続きです。
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番長side
都内某所ーーー。
“令和5年度 ゴーストスイーパー資格取得試験 一次試験会場”
とデカデカと看板に書かれていた場所に俺は立っていた。
なんだかんだで、あっという間にこの日が訪れてしまった訳である。
「ついに来てしまった・・・。」
「ま、気張らず頑張んなさい。アンタならヨユーだろーけど。」
「そーそー。まだまだ未熟だった俺でさえクリアできたんだ。今のオメーならラクショーだろーぜ。」
「だといいんだが・・・。」
その場には俺一人ではなかった。
言い出した手前私も観戦する、と言った美神さんと、なら俺も、と言い出した横島も一緒についてきたのである。
ちなみに、シロとタマモは西条さんの仕事の手伝いでこちらには来ておらず、おキヌさんも先約がある、との事で今は別々に行動している。
その事が、美神さんや横島がここに来た本当の理由かもしれなかった。
「しかし、偶然よねぇ〜。ま、タイガーは分からんではないんだけど、まさか雪之丞のヤツまで今回の試験を受けるなんて・・・。」
「アイツ、つい最近闘龍寺に師事したばかりでしょーに。許可が降りたんすかねー?」
「ま、その辺は闘龍寺が判断する事だからねー。香港の一件で、アイツのブラックリスト入りは解除されてるワケだし。」
そうなのだ。
以前に会った伊達や、タイガーも今回の試験を受けるのである。
そうした訳で、おキヌさんは、伊達の応援に訪れた弓さんという方と合流し、試合を観戦するみたいなのである。
「あの二人は要注意ですね。ハッキリとした実力を知ってる訳じゃありませんけど、美神さん達の知り合いなら、只者ではないでしょうし。」
「ハッキリ言って、あの二人は頭一つ飛び抜けてるでしょうね。鳴上クンでも、当たったら試験突破は難しいかもね。」
「あの二人とは当たらねぇ〜事を願え。合格した後なら、勝っても負けても問題ねぇ〜だろーけど。」
「こればっかりは、クジ運だからねー。ま、運も実力の内だけど。」
「まぁ、ここまで来た以上は、やるだけやってみますよ。」
「その意気よ。じゃ、こっからは別行動だから、しっかりやんなさい。」
「とりあえず、一次試験はサクッと突破しちまえよ。試合場で待ってるぜ!」
「ああ。」
当然だが、試験会場に入れるのは、受験生と審判などの関係者だけだ。
それ故に、美神さんと横島とも、ここで別行動となった。
「よし、行くかっ!」
静かに気合を入れて、俺は試験会場へと足を踏み入れるのであったーーー。
・・・
「す、すごい人だな・・・。」
会場の中は、遠目に見るのとはまた違い、かなりの人だかりが集まっていた。
美神さんの話では、“霊能者”と呼ばれる人々の人口比率から考えて、例年でも大体二千人程度しか試験を受ける者はいないそうだ。
その中で、合格枠は32名。
まさに、狭き門な訳である。
しかし、今、目の前に広がる光景からすれば、二千人なんかとっくに超えている様に見えるな・・・。
と。
「よお、鳴上。お前もGS試験を受けるんだな。」
「な、鳴上サーン。」
その場に見知った顔が現れた。
言わずもがな、伊達とタイガーである。
「やあ、伊達にタイガー。」
「お前とは一回手合わせをしてみたかったから、願ってもないチャンスだぜ。」
「わっしは、わっしはキンチョーして・・・。」
「情けねえーぜ、タイガー。お前と渡り合えるヤツなんざ、この場には、俺ら以外じゃいねぇーよ。堂々としてやがれ。」
「そうは言うけどノー・・・。」
「もし、試合で当たる事になれば、その時はよろしく。」
「ああ。・・・けど、多分下手すれば、そのチャンスはかなりコマを進めてからになりそうだな・・・。」
「凄い人ですからノー。」
「今日は、どれくらい人が集まってるんだろうな?」
「詳しい事は俺も分からん。が、おそらく例年の二倍の人がいるのはまず間違いないだろうな。ま、詳しい事は説明してくれるだろ。とりあえず、一次試験を受けちまおうぜ。」
「ああ。」
「そうじゃノー。」
そう言うと、ある意味ライバル同士ではあるが、俺達は連れ立って試験会場に向かうのであったーーー。
「・・・ところで鳴上。お前の格好は何だ?」
「制服、みたいに見えるですケンノー?」
「ああ、これは前の学校の時に着ていた制服だよ。俺には、“霊衣”?、だっけ?、所謂“勝負服”がないからなー。」
