P4GS   作:笠井裕二

45 / 103

続きです。


GS試験 5

 

 

『続きまして、第二試合最後の試合は、タイガー選手対名取選手ですね。』

『いよいよこれで、32強、いや、今回は64強あるか。つまり、今回のGS合格者がこれで決まるあるな!』

『そうですね。今回は、前評判通り全体的にレベルが高い印象ですが、特に無名の選手達の活躍が目覚ましいですね。その中にあって、あの小笠原エミオフィス所属のタイガー選手が生き残れるのか?個人的には非常に興味があります。』

『タイガーは、あんなナリしてサポート特化型あるからなー。純粋な直接戦闘は若干不得意あるが・・・。』

 

 

「・・・あんな事言ってますけど?」

「そりゃ勘違いなワケ。確かにタイガーは、一種のテレパス、つまり他者に幻術、幻影を見せるのを得意としているし、その能力も、私の制御なしにはフルに扱えないハンデを抱えているけど、それも今は昔の話よ。」

「ふぅ〜ん。やけに自信があるのね?」

「そういや、直接戦闘に向かない、って事なら、エミさんもそうですもんねー。」

「ま、私の専攻は“呪術”だからね。けど、これでも修羅場はかなり乗り越えてるから、そっちも苦手って事はないワケ。」

「・・・ふむ。タイガーがどう戦うのか、大いに楽しみですね。」

 

 

「次はタイガーか。やはりあの巨体を活かした攻めを得意としてるのだろうか?」

 

 

「両者前へ。それでは、第二試合、タイガー選手対名取選手の試合を開始します。両者、準備はよろしいですか?」

「ハイですケン!」

「いつでもいけるっす!よろしくお願いするっす!」

「よろしい、では、試合開始!」

「「・・・!!!」」

 

 

「あっ!タイガーさん、初手からあのトラの姿になりましたよ!!」

「なんだかんだ言っても、タイガーの得意技はテレパスだからねー。」

「けど、一口に幻術、幻影と言っても、実際には応用力に優れた能力なワケ。」

「耳が痛いわね。以前、彼に窮地に立たされた身としてわ、ね。」

「つまりタイガーは、今はエミさんの制御なしに、ある程度の強力な精神波をコントロール可能になった、と?」

「そ。人間はもちろん、もろに精神がむき出しになってる悪霊には、タイガーの能力は非常に有効なワケ。ってなワケで、彼にはイチから基礎を叩き直したわ。特に精神修行を、ね。」

「なるほどー。」

 

 

『あーと、これはどうした事かー?名取選手が攻めますが、まるで見当違いのところを攻撃しております!』

『タイガーの精神感応(テレパス)あるな。しかも、周りに影響を及ぼさずに術を使ってる様あるなー。』

『なるほど。つまり、私達には分かりませんが、名取選手には何らかの幻覚が見えている状態、と言ったところでしょーか?』

『多分ね。』

 

 

「そういや、G組の生徒にも精神攻撃、心理攻撃をしてくるヤツいたよなー。」

「それに近いかもね。精神汚染は厄介よ。実際、アナタもしばらく使い物にならなかったし。」

「うっ・・・!」

「つ、つまり、今の相手選手は、私達には分からないけど、タイガーさんの幻影と戦ってるんですね!」

 

「考えたなー、タイガーのヤツ。」

「ウチのタイガーも、おたくに感化された一人なワケよ、横島クン。同世代にアンタほどの使い手がいるってなると、やっぱり気になるモンなのよ。」

「男の子ねー。」

 

 

「わっしは、横島さんやピートさんほど器用じゃないですし、雪之丞さんほど武を極める素質もないですケン。けど、わっしにはわっしの得意技がありますケンノー!それを極めて、彼らに並び立つつもりですジャー!」

「がはっ!!??」

 

 

『おーと、タイガー選手、名取選手に強烈なタックルー!!』

『ただでさえタイガーは巨体ある。それが、霊的パワー+意識の外から攻撃を食らったら、大抵の選手はたまったモンじゃないあるな。』

『そうですねー。あーと、名取選手、今のタックルで意識を刈り取られた様です!審判が試合続行不可能と判断しましたー!!』

 

 

「そこまでっ!勝者、タイガー寅吉!!タイガー選手、GS資格取得!!」

「おっす、ありがとうございました!!」

 

 

「す、すごい一方的な展開だったな・・・。」

「タイガーもどうやら無事に合格できたみてぇだな。」

「ああ、伊達。お疲れ様。」

「おう、オメェもな、鳴上。」

「しかし、タイガーは何をしたんだ?」

「アイツの得意技は精神干渉だ。タイガーは、精神感応者(テレパス)だからな。だから、相手に幻影を見せてる隙に、強烈な一撃をぶちかましたんだろ。いきなりぶっ飛ばされたら、防御も何もあったモンじゃねぇからな。」

「・・・なるほど。」

「ま、アイツの精神波に対抗する事も不可能じゃねぇけど、それにゃかなりの霊力を必要とする。なるべくなら当たりたくない相手だよ。」

「伊達も、そう思う事があるんだな。」

「俺は真っ向勝負が得意なモンでな。相手の土俵じゃ、自分の持ち味を活かせねぇ。ま、仮に当たったら、そうも言ってらんねぇんだけどよ。」

「なるほど、相性、ってヤツか。」

「そ。普通、霊能者ってのは、それぞれ得意分野が存在するモンだからな。ま、俺みてぇな、ある意味脳筋タイプは、あらゆる場面を苦としないけどな。やっぱ、正攻法に勝る手段はない。ただ、相手が搦め手を得意とするなら、注意が必要、ってこった。」

