続きです。
事件自体はアッサリ終わりますが、後の伏線でもあります。
やっぱり、最終盤には山がないとね。
次回はサプライズゲストが登場予定です。
・・・
魔術師side
「うぅ〜、頭いたぁ〜い!」
「・・・大丈夫、りせちゃん?」
「大丈夫じゃないよぉ〜、千枝センパイ。頭ん中に色んな情報が流れ込んでくるんだもん。ほとんどヒミコが処理してくれたけど、それでもこれだよぉ〜?」
「・・・これはイザナギさまも躊躇する訳だよね。おそらくだけど、百人にも満たない人々の情報を集めるだけでこれほどの影響があるなんて・・・。」
「一体どんな感じなんだ、りせ?」
「うぅ〜んと、例えるなら、見たくもない“映画”を延々と見させられてる感じ?しかも、ほとんどろくでもない情報ばっかりだしねぇ〜。」
「ま、犯罪行為の数々を調べる目的だもんなぁ〜。」
俺らは今、堂島家で死んでるりせを介抱しながらそんな会話を交わしていた。
(ちなみに、家主である堂島さんとイザナギさま、後、直斗のヤツは、今回の件の後処理をする為に駆けずり回っている。)
ま、後は警察側の仕事だ。
俺らは“情報を集める”、という大役を果たしたので、こうしてお役御免、という訳である。
ま、今回はほとんど俺は活躍しちゃいねぇけど、とりあえずこれで半グレ集団が壊滅させられるなら、別にそれで良いしな。
「・・・マリーちゃんはよく平気だね。」
「そう?・・・ま、キミ達以外の事はあまり興味ないしね。」
一方、りせと共に“情報収集”の中心を担っていたマリーちゃんは、ケロッとした表情で菜々子ちゃんと遊んでいた。
やっぱり“カミサマ”だけあって、俺らとは精神構造が違うんだろうか?
「多分りせは、感情的になりすぎなんだと思うよ。」
「例の件で、散々センパイに感情的になってた人に言われたくないんだけどぉ〜・・・。」
「そ、それは忘れてっ・・・!」
マリーちゃんのアドバイスに、強烈なカウンターで迎え撃つりせ。
・・・確かに、“虚ろの森”の一件は、端から見れば痴話喧嘩以外のなにものでもなかったもんなぁ〜。
ま、その規模が段違いではあったが。
「しっかし、りせちゃんのペルソナはスゴいクマねぇ〜。サポートと応用力では、他に右に出る者はいないクマよぉ〜。」
「確かにな。実生活では、りせのペルソナが一番応用範囲が広い、って相棒のヤツも言ってたぜ。」
「私も、燃やすのなら得意なんだけど・・・。」
「燃やすなっつーの。」
「そういやセンパイ、俺らのペルソナも使えるんすよね?」
「ま、元々アイツは特殊だからな。んで、そん中でも、特にりせのペルソナを使ってるらしいぜ。」
「わたしらのペルソナは、結局のところ戦闘に特化してるからね。そうなると、他のペルソナでも代用が効くワケだし。」
「その点、りせちゃんのペルソナは、他と違ってサポート特化だから重宝する、と。」
「みたいだな。」
ダラダラとダベってると相棒の話題に行き着く辺り、結局のところ俺らは悠の事が好きなんだろう。
だからこそ、マジでろくでもない事に巻き込まれているアイツの為にも、それに堂島さんと菜々子ちゃんの幸せの為にも、間接的にでも協力できた事をどこか誇らしく思っていた。
っつっても、結局半グレ集団の裏にいる連中をどうこうできた訳じゃねぇんだけど・・・。
「あ、あのっ・・・!」
「ん?」
なんて事をやってると、しばらく堂島家で厄介になっていたからか、すっかり菜々子ちゃんやマリーちゃんと打ち解けて遊んでいた市来さんが、真面目な表情で俺らに話し掛ける。
「皆さん、ありがとうございましたっ!」
一斉に彼女に注目が集まる中、彼女は礼儀正しくお辞儀しながらそんな言葉を伝えてくれた。
一瞬、俺らはポカーンとする。
ってのも、途中からは目的が悠の為だったり菜々子ちゃんの為だったりしたから忘れかけていたが、本来は彼女を助けた事から始まった話だからな。
だから、彼女からしてみたら、危機的状況を救ってもらっただけじゃなく、脅威そのものが解消された事と同じ訳だ。
彼女の立場からしたら、感謝しかないのだろう。
一方の俺らは、中々照れくさいもんだった。
人から礼を言われる事なんかあんまりない機会だしな。
・・・特に完二とか。
「あっ?何でこっち見てんすか、アンタ?」
「あ、アハハハ〜。い、いや、何でもねぇ〜よ。」
俺の視線に目ざとく気付いた完二がそんな風に突っかかってきたが、まぁ、ブチブチと文句を言いつつも、それ以上は突っ込む事もなかった。
アイツはアイツなりに、自分がそんなキャラじゃないってのは自覚してんだろう。
おっと、一応リーダーを代行している手前、市来さんに返礼を返さなきゃな。
