね。そこで、マリーさんの出番です。マリーさんは、曲がりなりにも神様の一柱ですから、ある程度の情報を集める事は容易いでしょう。僕らが、ただ闇雲に歩き回るより、効率は良いでしょう。・・・まぁ、探偵の僕が、それを言ってはいけないかもしれませんけどね。」

「確かにな。」

 

要は、オカルト的な力に期待している、って事だからなー。

科学的根拠を積み重ねる探偵がそれを言っちゃおしまいだが、しかし、俺らはその力を知っている。

 

それに、少なくとも“マヨナカテレビ”ってマジモンのヤベーモンを知っている俺らからすると、手段は選んでらんねぇーわな。

その“マヨナカサイト”がどの程度ヤベーモンかは分からないが、仮に“マヨナカテレビ”並みに厄介な代物なら、相棒や菜々子ちゃんの事は抜きにしても、最悪この街がヤベー事になるかもしれねぇ〜し。

そして、それを何とかできんのは、今んとこ、俺らしかいねぇ〜かもしれねーワケだし。

 

「う〜ん・・・。一応やってみるけど、あんま期待はしないでよ?私は、情報処理は専門じゃないし、イザナミから引き継いだ力もまだ上手く使えないし。」

「ええ、それはもちろん。少しでも手掛かりが掴めれば、それで良いのですよ。」

「ま、いざとなりゃ、また足で稼ぐぜ。センパイがいねぇ〜から、上手くやれるかは分からんけどな。」

「マリーちゃん、何かするの?」

「そうだよ。お姉ちゃんは、“占い”が得意なんだぜ。」

「へぇー!!凄いね、ま・・・、お、お姉ちゃんっ!!!」

「ぐはっ・・・!!!」

「おおーっと、ここでナナチャンの極上スマイルがマリーちゃんを襲うクマー!マリーちゃんにクリーンヒット!!」

 

俺らが難しい話をしていたので、クマと別のお話をしていた菜々子ちゃんだったが、マリーちゃんの事には興味があったのか、そんな風に会話に入ってくる。

それに、俺が誤魔化す様に“占い”って言ったのだが、それよりも菜々子ちゃんは、“お姉ちゃん”の方が気になったらしく、はにかんだ笑顔でマリーちゃんの事を“お姉ちゃん”と呼んだ。

 

端から見てる分にも、あまりの可愛らしさにキュンとしてしまうが、当の呼ばれた本人であるマリーちゃんには、クマの言う通りクリーンヒットだったらしい。

 

さっきも言ったが、そりゃ相棒もシスコンになるわ、っていう凶悪さである。

もちろん、菜々子ちゃん的には、マリーちゃんを慕って、そう呼んだだけなんだろうけどな。

 

「な、菜々子ちゃん・・・おそろしい子!!!」

「・・・私は、ちょっと、菜々子ちゃんの将来が心配だな。」

「多分、素でやってるんだろうけど、その分色んな人を勘違いさせちゃうかもねー。」

「ま、まぁ、それが菜々子ちゃんの魅力なんでしょうが、男の子を魅了する“魔性の女”になってもいけませんからね・・・。それとなく、堂島さんや先輩にも注意する様に言っておきましょう。」

 

「・・・嫌だった?」

「嫌じゃないよっ!むしろ嬉しいっ!!」

「そーなんだっ!良かったっ!!」

「っ!!見ててね、菜々子。お姉ちゃん、頑張るからねっ!!」

「うん、頑張って、お姉ちゃんっ!!」

 

「な、何か、マリーのヤツから、とんでもない“オーラ”が感じられるんすけど・・・!?」

「ま、まぁ、やる気になってくれたんならいいんじゃねーの?」

「ナナチャンパワーは今日も健在クマねー。」

 

思わぬ応援もあってか、マリーちゃんの身体から、まだ修行開始した程度の俺らにも感じ取れるほど“オーラ”が集まっていた。

菜々子ちゃんは、天性のバフ持ちなのかもしんねぇ〜な。

 

そんなこんなで、菜々子ちゃんのお陰もあって、やる気十分となったマリーちゃんから、“マヨナカサイト”に関する情報がアッサリともたらされる事となったのであったーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。
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