P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

ちなみにですが、番長の性格は原作やアニメなんかより、もう少しギャグテイストが入っています。
ま、GS世界に行く以上、そこら辺は避けられませんからねー(笑)。


状況説明と交渉

 

◇◆◇

 

番長side

 

門を抜けると、そこは銭湯だった。

・・・何を言ってるかよく分からんと思うが、俺も実はよく分かっていない。

 

先程の門も、造り自体はしっかりしていたが、“この門をくぐる者 汝 一切の望みを捨てよ 管理人”という謎の注意書きがあったくらいだからな。

ここに居る人達は、普通とは違ったセンスを持っているのかもしれない。

 

「それで、当修業場にはいろんなコースがありますけど、どういう修業をお望みですか?」

「あ、いや、それなんだけどね?ボクら、別に修業に来た訳じゃないんだよ。少し、孫くんに用があってね。」

「・・・はい?」

 

赤髪の女性が、銭湯の入り口で振り返りそう問い掛けると、イザナギが申し訳なさそうにそう返した。

訝しげな表情の女性に対して、猿顔の男性(ってか、普通に二足歩行しているし、何ならさっき言葉も話していたが、完全に猿だろう、どう見ても)は訳知り顔で頷いた。

 

「分かっておるよ、ナギ。ってか、お主、随分と久方ぶりだのぅ~。」

「あ、こんなナリでも分かる?」

「お主、もうボケたのか?そんなモン神気で分かるわい。ワシらには、外見などあってない様なものだからのぅ。」

「そりゃそーだ。それと、ボクはボケてないよ。何だい、人を年寄り扱いしちゃってさ。」

「立派な年寄りじゃろうに。ま、それはお互い様じゃがのぅ。」

「えっと・・・、老師。こちらの方とはお知り合いで?」

 

何だか親しげな二人の様子に、赤髪の女性も困惑した様に猿顔の男性にそう問い掛けた。

 

「おお、そういえば小竜姫は会った事なかったかのぅ~。まぁ、こやつは神道系の存在じゃから、それも無理はないがの。ワシら、これでも仏門の存在じゃし。それに、そういえばお主はまだ年若い神じゃったか。」

「ええ、まぁ・・・。」

「こやつは、イザナギ。この国の始祖神の一柱よ。」

「え゛っ・・・!?」

「初めましてお嬢さん。イザナギです。」

 

簡単に自己紹介をするイザナギに対して、赤髪の女性はピシッと固まった。

・・・何だろうか?

 

「イザナギって誰でちゅか?」

「あぁ~、俺もあんまり詳しくないんだが、確か日本神話の偉い神様じゃなかったかなぁ~?」

「ふぅ~ん。」

「え、偉いどころの騒ぎではありませんよ、横島さん、パピリオ!この国の基礎を築いた尊い御方ですよ。本来ならば、神族上層部にもその名を連ねていてもおかしくないほどの御方だと言うのにっ・・・!」

「まぁ、こやつはそういうのに興味ないからのぅ~。それに、随分と昔に楽隠居しておった身じゃしの。」

「色々あって疲れちゃってたからねぇ~。主に、イザナミとかスサノオとか。」

「半分はお主の責任もあろうに・・・。」

「ハハハ、まぁ~ねぇ~。」

「地上から姿を消した神様、ってトコすか?確か、シロん時の女神アルテミスもそんな感じだったけど・・・。」

「キミ、中々詳しいねぇ~。まぁ、そんな感じに捉えてくれれば良いよ。」

「・・・しかし、そんな御方が妙神山に何のご用でしょうか?」

「久しぶりに孫くんに会いに来た、ってのは半分冗談で、実は折り入ってお願いしたい事があってねぇ~。」

「・・・ふむ。」

 

俺は、会話に全くついていけなかった。

まぁ、ここででしゃばる必要もないので、大人しく黙っていたが。

 

「ま、立ち話も何じゃ。長話になりそうじゃし、落ち着いて話をしようではないか。」

「そうだね。」

 

・・・

 

「ほぅ、そんな事があったのか・・・。」

「それで、そちらの鳴上さん?、の庇護を求めてこちらに?」

「まぁ、概ねそんな感じだよ。」

 

この妙神山には、銭湯とは別に普通に生活空間があり、そこでイザナギは事の経緯を説明していた。

まぁ、その間に、色々と衝撃的な事は起こった訳だが。

 

例えば、出会い頭にこの横島と名乗った男から、謎の呪いをかけられたりとか。

 

“イケメンは敵じゃ~!!!”

“ぐ、ぐはぁぁぁぁ~っ!!!”

“止めんか、バカタレッ!ったく、進歩のない。”

“進歩しとる!呪いがかかる様になっとるぞ!!”

