続きです。
短いですが、陽介側の話は一旦ここで終了です。
一応、幕間話兼伏線って感じですね。
その内、本格的に彼らが活躍する話も出てきます。
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魔術師side
「んで?それからどうなったん?」
「どうもこうもありませんよ。その場でとある人物を紹介されて、その後○○は帰りました。残された僕とそのとある人物は軽く話をして、この謎のアプリを渡されて別れましたね。」
「・・・よく分からんが、ともかくお前が無事でよかったぜ。」
「途中、直斗くんを見失った時は焦ったよねー。」
「尾行には警戒していた様ですね。ま、それでも、久慈川さんの
「まーねー。」
翌日、ゴールデンウィークは終わったが、今日は土曜日だったので、引き続き休みであった俺らは、いつものフードコートに集まってそんな会話を交わしていた。
お気付きの通り、“マヨナカサイト”の噂を探り、半グレ集団の末端に接触したのである。
「しかし、やはりマリーさんの力は凄いですね。まさか、全く別人の様に見た目を偽装できてしまうとは。僕も、探偵としてある程度の潜入工作は慣れているつもりでしたが、これほどの技術があれば、もっと仕事がはかどるかもしれません。」
「そうなの?私は、ただ言われた通り
「ほえ〜。やっぱりマリーちゃんって、なんだかんだ神様なんだねぇ〜。」
半グレに接触したのは、これは一番俺らの中でそういう事に慣れていた直斗が担当。
ただ、やはり変装は必要だろう、という事でマリーちゃんに相談すると、アッサリ直斗の見た目を全くの別人に偽装してくれた。
その後、沖奈市に向かい、りせの情報から○○という半グレの末端中の末端に接触し、そのまま半グレの連中に接触に成功したのである。
ま、俺らも一応尾行していたんだが、途中で見失うというトラブルがありつつも、それもりせのお陰でことなきを得た。
そして、その成果が
「しかし、よく分からんな。結局、“マヨナカサイト”ってのは何だったんだ?」
「おそらく、全くのデタラメでしょうね。そんなサイトはどこにもなく、まさに“都市伝説”、というヤツだったのでしょう。」
「けど、それじゃあ、何でその連中はそんな噂を流していたんだろ?」
「おそらくですが、“撒き餌”、ではないかと。」
「“撒き餌”?」
「ええ。割とよくある手法なんですが、人を集める常套手段なんですよ。」
「人を集める為?」
「ええ。例えば、広告なんかを想像してみてください。ああいうのは、購買意欲を刺激して集客効果に期待して打ち出すモノですよね?それと同様の効果が、“マヨナカサイト”にはあるのですよ。所謂“口コミ”ですね。」
「それが、例の噂か・・・。」
「ところが、彼らは半グレ集団ですから、表立って広告を打ち出す事はできません。そこで、あくまで都市伝説的な噂をばら撒く事で、真の
「・・・どういう事?」
「“夢”というのは、人によっては強烈な願いです。それを叶える為には何でもする、って人も中にはいるのですよ。そして、そういう人達こそ、半グレ集団にとっては絶好のカモなんです。最初は、うまい事を言って相手の信用を得て、徐々に逃げられない様にします。そして、最終的には全てをむしり取ろうとする。」
「・・・確かに、業界でも似た様な話を聞くよ。ま、あれは大抵偽物なワケだけど、芸能人になりたい、って娘は結構多いから、変な人に引っ掛かって、お金を騙し取られるとか、身も心もボロボロにされる、とかね。」
「胸糞悪りな・・・。」
完二がそう呟いた。
これに関しては、俺らは全員同じ気持ちだった。
「まぁ、連中の狙いは何となく分かったが、それでどうしてこんな
俺は、改めて直斗が回収してきた謎のアプリを指してそう言った。
「・・・おそらくですが、依存性の高い電子ドラッグか何かなのではないでしょうか?久慈川さん、マリーさん。何か分かりませんか?」
「う〜ん、詳しい事は何とも・・・。けど、何か不思議な力を感じるよ。」
「私も同じく詳しく事はちょっと・・・。ただ、何らかの“
「なるほど・・・。では、やはり鳴上先輩を狙う連中が仕掛けた可能性が、ますます高まりましたね。」
「多分ね。」
そんな会話を交わす直斗とマリーちゃん。
その中で、聞き慣れない単語が出てくる。
「なあ、直斗。その“
やはり気になったのか、完二はそう直斗に聞いた。
「“
「なるほどな・・・。」
よく分からんが、
それなら確かに、ただの半グレ集団がそんな力を持ってるのは明らかにおかしいから、直斗の言う通り、その背後に相棒や菜々子ちゃんを狙う連中が潜んでいるのはほぼ確定だろうな。
「んで、これからどーするの?」
「色々分かった事もあるけど、決定的な証拠にはならないよね?やっぱり、その半グレ集団を燃やす、とか?」
「燃やすなっ!最近、考え方が物騒だぞ、天城。」
「冗談だよ・・・、半分は。」
いや、半分は本気なんかいっ!
