P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

少々説明が難しいのでゴチャゴチャしてしまいましたが、要は“とある改変をしている”、とだけ今は理解しておいて下さい。


カオスのラボにて

 

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番長side

 

「ほぉ〜。それでお主はGS試験を受ける事にしたんじゃな?」

「ええ、まぁ。ってか、そういえば美神さんや横島が、ドクターも以前にGS試験を受けたとか聞いた様な・・・。ドクターは、再び試験は受けられないのですか?」

「おぉ〜、そんな事もあったのぅ〜。ま、今はGSになるつもりはないの。元々、GS試験を受けたのも、極貧生活からの脱出を目的にしとったワケじゃし、他に稼げる手段があるならわざわざGSにこだわる必要はないしの。」

「・・・極貧生活?想像がつきませんね。今はこんな立派なラボをお持ちだと言うのに。」

「ま、色々あったんじゃよ。色々と、な・・・。」

「・・・。」

 

そう言うと、ドクターとマリアさんは、どこか遠くを見つめていた。

まぁ、人には人に言えない事もあるのだろう。

・・・そっとしておこう。

 

 

若干美神さんに乗せられた感はあるものの、なし崩し的にGS試験を受けると決めた翌日、俺はかねてからの約束を果たすべくこうしてドクターのもとを訪れていた。

一応、曲がりなりにもGS試験を受けるという事で、“異世界人”である俺の存在が、どのような影響を与えるか不安になった、ってのも理由の一つである。

 

ま、美神さん曰く、そこまで堅苦しく考えずに、健康診断程度の気持ちで行け、と言われていたりするが。

試験前に身体を崩していては元も子もないので、美神さんの言う通り、ちょっと変わった健康診断のつもりでもいた。

 

で、一通りの検査を終えて、そんな雑談に興じていたワケであるが・・・。

 

 

「よし。検査結果が出たぞい。」

「は、早いですね。普通はもっと時間が掛かるものでは?」

「儂は天才錬金術師じゃぞ?しかも、横島の小僧の協力を得て、今や全盛期に近い頭脳と肉体を取り戻しておる。この程度、朝飯前じゃわい。それに、マリアの情報処理能力は、その辺のスーパーコンピュータなんか目じゃないわい。」

「イエス。」

 

自信満々のドクターとは対象的に、マリアさんはアンドロイド、いやガイノイドだったかな?、つまり、平たく言うとロボットだから、表情は変わらないのだが、しかし、どことなく誇らしげな雰囲気が伝わってくる。

 

「ふむ・・・。しかし、中々興味深い結果じゃのぅ。いや、サンプルが少ないから、まだ何とも言えんのじゃが・・・。」

「・・・何か、問題でもあったんですか?」

「いやいや、お主の健康状態は極めて良好じゃよ。ただ、一点気になる点と言えば、明らかに“基礎霊力”の値が低い点かの・・・。」

「“基礎霊力”?」

 

聞き馴染みのないワードに、俺はオウム返しで聞き返した。

 

「うむ。この世界では、一般人でも霊力を持っておる。ま、それを実戦レベルに使いこなせる使い手となると、やはり一部の人間に限られてしまうがの。ほれ、ちょうどお主も受ける、GS試験に集まる様な連中じゃな。」

「ふむふむ。」

「ま、お主の場合は、“総合霊力”はそのラインを大幅に超えておる。まず間違いなく、一次審査は通るじゃろうな。」

「・・・しかし、元々持っていた、その“基礎霊力”は、こちらの世界の一般人よりも低い?」

「その通りじゃ。ふむ、中々察しが良いの。」

 

・・・ふむ。

 

「先程も言ったが、サンプルが少なすぎるから断定はできんが、お主の話なんかも勘案すると、おそらくお主の世界の人間は、全体的にこの“基礎霊力”が低いのだと思われるの。これは、こちらの世界とは違い、身近に悪霊や妖怪なんかの脅威がないからじゃろうな。」

「・・・なるほど。」

 

中々興味深い話だ。

 

「つまり、霊的な存在を一般的にも認知しているかどうかが、俺達の世界とこちらの世界の分かれ道である、と?」

「かもしれん。そう考えると、分岐ルートは比較的近代かもしれんの。」

 

確かに、俺達の世界では今はそうした存在を大真面目に信じてる人間の方が稀だろう。

もっとも、比較的近代までは、神々に対する信仰や伝承、迷信なんかが信じられていた訳だから、ドクターの話も納得できる。

 

・・・そういえば、イザナギも、こちらの世界は霊的な活動が活発である、とか何とか言っていた様な・・・。

 

「ま、いずれにせよ、中々面白い結果じゃ。とある一つの要素が原因で、一種の“進化”の方向性が変わったんじゃろうからな。もしかすると、これは今の研究に活かせるかもしれんのぅ・・・。」

 

ブツブツと呟くドクターに俺は、そういえば、と話題を変えた。

 

「ところで、ドクターは何を研究されているんですか?横島達の話だと、ドクターの研究は、各国政府や神魔族からも期待されているとか。」

「ふむ、よくぞ聞いてくれた!今の儂の研究テーマは、ズバリ“新たなる宇宙の創造”じゃっ!」

「“新たなる宇宙”?」

 

・・・また、大きく出たものである。

だが、ドクターが言うと絵空事には聞こえないのが不思議である。

 

「っつっても、別にこの宇宙の新たなる創造主になるつもりはないがの。儂、支配とか興味ないし、悪事が上手く行った試しもないし。」

「はぁ・・・。」

 