 

実は、この猿顔の男性が、あの斉天大聖孫悟空だったとか。

 

“えっ、あの有名な孫悟空なんですかっ!?”

“まぁ~のぅ~。やっぱり、ワシって有名なんじゃなぁ~!”

“『西遊記』は有名っすからね。ま、最近は、孫悟空っても、全く別の存在を思い浮かべる奴も多いっすけど。”

“・・・それ以上はいけない。(ヒソヒソ)”

“・・・分かっとるわ。俺もそんな危ない橋を渡る真似はせん。(ヒソヒソ)”

“???”

 

また、この赤髪の女性が神様で、こちらの菜々子くらいの女の子が魔族、ってのにも驚いた。

 

“じゃあ、ここには俺と横島さんしか人間はいないんですか!?”

“そうじゃよ。”

“はぁ~。”

“おい、鳴上。横島でいい。聞けば、お前俺と同い年なんだろ?”

“え、ああ。今年で高校三年だ。ま、無事に進級できれば、だけどな。”

“何だ、お前も落第ぎりぎりのクチか。あんだよ。案外気が合うかもなぁ~。”

“い、いや、そういう訳では・・・。”

“隠すな隠すな。何だ、お前イケメンだけどいいやつだな!ヌハハハハ!!”

”は、ハハハハハ。”

 

横島さん、もとい横島と、妙な友情が芽生えたりした。

ま、それはともかく。

 

「・・・えっと、ちょっといいっすか?」

「何だい?横島くん、だったよね?」

「そうっす、イザナギさま。で、ちょっと不思議に思ったんすけど、その、八十稲羽市?、でしたっけ?って、日本にそんな地名ありましたっけ?いや、単に俺が知らないだけかもしれないっすけど。」

「っ!?」

「それに、その“マヨナカテレビ”云々はともかく、最近は俺もニュースはちゃんと見る様にしてるっすから、不可解な事件が起こった事は、ちょっと前の話でも何となく覚えてる筈なんすけど・・・。」

「・・・どういう事だ?」

 

俺は、イザナミの方を見る。

 

「あー、それは簡単だよ。ここは、()()()()()()()()()()()()()だからさ。」

「「なっ・・・!?」」

「ふむ、やはりか・・・。」

「・・・。」

「???・・・どういう事でちゅか?」

「簡単に言うと、並行世界(パラレルワールド)だね。同じ様な世界でありつつ、ほんの少し()()が違っている世界。ボクらはそこからやって来たんだよ。だから、横島くんが八十稲羽を知らなくとも無理はない。()()()()にはそうした地名自体ないのかもしれないしね。」

「ふぅ~ん・・・?」

「いやいや、そんな問題じゃないだろっ!?色々あって、大抵の事じゃ驚かない自信があったが、まさか別世界に迷い込んでしまった、ってのかっ!?」

「いやいや、ちゃんと意図的に来たよ?()()()()にも戻れるから安心して。」

「そういう問題じゃっ・・・!」

 

「って事は、鳴上は俺らの世界とは別の世界から来たって事か・・・。まぁ、特にこの世界じゃ世の中何でもありだし、そこはそこまで驚くべき事じゃねぇーけど。しかし、小竜姫さま。並行世界(パラレルワールド)を自由に行き来する事って簡単にできるモンなんですか?」

「普通は無理ですね。まぁ、我々神魔族には不可能な事ではありませんが・・・。それに、そうした現象自体が全くない訳でもありません。横島さんは、“神隠し”を御存知ですか?何らかの要因、例えば、地場や霊場の影響によって、人間が“世界”から姿を消してしまう現象です。大抵の場合、それに巻き込まれてしまった人間は、並行世界(パラレルワールド)へと飛ばされてしまうんですけど。」

「ほぉ~。」

「それに、“妙神山(ここ)”は霊的にかなり特殊な場所じゃ。神界と人間界を繋ぐ中継所の様な場所。ナギほどの力を持った神ならば、それを介して別世界からやってくる事も可能じゃろう。それに、言ってなかったかもしれんが、別世界からこの場所に修業にやってくる人間もたまーに居る事には居るしの。」

「そーなんっすか!?」

「ええ、まぁ。」

「ほぉ~ん。」

 

