続きです。
番長が更にチートになってますが、ま、番長なんで。
それに、それが原因で、また大変な事になりそうですが、ま、番長なんで。(笑)
◇◆◇
道化師side
一難去ってまた一難。
毎度の事ながら、この事務所では色々な事が起こるなー。
「ってか、あの人間、誰?」
「ひのめどのの狐火を防いだ様に見えるな。それに、凄い霊力を感じるでござるよ。」
「・・・確かに。あっちの人に至っては、こんな場所をうろついてて良いレベルの存在じゃないしね。」
「ま、先生や美神どのの知り合いなら、今更驚くよーな事でもないでござるがなー。」
「そーねー。」
「ああ、シロちゃんとタマモちゃんはひのめちゃんの子守りをしていて居なかったんだっけ。あちらの横島さんくらいの男の子が、鳴上悠さん。で、あちらの大きな男性がイザナギさまですよ。鳴上さんは異世界人なんですって。で、イザナギさまは、こちらも異世界の方なんですけど、この国の始祖神様で、正真正銘の神様ですよ。」
「異世界、でござるか?」
「イザナギって、イザナギノミコトっ!?この国の超大物神族じゃないっ!?一体全体、何がどうなってるのよ?」
「あー、それはですねー。」
おキヌちゃんは、何とか復活したシロとタマモに捕まっていて手一杯なよーだ。
ここは、俺がツッコミを入れんと仕方ないよーだな。
「って、いきなり何言ってんすか、美神さん!?」
「しょーがないでしょ!こんな逸材、そうそう転がってるモンじゃないんだからっ!!!」
「はっ・・・?」
いつもの凛とした表情から一変して(っつか、割とこんな状態は結構多いのだが)、美神さんは涙ながらに訴える。
「アンタも知ってると思うけど、相手の攻撃、に限らずだけど、無効化や防御ならばともかく、
「・・・と言う事は?」
「鳴上クンがひのめのベビーシッターになってくれれば、もうオフィスを燃やされなくて済むのよっー!!!」
だあっ!
俺は軽くずっこける。
「アホかー!そんなモン、ひのめちゃんの念波を封印するなり対処法はあるでしょーがっ!それに、最悪、火災保険や
「ひのめの念波は物凄く強力なのよっ!いつ、封印が解けてもおかしくないのっ!!アンタもさっき見たでしょっ!?それと、火災保険や
「あっ・・・。」
・・・なるほど。
ここじゃ、何度となく爆発やら火災やらが発生しとるから、保険会社もすでに匙を投げとるワケか。
それでなくとも、美神さんは悪名も高いからなぁー。
「っつー事は、何かあった時はいつも自腹で・・・?」
「当ったり前でしょっ!?特に、ひのめは私の妹なんだから、流石にママにも請求できないし、私がどれだけ支払ったか分かるっ!!??」
「ハハハハ~。」
そりゃ、この人が必死になるワケだ。
アホほど稼いでるクセに、超がつくドケチだからなー。
「それだったら、まだ鳴上クンを雇った方が安く済むわっ!ママにも事情を話せば、ベビーシッター代は折半になると思うしっ!」
・・・うん、やっぱりこーゆーところは美神さんは美神さんのよーである。
「と、言うワケで、鳴上クン。ひのめのベビーシッターになってちょうだいっ!!!」
「え、いや、いきなりそんな事言われましても・・・。」
美神さんの迫力に圧倒され、ひのめちゃんを抱いた鳴上とワケの分からんマスコットみたいな存在、パピリオはオロオロしていた。
「こっちもアンタの面倒を見てやるっつってんだから、協力しなさいよっー!」
「ええ・・・?」
きー、とヒステリックな美神さんに、益々鳴上は困惑していた。
「ハハハハハ、まあまあ、落ち着いて、美神くん。」
と、そんな中で、イザナギさまは美神さんと鳴上の間に立った。
流石に神様やで。
怖いモノ知らずである。
