続きです。
ちなみに、原作には冥子のお母さんの名前は多分出てなかった筈です。
ですので、“葉子”というのは作者が便宜上つけた名前ですのであしからず。
・・・
六道家とは、
その歴史は古く、平安時代から続く陰陽師の家系であり、現代においても“式神使い”の名家として、また単純にお金持ちとしても財界や政界、日本GS協会にも強い影響力を持っている。
で、冥子の母である葉子がその六道家の48代目。
冥子自身が、一応49代目となる。
もっとも、まだ正式に冥子が家督を継いでいる訳ではないのであるが。
さて、そんな超がつくお金持ちであり、由緒正しい名家である六道家が、何故番長に目をつけたのかというとーーー。
・・・
番長side
婿入り・・・?
・・・いや、意味が分からない。
「いやーーーっ!冥子ちゃんの最初の男になるのは俺やーーー!!」
「前にもあったわよ、そのパターンッ!それと、前も言ったけど、アンタ言ってる事がやっぱりセンシティブなのよっ!!」
「あだっ!!」
と、俺が混乱していると、横島がいつもの暴走を始める。
そして、いち早くそれに気付いた美神さんによるツッコミが炸裂する。
「あらあら〜〜〜、何だか賑やかね〜〜〜。」
「そうね〜〜〜。」
一方、この騒ぎの元凶たる六道親子は、そんなノンキな感想を言い合っているのだったーーー。
「んで?いきなりそんな事言われても納得できないですよ?」
「いや、別に美神さんには直接関係ないんじゃ・・・?」
「あんっ!?」
「あ、いや、別に何も・・・。」
至極真っ当な意見を言ったのだが、美神さんのひと睨みに俺はアッサリ手のひらを返した。
「そもそも理事長。鳴上さんはまだ高校生ですよ?それに、一応GS資格を有しているとはいえ、特に大層な家柄ではない・・・ですよね、鳴上さん?」
「あ、ああ。」
ってか、そもそも俺は
しかし、別に気にはしていないし、本当の事ではあるが、おキヌさんも結構ズバッと言いますね・・・。
いや、一応は申し訳なさそうな表情はしていたが。
「もちろんそれは分かっていますわ〜〜〜。それに、鳴上クンが
「「「っ!!??」」」
「な、何故それをっ!?」
「六道家の情報網を甘く見ないで下さいな〜〜〜。もちろん、言いふらすつもりはありませんし、何ならセキュリティを引き上げてもよろしいですわよ〜〜〜?」
ノンビリした口調ではあるが、やはり名家の現当主だけあって、その眼光はかなり鋭かった。
葉子さんはかなりの女傑のようである。
人は見かけにはよらない、という事か。
「しかし、それならばますます分かりませんわ、おば様。ご存知の通り、鳴上クンは
「それも分かっていますわ〜〜〜。そもそも“婿入り”ってのは、ただの口実。
それも知ってるのか・・・。
しかし、話が更にややこしくなった様な・・・?
「・・・?話が見えませんね。」
「詳しく説明しますわ〜〜〜。そもそも令子さん。“式神使い”がとても希少な存在である事はご存知かしら〜〜〜?」
「ええ、それはもちろん。“式神”は古くは平安時代の陰陽師が得意とした術です。有名なところで言えば、安倍晴明が、この“式神”の扱いに長けていた、という伝承が残っていますね。しかし長い歴史の中で、“陰陽師”の血筋を残す家は徐々に減っていってしまった。それにともなって、“式神使い”の数自体、非常に少なくなってしまったんですよね?」
「その通りですわ〜〜〜。ウチは幸運な事に、現代まで生き残っていますし、何なら大変な成功を収めてもいますが、しかし、他の家はそのほとんどが消えてしまいましたね〜〜〜。今ある家ですと、鬼道家、土御門家、倉橋家が有名どころでしょうか〜〜〜?まぁ、他にも、もとを正せば“陰陽師”の家系であったり、傍流である家もあるかもしれませんが、ここではあまり関係のない話なので割愛しますわ〜〜〜。重要なのは、“式神”を扱える術者が、非常に少ない、というところです〜〜〜。」
「ふむふむ。」
「こうなると、残っている家は非常に重要な使命を帯びている、という事でもあります〜〜〜。具体的には、その血筋をこれからも残していく責務があるのですわ〜〜〜。」
「なるほど・・・。けど、あれ?鬼道って、前に会った事ありましたよね?ほら、果たし合いがどうの、って・・・。」
「ああ!」
「鬼道先生なら、今では六道女学院の教師をなさっていますよ。」
「そーいや、見た覚えもあったよーな・・・。」
「まさにそれなのです〜〜〜!」
よく分からない単語が飛び交う中、当事者の筈なのに何故か蚊帳の外状態の俺。
ま、ここで話の腰を折る訳にもいかないから黙って聞いていたが。
「鬼道家は、現在では没落に没落を重ねています〜〜〜。このままでは、貴重な“陰陽師”の家系が一つ、消え去ってしまいますわ〜〜〜。」
「いや、けど、それにトドメを刺したのって、六道家なんじゃ・・・。」
「あれは本来、相手を叩き潰す為のものではありません〜〜〜。本来は、お互いに切磋琢磨する事によって、“式神使い”としての技量を磨き続ける為のものです〜〜〜。まぁ、戦いである以上緊張感は必要ですから、“戦いに負ければ自分の式神を相手にさしだす”というルールができていった訳ですけど〜〜〜。」
「へぇ〜、なるほどなぁ〜。」
「そこで、彼を取り込む為に、一芝居打つ事としたのですわ〜〜〜。」
「・・・へっ?」
「そ、それって・・・。」
「まさかっ・・・!」
「そうです〜〜〜。鬼道政樹。彼が、
「へぇっ!!!」
「まあっ!!!」
「な、なんだってぇ〜〜〜!!!」
三者三様の驚きを見せる美神さん達。
しかし俺は、その話を聞いてますます混乱していた。
・・・お相手が他にいるのならば、じゃあ、俺は何の為に必要なんだろうか?