話が大きすぎて軽く困惑してしまった俺だが、ドクターがそうした野心を持っていなくてホッとしていた。

ま、どちらかと言うと、己の知識や知的好奇心を満たす為には手段は選ばないタイプなのかもしれないけど。

 

「しかし、また大きく出ましたね。“宇宙の創造”、つまりは、“新たなる世界の創造”、って事ですよね?」

「ところが、案外そうでもない。人間というのは、各々が自分の“世界”を持っとるモンじゃよ。ほれ、幼い子供が、時折空想の“世界”を生きとるのと同じじゃ。言うなれば、“想像力”、または“空想力”とでも言うのかの。これも、定義としては“新たなる世界の創造”に近いかもしれん。」

「・・・はぁ。」

「ま、小難しく考える必要はない。そうした意味では、作家などは、“本”などの媒体に、それぞれが独自の“世界”を築いとる、みたいな感じじゃ。で、今は、もっと簡単に、一つの“世界”を創り出せるツールがある。」

「・・・それは?」

「パソコンじゃよ。もちろん、ある程度の知識や技術は必要となるが、これを駆使すれば、比較的容易に“新たなる世界の創造”が可能となる。分かりやすい例が、“ゲーム”なんかじゃろうな。」

「なるほど。」

 

確かにそう考えると、“新たなる世界の創造”は、比較的簡単に実現できる事なのかもしれない。

 

「もちろん、儂の研究がその程度な訳もない。それならば、各国政府や神魔族の後押しがある訳もないしの。・・・ふむ、お主はどの程度まで言っていいものやら・・・。」

 

ドクターはそう呟くと、しばし熟考した末に口を開いた。

 

「ま、お主は異世界人じゃし、小竜姫達の庇護も受けとる訳じゃから、さして問題はないわな・・・。で、儂の研究の目的は、その“新たなる世界”を、現実の世界に落とし込む事なのじゃよ。」

「現実の世界に?」

「うむ。美神令子と共同開発した、例の“マジカル・ナイトメア・ツアー”も、その研究の一環じゃな。アシュタロスが滅んだ事で、完全なる“宇宙のタマゴ”も失われてしまったし、そもそもエネルギー結晶もない以上、大幅な改変は不可能となってしまった。で、そこで別アプローチじゃ。仮想世界、電脳世界を利用して、擬似的に“新たなる世界の創造”を実現しようとしとるんじゃよ。少なくとも、お主とも関わりの深いところの、人々の集合的無意識の()()を書き換える事には成功しておるがな。もっともこれは、わずかに残っておった“宇宙のタマゴ”を利用したプランじゃし、各国政府や神魔族の協力あって、初めて実現できた事じゃがの。」

「集合的無意識にっ!?」

「うむ。言ってしまえば、集合的無意識は情報そのものじゃ。実際に“世界”を創り出すより、情報を書き換える事の方が容易じゃからな。ほれ、実際に建物を建てるより、()()()()()()()方が簡単じゃろ?それと似たようなモンじゃわい。」

「は、はぁ・・・?」

 

ドクターの話は中々高度過ぎて、俺には上手く理解できなかった。

が、どうやらとんでもない事を、すでに仕出かした後らしい事は、何となく察していた。

 

「・・・しかし、なんだってそんな大掛かりの研究を?しかも、各国政府や神魔族まで関わってるとは・・・。」

「儂自身は単なる興味じゃ。言うなればこれは、世界の深遠に迫る研究な訳じゃから、儂の様な研究者にとってはそれ以上の理由は必要あるまい?もっとも、各国政府や神魔族にとっては、政治的価値以上の理由はないかもしれんがのぅ。ま、詳しい事は、流石に儂からは話せん。もし興味があれば、小竜姫あたりに聞いてみてはどうじゃ?もっとも、教えてくれるという保証はないがの。」

「・・・ふむ。」

 

興味がないかと言われれば、もちろん興味はある。

特に、向こうの世界で、真実を追い求めた身としては。

 

ただ、やはり小竜姫さま達にも都合があるだろう。

人には言えない事の一つは二つはあるものだし。

 

それに、純粋にこちらの世界の住人ではない俺が、そこまで踏み込んでも良いものか、という思いもあった。

 

「少しばかり検討してみます。」

「うむ、それが良かろう。儂が言うのもなんじゃが、知る事が必ずしも正しい道とは限らないからの。」

「ただ、もう一点だけ。先程、魔神アシュタロスがどうのと仰っていましたが、もしかして、横島達がたまに口にする、“例の事件”と関わりがあるのでしょうか?」

「ふむ、それも儂の口からは何とも言えんの。横島の小僧のプライベートにも関わる話じゃし。そっちも、もし興味があるのなら、小僧に直接聞いたらどうじゃ?こっちは、小僧が良いと言えば、もしかしたら教えてくれるかもしれんぞ?ただまぁ、聞く以上は、覚悟はした方が良いかもしれんがの。」

「そうですか・・・。」

 

 

その後、また遊びに来いと言われ、俺はドクターのラボを後にした。

その間も、俺はぐるぐると横島の事や、“例の事件”、アシュタロスなんかの事を考えていた。

 

短い付き合いではあるが、俺はこの世界や横島達にすでにかなりの親しみを抱いている。

もちろん、自分が異世界人であるという自覚はあるのだが、それでも、正直に言えば、もっと彼らの事を知りたいと思っていた。

 

ただ、やはり踏み込むにはかなりの覚悟がいるだろう。

少なくとも、場合によっては、友人の古傷をえぐる事にもなりかねないからな。

 

もしかしたら、そう遠くない未来に聞くべき時が来るかもしれないが、今はそのタイミングではないかもしれない。

いずれにせよ、今は目の前のGS試験に全力で臨む事としようーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
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