P4GS   作:笠井裕二

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続きです。
市来美姫は本作のオリジナルキャラクターです。
陽介にも、ヒロインポジションのキャラが欲しいと思って生まれました。

原作では実らない恋でしたが、せめて本作くらいは、陽介にも春を!


歌姫は王子さまと出会う

 

・・・

 

私には夢がある。

それは、歌手になる夢であった。

 

ある意味、子供っぽい夢。

芸能界に憧れた田舎娘が描く、絵空事の夢に見えるだろう。

 

だけど、私なりに本気だった。

実際、高校生活はほとんどバイトとボイストレーニング、ダンスレッスンに費やしており、友人との遊びも、異性とのお付き合いも全て断っていたのである。

 

家族は、そんな私の夢を否定はしなかったが、残念ながら私の家はそんな裕福な方ではなかった。

だから、進学ならばともかく、あくまで夢を追いかける為に出せるお金などなかったのである。

 

それは私も理解していた。

だから、自力で何とかする為に躍起になっていたのである。

 

ただ、現実はそこまで甘くはない。

学校の傍らでのアルバイトでは、ボイトレとダンスレッスンでほとんど消えてしまい、貯金があまり貯まらなかったのである。

 

今では様々な方法でバズる可能性があるとは言えど、やはり沖奈にいたのでは夢を形にする事はできない。

だから、高校卒業と同時に、上京する予定だったのだが、それも見積もりが甘かったようである。

 

しかし、そんな折に私に差し伸べられた手があった。

それは、友人からのバイトの紹介であった。

 

どこで聞いたのか、彼女は、

“夢を追いかけるならお金が必要じゃない?”

“良いバイトがあるんだけど、やってみない?”

と声をかけられたのである。

 

ぶっちゃけると、彼女はそこまで親しい友人ではない。

いや、むしろ、明確に嫌がらせを受けている訳ではないが、影で付き合いの悪い私を良く言っていないらしい事も知っていた。

 

ただ、半信半疑ではあったが、私は彼女の話に乗ってみる事とした。

それほどまでに、私は夢に本気だったのである。

 

紹介されたのは、一見普通の男の人であった。

ただ、噂には疎い私でも知っている半グレ集団、『WF(ホワイトファング)』の幹部の一人だったらしい。

 

その時点で、私はその話を断ろうと思っていた。

いくらお金が必要でも、悪い事をしてまでお金を稼ぐつもりはなかったからである。

 

ただ、よくよく話を聞いてみると、確かに良いバイトだった。

何せ、とあるアプリを布教するだけで、かなりの大金を提示してきたからである。

 

今になって思い返せば、そんな上手い話はある訳ないのだが、その時の私は、悪い事ではないし、報酬も良いので、すでに断るという選択肢が吹っ飛んでいたのであった。

 

そして、そのバイトを始めたのであるがーーー。

 

 

自分で言うのもなんであるが、私は比較的容姿の整った方である。

もちろん、これもある程度は努力している。

私の夢は、あくまで歌手ではあるが、それでも見た目が良いに越した事はないからである。

 

だから、という訳ではないだろうが、私の布教活動はかなり順調であった。

まぁ、中には、アプリを入れる代わりに付き合え、という人もいたが、正直頭に来たが、“ご冗談を。”とか、“そういう活動ではないので。”と、上手くかわしていった。

 

大体、あくまで私のやっている事は、アプリの布教でしかない。

何かの怪しい契約でも、何かの怪しい勧誘でもないのだから、それで身体を差し出すほど私も安い女じゃないっての。

 

とまぁ、そんな事もありつつ、私の布教活動(ノルマ)は終わりを告げた。

後は、約束のお金を貰って、はいおしまい、である。

 

と、思っていたのだが・・・。

 

 

「約束が違うじゃん!」

「だからよぉ〜、それは謝ってんじゃん。俺等だって悪りぃとは思ってんだぜ?けど俺等も、上にゃ逆らえねぇのよ。だから、な?大人しく追加の仕事を頼むわ。」

「ふんっ!偉そうにしてる割には情けないんだね!!」

「・・・あ゛っ!?」

 

指定された布教活動(ノルマ)が終わったので、私は約束のお金を受け取ろうと幹部に会っていた。

それに対して、幹部が言ったのはこの言葉だった。

 