「冥子、アンタ、いつの間に・・・。」
「いつから鬼道先生とはお付き合いをしていたんですか?」
「え〜とぉ〜〜〜。」
やはり女性としては、色恋の話には興味があるのか、キャイキャイと盛り上がる美神さんとおキヌさん。
しかし、一方の冥子さんは、若干戸惑った様子であった。
「いえいえ〜〜〜。正確には政樹さんとウチの冥子は、まだお付き合いをしていませんよ〜〜〜?ただ、端から見た分には、お互いを意識していますね〜〜〜。冥子の母親としては、娘の幸せはもちろん願っていますし、政樹さんならば、家柄的にもその能力的にも性格的にも非常に優良な物件だと考えています〜〜〜。」
「ま、没落したとは言えど、かつては六道家と肩を並べた家柄ですもんね。」
「ええ。もちろん、鬼道家が実質的に無くなってしまう事にもなりますが、このまま何もせずにいたら、仮に政樹さんが他の方と結婚して子孫を残したとしても、いずれ御家断絶、なんて事にもなりかねません〜〜〜。それならば、六道家に取り込む方が、色々と都合が良いのですよ〜〜〜。政樹さんは、冥子ほどの使い手ではありませんが、それでも死にものぐるいの修業によって、高い実力を獲得していますし、こう言っては何ですが、冥子には、仮に六道家を継いだとしても、霊能力者としては問題ありませんが、その他の事業を引き継げるとは到底思えません〜〜〜。しかし政樹さんならば、それもそつなくこなしてくれると思いますわ〜〜〜。」
「なるほど・・・。ある種の政略結婚、って訳ですか。しかし、お互い想い合っているから、不幸な婚姻ではない、と。冥子も、それで良いワケよね?」
「うん〜〜〜。正直、私は結婚ってよく分からないんだけど〜〜〜、マーくんと、って言われたら、別に嫌ではないし〜〜〜。」
「ほぉ〜?」(ニヤニヤ)
「お熱いですねー。」
「・・・。」///
「ケッ!!!」
冥子さんの反応に、ニヤニヤした表情を浮かべる美神さん。
ニコニコとするおキヌさん。
面白くなさそうながらも、どこか羨ましいような表情の横島と、またもや三者三様の反応を見せる中、しかし俺は、ここでずっと気になっていた事を言葉にする。
「えっと、そこまでお話が固まっているのならば、その政樹さん?、って方と直接やり取りすれば良いのでは?何故そこで、俺が巻き込まれるのかが全く分からないのですが・・・。」
「「「あっ・・・。」」」
すっかり忘れていた、という表情で、三名は俺の顔を見る。
しかし葉子さんは、真剣な表情で頷いていた。
「それなのですわ〜〜〜。私がそれとなく話をしたのですけれど、政樹さんは結婚に乗り気ではありませんのよ〜〜〜。」
「なぁ〜にが不満なんやー!あれかー!もっと女の子と遊びたいってかー!?これだからイケメンはよー!!」
「鬼道先生、真面目だから、そんな感じではないと思いますけど・・・。」
「・・・なるほど。じゃあ、負い目、ってヤツじゃないかしら?」
「「「へっ・・・?」」」
突如激怒した横島に、おキヌさんが冷静にそう指摘する。
そして、しばし考えた後、美神さんからそんな推論が出た。
「男性側からしたら、これって所謂“逆玉”ってヤツよ。彼からしてみたら、悪い話じゃないけど、プライド的に納得できないんじゃないかしら?もちろん、一朝一夕で六道家の格と並び立てるワケはないんだけど、少なくとも、自分は冥子にふさわしい男ではない、と感じているんじゃないかしらね?」
「「「あぁ〜・・・。」」」
もちろん、まだ高校生の自分には、結婚に関する事はまだ想像でしかないのであるが、しかし、所謂“身分違いの恋”に関する葛藤なんかは想像できる。
方や名家のお嬢様。
方や没落貴族の末裔。
少なくとも男性側からしたら、それでホイホイと結婚したとしたら、まるで財産目当てで結婚した、と思われるのではないか?、という考えが浮かんだとしても不思議な話ではないだろう。
「もちろん、私達が良くとも、世間的にそう言われる可能性は否定しませんわ〜〜〜。成り上がり者に対する世間の目は厳しいですからね〜〜〜。けど、彼の力ならば、それらを黙らせる事もできると私は考えておりますわ〜〜〜。それほどの才が、彼にはありますからね〜〜〜。」