そうなのである。
俺は、今、八十神高校の制服を着用していた。
ちなみに、伊達はおそらく闘龍寺のものと思わしき道着姿。
タイガーは、迷彩柄のミリタリーファッションである。
更にちなみに、“霊衣”というのは、己の力を高めるファッションなんだとか。
例えば、おキヌさんは神道系の使い手であるから、“巫女服”がこの“霊衣”に当たる。
ま、美神さんはいつものボディコンファッション。
横島はGジャンにGパンと、あまり霊能とは関係ない人もいるみたいだが、機能的なものだけじゃなく、要は自分が気合が入る格好が一番、らしい。
そう考えると、俺にとっては“マヨナカテレビ”を攻略した時の思い出もあって、この八十神高校の制服がもっともしっくり来たのである。
「ま、今回のルール上は、“霊衣”が持つ霊的防御力はあんま関係ねぇからなぁ。自分の気合が入るなら、それもアリだろ。んじゃ、行こうぜ。」
「ああ。」
「おう、ですケンノー。」
本筋とは関係ない話で脱線しつつ、改めて俺達は試験会場に足を踏み入れたのであったーーー。
・・・
やって来たのは音楽や演劇なんかをする、かなり広めのステージの様な場所だった。
ステージ上には、何かしらのテープの様なモノで、一本のラインが引かれていた。
これが、美神さんが言っていた、霊力の測定をする装置なのだろう。
「俺らは別々のグループみてぇだな。やっぱ、例年に比べても今年の参加人数はかなり多いみてぇだぜ。」
「その分、試合で当たるのもかなり先になりそうだな。」
「運が良いんジャー。とりあえず、エミさんにシバかれずにすみそうですケン。」
「横島といい、お前といい、ちょっと上司がドS過ぎんだろ・・・。」
「・・・。」
タイガーの独白に、俺と伊達は軽く引いていた。
以前に会ったエミさんは、かなり品の良い感じの女性だったが、ま、確か美神さんのライバルって話だしな。
所謂、“類友”ってヤツだろう。
『私語は慎むように。それでは、これより一次試験を開始します。お渡しした番号札に従って、順次試験をします。まず、1〜100番の番号札をお持ちの受験者は、ステージ上に集合して下さい。』
「おっと、俺だな。じゃ、お先に。」
「わっしが763番じゃから、随分と先ですケン。」
「俺に至っては、3986番だぞ。最後の最後かも・・・。」
16番の札を持っていた伊達は、早速ステージ上に上がっていった。
これは、かなり長丁場になりそうである・・・。
ここからは、特に何も語るべき事がない。
およそ3時間後、ようやく俺の番となり、アッサリと一次試験を突破したからである。
一番の難敵だったのは、待機時間の長さによる睡魔であったーーー。
道化師side
「やっほぉー、弓さぁ〜ん、一文字さぁ〜んっ!!」
「あ、横島さん。」
「こ、こんにちは。」
「ど、どうも。」
一足先に、武道場にやって来た俺達は、そこでおキヌちゃんと一緒にいた弓さんと一文字さんを発見していた。
「ち、ちょっと横島クン、勝手に行かないでよ。・・・ってか、こんだけの人の中で、よくもまぁピンポイントで知り合いを見付けられるわねぇ〜。」
「そりゃもう。」
野郎はともかく、美人な女性の知り合いならば、どれだけの人混みの中でも見付けられる自信があった。
「あっ、美神さんも。」
「お、おねーさまっ!」
「こ、こんちゃーすっ!」
「よっ、弓さんと一文字さん。」
一足遅れて美神さんが顔を見せると、俺の時とは全く別の反応を返した弓さんと一文字さん。
・・・ま、二人、ってか六道女学院の生徒からしたら、美神さんは憧れの対象だしなー。
「ああ、それと、婚約おめでとう、弓さん。」
「なぬっ!?」
「ご、ご存知だったのですか、おねーさま・・・。」
「ママや六道のおば様から聞いたのよ。なんでも、ご両親がいたく雪之丞を気に入った様じゃないの。」
「ええ、まぁ。彼の過去は知っていますが、それを踏まえた上でも、彼の向上心や強さを求める姿勢を気に入ったらしく・・・。」
「雪之丞さんほどの使い手は〜〜〜、中々お目にかかれませんものねぇ〜〜〜。小竜姫さまからのお墨付きも頂いてますし〜〜〜、むしろここで逃がすのは、闘龍寺としても損失と考えたんじゃないかしらぁ〜〜〜?」
「あら、おば様。」
「「「り、理事長っ!?」」」
美神さんの口から、衝撃的な事実が語られた。
っつか、元々そのつもりでいたのは知ってたが、すでに婚約が成立しとったんかい、雪之丞のヤツ!