大方、予想以上にノルマをこなした私を失うのが惜しくなったのかもしれない。

私としては、彼らと長く付き合うつもりはなかったので、さっさと報酬を貰って関係を断ち切りたかったのだが、どうやら私は、彼らを少々侮り過ぎていたのかもしれない。

 

「コイツ、チョーシに乗ってんな・・・。」

「下手に出てりゃ、いい気になりやがってよ・・・。」

「どうする?ヤッちまうか?」

「・・・そうだな。前々からコイツの事は、ちょっと、いや、かなりいい女だと思ってたしよ。」

「んじゃ、いっちょ拉致っとく?」

 

反抗的な私の態度に、幹部と共にいた取り巻き連中から、そんな物騒なセリフが聞こえてくる。

 

この人達は正気だろうか?

ここは、繁華街の真っ只中で、しかも、人々の往来も激しい場所である。

いくら半グレ集団とは言えど、こんな場所でトラブルを起こしていれば、警察がすぐに現れるだろうに。

 

「向こうで話しよーぜ。」

「ちょっ、離してよ!」

「うっせ、大人しくしとけっ!」

「きゃっ!!!」

 

パンッ!

 

「っ!!!」

「い、いたっ!!」

「騒げば、もっと痛い目にあうぜ?コイツ、ちょっとヤベー趣味あっからなぁ〜。」

「大人しく言う事聞いとけや。」

「だ、誰かっ!助けてっ!!」

「ギャハハハッ!この街で俺等に歯向かう奴がいっかよ!」

「ほら、来んだよ!」

「い、いやぁっ!!!」

 

しかし、私の見積もりは甘かったようだ。

これほど騒いでるというのに、周囲の人々は見て見ぬふりを決め込んでいる。

私が見た限り、警察へ通報するような素振りをする人もいなかった。

 

私は、世間の冷たさを身に沁みながら、同時に付き合う相手を間違えた事を今更ながらに自覚する。

しかし、後悔してももう遅い。

 

男達は私に掴みかかると、私を無理矢理夜の街に引きずり込もうとする。

必死に抵抗するが、流石に男達の力には敵わず、どんどん引っ張られる私。

 

こんな連中に良いようにされて、悔しいやら情けないやらで口唇を噛み締めていると、そこで、予想外の事が起きた。

 

「あぁ〜〜〜、彼女、嫌がってるじゃないっすか。離してやったらどうっすか?」

「「「「「っ!!!???」」」」」

「・・・あんっ?」

 

天の助けとは、まさにこの事だった。

 

見れば、先程男達に威嚇されたどこかの男子高校生が、ポリポリと頭をかきながらそんなセリフを言ったのである。

 

だが、私は彼を見ると、期待感は一瞬で薄れてしまった。

何故ならば、彼は、正直に言えばあまり頼りになりそうになかったからである。

 

見た目はかなり整った容姿をしている。

ちょっとチャラそうだが、私達の間に割って入った事からも、所謂“良い人”である事は間違いないだろう。

 

しかし、どう見ても強そうには見えない。

だから、彼らに立ち向かったとしても、軽く一蹴されて終わりだろう、と思ったからである。

 

「・・・なんだい、にいちゃん。何か俺等に文句でもあんのかっ!?」

 

彼らもそう思ったのだろう。

声をかけられた事に一瞬驚くような素振りを見せたが、彼を見るやいなや、ニヤニヤとそんな言葉を彼に投げかける。

 

しかし、彼はそんな彼らの態度に臆する事なく、淡々と言葉を返した。

 

「文句っつーか、意見っすけど、アンタら情けなくねぇ〜の?事情は知らねぇ〜けど、よってたかって女の子一人に詰め寄っちゃったりしてさぁ〜。しかも、手まで上げるし。」

 

一瞬、キョトンとする彼ら。

流石に、面と向かって批判されるとは思っていなかったのだろう。

 

「ハハハ、中々言うじゃねぇ〜か。」

「コイツ、俺等の事知らねぇ〜んじゃねぇ〜の?」

「目立ちたがり屋の正義マンかぁ〜?」

「聞いて驚けや。俺等は天下の『WF(ホワイトファング)』の一員よ。」

「・・・(ボソボソ)」

「あんだぁ〜?今更ブルっちまったのかぁ〜!?」

「後悔しても、もうおせぇ〜よ!俺等に歯向かった事、キッチリわからせてやんぜっ!!」

「おら、テメェもこっち来いやっ!」

「っ・・・!!」 

 

バキッ!