「悠くん、面白そうじゃないか。確かに美神くんにはお世話になる訳だから、話を受けても良いと思うよ。それに、バイト代が入るなら、キミにとっても悪い話じゃないだろう?」
「いや、しかし、俺はあくまで受験生であってだな・・・。」
「キミの
「それなら、益々都合が良いじゃないっ!ってか、なるほど。鳴上クンを“妙神山”に預けたのも、
「まあね。まぁ、横島くんが居たのは、本当に偶然なんだけど。」
「ふぅ~ん。」
二人してこっちを見る。
なるほど、今のイザナギさまの話で納得したが、師匠が説得に応じたのも、鳴上が俺の修業相手として都合が良かったから、って事なんだろーな・・・。
「・・・どうやら、断るという選択肢はさなそうだな・・・。」
「オメーも大概大変だなー、鳴上。」
「まぁ、別にいいんだけどな・・・。」
「なーに、生きてりゃ良い事だってあるさ。お互い、強く生きようぜっ・・・!」
「ああっ・・・!」
俺と鳴上は、どこか悟った様に遠くを見つめるのだったーーー。
・・・
番長side
「本っ当に助かるわ、鳴上クン。ウチは基本的に母子家庭だから、ベビーシッターの存在は心強いの。けど、ひのめは“
「確かに、オフィスを燃やされると大変だよねぇ~。特に令子ちゃんは民間GSな訳だから、書類だけでなく、お札や貴重なアイテムなんかも多いだろうし。」
「そうなのよぉ~!」
シクシクと涙を流す美神さんを宥める大人の女性と男性の姿があった。
こちらの30代ほどの女性が
何と、美神(令子)さんとひのめちゃんのお母さんだという。
美神さんは、随分若くして産んだ子供なんだなぁ~。
で、こちらの20代後半くらいの長髪の男性が、
美神さんのお兄さんの様な存在で、GSとして美智恵さんの弟子にして、今ではオカルトGメン(GSのお役所版。一応、警察組織の一員らしい。)での上司と部下の関係らしい。
なし崩し的にひのめちゃんのベビーシッターを引き受けざるを得なかった俺(とイザナギ)を連れて、“話は早い方がいいっ!”って事で、隣のビルにあったオカルトGメンのオフィスを訪ねていたのである。
「そんなに大変なんですか?」
「オカルトグッズは高額なんだよ。もちろん、ピンからキリまであるけど、場合によっては数百~数千万単位のお金が一瞬で燃えてなくなる訳さ。」
「えっ・・・!」
「それで、保険も効かないとなると、令子ちゃんが必死になるのは無理ないさ。」
「なるほど・・・。」
そりゃ美神さんも必死になる訳だ。
俺がひのめちゃんの側にいれば、少なくともそうした事故はぐっと減る訳だからな。
「まぁ、そんな訳で、私からも改めてお願いするわね。と、言っても、基本的には私が面倒見る予定だけどね。」
「しかし、先生はお忙しい方なんだ。昔ならいざ知らず、今はひのめちゃんにかまりきりという訳にもいかないんだよ。まぁ、僕としても心苦しいんだけどね。」
「立場を持つ人は大変なんですねぇ~。」
そういえば、叔父さんも菜々子の事で大変そうだったよな・・・。
俺が居候していた時は、俺の存在もあって助かったと言っていた事もあるが、やはりひとり親(一応父親は居るらしいんだが、少々特殊な事情を抱えている様で離れて暮らしているらしい。)の家庭はどこも大変なんだろう。
「・・・分かりました、乗り掛かった船です。どこまでやれるかは正直分かりませんが、ひのめちゃんのベビーシッター、お引き受けします。」
「ええ、ありがとう。」
「よっしゃ、よく言ったわ鳴上クンッ!!」
“っしゃーおらーっ!”と、ガッツポーズを決める美神さん。
うん、やはりかなり愉快な人の様である。
「じゃあ、具体的なギャラの話なんだけど、私としては時給250円くらいで・・・。」
「このおバカッ!ベビーシッターは相場でも時給は1700円くらいよ!ひのめの場合は危険も多いから、危険手当てもつけるとすれば3000円くらいは・・・。」