俺にも知らせてくれりゃいいのによぉ〜!
「ところで、冥子ちゃんのお母さんは、何故この様な場所に?」
「一応、私も〜〜〜、日本GS協会の理事の一人よぉ〜〜〜?ここにいても〜〜〜、おかしくないでしぉ〜〜〜?」
「そーなんすか?」
「ま、おば様は六道家現当主だからねー。前に、アンタの試験の時も、冥子が救護班をやってたでしょ?あれって、その縁から、らしいわ。ま、そもそも
「ほぉ〜ん。」
「しっかし、アンタ、今の話で狼狽えないのねぇ〜?いつもなら、“そ、そんなんうそやー!”とかわめいてる筈なのに・・・。」
「いったいいつの話をしとるんすかっ!俺だって、これでも成長しとるんすよ!!・・・それに、この間、雪之丞が事務所に来た時にも、何となくそんな話しとったでしょ。ま、流石にかなり進展が早いなー、とは思いましたが。」
「そーいやそーだったわねぇ〜。」
「あ、お祝いが遅れてすいません。弓さん、おめでとうございます。ま、雪之丞は俺の数少ないダチの一人なんで、色々手を焼くかもしれませんが、どうぞ、末永くよろしくしてやって下さい。」
「あ、こ、これはご丁寧に。」
「・・・なぁ、おキヌちゃん。横島、さんだっけ?何か、雰囲気変わった?や、そういや直接会うのは久々だったっけ。」
「ま、まぁ、色々あってね・・・。基本的には、明るくて楽しいのは以前と変わらないけど、多少落ち着いた、と思うよ?」
「ふぅ〜ん?・・・や、別に手を出すつもりとかないから、安心してっ!」
「くす、分かってるよ。魔理ちゃんにはタイガーさんがいるもんねぇ〜?」
「なっ・・・!」///
俺が弓さんと話していると、おキヌちゃんと一文字さんがギャアギャア言っていた。
・・・何だろうか?