 

最初の威勢はどこへやら、彼らが自分達の正体を明かすと、その男子高校生は無言になってしまう。

いや、微かにブツブツ呟いているみたいだが、それが彼らにはビビってる、と映ったのだろう。

 

そのままの勢いで殴り掛かり、彼の戦意を喪失させようとしたのだろう。

 

私は、一瞬目を伏せる。

流石に、暴力を直視できなかったからである。

 

しかし、

 

「いって・・・!テメェ、何すんだよっ!!」

「は・・・?えっ・・・??」

 

何故か、頬に手を当てているのは半グレ集団の一人だったのである。

私は混乱する。

今の今までの、仲間割れの気配など微塵もなかったからである。

 

彼らもそうだったのだろう。

男子高校生の事は一瞬忘れて、殴った側と殴られた側の間に入った。

 

「おいおい、急にどうした?仲間割れは止めとけってっ!」

「そういうワケに行くかよっ!何でアイツじゃなくて俺を殴ったんだよっ!」

「い、いや、やってねぇ〜よ。アイツを殴ったんだってっ!!」

「何訳分かんねぇ〜事言ってんだよっ!!謝れや、コ゛ラ゛ッ!」

「って〜なっ!やってねぇ〜っつってんだろっ!!」

 

やったやらないの水掛け論のまま、彼らは仲間割れを始める。

 

「えっ?えっ??」

 

ますます私は、状況について行けないまま混乱する。

 

「どうやらお忙しいようなんで、ここら辺でズラかろうぜ。」(ボソボソ)

「あ、う、うんっ!」(ボソボソ)

 

だが、その男子高校生は冷静にそう言うと、何事もなかったかのように私の手を引いて、彼らの前から立ち去るのだったーーー。

 

・・・

 

その後、紆余曲折を経て、隣町である八十稲羽市を訪れる事となった私は、彼、花村陽介くんの知り合いだという刑事さんの家にやって来ていた。

目的は、私の保護を求めて、である。

 

陽介くんの知り合いだという大きな男の人、久須美薙輔(くすみなぎすけ)さんの指摘通り、私はバイトの面接時に個人情報を渡していたのである。

 

今考考えると、かなり浅はかな行動だとは思うが、一応はバイトという事で、形式上履歴書を持ってくるように要求され、私もバイト経験があるので、それを特段不思議には思わず応じてしまった、という経緯がある。

 

陽介くんの機転によって、上手く彼らの前から逃げられたとは言え、それによって私の自宅に先回りされている可能性もある。

それで、警察に保護してもらおうと、こうして隣町までやって来ていたのである。

 

ただ、疑問もある。

それならば、沖奈の警察に言えば済む事だと思うのだが、彼らの意見は違ったようだ。

 

とは言え、私は、今日会ったばかりとは言えど、しかも、半グレ集団に騙されたばかりだと言うのに、何故かすでに陽介くん達の事を無条件で信用していたのである。

 

まぁ、陽介くんに助けられた、という事もあったのだが、上手くは言えないが彼らの雰囲気が、私に謎の安心感を与えていたからかもしれない。

 

「どうやら、話はついたみたいだな・・・。悪かったね、市来さん。無理矢理こんなトコまで引っ張って来ちゃって。お家の人には連絡は済んだ?」

「あ、うん。とりあえず今夜は、友達の家に泊まるって言っておいたよ。」

 

ガラガラ、と刑事さんと久須美さんが玄関から入ってくる気配を感じて、陽介くんはそんな事を私に聞いてくる。

まだ結論がどうなったかは分からないというのに、陽介くんは“話がついた”と結論付けている。

 

それを若干不思議に思っていたが、よくよく考えてみれば今夜は不思議な事ばかり起きているので、私はその頭の隅から追い出して、聞かれた事だけ答える事とした。

色々あって、考える事に疲れた、ってのも正直あったかもしれない。

 