「まあまあ落ち着いて。別世界なら、流石にボクらの世界の神々と言えど、容易には手出しできない。それに・・・。」

「ワシらは()()を守護する存在。神道系の神々は、更にうかつには手出しできない、ってところか。」

「そうそう。流石に孫くんは理解が早いなぁ~。」

「・・・どういう事だ?」

「“神仏習合”と“神仏分離”、じゃな。日本というのは、中々不可思議な土地柄での。元々、神道と仏教は別々に存在しておったのじゃが、それが次第に融合していったのが“神仏習合”。そして、それをまた別々の宗教として捉え直したのが“神仏分離”じゃ。こうした事もあり、日本人は年中行事などにも見られる様に、色々宗教観などがごちゃ混ぜになっておる。クリスマス(キリストの誕生祭)を祝ったと思ったら、正月には神様、つまりは神道系の行事を行う、なんて事じゃな。で、しかし、あくまでかなり近しいとは言えど、今現在では神道系と仏教は分かれておる。まぁ、人間にはあまり関係ない話だが、ワシら神には関係大有りでの。仮に、神道系と仏教が対立する事があれば、それはこの小さな島国だけの問題ではなくなり、神界を巻き込んだ大騒動に発展しかねない。故に、お互い容易には手出しできんのじゃ。まぁ、そもそも、神道系とワシらでは、そこまで仲が悪い訳じゃないのだがの。」

「・・・はぁ。」

「それに、あくまで庇護を求めるのはキミだけさ。ボクも含めて仏門の庇護下に入ったら、流石にある種の裏切り行為ではあるけどね。」

「・・・道理で多少違和感があった筈じゃ。お主、別世界のナギであったか。」

「まぁ、ボクらには、そこら辺はあんまり関係ないけどねぇ~。」

「まぁ、それはそうじゃな。」

 

イザナギと斉天大聖老師はガハハと笑い合う。

 

「・・・ちょっと待ってくれよ?俺、()()?じゃあ、お前はどうするんだ、イザナギ?」

「ボクはもちろん元の世界に戻るよ?そもそも、根本的な事を解決しない事には、この問題が終息する事はないからね。」

「・・・つまり、お主は元の世界の神々と交渉をするつもりじゃな?」

「そうそう。早ければ、神無月、ああ、今の10月の事ね、で、神々は出雲国で大集結する決まりになっているから、そこを一つの山場と考えているよ。最悪、それまで預かって貰えれば良いよ。もっとも、何の根回しもなくその場に臨んだとしても、良い結果は得られないからね。」

「事前の仕込みは、まぁ、ワシら神にとっても重要じゃからな。」

「そゆこと。」

「・・・なるほど。」

 

・・・いや、まぁ、正直いまだに飲み込めてはいないけど、ここで騒いでも始まらないしな。

 

「まぁ、そんな訳で、悠くんの事、お願いしても良いかな?」

「・・・それで、ワシらにどんなメリットがあるっちゅーんじゃ?」

「えっ・・・?」

 

「うぅ~ん、老師、悪い顔しとるのー。まるで()()()()みたいだわ。」

「ハハハハハッ・・・。」

 

「それはナギ、お主らの世界の揉め事じゃろう?しかも、具体的にまだ何か起こった訳でもない。まぁ、可能性としては極めて高い事はワシも同意見じゃから、お主の行動自体は否定せんがの。しかし、それに手を貸したとなれば、ワシらも当事者となる訳じゃ。同じ仏門ならばともかく、お主は神道系の存在じゃしの?となれば、ワシらも先立つモンがないと、のぅ?」

「えー、おじーちゃんのイジワルー。お友達なんでしょー?助けてあげればいいーでちょー?」

「い、いやいや、パピリオや。ワシも、何もイジワルで言ってる訳じゃないんじゃ。しかし、ワシらとて人間界に駐留する神界の代表じゃし、仏門の守護者という立場もある。何でもかんでも、そうホイホイ請け負う訳にもいかんのじゃよ。」

「ま、そりゃそーだ。」

「老師の言う通りですよ、パピリオ。貴女がそんな風に心優しく成長している事は個人的に嬉しく思いますけど、大人の世界は色々と大変なのですよ?」

「ぶーぶー。」

 

「な、何だか雲行きが怪しいな。大丈夫なのか、イザナギ?」

「まあまあ、任せておいてよ。」

 

「ってか、鳴上。何だか妙にパピリオに気に入られてる様だな?」

「そうなのか?」

「ああ。あの娘は特別でな。見た目以上に幼く、また、他人にあまり関心を抱かないんだよ。特に、人間にはな。」

「そういう割には、お前には懐いている様に見えるが・・・?」

「ま、色々事情があってな。とりあえず、あの娘の兄代わりとしちゃ、なるべく仲良くしてやってくれや。」

「あ、ああ。それは一向に構わないんだが、それ以前の問題と言うか・・・。」

「ま、イザナギ様も自信ありげだし、何か秘策があるんじゃねーの?」

 

「で、どうなんじゃ、ナギや。」

「もちろん、タダで、とはボクも言わないさ。」

「ほぅ・・・。して、どんな取引材料があると言うんじゃ?」

「フッフッフッ・・・。」

 

イザナギは、自身ありげな表情を浮かべたあと、どこから出したのか、おもむろにとある物を掲げてこう言った。

 

「パラリパッパラァ~!最新ゲームハード&格闘ゲームソフトー!!」

 

だあっ!

