P4GS   作:笠井裕二

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続きです。


探索

 

・・・

 

道化師side

 

「切りが無いですケンノー。」

「グチってても仕方ねぇだろ。さっさと倒して、先に進もうぜっ!!」

「そうですねぇ〜。」

「そうしよう。」

 

中華風の建物に突入した俺達を待ち受けていたのは、異形の存在による襲撃に次ぐ襲撃であった。

 

普段、悪霊なんかに慣れている俺達であるが、それらは普通の悪霊とは若干の違いが存在していた。

鳴上の発言によれば、これは“シャドウ”に似ている、らしい。

ま、ヤツもハッキリとした事は分からんみたいだが、とにかくコイツらを突破しない事には、奥へと進めそうもなかったのである。

 

もっとも、その数自体は厄介なのだが、ぶっちゃけると、今の俺達にとっては何ら脅威ではなかったりする。

 

こちらとら若手ではあるが、日本、どころか世界のGS界でもトップクラスの奴らが集まってるからなー。

 

 

ここで簡単に解説すると、伊達雪之丞はゲームで言うところの物理アタッカーである。

素の身体能力も高く、しかも“魔装術”、改めて“霊装術”を極めたコイツは攻守共に隙がない。

しかも、実際にはコイツは“霊波砲”も得意としているので、近距離だけでなく、中距離にも対応する術を持っている。

 

ただ、唯一の弱点を挙げるとすると、応用力に若干の不安があるところか。

正面きっての戦闘には無類の強さを誇るが、搦め手を使う相手との相性がすこぶる悪いのだ。

もっとも、それもコイツの経験値が高い事もあってかそう簡単にやられるタマじゃないし、今は俺らもついてるから全く問題とならないのだがな。

 

続いてピートであるが、コイツは雪之丞と同様に近接戦闘を得意としている。

それに、“バンパイア・ハーフ”という特殊なアドバンテージと、唐巣センセイの指導を受けている事もあり、聖なる力と魔なる力を同時に操る事が可能なのだ。

 

また、これは“吸血鬼”としての特殊能力で、身体を霧にして移動する事が可能であり、それはさながら瞬間移動のような厄介さを持っていたりもする。

それに、こちらもやはり“吸血鬼”としての特性として、血を吸った相手を支配する力も持っているのである。

 

つまり、雪之丞との差別化としては、応用力に優れている点が挙げられるだろう。

 

ただし、これらは非常に優秀な能力ではあるが、一方で“吸血鬼”としての弱点も持っていたりする。

 

“吸血鬼”は、“怪異の王”とも呼ばれる強力な存在だ。

ただし、色々と弱点の多い存在としても有名であった。

 

有名なところで言えば、“吸血鬼”は陽の光を受けると灰になってしまうので日中に行動する事はできないし、十字架やニンニクといった弱点が存在するのである。

 

もっとも、ピートは“バンパイア・ハーフ”であるから、陽の光を浴びても全く問題ない。

故に、普通に日中も行動が可能である。

 

また、十字架についても、元々唐巣センセイはキリスト教系の神父であったから(今は破門された身ではあるが)、普段から十字架を身に着けており、それに対してピートが拒否反応を示した事は見た事がないので、こちらについても問題はないらしい。

 

ただ、ニンニクだけは克服できていないようなのだ。

 

もし仮にニンニク攻めを受けたら、ピートは即座に戦闘不能状態になる事請け合いである。

ま、普段からニンニクを持っているヤツもそういないだろうから、こうした遭遇戦では、弱点とも言えない弱点ではあるが。

 

お次は、タイガーだ。

コイツは、俺達の中で一番身体がデカい割に、実は一番技巧派だったりする。

 

タイガーは、一種の精神感応者(テレパス)だ。

相手(対象)に幻覚を見せるのがコイツの能力である。

 

幻覚って聞くと、案外大した事がないようにも思えるが、実は非常に危険性の高い能力でもある。

実際、美神さんも、エミさん&タイガーのタッグに敗北のピンチに陥りかけた事もあるくらいだからな。

 

ま、その時は、俺の機転によって事なきを得たのであるが(自慢)、その時に美神さんも言っていたが、強力な暗示をともなう幻覚は本物と同じくらい危険なのだ。

 

その後、本などで調べたらが、人は思い込みで本当に火傷をしてしまう事もあるらしいので、使いようによっては手も触れずに相手を殺傷する事すら可能なのである。

 

もちろん、幻覚の有用性はそれだけじゃない。

相手にこちらの姿を視認させない事も可能であるから、一種の透明化すら可能だ。

発想力次第では、まさしく変幻自在の応用力を備えている能力なのである。

 