その後、陽介くんの言う通り、とりあえず今夜は刑事さんのお家に泊めてもらう事で話はまとまっていた。

今後についてどうするかは、また後日決めるそうであるーーー。

 

・・・

 

魔術師side

 

「なるほど・・・、そんな事があったのですね・・・。」

「やるじゃん、花村!身を挺して女の子を守るなんてさっ!」

「うん、ちょっと見直しちゃったかも。」

「アンタ、やる時はやる“漢”だったんすねっ!」

「ヨースケ、かっこマンの癖に、やる時はやるクマ〜。」

 

その日の深夜、新生“虚ろの森”にて、いつも通り修業に集まってきた仲間達に、今日起きた事を説明していた。

その反応がこれである。

 

正直、勝手な事にしたと思っていたので、それについて責められると思っていた俺は、仲間達の意外に好意的は反応に若干戸惑っていたりした。

 

「・・・怒んねぇ〜のか?」

「なんで?や、確かに半グレ集団とは揉めないようにしようとは言ってたけど、それとこれは話が別じゃん。むしろそこで女の子を見捨てる方が、私としてはありえないかな。」

「人助けの為でしょ?なら、花村くんを責める道理はないよ。」

「花村先輩、色々考えすぎ。センパイなら、きっと同じ事をしたと思うよ。だから、自信もって。」

「・・・サンキューな。」

 

仲間達の暖かい言葉に、俺は若干救われていた。

 

「しかし、そうなると半グレ集団はともかく、彼らの裏に存在するだろう連中にも警戒される事となりますね・・・。いえ、もちろんボクも、花村先輩を責めるつもりはありませんが。」

「・・・だよなぁ〜。」

 

その中にあっても、やっぱり直斗だけは冷静にそう指摘した。

 

以前の調査によって、例の半グレ集団が限りなく黒に近いグレーである事はすでに分かっていた事だ。

それなのに連中を放置していたのは、俺らの真の敵は、その裏に存在するだろう連中の方だからである。

 

だから、いくら半グレ集団を潰したとしても、事は解決しない。

いや、それどころか、裏にいるだろう連中を本気にしてしまう恐れもあるし、俺らが関わってる事も知られてしまう恐れもあった。

 

なので、最終的には潰すにしても、慎重に事を運ぶ必要があったのである。

ま、ここら辺はイザナギさまや直斗の受け売りであるが。

 

しかしそうなると、もちろん俺らにとって一番守るべきものは相棒だったり菜々子ちゃんの安全だが、半グレ集団やその裏にいる連中の被害に遭うであろう者達を見捨てる事ともなる。

もっとも、イザナギさまは冷静に“騙される方も悪い”と一蹴し、一応は俺らも納得したのだが、いざ目の前でそうした事が起こった時、俺は我慢ができなかったのである。

 

ハッキリ言って、考えなしの行動だ。

もしかしたら、イザナギさまや仲間達のこれまでの努力を水の泡にする行いだったかもしれない。

 

だが、例の事件を経てある程度は成長したつもりだったが、しかし俺らはまだ十代のガキなのである。

だから、頭では分かっていても、感情がそれを許さなかったのである。

 

これは、“リーダー”としては失格だろう。

だが、もしかしたら“人”としては正しい事だったかもしれない。

 

それに、あくまでこれはただの言い訳に近かったが、俺がこうした行動を起こした背景として、裏に存在する連中に対する嫌がらせ、つまり、資金源の一つを潰す為であった、と咄嗟にでっち上げ、これはイザナギさまも一応は納得してくれたのである。

 

何だか自分でも、どこぞの汚い政治家のような立ち回りをしてるみたいで情けなくもあるが、ただ、時にはこういう事も必要なんだろうなぁ。

 

「なるほど。それならば、ある程度は納得できます。確かに、裏に存在する連中にとっても、資金源の一つを潰される事は痛手となりますからね。ですが、彼らの資金源が一つであるとは到底思えませんし、ある程度のダメージは与えられるかもしれませんが、決定打にはなりえないでしょう。むしろ、彼らを本気にさせてしまうだけで、しかもボクらが裏で暗躍している事も知られてしまう可能性の方が高い。」

「ですよねぇ〜。」

 

しかし、当然の如く、直斗にはその事を論破されてしまう。

まだまだ策士としては、俺は甘ちゃんなんだろう。

しかし、

 

