続きです。
今回でアッサリGS試験編は終わりです。
番長達の活躍を期待されていた方々には申し訳ありませんが、GS美神本編やペルソナ4本編と違い、表向き大きな敵がいないので、そうそう大きな事件が起こらないのです。
もちろん、裏では謎の勢力が暗躍しているのですが。
ですので、番長や横島には、しばし仮初の平和が続きます。
・・・
番長side
『それで、その後どうなったんだよ?』
「順当に勝ち上がったんだが、やはり俺の“霊力”が乏しいのがネックになってな。準決勝で伊達に当たって、アッサリ負けてしまったよ。彼の“魔装術”は凄かったし、戦闘技術も達人の領域だった。」
『マジかよ・・・。相棒でも勝てねぇのか・・・。』
「ま、キミら“ペルソナ能力者”の主戦場はあくまで“異界”がメインだからね。現実世界で戦う以上、単純な出力に勝る相手には不利になってしまうのは無理もない。まぁそれも、戦い方次第、ではあるんだろうけどね。」
「だ、そうだ。」
『なるほどなぁ〜。』
俺は今、陽介とそんな電話をしていた。
GS試験が終わってから、数日後の話である。
白鳥さんとのやり取りの後、俺は引き続きGS試験の試合に臨んでいた。
その後も強敵はいたが、何とか準決勝までは駒を進めたのである。
ただ、そこで俺の命運は尽きた。
準決勝の相手は、あの伊達だったのである。
いや、むしろここまで伊達にもタイガーにも当たらなかっただけ、俺の運も相当なものかもしれない。
ここまでそれなりに“霊力”を消耗していた俺は、まさに万事休すだった。
一方の伊達は、まだまだ“霊力”も体力も余力がある様子だった。
後日聞いた話だと、彼はこれまで、一匹狼でいる事が多かったそうだ。
横島辺りは、
「一匹狼・・・。言ってて恥ずかしくないのか・・・?」
とか言っていたが、考えようによっては、これは大きなアドバンテージである。
大体の場合、プロのGSであっても、チームを組むのが基本である。
これは、俺達がパーティーを組んでいたのと一緒だ。
仲間がいれば、当然戦術の幅が広がるし、一人一人にかかる負担も軽くなるからな。
一方、ソロで戦うとなると、当然個人の負担は大きくなる。
逆に言えば、ソロで戦い抜く為に“継戦能力”が重要となってくる訳だ。
仲間がいる事で、多少の無茶が効くのとは違い、ソロでは基本考えなしではアッサリやられてしまう可能性がある。
故に、“霊力”や体力を抑える戦術を基本的に身に着けておかなければならない。
一人で戦うGS試験においては、これは大きなアドバンテージだ。
元々、俺よりも“霊力”の扱いに長けた伊達(やこちらの仲間達だが)が、そうした技術まで持っているとなると、彼らに比べたら“基礎霊力”が低い俺では、同じ条件だと不利になってしまうのである。
もちろん、その点を懸念した老師や小竜姫さまから、なるべく“霊力”を抑えたい戦い方をするように、との縛りを設けられていたが(今考えると、彼らは俺の弱点やこうした戦術を俺に気付かせる、あるいは身に着けさせる為に、あえてそう言ったのだろう。)、それでも、試合が進むごとに、当然レベルも上がっていくから、俺もどうしても“霊力”を使う必要があったからな。
まぁ、そんな訳で、これまでの積み重ねの結果、地力の差で俺は負けた訳だ。
もちろん、お互いに万全の状態なら、また勝負の行方は分からなかった訳だが、“実戦”を想定するとなると、それはただの甘えだろう。
“試合”という形式なら、お互いに万全の状態で戦う事もできるかもしれないが、事“実戦”となると、いつでもそうした状態でいられるとは限らない。
そうした中にあって、それでも自身の最大限のパフォーマンスを発揮できるか?
GS試験は、おそらくそうした状況も想定した試験なのだろう。
「ま、結果は残念だけど、とりあえずGS資格は取得できた訳だし、悠くんの今後の課題も見えた訳だし、終わってみれば得るものの大きなイベントだったと思うよ?」
「それはそうだな。」
『何だか俺らと違って、相棒は色々大変そーだなー。』
「そういう陽介は、何か変わった事はなかったのか?」
『あぁ〜、ま、個人的にあったっと言えばあったんだけどよ。これ言うと、相棒に怒られんじゃねぇ〜かなぁ〜・・・?』
「聞き捨てならないな。もしかして、例の半グレ集団と何かあったのか?」
『あ、やべ、聞こえてたか・・・。えっと、実はだなぁ〜・・・。』
・・・
???