ただ、その一方で、その強力過ぎる能力故に、タイガーはエミさんの制御(笛)無しには、その力を十全に発揮する事は難しいかったらしい。

ある一定以上の能力を使用すると、それが暴走し、人格も吹っ飛んでしまうのだ。

 

ただ、最近ではその弱点を克服しつつあるようであるから、コイツの真価はまだまだ未知数とも言える。

 

もちろん、その図体に見合った体力も兼ね備えているので、実は一番成長したら手が付けられないのがタイガーなのかもしれんな。

 

最後に、鳴上である。

一緒に修業してるからこそ分かるが、コイツの“ペルソナ能力”が一番オールマイティーかもしれん。

ま、所謂“ペルソナ能力者”の中では、複数の“ペルソナ”を所持しているのはコイツだけらしいので、一概に“ペルソナ能力者”がそうだとは限らないんだけどな。

 

状況に応じて、その場でベストな“ペルソナ”を選択する事が可能なので、応用力に関しては申し分ないだろう。

ある意味では、様々な魔具、オカルトグッズを駆使して戦う美神さんに似たタイプとも言えるかもしれない。

 

そして、コイツの特筆すべき点は、何と言っても驚異的な情報収集能力と、“回復”を扱える点であろう。

 

悪霊や妖怪などとの戦いでは、当然ながら相手の能力が未知数な部分も多い。

もちろん、ある程度は事前に調べる事はできるし、様々な知識を持っていれば(先程の“吸血鬼”云々のように)相手の弱点を突く事も可能だ。

 

しかし、今回のような事前に下調べする時間がない事や、全く相手の情報が分からない中でも、コイツの“ペルソナ”なら、相手の特性や弱点を知る事が可能なのだ。

(もっとも、これはコイツの本当の能力ではなく、仲間から借り受けている能力みたいだが)

 

そしてもう一つの“回復”については、これはこちらの世界(GS世界)にも存在する能力なのだが(ウチにおキヌちゃんも、その心霊治療(ヒーリング)の能力者だ。もっとも彼女のメインの能力は、あくまで死霊使い(ネクロマンサー)なのだが)、それもあくまで肉体の傷を多少癒やす程度で、コイツのように体力を完全回復したり、霊力を回復したりする効果はないのである。

 

つまり、当然ながら普段の悪霊などとの戦いにおいては、常に体力や霊力を気にしながら、ペース配分を考えながら戦わなければならないのである。

 

まぁ、それがある意味常識なのだが、コイツが一緒にいれば、それをあまり意識する必要がないのである。

常に体力や霊力がフルの状態でいられるので、つまり常にベストなパフォーマンスを発揮する事が可能なのだ。

そう、今の俺達みたいに。

 

なるほど、美神さんがコイツの能力に目を付けるハズである。

コイツが一緒にいれば、少なくとも相手の情報や弱点も即座に看破してくれるし、体力や霊力の消耗をあまり気にしなくても良くなる。

更には、コイツ自身にも戦う能力があり、“ペルソナ”の中には戦闘に特化したものもあるからな。

 

ただし、コイツの能力をフルで扱える主戦場は、あくまで“精神世界”とか“異界”などの限定的な条件下である。

もちろん、現実世界でも“ペルソナ能力”を行使する事は可能だが、その場合はコイツの霊能力に依存する事となる。

 

つまり、コイツの霊力が切れれば少なくとも“ペルソナ能力”は使えなくなるので、そうした意味ではやはりペース配分は重要になってくるのである。

 

ま、どちらにせよ、有用な能力である事には変わりないんだけどな。

 

さて、ついでだから最後に今回は戦闘に参加しないものの、俺の事についても触れておこう。

 

俺こと横島忠夫は、元々はただの美神さんの助手で、霊能力を持ってはいなかったのだが、その後小竜姫さまに見出されたのをキッカケに霊能力を開花していったのである。

 

もっとも、初めは“サイキック・ソーサー”という、中々クセの強い能力しか持っていなかったので、活躍の幅は広くなかった。

(ちなみに、“サイキック・ソーサー”とは、霊力を一点に集中する事でどんな攻撃も跳ね返せる、あるいはしのげる小さなバリアを作る技術である。ただし、その反動として、他の部分が全く霊的に無防備となるので、ある意味諸刃の剣のような危険性を孕んだ力であった。

ただ、この“サイキック・ソーサー”は、“非常にかたい”という特性もあって、盾としてだけでなく、相手にぶち当たる事で、攻撃としても使えるものでもあったが。)

