続きです。
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恋愛side
「みんなぁ〜、今日も見てくれてありがとねぇ〜。」
うおおー、りせちー!!!
今日も可愛かったよー!
メイクの勉強になりました!
りせちー、いつ本格的にテレビに復帰するんですか?
「っ!!!」
久慈川りせはアイドルである。
少なくとも一年前までは、テレビやCMにも出ずっぱりだったほどの勢いのある存在であった。
ただ、彼女はその事に疲れ果ててアイドルを休業。
祖母の家がある稲羽市へとやって来たのであった。
そこで番長達に出会い、そして“マヨナカテレビ”でのあれこれに巻き込まれる事となった。
彼女の悩みは、「アイドル・りせちー」として見られる事であり、「本当の自分」を誰も見てくれていない事であった。
もちろん、それは彼女の思い込みでもあったが、そうした側面が全くなかった訳でもない。
結果、彼女の影もシャドウ化し、番長達に襲いかかる事となる。
まぁ、それも何とか受け入れて、ペルソナ使いとして番長達の仲間入りを果たす事となったのだが(その時に口にした「本当の自分なんてどこにもない」というセリフがクマに刺さってしまい、その後クマ戦に突入する事となるのであるが)。
今でこそ、感情豊かな女の子であるが、元々はどちらかというと地味な方で、アイドルデビューする前はいじめられていた経験もあるという。
アイドルデビューの切っ掛けも身内が一方的に送ったオーディションに受かった事からで、アイドルを志した決定的な理由も「今の自分を変えることが出来れば」という思いがあったからである。
しかし、それが結果として「誰も本当の自分を見てくれない」という新たな苦悩を生み出してしまう。
まぁ、その後は、番長や仲間達との交流を経て、「アイドル・りせちー」を含めた全てが本当の自分と認識を改め、休業を宣言していたアイドルに復帰する事を決意した。
・・・のだが、ここで、番長とイザナギのあれこれが彼女の行動を制限してしまう事となってしまった。
本来であれば、番長が都会に帰ると同時に、アイドルへと復帰する筈だったのだ。
シビアな話であるが、芸能界ではトレンドの流れが異常に早い。
一年も二年も休業していれば、いずれアイドルとしての旬は過ぎてしまうし、世間からも忘れ去られてしまう。
故に、その復帰時期というのは、早ければ早いほど良いのであるが、しかし、それ故に彼女自身の身が危険になってしまっては元も子もない。
そもそも「アイドル」としては行き過ぎたファンもいるだろうが、とは言えど、暴力を良しとするかもしれない存在から狙われる可能性があり、それを事務所が守れるかと言えば不安が残る。
そうイザナギに説得され、復帰時期を先延ばしにしたのであった。
しかし、先程も述べた通り、それでは「アイドル」としての旬が過ぎてしまう可能性もあった。
そこで彼女は事務所と相談して、「Yo○Tuber」としてデビューする事としたのであった。
今や、テレビとは別に大きなコンテンツとなっている「Yo○Tube」は、タレントにとっても利用価値が非常に高い。
あくまでテレビなどのメディアは、番組制作サイドの意向に従う必要があるので、ある意味では不自由であるからである。
その点、自身で発信する媒体では、自分の得意分野を表現できる可能性もあるのだ。
すなわち、それまでは表にだせなかった魅力が、新たに発信できる可能性があるのである。
いつの時代でもファンという生き物は、応援している人物の色んな面を見たいものである。
テレビでは見れなかったタレントの、素の表情や、プライベートな一面、意外な趣味や特技などを知る機会があれば、言い方は悪いが彼らを繋ぎ止める事ができるかもしれない。
結果から言えば、りせのチャンネルは大成功を収め、また、メイクを中心としたコンテンツを作った事によって、新規の女性ファンを獲得するに至ったのである。
女性アイドルの宿命として、やはり男性ファンが多いものだ。
しかし、国民アイドルとなる為には、同性や、老若男女問わずの支持が必要となる。
そうした意味では、その第一歩として、同性ファンを獲得したりせは、思わぬ休止の延長を余儀なくされたものの、確実に復帰に向けた下地作りが上手く行っている、と言っても過言ではなかったのであった。
しかし、やはりコメントでも見られたように、彼女のテレビ復帰を心待ちにしているファンも少なからずいる。
事情があるとは言え、りせ自身も、それに対して思うところがあったのである。
「・・・それはぁ〜、ヒ・ミ・ツ♡」
えぇ〜!