「けど、鳴上クンはまだ高校生よっ!?せめて、2000くらいで・・・。」
前言撤回。
時給250円って・・・。
かなり非常識な人でもある様だ。
そんな金額で働く人がいるんだろうか?(答え、横島忠夫)
ギャーギャーと騒ぐ美神親子は放っておいて、西条さんは改めて俺とイザナギに向き直った。
「しかし、異世界人でペルソナ能力者とはね。こっちの世界でもペルソナ能力者は登録されているが、そんなに数は多くない。しかも、キミの様な強力な能力者は皆無と言っていいだろうね。」
「・・・そうなのか?」
「霊的な活動が活発なこっちだと、身近に脅威が多くなる分、“脅威に対抗する力”はより多様化しているんだよ。それに、基本的にはペルソナ能力は一人につき一体だ。例えばキミの仲間で言えば、特に探索系の能力に優れたりせくんなんかは、戦術・戦略共に強力なサポーター要員にはなるが直接戦闘には向かないし、他のみんなも得意・不得意が明確に分かれていただろう?つまり、ハマれば強いが、それ以外だとその特色を活かせない事も多いんだ。それに、キミ達も経験済みだけど、ペルソナと向き合うという事は危険も多い。場合によっては、シャドウ化した自らのペルソナに命を奪われてしまう事もありうるからね。もっとも、霊能力もコントロールを誤ると危険を伴うという意味では一緒なんだけど、“異界”に入り込む能力、自らの弱い心と対峙して打ち勝つ、あるいは受け入れる精神力、しかも、仮にシャドウ化した場合でもそれを抑える事ができる環境、更には、仮にペルソナ能力に覚醒したとしても、自身のペルソナの特性を熟知している事が必要、などなど、前提条件が多くなるんだ。そんな事をしなくても、霊能力はもっと簡単に能力を発現できる訳だから、結果としてペルソナ能力者が多くない、という状況が生まれてしまう訳だね。もちろん、こっちのペルソナ能力者も、さっき言ったみたいに、条件特化型としてはかなり優秀な能力者だと言えるんだけど・・・。」
「なるほど・・・。つまり、条件次第では破格の能力を示す可能性も高い訳ですか・・・。」
「そうそう。まぁ、それは、キミ達霊能力者にとっても同じ事が言える訳だけどね。結局は、その人だったり自身の特性を熟知している事が重要なのは、これは言うまでもない事だよ。もっとも、それも実際には簡単な話でもないんだけどね。」
「そうですね・・・。本人の性格と能力がマッチしていれば話は簡単なんですが、例えば令子ちゃんなんかは完全な攻撃型の能力者で、しかも本人の性格がアグレッシブだから完全に上手く作用していますが、仮に令子ちゃんがオキヌちゃんの様な能力者であった場合は、それを発見するのは難しいでしょうしね。」
「何で私を引き合いに出したのよ、西条さんっ!!!」
「あ、いや、身近な例の話であって、他に他意はないよ、令子ちゃん。ハハハハハ。」
「ま、能力ってのは、本人の性質と似通ってくるモノだから、実は連動していたりもするんだけどねー。まぁ、それも表面上のモノだけでは分かりにくい部分も存在するし、特にペルソナ能力は精神との関係性の高い能力だから、そこの見極めが難しかったりもする。表面上は勝ち気でも、内面は脆かったり、脆そうに見えて、実は芯が強かったりするからねー。」
「・・・なるほど。」
「何故こっちを見るっ!!!」
「あ、いや、アハハハハ。と、とにかく、大変参考になりましたよ、イザナギさま。」
「そうかい?ま、心霊捜査の重要性を訴えるのも結構だが、周囲の理解を得るには時間が掛かるモノさ。焦らず気長にやるといいよ。“急いては事を仕損じる”、ってね。」
「っ!!!」
何だか事情は分からんが、西条さんはイザナギの言葉に衝撃を受けている様だ。
・・・なんだろうか?