俺は思わずずっこけそうになった。

 

「アホかー!小学生じゃあるまいし、そんなモンで心動かすヤツがっ・・・!」

「な、なにっ!!!???そ、そんなお宝をっ・・・!!!」

 

だあっ!

 

「いましたねー。」

「師匠はゲームに目がないからなー。」

「えっ!?そ、そんなんでいいですかっ!?」

「・・・さあ?」

 

「フッフッフ。孫くん。キミの事はよぉ~く知ってるんだよ。しかも、これはただの最新ゲームハードじゃない。言っただろ?ボクらは並行世界(パラレルワールド)から来た、ってね。つまり、これはこの世界にはまだ、いや、もしかしたらこの先も存在しないハードかもしれないんだっ!その希少性が、キミになら分かるだろう?」

「・・・。(ゴクリッ)」

「しかも、“妙神山(ここ)”なら、ボクがちょちょいと()()すれば、別世界のつわもの(ゲーマー)とも、インターネッツを介して対戦が可能だよ。」

「そ、そんな機能がっ・・・!?」

「それだけじゃない。言っただろう?ボクは一旦向こうの世界に戻るが、悠くんの事もあるから定期的に“妙神山(ここ)”にはやって来る事になるだろう。つまり、その時に別のソフトも用意する事だってできるんだっ!」

「お、おおっ!!!」

「悠くんを少し匿って貰えるだけで、キミはこれらを手にする事ができる。・・・悪い取引ではないと思うけど?」

 

「な、何だかえらくキンパクしとるなー。」

「ああ。内容はアホらしいが。」

「ハハハ・・・。」

「おじーちゃん達楽しそうーでちゅ。」

 

「それと、そっちの横島くんも、結構複雑な事情がありそうじゃない?ウチの悠くんは強いよー?多分、今の横島くんと同レベルくらいには、ね。同じくらいの年齢、しかも、同じ人間なら、修業もかなりはかどるんじゃないかな?(ボソボソ)」

「お、お主、どこでそんな情報をっ・・・!?横島に関する情報は、高度に制限されている筈っ・・・!(ボソボソ)」

「元々、ボクもこんな能力は持ってなかったけどねー。けど、今のボクは悠くんのペルソナでもある。人々の集合的無意識と関係性の高い今のボクは、“アストラル界”、つまり情報の海とも繋がっているんだよ。まぁ、普通の人間には、そこから情報を引き出すなんて事は、その圧倒的情報量からほぼ不可能なんだけど、神であるボクにはそんな制限はあってない様なモノだからねー。それに、本来それはあくまで向こうの世界のそれに限定されている筈だったんだけど、この世界は霊的にかなり満たされた世界だからか、こちらの世界の情報も意外とすんなり入手する事ができた。いくら制限を掛けてるって言っても、事情を知っている人間はいるだろうから、そこから、ちょいちょい、っとね。(ボソボソ)」

「お主、何でもありじゃなー・・・。(ボソボソ)」

「そうでもないさ。さっきも言ったけど、今のボクはあくまで悠くんのペルソナだから、この情報系の能力と引き換えに、本来の神としての力は制限されているからね。だから、悠くん自身も強いけど、そんな彼を抱えたままではボクも動きづらいんだよ。(ボソボソ)」

「・・・なるほど。(ボソボソ)」

 

「・・・で、どうする?」

「・・・あいわかった。鳴上をワシらのもとで預かろう。」

「そうこなくっちゃっ!」

「ちょっ、老師っ!?」

「まぁ、待て小竜姫。・・・しかし、あくまでワシが個人的に引き受ける、という事にしておく。ワシらにも少々事情があるもんでな。」

「了解了解。ま、いずれにせよ、こっちの世界に来られれば、かなり安全は確保できるからね。それについては文句はないよ。」

「と、言う訳じゃ。責任はワシが負う。お主は気にせんで良い。」

「・・・老師がそう仰るのであれば。」

 

「・・・何だか、俺ら蚊帳の外だなー。」

「俺なんて当事者なんだけどなー。」

「何だ、お前も“巻き込まれ体質”ってヤツかー。益々気が合うかもしれんなー。ヌハハハハ!」

「・・・笑っていいのか、これ・・・?」

「さあ・・・?」

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら、御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんで、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆していたりしますので、もしよろしければ、そちらもあわせて御覧頂けると嬉しく思います。
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