「おば様は随分彼を高く評価しているのですね。しかし、彼自身にはその自信がない、・・・か。ま、気持ちは分からんでもないわねー。」
「そこで、鳴上クンの出番なのです〜〜〜!」
「へっ?お、俺ですか?」
「はい〜〜〜。令子さんもおっしゃいましたが、政樹さんには自信がないのです〜〜〜。ですから、婚姻には乗り気ではありません〜〜〜。しかし、一方で親の欲目ではありますが、冥子を思う気持ちはあると考えています〜〜〜。ならば、ここで強力な恋のライバルが登場したとしたら、彼はどのような反応をすると思いますか〜〜〜?」
「なるほど・・・。つまり、彼に危機感を持たせて、発破をかけるおつもりなのですわね?」
「そうです〜〜〜。自分で言うのも何ですが、六道家は名家ですから、冥子と結婚したい方なんてそれこそごまんといますわ〜〜〜。まぁ、そのほとんどが六道家と繋がりを持ちたい、という打算がありきですが〜〜〜。」
「ま、そりゃそーですね。」
「もっとも、六道家は霊能力者の家系でもありますから、いくらお金持ちでも、ただの人と婚姻する訳には参りません〜〜〜。ウチの人も、一応は一般人になりますが、潜在的な霊能力はかなりのものでした〜〜〜。結果、冥子が生まれた訳ですから、これは疑いようがありませんよね〜〜〜?」
「ふむふむ。」
「政樹さんも、そういう計算があるからこそ、今のぬるま湯に浸っていられるのだと考えました〜〜〜。確かに、それらも含めると、冥子のお相手はすぐには出てこないですからね〜〜〜。」
「そうか!そこで、
「「「へっ・・・???」」」
突如納得したように、美神さんは声を上げた。
しかし、俺と横島、おキヌさんはまた要領が掴めていなかったので頭に疑問符が浮かんでいた。
「その通りです〜〜〜。後、鳴上クンが“ペルソナ使い”である点もポイントが高いのですよ〜〜〜。少し調べさせてもらいましたが、“ペルソナ使い”はある意味“式神使い”に近しい存在のようですね〜〜〜?しかも、鳴上クンはこちらの世界の住人ではない〜〜〜。逆に言えば、元々存在しない人なので、その“バックボーン”をいくらでも捏造できる、という事ですわ〜〜〜。」
「あぁ〜、なるほどなぁ〜。つまり、鳴上をどこかの傍系の陰陽師の家系って事にして、しかも“ペルソナ使い”、つまり“式神使い”としての実力も十分にあった事から、思いがけず婿入り候補が出てきた、っていうストーリーにしよう、って話っすか?」
「「あぁ〜。」」
「その通りです〜〜〜。こうなれば、政樹さんもうかうかしてはいられない〜〜〜。そう考えたのですわ〜〜〜。」
「けど、そうなると、鳴上クンがどこかの所属となっていると何かと都合が悪い。だからおば様は、ウチの事務所所属を異議を唱えたのですわね?」
「そうです〜〜〜。あくまでこの件が収まるまでの期間限定の話ではありますがね〜〜〜。もちろん、鳴上クンには色々とご迷惑をおかけする事となりますので、報酬を支払う用意もありますし、六道家の力を持ってして、先程も述べた情報のセキュリティを引き上げる協力をお約束致しますわ〜〜〜。」
「ふ〜む・・・。」
そう締めくくった葉子さんは、ジッと俺の顔を見た。
後は、こちらの返答次第、って事か・・・。
俺は、美神さん達の顔を見た。
美神さんはコクリと頷く。
“アンタが決めなさい”、ってとこか。
さて、色々と大変な事ではあるし、ある意味では人を騙す事ともなるが、しかし、それが両者の幸せの為には必要な事なのだろう。
しかも、六道家の後ろ盾が得られるのならば、こちらとしても申し分ない事ではある。
少なくとも、こちらの世界での面倒事に巻き込まれる可能性はグッと低くなるかもしれないからな。
ま、その分、今回みたいに別の面倒事に巻き込まれる可能性もあるのであるが・・・。
そして、俺の出した答えはーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。