続きです。
一応ですが、この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関わりがありません。
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「んで?バカみてぇな乱闘してた挙げ句、野郎と女に逃げられたって?」
「は、ハイッ!本当に申し訳ありませんっ!!」
「ハッハッハ、・・・すまんで済んだらケーサツはいらねぇんだよ!!」
バキッ!!!
「ぐはっ!・・・ほ、ホント、すいませんっ!!」
「オメェ、一応幹部の一人だろ?俺らみてぇなモンは、ナメられたらおしまいなのよ。それは分かってんだろ〜な?」
「は、ハイッ!!そ、それはもちろんっ!!!」
「だったら、さっさと二人ともさらってこいやっ!!ナメたマネしてくれた礼を、たっぷりしなくちゃなんねぇからよっ!!」
「は、ハイッ!・・・け、けど、どうやって・・・?」
「・・・はぁ〜。オメェ、マジでオツムが足んねぇな?そんな時の為に、個人情報を抑えてんじゃねぇか。それ見りゃ、住所なんて一発だろ?野郎の方は知らん。足で掴めや。」
「は、ハイッ!す、すぐにっ!!!」
陽介らに絡んでいて連中は、失敗に対するケジメとして軽くリンチを受け、そう詰められて慌てた出て行こうとする。
「あ、一応言っとくけど、今度こそ失敗は許さねぇよ?手ぶらで帰ってきたらどうなるか、分かるよな?」
「ヒッ・・・!も、もちろんですっ!!」
「おう、分かってりゃいいんだよ。朗報を期待してるぜ?」
無言でコクコクと頷く男達。
半グレ集団なんてものは、所謂無法者の集まりであるから、制裁や脅しなど日常茶飯事なのである。
それは、例え幹部であったとしても例外ではなかったようである。
「・・・ってか、何であんなヤツ、幹部にしてやってんだ?」
「前にも言っただろ、ユーヤ。保険だよ、保険。」
「ああ、スケープゴート、ってヤツか。」
「そ。それに、あれで顔は広いしそれなりに使い道はある。スケープゴートにはもってこいだろ?」
「ふ〜ん。」
連中にリンチを主導していた男に、もう一人の男がそんな風に聞いてきた。
それに男は、呆れた様にそう返す。
「ふ〜ん、って、一応オメェが『
「ガラじゃねぇよ、タクヤ。オメェがやれや。」
「俺はダメだ。それに、立場的には参謀の方が性にあってるしよ。それに、例の“左翼”と繋がりがあんのは、オメェだけだろ?」
「チッ、まぁな。」
タクヤと呼ばれた男から、“左翼”の言葉が出ると、ユーヤと呼ばれた男は忌々しげな表情を浮かべていた。
元々この二人、ただの暴走族上がりのチンピラに過ぎなかった。
普段は一応は真っ当な仕事をしている、ちょっと変わった経歴の持ち主でしかなかったのである。
このまま順調に社会に溶け込んでいけば、それは過去の武勇伝であって、現在進行系で犯罪行為を主導する立場となる事もなかった、かもしれない。
しかし、脛に傷を持つ者達には、ある種のハンデがあるのとなんら変わらないのである。
世間一般からしたら、元暴走族など忌避される要因でしかない。
つまり、過去の経歴が自らを苦しめる要因となったのである。
しかし、それも自らが招いた事であるから、同情の余地はないのだが。
具体的には、とある時、ユーヤと呼ばれた男に、“左翼”の幹部を名乗る謎の人物から接触があったのである。
左翼とは、この国における革新派、現状の資本主義、自由主義に対して、共産主義、全体主義を掲げる者達の事である。
現状の保守派からしたら、今現在の秩序を脅かす存在ではあるが、一つの凝り固まった思想から脱却を目指している点では、一定程度の支持はあるようだ。
まぁ、中にはこれは右も左も変わらないが、過激な事をやる連中もいるので、どちらも一般人からしたらなるべくなら関わりなくない者達であろうが。
ま、それはともかく。
で、そんな彼らからしたら、倫理観や道徳観など活動の邪魔でしかないので、簡単にそうしたラインを超えてくる。
具体的には、ユーヤらを駒とするべく、過去の経歴をネタに、脅しをかけてきたのである。
つまり、過去の経歴をバラされたくなかったら、言う事を聞け、という訳である。
もちろん、元暴走族程度ならば、そうした経歴を公表してそれでも社会的に活躍している人物もいるので、彼らの言いなりになる必要はないのであるが、ユーヤはそのラインを超えた経歴もあったのである。
それが、“ひき逃げ事件”、なのであった。