「ハハハハ、別にお礼を言われるこっちゃねぇよ。けど、ま、どうにか無事に済んで良かったぜ。多分だけど、これで市来さんももう自宅に戻っても平気だろうし。」
「え〜、美姫ちゃん、もう帰っちゃうの〜?」
「こらこら菜々子。ワガママ言わないの。美姫も学校があるんだからさ。」
「そういや美姫ちゃん、わたしらと同じ高校生だもんね。学校の方は大丈夫?その、単位とか・・・。」
「あ、うん。一応真面目に登校してたから、一週間くらいならなんて事ないよ。」
「・・・千枝とは違うね。」
「ぐはっ!何で急に刺してきたん、雪子!?」
「・・・え?」
「何でそこで、心底分からないって表情なのっ!?」
「けど、確かに残念クマ〜。せっかくミキチャンとお友達になれたのに、こうしてお別れなんてクマ〜。」
「ハハハ、クマ、大袈裟だって。市来さんは隣町に住んでんだから、電車で一本よ?それに、俺らなら、原チャで遊びにも行けるしよ。」
「そいや、完二くんも免許取ったんだよね?」
「うっす、俺、1月生まれなもんで、今年に入ってようやくっすけど。」
「ちなみに、クマのヤツもちゃっかり取ってたりすんだよね。それに、どういうツテがあったのか知らんけど、バッチリ新車までゲットしてやがんの。」
「お菓子もアイスも我慢して頑張りましたクマ!」
「えっと、それって戸籍的にどうやったの・・・?いや、よそう。下手に踏み込むと地雷にしかなんないような気がする・・・。」
「じゃあ、みんなバイク持ちなんだね。それなら、予定を合わせればすぐにでも実現できそう。」
「いやいや、言い出しといて何ですけど、市来さんにも都合があるからね?」
各々に喋りだす俺らに、今度は市来さんがポカーンとする。
ま、俺ら、結構ノリ軽いしね。
数日過ごせばマブダチ、って感じなんだが、彼女にとっちゃ、展開が早すぎるかね?
「アハハハ、嬉しいよ、みんな。まさか高校最後の年に、こんなに一気に友達ができるなんて思わなかったよ。うん、是非一度遊びに来てよ。それに、菜々子ちゃんやマリーも。もちろん、電車でね?」
「うんっ!」
「・・・分かった。」
しかし、俺の心配をよそに、彼女は屈託のない笑顔を浮かべてそう言ってくれた。
それに、菜々子ちゃんとマリーちゃんもそう返して、俺らも笑顔を浮かべるのだったーーー。
・・・
歌姫side
彼らと知り合ってからは、怒涛の展開だった。
半グレ集団に目を付けられて、高校生活も将来の夢もお先真っ暗かと思いきや、どうやったかは知らないが、彼らのお陰でたった数日間で全てが解決したのである。
しかも、一応は歌手になる夢かあったとは言えど、今までは漠然と地元から東京に出る事しか考えてなかった私に、ビックリするようなサプライズもあった。
そう、“アイドルりせちー”の存在である。
私が目指している方向とはかなり違うまでも、彼女はつい一年ほど前まではバリバリテレビ番組で歌ったりしていた、いわばその業界の先輩である。
今は本業はセーブしているのだが、実は密かにYo○Tubeチャンネルを開設して、テレビとは一味違った方向性で人気を博しているそうなのである。
で、そんな彼女に私の夢をポロッと話したら、“じゃあ、知り合いに掛け合ってあげる”、との事。
もちろん、向こうも商売だから、コネで何とかなるほど甘いモンじゃないとの事だが、そこで認められれば、歌手デビューも夢の話じゃなくなる。
しかも、仮にそれで事務所への所属なんかが決まれば、もしかしたら生活費なんかの心配をしなくても済むかもしれないのである。
それだけじゃない。
今度、自分のYo○Tubeチャンネルに出てくれないか?、と提案されたりもしたのである。
テレビなどの仕事と違い、あくまで自分のチャンネルであるYo○Tubeはかなり自由度が高いらしい。
もちろん、ある程度は所属事務所の許可は必要らしいが。
しかし、確かにこれはある意味チャンスでもある。
無名の人でも、“歌ってみた”なんかでバズる事もあるし、世間に自分の歌唱力をアピールするなら、これ以上の事はないかもしれない。
と、このように、怪我の功名ではないが、無茶をした事で思わぬ繋がりを持つに至ったのであった。
まだ何がどうなった、という訳ではないが、私は陽介くん達に出会えた事を感謝しつつ、彼らとの友情を大事にし、残り短い高校生活を大事にしようと思っていたのだったーーー。
その後、久慈川りせの『りせちーチャンネル』に謎のゲストが登場し、彼女の圧倒的な歌唱力にネット上は大変な騒ぎとなった。
その約1年後には、満を持して“話題の歌姫”が本格的な歌手デビューを果たしてまた盛り上がっていくのであるが、それはまた別のお話ーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。