「鳴上悠、恐るるに足らず!」
『・・・どうしたのだ、突然。』
「あ、“リーダー”?いやぁ〜、わざわざ会場にまで潜り込んだ甲斐あったよ。最後まで奴らを観察していたけど、俺ってば奴らの弱点が分かっちゃったんだよねぇ〜。」
『・・・ほぅ。続けろ。』
「うんうん。鳴上悠の弱点は、ズバリ“霊力量”の脆弱性さ!もちろん、GS試験を突破するくらいだ。一般人や並みの霊能者に比べれば、それなりに“霊力量”を保有しているだろう。けど、トップ層に比べれば、明らかに“霊力量”においては劣っている。実際、奴もその事は自覚してるのか、なるべく消耗を抑えた戦略を取っていたよ。けど、結果として地力の差で負けちまった。これは、こっちにとっては朗報じゃね?」
『ふむ・・・。確かに朗報だ。つまり、彼に“霊力”を消耗させれば、彼の無力化は比較的容易にできる、という訳だな?』
「そ。もちろん、これは奴一人での話だから、他の連中とチームで結託したら、また話は別かもしれないけどな。」
『それはそうだ。しかし、そこら辺は作戦次第で何とでもなるな・・・。うむ、中々良い情報だな・・・。』
「だろっ?」
一方その頃、“プログラマー”と呼ばれた大学生風の男は、鼻息荒くそんな報告をしていた。
ここで一旦、“霊力”という概念についてはまとめておこう。
簡単に言うと、“霊力”とは“魂の力”の事である。
故に、多かれ少なかれ、あらゆる生物は、この“霊力”を持っている。
実際、美神らも言及していた通り、こちらの世界の一般人も、当然“霊力”を持っているし、それは番長の属する世界でも同様である。
ただし、それを実戦レベル、戦闘に耐えうるレベルで行使できるのは、所謂“霊能力者”や“GS”に限定されてしまうのが現状なのである。
わかりやすく言うと、基本的に誰でも身体を動かす事はできるが、それを突き詰めた存在、例えばアスリートなどと呼ばれる存在になるには、持っているだけではダメなのである。
このように、より高いパフォーマンスを発揮する為には、“才能”とか“努力”なんかも必要となってくるので、誰もが“霊力”を持っていたとしても、所謂“プロ”と“そうでない者達”に分かれてしまうのである。
もっとも、それから逸脱した存在もいる。
それが、所謂“悪霊”と呼ばれる存在だ。
“肉体”という器から開放された者達は、剥き出しの魂となる。
通常はそれは成仏して、輪廻転生の概念から、また何処かで別の生命、別の人生を歩む事となる。
ただ、その中には、“この世”に何らかの未練を残した結果、“幽霊”となったり“悪霊”となってしまう事もある。
場合によっては、“神”とか“悪魔”になってしまう事もあるが、ここでは関係ない話なので割愛しよう。
剥き出しの魂は、肉体を持っていた頃とは違い、“霊力”をフルに扱う事ができる。
それ故に、例え元・一般人であっても、強力な力を操る事が可能なのである。
横島らの世界では、“幽霊”という存在は比較的多く見る事ができるようだ。(もちろん、一般人が認識できる事は稀だが)
それ故に無害ならば、基本的に放置する事が容認されている。
その中にあって、人に害をなす存在、つまり“悪霊”を祓うのが、GSの仕事なのである。
先程も述べた通り、“悪霊”は強力な“霊力”を操る事ができるので、一般人では到底太刀打ちできない。
“霊力”に対抗できるのは、“霊力”だけだ。(厳密には、神通力や魔力でも可能だが、基本的にそちらは神族や魔族の専売特許である)
そこで、肉体を持ったままでも高い“霊力”を操る事のできる才能、つまり“霊能力者”が必要となるのである。
横島らの世界は、イザナギも言及していた通り、霊的な活動の活発な世界である。
故に、“悪霊”が発生する頻度も高いので、GSという職業が成り立つのである。
と、ここまでは、GSの存在意義となるのだが、では具体的にどうすればGSになれるのだろうか?
先程も述べた通り、GSには、特殊な才能が必要となる。
そしてそれには、“霊力”が必須条件となる。
しかし、残念な事に、この“霊力”を伸ばす事は、単純に肉体を鍛える以上に困難な事なのである。
実際、美神でさえ、“霊力”を伸ばす事に苦労していた。
もっとも彼女の場合は、元々の素質や偶然なんかも左右された結果、比較的容易に強くなった印象があるが、実際には命懸けのレベルアップであり、もし失敗していれば、最悪その命を失っていた可能性も高い。
逆を返すと、長い年月をかければ、一般人でもGSになれる可能性はあるという事だ。
しかし現状では、元々高い“霊力”を持っている、つまり“才能”による部分が大きい、というのが実状なのである。
さて、長々と語ってきたが、つまり“霊力”を伸ばす事は一朝一夕では不可能だ、という事である。
そして、“霊力”は、番長の場合、ペルソナ能力にも影響を与える訳だから、彼がこの先劇的に“霊力”を伸ばす出来事でも起きない限り、所謂“使用制限”のある状態である、という訳である。
いくらペルソナ能力、特に番長のワイルドの能力が強力とは言えど、制限があるのならば、それに対処する方法はいくらでもある訳だ。
このように、彼らは“霊力”が伸ばしにくい事を知っており、なおかつ現状の番長の弱点がさらけ出された事で、比較的与し易い、と判断したのである。
確かに、それ自体は間違った考え方ではなかった。
老師や小竜姫も、番長にかつて美神や横島に行った様な修業を施すつもりはなかったし、番長自身にも、そこまでの危機感はなかったからである。
『ふむ・・・。状況は分かった。報告、御苦労だったな。』
「へへ、いいって事よ。これで、例の計画も上手く行きそうだな。」
『もちろん油断はできんが、かなり成功率は上がるだろう・・・。お手柄だったが、そろそろお前は本来の仕事に戻ってくれ。計画は、そろそろ大詰めに入っているからな。』
「うっす。了〜解〜!」
ただ、一つ、彼らに計算違いがあったとすれば、それは、どこぞの美人秘書が、やる気に満ちあふれている事であろう。
それが、今後、どのような影響を持つかは、今は誰も知れないーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。