「確かに、直斗くんの言う通りだ。今回の陽介くんの行動は、まだまだ甘い点がある事は否定できない。しかし、考えようによっては、これはチャンスでもある。」

 

それまで黙り込んでいたイザナギさまから、まさかのそんな言葉が出る。

 

「どういう事でしょう?」

「うん、つまりだね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これならば、その裏にいる連中にボクらの関与を疑う根拠がなくなる。少なくとも、確信は持てないだろうね。何せ、証拠がないんだから。」

「いえいえ、イザナギさま。いくら何でも、そんな事ができる訳・・・。」

「確かにこれは、ある意味誇張表現さ。実際には、何かしらの()()に動いて貰う必要があるからね。ただ、不可能ではないんだよ、直斗くん。ヒントは、ボクらがどういう存在か?、だ。」

「・・・あっ!そうか、情報っ・・・!!」

「「「「「「???」」」」」」

 

イザナギさまと直斗の間で盛り上がっているのだが、生憎俺も含めて他の連中は、彼らが何を言ってるのか理解できなかった。

 

「えっと、ゴメンだけど、一体どういう話?」

 

頭に疑問符を浮かべていた里中が代表してそんな風に聞いた。

 

「えっとですね。つまり、以前にもイザナギさまからご説明頂きましたが、イザナギさまは“カミサマ”であり“ペルソナ”でもあるんです。そしてペルソナは、人々の集合的無意識から生じた存在ですから、それこそ膨大な量の情報を持っている訳です。そしてその中には、当然ながら“犯罪”に関する情報も内包している訳ですよ。」

「正確には、“アクセスする事ができる”、だ。いくらボクらでも、常時人々の集合的無意識に繋がりっぱなしだと、自我を保てなくなっちゃうからね。今現在の世界の人口はおよそ80億人だ。つまり、80億分の情報が一気に流れ込んでしまうようなものだからね。」

「・・・って事はつまり、イザナギさま達は警察でも掴めていない犯罪の証拠を集める事ができる、って訳か?」

「そうです、完二くん。どれだけ巧妙に隠していても、人々の集合的無意識そのものにアクセス可能ならば、隠し事などできない。そして、情報があるのならば、警察を動かす事は容易い訳です。」

「とんでもないね・・・。」

「チートクマ〜。」

「もちろん、ボク達にもデメリットはある。先程述べた通り、むやみに人々の集合的無意識にアクセスしてしまうと、場合によってはその情報の渦に飲み込まれてしまう事さ。そうなれば、ま、死ぬ訳じゃないけど、存在が四散してしまうだろうね。少なくとも、こうして悠くんの“ペルソナ”してや、久須美鞠子としてキミ達の前に立つ事は二度とできないだろう。」

「それじゃ、ダメじゃん。」

「いやいや、そうでもないさ。少なくともキミらの、特にりせくんの協力があれば、そうならないようにする事は多分可能だ。要は、範囲を限定すれば良い訳だからね。」

「えっ!?わ、わたしっ!?」

「なるほど・・・。確かに久慈川さんのヒミコは、情報処理に特化したペルソナだ。しかも、今回の場合に限っては、調べる対象は半グレ集団に限定すれば良い。彼らがどれだけの数存在するか分かりませんが、少なくとも80億人分調べるよりかは、負担は圧倒的に少ないでしょう。」

「何か、ネットの検索機能、みたいだね。」

「それは、当たらずとも遠からず、って感じかな。もちろん、みんなにも協力して貰えれば、もっと負担を減らす事が可能だ。」

「え?けど、私達のペルソナは、りせちゃんと違って戦闘に特化してるんだけど・・・。」

「“霊力”、だよ。人々の集合的無意識にアクセスするなら、大きなエネルギーが必要になる。基本は私とイザナギがやるとして、範囲を限定、検索なんかはりせに担当して貰うとしても、ここで修業して力をつけたみんなの霊力を借りれば、消費エネルギーを更に減らす事ができる・・・、でしょ?」

「その通り。って訳だから、みんなも協力してくれるかい?」

 

俺らは顔を見合わせてコクリと頷いた。

答えは決まりきっていたからである。

 

「もちろんっすよっ!」

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしよろしければ、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
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