P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

P4sideの話は一旦今回で終了です。
次回から、また番長(GSside)の話に戻ります。


水面下での攻防

 

・・・

 

世界side

 

「・・・お話が逸れてしまいましたね。それで、その“お願い”とは一体何なのでしょうか?」

「ええ、前置きが長くなってしまいましたが、本日お伺いしたのはまさにその為です。では単刀直入に申し上げますが、こちらのペルソナ使い達を貴女の『シャドウワーカー』チームに合流させたいのですよ。」

「それは・・・、正直申し上げると、人員不足は痛感していましたから大変有り難いお話なのですが・・・、よろしいので?先程のお話では、そちらのペルソナ使いの皆さんは、桐条とは直接的な関わりはありませんよね?まぁ、そうした意味では、今現在『シャドウワーカー(ウチ)』に所属している他のペルソナ使い達も、私ほどは桐条と関わりが深い者はおりませんが、こちらは元々私の仲間だった事もあり、昔のよしみで協力して貰っていますが・・・。」

「・・・もちろん、本来ならば私としても不本意な事ではあります。まぁ、ペルソナ能力に目覚めた以上、ある意味それは無茶な願いではあったかもしれませんが、できる事なら彼らには、普通の人生を歩んで欲しいと思っていましたからね。ただ、状況はそれを許しませんでした。」

「と、申しますと?」

「実はですね・・・。」

 

 

ボクは、かいつまんで悠くんの今現在の状況を伝える。

もっとも、ここでは流石に“並行世界(パラレルワールド)”の事はぼかしておいたが。

 

「なるほど・・・。力を持つ存在を利用しようとする者は、やはり一定数いる、と。」

「ええ、残念ながら、ね。ただ、同じような条件でありながらあなた方が狙われないのは、これはやはり桐条が関連しています。彼らのような存在でも、桐条を敵に回すのは色々と都合が悪いですからね。その点、こちらのペルソナ使い達にはそうしたバックボーンがない。“ペルソナ使い”である事を除いたら、普通の高校生の範疇だ。ですから、彼らからしたらこちらを狙う方が色々と都合が良いのですよ。それに、あくまで彼らの狙いは私自身です。そちらのペルソナ使いは日本神話と関わりの深いペルソナは、一部を除いて存在していませんしね。」

「・・・先程のお話から何となく察しておりましたが、やはり貴方は・・・。」

「ええ。私は“イザナギノミコト”。先程のお話にも出てきた“イザナミノミコト”とは対を成す存在ですよ。もっとも、本来はあくまでも“ペルソナ”。つまりは神や悪魔の似姿を具現化しただけの存在に過ぎませんでしたが、こちらのリーダーが起こした“奇跡”によって、ただの“ペルソナ”に私の意識が乗り移る事となった。それによって、“イザナミノミコト”を退ける事ができた訳ですが・・・、こうして、また新たなる問題も出てきてしまった、という訳です。」

 

自嘲気味にボクがそう呟くと、美鶴くんは気まずそうにうつむいた。

 

一難去ってまた一難。

例の事件では、最終的にはボクの存在によって悠くん達は“イザナミノミコト(黒幕)”に打ち勝つ事ができた訳だが、今回の件ではボクの存在がこうしたトラブルの遠因になってしまった訳である。

まぁ、こうした事を想定していたからこそ、ボクは根源へと還っていた、つまり現世から姿を消していた訳であるが・・・。

 

ここら辺は良いとか悪いの話ではなく、力を持つ者や影響力を持つ者は、いつの世でも狙われる宿命にあるのかもしれない。

 

「お話は分かりました。もちろん、先程も申し上げた通り、こちらとしては人材不足は深刻な問題ですから、彼らさえよろしければ、こちらとしては断る理由はありません。」

「おお、有り難い。」

 

美鶴くんは、最終的にそう判断したようだ。

とりあえず、一つの方向性が指し示す事ができたボクは、安堵の表情を浮かべた。

 

「それで、具体的にはどのくらいに合流する予定でいらっしゃるのでしょうか?」

「そうですね。今は色々とゴタゴタしていますし、彼らはまだ高校生ですからね。とりあえず、『高3組』が受験を終えて、卒業するくらい。具体的には、来年の春頃なんかでいかがでしょうか?」

「分かりました。こちらとしては異論はありません。が、差し出がましいようですが、もしよろしければ、そちらのトラブルに介入する事は、こちらとしてもやぶさかではありませんが?」

 

話が一段落つきかけたタイミングで、美鶴くんはそんな提案をボクに投げかけて来た。

 

・・・ふむ。

正直、“桐条”の協力を得られるのは非常に有り難いのだが、ぶっちゃけると彼女達には何のメリットもない話だ。

 

まぁ、それでもこちらに恩を売っておく事で、後の主導権(イニシアティブ)を握る事ができる、という計算は成り立つので、その提案はありえない話ではないのだが。

もっとも、彼女の場合は純粋な親切心からだろうけどね。

 

「・・・正直申し上げれば、そのご提案は非常に有り難いお話なのですが、今回に関してはお断りさせて頂きたい。何故ならば、これは“神々の問題”だからです。」

「・・・ふむ。」

「それに、持ち直したと言っても、桐条が政治的問題において片側の肩を持ってしまうと、色々と心象も良くないでしょう。貴女がどのようなお考えを持っているかは分かりませんが、企業としては中立を保つのがもっともベストだと個人的には思いますしね。」

「なるほど・・・。」

 