・・・カワイイ。
焦らすのが上手いんだからぁ〜!
「うそうそ、ちゃんとそっちも進行してるよ。もちろん、ちゃんと決まったら、このチャンネルでも公表するからねぇ〜!そ・れ・ま・で・はぁ〜、このチャンネルで応援してねぇ〜!」
・・・誘導がウマイ。
大人しく待ってます!
応援してるよぉ〜!もちろん、チャンネル登録と高評価押してます!
ゆっくりでいいからねぇ〜!
大人の話もあるだろうから、皆大人しく待っとこうぜ!
どっちにしても、こうしてコンテンツを供給してくれるんだからさっ!
ありがたや~!ありがたや~!
そこで、今日の配信は終わった。
「いつ本格的にテレビに復帰するんですか、か・・・。」
コメントの一つを読み上げて、りせはひとりごちた。
先程も述べた通り、彼女自身もそれは心待ちにしている事でもある。
一時は本気でアイドルを引退する事も考えていたが、そうした部分も含めて自分自身だと気が付いたからである。
しかし、こちらも先程も述べた通り、様々な事情のもと、今はそれは難しい事でもあった。
少なくとも、番長とイザナギを狙う集団を何とかしない事には。
もちろん、そちらはイザナギの裏工作に期待するしかない。
いくら彼女がペルソナ使いと言っても、やはり一介の高校生にできる事には限界があるからである。
しかし、復帰を心待ちにするファンの為にも、時間を無為に過ごす、という選択肢はもはや彼女の中には存在しなかったのであった。
「やめやめ。今は自分のできる事を全力で頑張ろう!修行も頑張って、そうだ、ゲーム配信とかどうだろう?今度、井上さんにも相談しよっと。」
そう彼女は気持ちを切り替えた。
コンテンツ作りは、着実に彼女の魅力の新規開拓に一役買っていた。
思い描いた復帰のシナリオとは若干違っていたまでも、結果として悪くない選択肢だったのかもしれない。
こうして、彼女も着実に一歩ずつ前に進んでいたのであったーーー。
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皇帝&星side
「ご当地キャラのぬいぐるみ作りか・・・。
「みんな、クマの魅力にメロメロクマねぇ〜。」
「・・・ま、確かに喋らなければ、クマの見た目はキャラクターとしての造形は良いもんなぁ〜。」
「カンジ〜、なんで無視するクマ〜?」
一方、巽完二とクマは、稲羽商店街との会合を終えてそんな会話を交わしていたのであったーーー。
彼らの住む稲羽市は、お世辞にも栄えている街とは言い難い状況であった。
ここら辺は、田舎あるあるなのであるが、大型デパートが進出した事で、商店街そのものの需要が衰退してしまったからである。
一時は、商店街とジュネスが対立する構図ともなったのであるが、しかし、今は共存共栄を目指して協力体制を築くに至っていた。
その中の事業の一つとして、地元をPRするキャラクターを生み出そう、という案が浮上していたのである。
ご当地キャラクターは今や一大コンテンツである。
少なくとも成功を収めれば、全国に地元の魅力をPRする為のアンバサダーのような立ち位置となり得るからである。
有名なところで言えば、くま○ンなどは、ご当地キャラのレジェンド的存在であろう。
で、そのキャラクターに選ばれたのが、何の冗談か、クマだった訳である。
もちろん、キャラクターを考えるのは並大抵の事ではないだろう。
それも、誰からも愛される存在となると、これはかなりの難問であった。
その点クマは、すでに地元では有名な存在であり、なおかつ1からキャラクターを考案する必要もない。
それだけでも資金面で負担が軽くなるし、すでに愛されるキャラとしての地位を確立している前例もあったので、その規模を拡大し、稲羽市を盛り上がるご当地キャラクターとして白羽の矢が立った訳であった。