暴走行為も立派に犯罪行為ではあるが、人様を巻き込んでなければまだ言い訳も成り立つかもしれない。
しかし、その過程で人様をひいてしまい、しかも死亡させてしまったとしたら、それは一気に罪の重さが変わってくるだろう。
ユーヤからしたら、それはどうしてもバレたくない事であった。
せっかく逃げ切って、捕まらずに今日まで来たというのに、ここでバレたらこれまでの努力が水の泡と消えてしまうからである。
もっとも、本来なら事件を起こした時に素早く救護活動なり救急車なりを呼んでいれば、それは防げた事だったかもしれない。
少なくとも、そこで仮に捕まったとしても、それで犯罪行為を精算できるのだから、社会的な責任は負う事となるだろう。
しかし、混乱もあったのかもしれないが、それで逃げて、隠して、有耶無耶にして、それがバレそうになったら更に罪を重ねる、という負のスパイラルに陥ってしまった訳であった。
まぁ、とはいえ、これは彼が選択した結果だから、先程も述べた通り、同情の余地はないのである。
「ま、そんな顔すんなよ。確かにはじめはヤツらの言いなりになるのはシャクだとは思ったが、それで楽して稼げるようにもなったんだ。せいぜい利用してやりゃいいのよ。」
「・・・ま、そうだな・・・。」
そうした経緯もあって、ユーヤは元の仲間であったタクヤに相談し、半グレ集団『
左翼側からしたら、おそらくその尖兵とする為、あるいはその資金を吸い取る為に利用しようとしたのであろうか。
一方のユーヤ達も、刺激的な毎日を過ごしていた元暴走族としては、今の生活にどこか退屈していた側面もある。
しかし、半ば脅し、なし崩し的に半グレ集団を率いる事になってしまったが、結果刺激的な毎日となり、しかも、普通に生きていたのでは到底稼げないようなカネを稼げる事もあって、割と満足感を得ていたのであった。
しかし、
「・・・そうは問屋が卸さんのですわ。」
「・・・はっ?」
経緯はどうあれ、彼らが行っている事はれっきとした犯罪行為である。
しかも、暴走行為とは違い、半グレ集団として詐欺行為や違法風俗なども主導している。
当然、治安維持機関からしたら、彼らは検挙の対象となってしまう事だろう。
「誰だ、アンタら?」
「どうもぉ〜、沖奈署のモンですわ。オタクらをパクりに来ましたわ。」
「・・・令状はあるんすか?」
ゾロゾロと姿を現した捜査員達に若干面食らいながらも、タクヤは強気にそう発言した。
と、言うのも、違法風俗はともかく、詐欺行為は立件が非常に難しいからである。
彼らも当然、自分達が違法な事をしている自覚があるので、捕まらないようにあの手この手を使っている。
具体的には、自らは手を汚さず、別の誰かを使って犯罪行為をさせる、とかである。
所謂、最近流行りの“闇バイト”ではあるが、実際にはこういう事例は、昔からある手法で、ある意味使い古された手でもあった。
ただ、昨今の事情が違うのは、SNSなどのツールを使っている点であり、それによって更に複雑化しており、結果捜査を難しくしている点であろうか?
その“システム”に自信を持っていたタクヤは、だからこそ強気な態度でいられた、という訳である。
いくら捜査機関と言えど、確かな証拠もなしに、令状もなしに彼らを捕まえる事はできない。
そんな事をすれば、逆に今度は彼らが、捜査機関としての権限を超えた越権行為、犯罪行為となるからである。
だが、
「どうなんすかっ!?」
「・・・オホッホ、元気がよろしおますなぁ〜。もちろんありまっせ?こちらがそうや。」
「「・・・えっ・・・!?」」
怪しげな関西弁をしゃべる捜査員は、自信満々に令状を掲げる。
「あんさんら『
「「・・・。」」
名探偵とは、当然直斗の事である。
いくらイザナギとマリー、それにりせの“力”によって(もちろん、他の仲間達も間接的に協力している)、通常ありえない“情報”を集められたからと言って、その“出し方”という問題があるのだ。
当たり前だが、出所の分からない“情報”を信じるほど、警察組織も暇ではない。
何故ならば、“情報提供”という
が、大概それらはガセネタが多く、情報提供が決まり手となって、犯人逮捕となる事案はそうは多くないのである。
故に、一応裏取りはするかもしれないが、世間一般からの情報はあまりアテにしていないのが現状であろう。
ところが、それが“ある程度の立場を持つ者”、ならば、話は大きく変わってくる。
例えば、内部告発だ。