まぁ、企業が政治色を色濃く出しているところも珍しくないので、あくまで個人的な意見だ。

また、いくら表に出せないからと言っても、かつての桐条がやらかした事はおそらく裏側に存在する連中には周知の事実だろう。

そんな桐条が、現時点でそうした連中に介入する事は、あまり良い事ではない。

 

美鶴くんは、確かに非常に得難い才媛だが、まだまだ政治的な事には疎いと見える。

まぁ、なるべくなら、彼女にはそのままの姿勢を貫いて欲しいところだが。

 

「・・・ただ、牽制としては良いかもしれませんね・・・。あくまで、企業活動の一環として、ですが・・・。」

 

そういう悪巧みは、ボクのような古狸に任せておいて欲しい。

ボクは意地悪く、そうニヤリと笑う。

 

「と、申しますと?」

「実はですね・・・。」

 

・・・

 

???

 

「まさか例の組織を潰されるとは、な・・・。」

「まぁ、想定外の事ではありますが、資金源の一つや二つ、大した問題ではないでしょう。もちろん、稲羽市に限りなく近い場所に根付いた組織ですから、そうした意味ではかなりの痛手ではありますが・・・。」

「・・・あわよくば、堂島菜々子を何とかできれば、とは思っていたが、やはりこちらの狙いは分かっておるようだな。」

「ええ。非常に頭のキレる、かつ冷静な存在が向こうにはいるのでしょう。もしかしたら、例のXがその策士なのかもしれませんが・・・。」

「仮にXが我々の想像通りの存在だとしたら、様々な経験値では圧倒的に不利だろうな。そもそもの年季が違い過ぎる。頭脳戦では、とても勝ち目がないだろう。」

「・・・“神話”からはあまり想像がつきませんが・・・。」

「あれは、あくまで後の世にできた物だ。その中には、取りこぼされた内容も多い事だろう。データを重視するのは結構だが、それが絶対だとは思わない方が賢明だよ?」

「・・・肝に銘じておきます。」

 

一方その頃、謎の男達がそんな会話を交わしていた。

内容としては、イザナギ&マリー+陽介達の暗躍によって、例の半グレ集団『WF(ホワイトファング)』を潰された事のようである。

 

「だが、成果はあった。少なくとも、例のアプリを広める事はできた訳だしな。」

「そうですね。組織そのものは潰せても、一度拡散した情報までは回収のしようがないでしょう。」

「彼らも、そちらに関してはノータッチのようだ。事、ソーシャルテクノロジーに関しては、やはり現代に生きる我々の方が優位なようだな。」

「そこら辺の技術の進歩は目覚ましいですからねぇ〜。私なんかも、もう若い者達が何をしているのかチンプンカンプンですよ。」

「・・・キミは、もう少し勉強した方が良いな。」

「・・・はい。」

 

若干オッサン染みた発言に、別の男にツッコまれながらも男は話をもとに戻した。

 

「し、しかも、実験の結果も納得いくモノだったのでしょう?」

「あ、ああ、うむ。()()()()()は問題なく可能だ。もっとも、その副作用まではどうにもならなかったが・・・。」

「別に、どこの誰とも知らない奴らがどうなろうと知った事ではないでしょう。こちらとしては、目的さえ果たせればそれで良い訳ですし。」

「・・・確かに。後は、その力をより一層高める為に、多くのアプリ使用者が必要なんだが・・・。」

「・・・それなんですが、今後は“インフルエンサー”を利用しては?」

「「“インフルエンサー”???」」

 

そこに、別の男が話に割って入ってきた。

 

「ええ。あくまで今までの活動は、アプリの有効性を確かめる為の実験に過ぎませんでしたが、だから、半グレ集団なんて中途半端な奴らを利用した訳ですが、その有効性が分かった以上、(おおやけ)に公開してしまおう、って訳ですよ。先程も、拡散云々ってお話をされていましたが、有名な、影響力の高い“インフルエンサー”に宣伝して貰えば、その拡散が一気に広まる可能性も高い。アプリの効果的にも、利用者が多ければ多いに越した事はないでしょう?」

「・・・確かに。」

「し、しかし、そんなツテがあるのかね?つまり、有名人を起用したCMをする、って事だろう?」

「いやいや。今やタレントだけが広告塔の時代ではありませんよ?中には限りなく一般人に近い“インフルエンサー”もいます。そちらならば、高い契約金さえチラつかせれば、アッサリと乗ってくる可能性もあります。そもそも、表向きそのアプリは、ただの“音楽ソフト”でしかないのですし、違法性もありませんしね。」

「・・・。」

「そ、そうなのか・・・。」

 

現代技術に疎いオッサン二人にそうレクチャーする男。

彼は、この二人よりも遥かに年若いようであった。

 

「・・・では、そちらに関してはキミに任せよう。」

「了解です。」

 

故に、その件に関しては彼に丸投げするつもりのようであった。

偉そうな男がそう呟くと、年若い男はすぐに了解の意を示した。

 

「・・・コホンッ。もうすぐだ。もうすぐで、この腐り切った世界を変える事ができる。あるべき姿に、な。それまでは、同志諸君のより一層の貢献に期待している。」

「ハッ!」

「はいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、有名“インフルエンサー”が話題に取り上げた事でとあるアプリがかなりの流行をする事となった。

 

だが同時に、桐条グループの関連会社が開発・発表したとあるアプリも耳目を集めて、ある種の情報戦が繰り広げられる事となるのだが、これはまた後述する事としようーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
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