 

それに、当初は霊力のコントロールもムラがあり、安定感のある能力とは言えなかったのであった。

 

俺の転換期となったのは、香港での一件で開花した“栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)”の方だ。

俺の中で一番使った技であり、“文珠(もんじゅ)”を習得した今でも、汎用性の高い能力として重宝している。

(ちなみに、“サイキック・ソーサー”→“栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)”→“文珠(もんじゅ)”という進化は、ある意味でスキルツリーとして理にかなっていたりする。これらは基本的には別種の能力であるのだが、霊力を“収束”、あるいは“凝縮”させる、という共通点があったからである。そうした意味では、俺の得意分野は、どうやら霊力の物質化、あるいは具現化であったとも言える。)

 

“サイキック・ソーサー”は攻撃にも防御にも使えたが、あくまで“盾”であって、応用力の幅は狭いし、そもそも安定的に使えない力であった。

しかし、この“栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)”は、それらの問題点を全て解決した能力であった。

 

まず、“栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)”は、俺の意思で発現が可能であるから、安定感という意味ではすでにこちらに軍配を上げるし、様々な“形状変化”が可能であるから(基本は“小手”→“霊波刀”であるが、実際にはある程度伸ばしたりと、他の形状変化も可能)応用力においても非常に幅広いと言える。

唯一の弱点があるとしたら、それは“放出”が苦手な部分だが、こちらも今現在では“小手”→“銃”へと形状変化をする事によって克服している。

 

もちろん、今現在の俺の切り札は“文珠(もんじゅ)”ではあるが、こちらは使用制限が存在するので、実際には今でも、俺のメイン武器はこの“栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)”だったりする。

 

最後に、“文珠(もんじゅ)”だ。

これは、霊力を凝縮しキーワードで一定の特性を持たせて解凍する技である。

 

文珠(もんじゅ)”にこめられる念は一個につき一つ。

俺の場合は、今は複数の文字を組み合わせる事で(それでも、安定的に使えるのは二・三文字が限界)更にその応用範囲が広がっている。

 

また、“文珠(もんじゅ)”の特性の一つは、これを生成するのは今のところ俺にしかできないが、使う事自体は誰にでも可能な点だ。

もちろん、使いこなすとなるとなるとまた話は別だが、そうした意味では“能力”というよりかは、魔具やオカルトグッズに近いかもしれない。

 

ただ、“文珠(もんじゅ)”は制御が難しく、使用者のイメージに左右される部分も存在するので、中途半端なイメージで使用すると、全く意図しない現象が起こる事もある。

(例えば、相手を()()()としたら、本当に足を滑らせて()()()()()、なんて事も起こり得る。この場合は『倒』すではなく、もっと具体的なキーワード、つまり『滅』するとか、そうした文字やイメージをこめなければならないのである。ある意味、中々の知識が必要となる能力とも言える。)

 

自分で言うのも何だが、使用制限や扱いが難しい点はあるものの、“文珠(もんじゅ)”は非常に応用範囲が広い能力である。

実際、今回の場合も、自力で異空間から『脱』『出』する事も、おそらく可能だからな。

 

ただし、その為にはまず“文珠(もんじゅ)”をストックしておく必要があるし、俺の体力や霊力、集中力を万全にしておく必要もある。

 

難しい事をしようとすればするほど、難易度が上がっていくので、便利ではあるし、ある意味万能に近い能力ではあるが、その分、使用者の超人的なコントロール技術を必要とする能力でもあるのだ。

 

 

と、そんな事を考えていると、次々と襲ってきた“シャドウ”を危なげなく処理し終えた鳴上達。

う〜ん、頼りになるぜー。

 

「・・・どうやら、波は引いたようですね。」

「見ろよ。あれ、奥に続く扉じゃないか?」

 

一息ついた俺達は、雪之丞の言葉にそちらに目線を向ける。

 

そこには、ヤツの言う通り、奥へと続くっぽい扉があった。

 

鬼が出るか、蛇が出るか。

簡単に体調チェックをした後、俺達は意を決してその扉に突入する。

 

こういう空間は、どうしても時間の概念が曖昧になるからな。

あいかちゃんの事を考えると、ゆっくりもしてられない。

 

「・・・あらぁ〜?皆さん、私を助けに来てくれたんですかぁ〜?」

 

が、扉を開けると、そこには俺らの探し人がアッサリ見つかった。

・・・しかも、何だか艶めかしい姿で、である。

 

「び、美少女の本気キターーーーッ!!!」

「お、落ち着け、横島!」(ビシッ)