「た、確かに、犯罪の証拠でもないと半グレ集団を検挙する事は困難でしょうね。まぁ、天城先輩の言う通り、半グレ集団同士の抗争に見せ掛けて潰す、というのも一つの手ではありますが、それは最終手段です。最悪、鳴上先輩らを狙ってる連中は逃げおおせてしまうかもしれませんし、下手したらこちらが悪者になってしまいますからね。まだ被害者も具体的に出ていない現状では、下手に手出しするのは控えた方が賢明でしょうね。」
「・・・チッ。」
「んだよ、つまんねぇ〜な。」
直斗がそう言うと、天城はかすかに舌打ちをし、完二はつまらなそうにそう呟いた。
・・・何とも血の気の多い事である。
「・・・何か、雪子が怖いんだけど。」(ヒソヒソ)
「ああ・・・。ストレスでも溜まってんのかね?」(ヒソヒソ)
「けど、歯痒いよね。結局は、何か起きないと手出し出来ない、ってのはさ。」
「それは確かに僕も感じています。基本的に警察当局や探偵は、具体的な事件が起きてからでないと動きません。いえ、もっと言うと動けないのです。もっとも、ある程度の注意喚起、例えば、詐欺に対する啓蒙活動なんかでそれを未然に防ぐ活動もしてはいますが・・・。」
「ある程度の効果はあっても、それで完全には防げる様なモンでもないもんねー。」
「・・・ええ。」
少し苦々しい顔で直斗は頷いた。
・・・直斗は直斗で、自分の立ち位置に、何か思うところがあるんだろーな。
「け、けどさ。今回は都合良く、このアプリが手に入ったワケだし、何かの役には立つんじゃない?」
「そうですね。これの危険性が解析できれば、警察当局も事前に手を打つ事が可能かもしれません。少なくとも、間違いなく初動は早くなるでしょうね。」
「とりあえず、これの中身を確認しておく?」
「・・・マリーさん。」
「・・・多分、キミ達なら大丈夫だと思う。ただ、念の為に各自のペルソナを憑依状態にしておいた方が良いかもね。それと、周囲に影響がない様に、私が結界を張っておくよ。」
「助かります。では、皆さん、準備は良いですか?」
「オーケー。」
「いつでもいいよ。」
「鬼が出るか蛇が出るか・・・。」
「いつでもいいぜ。」
「うん、大丈夫。」
「クマもオーケークマー。」
「・・・。」(コクリ)
俺らは、一斉に頷いた。
(ちなみに、今日は菜々子ちゃんは小学校のお友達と遊びに出かけている。
マリーちゃんが神様的パワーで見守っているので、離れていても安心だろう。)
俺らとマリーちゃんの準備が整った事を確認すると、直斗はその謎のアプリを操作する。
(こちらもちなみに、この謎のアプリを入れたスマホは、直斗のプライペートのスマホとは別に用意した物らしい。
マリーちゃんの協力のもと、半グレと接触した少女が所持していたスマホ、というカバーストーリーをでっち上げた様である。
名義もその少女の物、という細工が施されているので、直斗に繋がる情報は一切ない様である。
ここら辺は、流石は神様的パワーといったところである。)
遠目に見えた中身は、某SNSに似た様な感じだった。
おそらく、メッセージのやり取りなんかができるヤツだろう。
その中に、一つだけメッセージがポツンと置かれている。
それを直斗がタップすると、
〜♪
「これは・・・?」
「音楽・・・?」
「聞いた事ない曲だね・・・。」
「何だか不思議な旋律・・・。」
おもむろに、何かの曲が流れ始める。
これに何の意味があるんだろうか?と、俺らは不思議な音楽を聞きながら、頭を悩ませるのであったーーー。
・・・
番長side
『っつ〜ワケなんよ。』
「それで?何か分かったのか?」
『いや、それが全然。あ、それと、その音楽入りのメッセージは、何か消えちまった様だな。直斗が言うには、時間で消える様に設定していたみたいだ。一応、そのデータもコピーしておいたんだが、こっちも直斗が言うには、何らかの効力は失われているだろう、って事だった。そうじゃなきゃ、無限に増殖しちまうし、それだとその半グレ連中の旨味がない、ってよ。』
「直斗くんの意見は正しいと思うよ。多分、コピーしちゃうと“
「・・・何かのドラッグみたいだな。」
「おそらく、それに近いかもね。で、マリーは何て言っていた?」
『あ、いや、それが、よく分からない、と。』
「ふむ。ま、彼女も神様としては未熟だからねー。それに、神様にも専門分野があるし・・・。じゃあ、そのコピーしたのでいいから、僕らにも聞かせてくれないかな?」
『いいっすよ。これっす。』
〜♪
ハンズフリー通話にしていた俺のスマホから、不可思議な旋律が流れ始める。
「う〜ん・・・?」
俺には、ただの音楽にしか聞こえないが、イザナギは何か眉をひそめて唸っていた。
・・・これは、コイツにも分かってないのではなかろうか?