一方の完二は、その意外な特技である裁縫の腕を買われて、クマを模したキャラクターの原型を頼まれたのであった。
先程も述べた通り、稲羽商店街にはお世辞にも潤沢な資金があるとは言えない状況だ。
それ故に、キャラクター原案や、キャラクターグッズの考案などを、所謂プロに頼む余裕はなかったのである。
そこで、プロ顔負けの技術を持ち、なおかつ最近は多少大人しくなった完二にそれを頼む事としたのである。
そうした事もあって、ある意味二人のコンプレックスのもととなっていた要素が(完二の場合は
一応は彼らは自身の影を受け入れてペルソナ能力を得ているし、番長らとの交流を経て完全に自身のコンプレックスとも向き合っているが、それでもそれが、他の者達にも受け入れられる事はやはり大きな意味を持つ。
最初はブチブチと文句を言っていた完二も、今や稲羽市を盛り上げる為に稲羽商店街に全面的に協力しているし、クマは言わずもがな。
もっとも、クマはちゃっかりしているので、“キャラクター”としての版権やら著作権などをしっかり登録し、そのロイヤリティを徴収する腹積もりでもあったが。
(もっとも、稲羽商店街に対するそれらは免除している。あくまでビジネスとして他の団体などから申請された場合、それらを得るつもりである。
また、花村家の厚意で居候しているし、ジュネスにてアルバイターとしてある程度の稼ぎはあるが、やはり“人”として生きていく上では収入が必要となってくるから、ある意味ではクマのやっている事は全然悪い事ではないし、どちらかと言えばこれらは、陽介の父親と陽介の入れ知恵でもあったのだが。)
「ま、とりあえず、やってみっか。っつー訳だから、クマ公。今日は俺ん家に泊まってけ。」
「えっ!?カンジもクマの純潔狙ってるクマッ!?」
「アホかっ!ぬいぐるみ製作の為だっつーのっ!別にほとんど覚えてっから見なくても作れるは作れるけど、やっぱよりクオリティーの高いモンにするにゃ実物を見た方がはぇからよ。」
「OKカンジ〜。優しくして欲しいクマ〜。」
「・・・テメェ、人の話聞いてたか?」
「じ、冗談クマよぉ〜。あ、けど、ヨースケに一応電話しておくクマ。パパさんとママさんが心配するといけないクマからねぇ〜。」
「花村先輩の親父さんもこの件にゃ一枚噛んでるから、多分わかっちゃいると思うが、まぁ、好きにしろよ。」
「ああ、後、クマ、晩御飯はすき焼きがいいクマ〜!」
「オメェ、やっぱ舐めてんよなっ!?やんぞ!やったんぞっ!?」
などと言う会話を交わしつつ、クマと完二は連れ立って歩いていくのであったーーー。
余談ではあるが、その日の巽家の晩御飯は、本当にすき焼きになった。
クマの愛されキャラとしての効果が遺憾なく発揮された為でもあるが、完二の母親からしたら、商店街の為に頑張る息子を応援する為、また、あまり友達のいない完二が友達を泊めるというイベントが起こった事に対するお祝いの意味もあったのである。
また、これは更に余談であるが、後にクマのぬいぐるみのクオリティーの高さに目を付けた陽介の父親(ジュネス稲羽店の店長)が、クマとは別のぬいぐるみの依頼を完二に要請し、それが他店の店舗にまで波及して、“タツミブランド”という事業にまで発展したりもする。
まぁ、今現在ではあまり関係ない話ではあるが、やはり手に職は強いという事か。
完二のコンプレックスは、結果として一つのビジネスにまで発展する事となるので、人生何が起こるか分からないものであるーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。