組織内部に属していた者ならば、外側から分からない事情を知っていたとしても不思議な話ではない。
実際、企業の不正や違法行為が、この内部告発から発覚したケースはかなり多い。
そして、内部事情に詳しい者と(もちろん、実際には全くそんな事はないが、それは端から見たら分からない)、堂島、白鐘が繋がった訳である。
つまり、市来美姫の存在である。
後は、彼女からの情報をもとに、白鐘が独自に調査した
(ちなみに堂島は警察官ではあるが、一応は組織に属している立場としては、独自の裁量で動く事も、またそうした自由な権限は持ち合わせていない。
そこで白羽の矢が立ったのが、警察組織とも太いパイプを持ち、かつ、“探偵”というある意味自由な立場を利用して、市来美姫から依頼があって、『
警察組織にとって、“白鐘”の名の効力は絶大だ。
しかも、当然ながらあくまで探偵である彼女には逮捕権はないので、その手柄は丸々警察側のものとなる。
むしろ、管轄である沖奈警察にとっては、目の上のたんこぶであった半グレ集団、『
これで動かない訳がないのである。
「ま、そんな訳で、令状も証拠もバッチリ揃っとるんですわ。言い逃れはできまへんで?さ、神妙にお縄につきなはれ。」
「・・・う、嘘だろっ?」
「・・・クソッ、多分裏切ったヤツがいるんだっ・・・!」
軽く説明を受けたユーヤとタクヤは、各々そんな反応を返した。
もっとも、仲間の裏切り云々は半分外れで半分正解だ。
今回はたまたま陽介らが関わってしまった事で、ビックリするくらいのスピード解決となったが、そもそも日本の治安維持機関が彼らのような連中をずっと野放しにする訳もない。
つまり、遅かれ早かれ、こういう結末になる事は目に見えていたのである。
だが、下手な成功体験が目を曇らせる事もある。
後ろ盾があったといえ、まだ二十歳そこそこでこれだけ荒稼ぎすれば、“世の中チョロい”と思ってしまったとしても無理からぬ事だろう。
しかし、当然ながら世の中そんな甘いモンじゃない。
少なくとも、犯罪行為で甘い汁を吸ってる連中が、一生安泰なんて事はありえないのである。
「ほれほれ、後は署の方で事情聴取するよって、文句はそこで聞いたるさかい。」
「っ・・・。」
「ケッ・・・。」
しかしこの二人、事ここに至っても、まだ甘い考え、いや、学生の延長線上で物事を判断していたのかもしれない。
どうせパクられても、すぐに出てこれるだろうと踏んでいた。
まぁ実際、違法風俗なんかは別件としても、先程も述べた通り、詐欺行為を立件する事は非常に難しい。
それ故に、金に物を言わせて優秀な弁護士でも雇えば、案外アッサリ出てこれるだろうという考え自体は間違っていないかもしれない。
だから、彼らのふてぶてしい態度も納得なのであるが、しかし、この件に関しては相手が悪すぎた。
何せ、本物の“カミサマ”が一枚噛んでるのだ。
故に、彼らの甘い考えは、そう遠くない内に粉々に打ち砕かれる事だろう。
「いやぁ〜、これから忙しくなるでぇ〜。何せ、数え切れないほどの犯罪行為のオンパレードや。あんさんら、何度逮捕されるか分からんで?」
「「・・・はっ???」」
いや、その瞬間は意外と早く訪れていた。
「だってあんさん、過去にひき逃げ事件起こしとるやろ?ひき逃げの時効は7年やけど、まだ3年とちょっとやから、十分に立件が可能や。少なくともあんさん、その件でも追及されるで?」
「な、なんでっ・・・!?」
「さぁなぁ〜?ウチら警察でも、証拠が集めきれんかったんやけど、やっぱ名探偵ってのスゴいんやの〜。」
カラカラと笑う捜査員。
当然ながら彼も多少の疑問は持っていたが、上がゴーサインを出した以上、彼らの仕事は半グレ集団をしょっぴく事だった。
だから、下手に“白鐘”がどのように証拠を集めたのか?、などの疑問は、すでに頭から追い出していたのである。
組織では、空気の読めない者は淘汰される運命にある。
彼は、その事を熟知していたのであった。
「くそっ、離せよっ!」
「触ってんじゃねぇぞ、テメェ!」
「カッカッカ、元気がよろしおすなぁ〜。なんかいい事でもあったんやろかぁ〜。」
最後の抵抗として、子供じみた態度に終始したチンピラ二人。
こうしてびっくりするくらいアッサリと、世間や沖奈の街を騒がせた半グレ集団は、リーダー格の逮捕によって、壊滅してしまったのであったーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。