「手始めに、埋もれてしまっている能力者達の再発掘をするのも、案外良い突破口になるかもね?こっちにも、りせくんの様な能力を有したペルソナ使いがいないとも限らないからね。」
「はいっ!ありがとうございますっ!!」
「あいかわらず真面目ねー、西条さんは。」
「まぁ、それだけでもないのよ。日本でもオカルト犯罪は年々増えているけど、彼はそんな日本より、オカルトの本場であるイギリス、ヨーロッパに長く滞在していたわ。当然ながら向こうでは、オカルト絡みの霊障やら犯罪は日本の比ではなかったのよ。けれど、除霊なんかと違って、オカルト犯罪は民間GSには手に負えない事が多いの。」
「まー、私は面倒だからやらないってのもあるけど、私の能力には向かない、ってのもあるからねー。」
「そうね。犯罪捜査となると、霊視や追跡なんかも含めた特殊な能力が必要よ。けれど、そうした能力者はそう多くないのよ。パパもそうだけど、一般社会では暮らしにくい、って事情もあるけど。」
「・・・なるほど。“
「そう。オカルト犯罪にはそうした人々の力は絶大だけど、それはこちら側の都合だもの。まぁ、正義感の強い西条クンにとっては、焦るな、って方が無理かもしれないけど、そうした人々には社会との折り合いをつける時間や覚悟も必要だしね。もう少し技術なんかが進めば、機械的に能力に制限を掛けるなんかして、社会で暮らす事もできるかもしれないし、私達の力やシロちゃんやタマモちゃんみたいな外部協力者が功績を挙げれば、日本警察にも心霊捜査が浸透していくかもしれないし、まぁ、どちらにせよ時間がかかる事よ。」
「けど、悠くんは、りせくんの能力なんかも使えるんだけどねー。」
「えっ・・・!?」「「え゛っ・・・!?」」
「はっ・・・?何を言ってるんだ、イザナギ?確かに俺は“ワイルド”の能力を持っているが、捜査隊のメンバーの能力は使えないぞ?」
「いやいや、それがそうでもないのさ。キミ、イゴールくんとマーガレットくんから、“ペルソナ全書”と“指輪”を預かったでしょ?」
「あ、ああ。あいかわらずよく知ってるな。まぁ、どんな意図があるのかはあいかわらず分からないままだけど・・・。」
「それには、キミの仲間達の能力もコピーされているのさ。“指輪”は全書に記載されているペルソナを召還する為の触媒。つまり、今のキミは、ペルソナの所持枠を超えて、更には仲間達のペルソナも含めて、“ペルソナ全書”に記載されているペルソナを全て召還可能になってるんだよ。」
「そ、そうなのかっ・・・!?」
「まぁ、とは言え、当然ながら制限はある。一体を召還した後は、一定時間他のペルソナを召還する事はできないし、これは今までと同様だけど、所持枠を越えた事によって、今まではノーリスクで付け替えができたところを、ペルソナを使えば使うほど、キミの霊力を消費する様になっているんだ。もっとも、これはさっきも言ったけど、キミの霊的持久力、いわばスタミナだね、をつける事で、ある程度は解決する問題なんだけどね。」
「ほぉ~・・・。」
自分でも知らない間に、そんな事が起こっていたのか。
けど、まぁ、こっちの世界では事件なんかない訳だし、美神さんや美智恵さん、西条さんなんかのGSがいるんだから、俺のペルソナ能力など、それこそひのめちゃんのベビーシッター以外では使う機会などないと思うんだけど。
「って事はあれですか?鳴上クンは探索系の能力も有している、と・・・?」
「・・・ん?」
「そうだよー。しかも、ヒミコだけじゃなく、カンゼオン、コウゼオンまで内包した完全版さ。“フル・アナライズ”に“トレジャーサーチ”、“エネミーサーチ”、仲間同士の通信、ってか念話みたいなモノだね、更には仲間にバフ効果を付与する事もできるし、体力や精神力を一部回復する事すらできるね。こっちでは、霊力の回復にも一役買う可能性もあるし・・・。」
「な、何ですか、そのふざけた能力のオンパレードはっ・・・!!!」
「ってか、そのトレジャーサーチってヤツについてもうちょっと詳しくっ・・・!!!」
端から聞いてると、確かにりせの能力はとてつもないなぁ~。
戦闘支援だけでなく、ちょっとした情報からテレビの中では敵の居場所すら探知していたから、これが現実でも可能なら、特に捜査にはもってこいの能力だろう。
ってか、美神さんな食い付くところがそこなのか。
横島曰く、金にがめつい、ってヤツか・・・。
「鳴上クン・・・。」
「は、はい・・・?」
しばらく固まっていた西条さんが再起動すると、ユラリと立ち上がってこう言った。
「・・・採用っ!!!」
「・・・へっ?」
「採用だよ、採用っ!キミをオカルトGメンの特別外部協力員に任命するっ!!!」
「え、えぇ~~~!?」
ペラペラとイザナギが要らん事までしゃべるモンだから、また要らぬ厄介事が増えた様であるーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら、御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆・掲載しておりますので、そちらも本作共々御覧頂けると嬉しく思います。