「じゃあ、今日は雪之丞の応援に?」
「ええ、そうです。まぁ、来年には私自身も受ける事になりますから、その見学も兼ねて、ですけれど。」
「あ、そーいやそーすっね。ま、雪之丞や弓さん達なら、余裕で合格するでしょーけど。」
「ところが、そうとも限らないわよぉ〜〜〜?今回の試験には、例年に比べても受験者数が異常に多いのぉ〜〜〜。それで、緊急的措置として、合格枠を例年の32名から、64名にしようって事になったのよぉ〜〜〜。もちろん、合格枠が増えれば増えるほど、チャンスは広がるんだけど、裏を返せばそれだけ今回のレベルが高いとも言えるわねぇ〜〜〜。雪之丞さんみたいな実力者でも、油断してると足もとすくわれるかもしれないわよぉ〜〜〜?」
「あら、初耳ですわ。そんな話になってるんですか?」
「そうなのぉ〜〜〜。普通なら合格枠を増やす事なんてありえないんだけど、そうすると、霊能者の“質”が落ちちゃう可能性が高いからねぇ〜〜〜?けど、今回は全体的にレベルが高いみたいだし、美智恵ちゃん達、オカルトGメンからの要望もあって、そうする事にしたのよぉ〜〜〜。どこも、人材不足だからねぇ〜〜〜。」
「ああ、そういう・・・。」
「ほぉ〜ん。それで、冥子ちゃんのお母さんも、その緊急会議に呼ばれた、ってトコか・・・。しかし、何だって急に霊能者が一斉に集結したんすかね?GS、ってか霊能者の総人口数って、かなり限られてるって聞いた気がするんすけど。」
「それが分からないのよぉ〜〜〜。まぁ、今回がたまたま多く集まっただけかもしれないけど、もしかしたら、“例の事件”の影響の可能性もあるわねぇ〜〜〜。」
「「「っ!!!???」」」
「「???」」
・・・そういや、前にイザナギさまも言ってけど、鳴上達がペルソナ能力に目覚めたのも、まぁ、特殊な状況下に置かれたってのもあるかもしれんが、“脅威に対抗する為の手段”、だった筈だ。
って事は、“例の事件”によって、元々素質はあったが、霊能に目覚めていなかった人々が、一気に霊能者として覚醒したとしても、何ら不思議な話ではない。
何せ、あん時は、マジの危機的状況だったワケだからなー。
んで、一度覚醒した以上、特殊な方法でも使わない限り、元に戻す事はできない。
(例としては少し違うかもしれないが、美神さんは“時間移動”、つまり“タイムスリップ”を可能とする能力者であるのだが、危なっかしいし扱いきれない、という理由で小竜姫さまに封印して貰っている。
隊長も同じ能力者だが、隊長はかなりの制御を可能としているが、こちらも時空間を色々いじくりまわす、という事で、神魔族から今は使用を禁じられている。
この場合は、特殊、かつ強力な能力故に“封印”、あるいは“使用制限”という措置を取っているが、霊能に目覚める程度ならば、一々神魔族が介入する事案ではないワケだ。)
それ故に、思いきって、霊能の道、GSになる事を目指したとしても不思議な話ではないのである。
もっとも、美神さんのお父さんの例もある通り(まぁ、彼の場合は、社会生活にはかなりの支障をきたすが、本人の仕事上は非常に便利らしいので、良いとも悪いとも言えないのだが)霊能に目覚めたのが、必ずしも本人にとって幸せとは限らないのかもしれないが・・・。
「まぁ、実際のところは分からないわぁ〜〜〜。そもそもデータが足りないからねぇ〜〜〜。ただ、いずれにせよ、今回の試験が大混戦になる可能性は高いわねぇ~〜〜。」
「そ、そうですか・・・。大丈夫かな、雪之丞・・・。」
「・・・寅吉・・・。」
「鳴上さんも、今回の試験を受けるんですよね?心配ですね〜。」
冥子ちゃんのお母さんの話を聞いて、おキヌちゃん達は気楽な観戦モードから、一気に不安感が増してしまったよーだ。
ま、俺と美神さんは、そこまで心配はしていないが。
仮に今回のレベルが異常に高かったとしても、“例の事件”でも一線級の働きをした雪之丞とタイガー、それにこれは俺だけが知ってる事かもしれないが、今の俺と互角に渡り合う鳴上が、そう簡単に負ける姿が想像できないからである。
ともかく、中々波乱のありそうな試験(試合)が、刻一刻と迫ってくるのであったーーー。
「あぁ〜ん、ピートぉ〜。ここ、空いてるわよぉ〜。」
「エ、エミさん。そんなにくっつかないで下さいよ。」
「もぉ〜、照れてるワケェ〜?ピートのい・け・ずぅ〜!」
「ところで、あそこでイチャイチャしてるカップルはどーしますか、美神さん?」
「ほっときなさい、横島クン。あんな色ボケ女、関わるだけメンドーだからねぇ〜。」
「そっすね。」
「ああっ、美神さん、横島さんっ!助けて下さいっ!!」
「「・・・はぁ〜・・・。」」
「ははは・・・。」
to be continued
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後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。