「あてっ!」

「な、何だか、様子がおかしいですよね・・・。」

 

先程の魔女っ娘姿から一転して、大事な部分しか隠していない扇情的な姿に久々に暴走した俺に鳴上がそう突っ込みを入れ、ピートがそう感想をもらす。

 

鳴上の突っ込みに正気に戻った俺は、鼻血を流しながら彼女の様子を確認する。

 

・・・確かに、彼女とはまだ短い付き合いではあるが、“シャドウ”に襲われてそんな格好になってしまったと仮定したらその姿は納得したとしても、流石にこちらを挑発するような、何とも言えない色っぽい表情をする()とも思えなかった。

 

「中村、なのかっ・・・!?」

「そ、それにしては、こう、何か違うよーな・・・。」

 

仲間達も同じ違和感を持ったのか、そんな会話を交わしながら注意深く様子を探っていた。

 

「・・・いや、違う。彼女は、あいか本人じゃない。おそらく、“シャドウ”の方だ。」

「何っ・・・!?」

 

鳴上の言葉に、俺達は一気に緊張感を高めていた。

 

「あらあらぁ〜、簡単にバレてしまったんですねぇ〜。何とも騙しがいのない・・・。」

「本物のあいかはどこだっ!?」

「何を言ってるんですかぁ〜、鳴上くぅ〜ん?私が、本物のあいかですよぉ〜?」

「・・・っ!」

 

「えっと・・・、どういう事だ?」

「鳴上の話だと、“シャドウ”ってのは普段は抑圧されたもう一人の自分、らしい。だから、コイツの言う通り、コイツもあいかちゃんの一部である事は間違いないんだが・・・。」

「な、何だかややこしいんジャノー・・・。」

 

「・・・と、おふざけはこの辺にしておきましょうか。あなた方は危険ですわ。ここで一旦退場して貰う事としましょう。」

「っ!!!???」

 

パチンッ、と彼女が指を鳴らすと、突如大型の“シャドウ”が出現する。

 

「この方々のお相手をして差し上げなさい。では皆さん、ごきげんよう〜。」

「ま、待てっ!!」

 

ギァオオオオーーーーンッ!!!

 

「くっ・・・!!」

「待て待て、鳴上っ!そいつを追い掛けるより、まずはこっちを何とかせんとっ・・・。」

「し、しかし、このままではあいかがっ・・・!!」

「バッカ、オメー、俺らがやられたら、それこそ誰があいかちゃんを助けるんだっつーの。心配すんな。かなり厄介そうだが、俺らの力を合わせりゃ突破できない壁じゃねぇ。むしろ、ここでバラバラになっちまった方が奴の思うツボだろ?」

「っ!!!」

 

鳴上は焦りからか、あいかちゃんの“シャドウ”を慌てて追いかけようとするが、それに俺は待ったをかける。

それを認めちまうと、鳴上を一人にする事になるからだ。

 

大型の“シャドウ”が出現したのは、俺らと鳴上のちょうど中間辺りだ。

足止めに使うにはあまりにも不自然な位置だ。

 

つまり、奴の狙いは、俺らを足止めしつつ、鳴上を孤立させよう、って魂胆だと俺は思ったのである。

敵勢力の分断は、戦略的には基本中の基本だからなー。

 

逆に言えば、向こう側は俺らがひとまとまりになっている事を嫌っている、とも取れる。

 

当然だ。

さっきも言ったが、俺らはハッキリ言って強い。

しかも、グループ、パーティーとして動きさえすれば、各々の持つ弱点やら不得意な部分も補えるからな。

 

普段の人間関係ならいざ知らず、事真剣勝負においては相手の嫌がる事をするのがもっとも戦略的には正しい。

なら、ここで鳴上を行かせるなんて、それこそ悪手も悪手だろう。

 

俺の言葉に、鳴上も冷静になったようだ。

元々コイツは頭のデキは俺より良いんだ。

冷静になって考えれば、俺が何を言わんとしているかなど即座に理解するハズである。

 

逆に言えば、“焦り”ってのは容易に視野狭窄(しやきょうさく)を引き起こしちまうもんなのである。

そうした意味では、あいかちゃんの“シャドウ”は、かなり頭がキレる、こちらからしたら厄介な存在である裏返しでもあった。

 

「・・・すまん、先走った。」

「分かりゃいい。さ、さっさとこのデカブツをぶっ倒して、あいかちゃんを助けようぜっ!」

「ああっ!!」

 

グオォォォォーーーンッ!!!

 

「来るぜっ!!!」

「「「「っ!!!!」」」」

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
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