『何か分かりますか?』
「いや、ごめん。そういや、僕も、音楽関係は専門外だったよ。」
ズルッ。
ノリの良い陽介の、電話越しのズッコケる様子が伝わってきた。
「・・・けど、確かに何かの
『そうっすか・・・。』
「ただ、明らかに一般人では作り出せない様な代物が出回っている以上、キミらの見立ては正解だろうね。その半グレの裏には、悠くんや菜々子ちゃんを狙う連中がいるのは十中八九間違いないね。それが分かっただけでも、大きな成果と言えると思うよ。」
『そ、そうっすか・・・?』
イザナギの褒め言葉に、分かりやすく明るい声を上げる陽介。
「いるかいないかも分からない、どこから狙ってくるかも分からないより、ある程度狙いが絞れていた方が、こちらも警戒しやすいからね。ただ、これ以上は踏み込まないのが吉だとは思う。」
「どうしてだ?ここまで分かってるなら、奴らをキッチリ排除した方が良くないか?下手したら、これの被害者が続出してしまう恐れもあるのに。」
『・・・。(ウンウン)』
「直斗くんの言う通りさ。あくまでこのアプリの内容が変だってのは、僕らだから分かる事だ。普通の人達にとっては、音楽をばら撒いてるだけだから、ここでキミらが何らかのアクションをしてしまった場合、キミらの方が悪者になりかねない。それは、もしかしたら向こうの思うツボかもしれないよ?少なくとも、万が一それでキミらが捕まる事にでもなれば、菜々子ちゃんの周囲が手薄になる訳だからね。ま、それでもマリーがいれば何とかなるかもしれないけど、いくら神様と言っても、それを何とかできる方法が向こうにはあるかもしれないしね。」
「・・・なるほど。」
『・・・確かに。』
慎重に動かなければ、逆にこちらが罠にハメられる可能性もあるのか・・・。
そういえば、こういう事は美神さんや横島が得意とするところだなぁ・・・。
『って事は、イザナギさま的には・・・。』
「しばらくは様子見だね。もう少し詳しい事が分かれば、少なくともこのアプリの内容が科学的にもマズい代物だと立証できれば、警察当局を動かす事ができるかもしれないけど・・・。今のところ、オカルト的な証拠でしかないからねぇ〜。」
「こちらの様に、向こうの世界ではオカルトは一般的に認知されている事象じゃないから、か。」
「そういう事。」
・・・中々歯痒いものだな。
しかし、先程のイザナギの話も納得である。
下手な正義感だけで動いてしまった場合、最悪自分の一番守りたいものを守れない可能性もある。
時には心を鬼にして、そこら辺を割り切る必要があるのだろう。
「ま、そう難しく考えないで。仮に被害者が出たとしても、それはその人の自己責任だよ。何せ、こちらの世界と違って、向こうの世界ではオカルトは一般的な代物じゃない。今回の場合だって、半グレ集団に接触しない限り、普通の人がこのアプリを手にする可能性はほぼ皆無なんだ。つまり、被害を受けるという事は、自ら危険の中に飛び込んだって事だから、キミらが責任に感じる事じゃない。ま、それを承知の上かどうかは知らないけど、ね。」
「・・・。」
『・・・。』
そう締め括ったイザナギに、俺と陽介はただただ黙り込むのだったーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると嬉しく思います。