「ふむ・・・。」

「そういった意味だと、やっぱ横島の“文殊(もんじゅ)”はあらゆる場面に対応できるから、使い勝手の良い能力だよなー。ま、一応回数制限があるっちゃあるが。」

「・・・確かに。」

 

俺のペルソナ能力、ワイルドの能力も、そういった意味ではあらゆる場面に対応可能だ。

ただ、こっちも霊力の問題もあってそうポンポンと付け替えが可能な訳じゃない。

結局は、その場面のベストな選択肢を選び取れないと、アッサリ負けてしまう事もあるだろうな。

 

「ま、とりあえず俺らは資格が取れたワケだから、こっからは成績を残す意味合いしかねぇ。が、俺は負けるのは嫌いなんでね。もし仮にオメェやタイガーに当たったとしても、全力でやるつもりだから、そのつもりでいろよ。」

「ああ、分かった。」

 

 

「ふむ、鳴上悠、伊達雪之丞、タイガー寅吉は順調に試験に合格、と。こっちも“同志”がかなりの数合格してるから、とりあえず当初の目的は達成してるけど・・・。もうちょっと、ヤツらの能力を見ておきたいな・・・。情報はいくらあっても困るモンじゃないし、せっかくこんなところまで来たんだからなー・・・。」

 

“プログラマー”と呼ばれた大学生風の男は、そうひとりごちた。

と、言うのも、番長も雪之丞もタイガーも、その力をフルに扱ってはいないからである。

 

暇つぶしも兼ねて“プログラマー”は今回のGS試験を観戦していた訳だが、そこにたまたま鳴上や雪之丞などの要注意人物が参戦している事が分かった訳だ。

鳴上達が自分達の計画の障害となりそうな人物である以上、彼らの情報はなるべく集めておきたい、というのが人の心理というものであろう。

 

それ故に、“プログラマー”は引き続きGS試験を観戦する事を決定していたのだった。

 

 

「・・・妙な波動を感じますね。」

「ん、どうしたでちゅか、小竜姫?」

「いえ、少々胸騒ぎを感じただけですよ、パピリオ。そういえば、以前もGS試験の裏で、メドーサが暗躍していた事もありましたね・・・。」

「ああ、アシュ様の部下だったおばさんでちゅね?そんな事もしてたんでちゅねー。」

「おばさんって・・・。ま、まぁ、パピリオからしたら、大抵の人がおばさんかぁ・・・。まだ、一歳かそこらですもんねー。」

「ん、何か言ったでちゅか?」

「いえ、何でもありませんよ?」

「そうでちゅか?けど、心配は無用だと思うでちゅ。アシュ様が滅んだ今となっては、何かをやらかそうって人はそうはいないと思いまちゅから。少なくとも、神族や魔族はそれどころではないでちゅからねー。」

「・・・ふむ、確かに。アシュタロスの反乱で、全体的に霊的なパワーのバランスが崩れていますからね。その混乱に乗じて何かを成そうとしても、各方面がピリピリしてる中では、全員から袋叩きにあってしまう。確かに、タイミングとしては最悪でしょうね。」

「ね?だから、その胸騒ぎも気にし過ぎだと思うでちゅよ。」

「・・・ふむ。」

 

パピリオはそう楽天的に判断していたが、何度もメドーサやアシュタロスに煮え湯を飲まされた小竜姫は、パピリオの話に納得しながらも、その事を心に留めるのだった。

 

「しかし、ナルカミもかなりやりまちゅね。ペルソナなしであれなら、おじーちゃんや小竜姫的には及第点、ってところじゃないでちゅか?」

「そうですね。実質的には、鳴上さんが霊力を扱える様になったのは一ヶ月と少しですから、実戦形式に近い形でこれなら、十分に合格点を与えられるでしょう。ただ、欲を言えば、もう少し霊力の出力を上げられれば、ペルソナ能力ももっと使えるんでしょうけど・・・。」

「そればかりは難しいでちゅねー。異世界人のナルカミは、基礎霊力が低いでちゅからねー。」

「ま、それも、筋力なんかと一緒で、徐々に伸ばす事も可能ですけどね。もっともそれには、かなり自分を追い込まなければなりませんが。」

 

 

「なるほど・・・。この世界では、そうした問題点があるのね・・・。だったら、私が鍛えてあげるわ。私に勝ったんですもの。この程度で満足して貰っては困るわ。」

 

 

ゾクッーーー!

 

「どうした、鳴上?」

「い、いや、何だか急に悪寒が・・・。」

「特に何も感じないがな・・・。お前はどうだ、タイガー?」

「わっしも、特に嫌な気配は感じないですジャ。」

「気の所為、かな・・・?」

 

いや、気の所為ではなかった。

 

と、言うのも、どうやったかは分からないが、密かに番長の試合を観戦していた“イケメン飼いのドS秘書”が、彼を鍛えるべく決意を固めていたからである。

 

とりあえず、当初の目的であるGS試験には合格したものの、やはり鳴上悠には平穏など訪れないのかもしれない。

 

番長の明日はどっちだーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投降しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。