続きです。
今更ですが、お話を作るのってメチャクチャ難しいですね・・・。
『お見合いデスマッチ』。
それが、六道家に伝わる儀式の名前であった。
名称から連想すると、まるで見合い相手同士が争うかのような印象を持つかもしれないが、実はそうではない。
むしろ逆。
お見合いの
当たり前だが、名家のお嬢様ともなると、それこそ求婚者はかなりの数にのぼる。
有名な昔話で言えば、『かぐや姫』がその最たる例であろう。(まぁあれは、どちらかと言えばかぐや姫自身の美貌の方が価値は高かったのであるが。)
しかし、六道家は霊能力者の家系でもあるので、そのお相手も、霊能力者かそれに近しい者でなければならない。
それ故に、時代によってはこの儀式が執り行われない事も多いのである。
だが、万が一、候補者が複数名バッティングしてしまい、しかもお互い霊能力者、かつ将来有望な人物であった場合、つまり六道家が候補者を選びきれない場合に限り、その者達を競わせて、その勝者に正式なお見合いの権利を与える、という儀式が存在したのであったーーー。
まぁ、もちろん、これはでっち上げた儀式である。
六道家には、最初からそんな儀式は存在しなかった。
ただ、六道家には、変な物や施設も多いので(六道家の人々も含む)、こうした謎の慣習があったとしても不思議ではない、という説得力があった。
そして、今回、鬼道政樹をその気にさせる為に、こうして大掛かりな
・・・
6/18
番長side
「鬼道政樹や。よろしゅう頼んます。」
「鳴上悠です。こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
俺は今、六道家の広大な敷地内にて、噂の鬼道政樹さんとの対面を果たしていたのであったーーー。
葉子さんの策略が功を奏したのか、俺が六道家の婿入り候補として名前が上がった時点で、鬼道さんはそれに異議を唱えた。
そして、冥子さんとのお見合いの権利をかけて、こうして『お見合いデスマッチ』が開催される事となったのであった。
もちろん、この『お見合いデスマッチ』は所謂“やらせ”であり、そんなものは元々存在しない、らしい。
鬼道さんをその気にさせる為に、わざわざそうした競技をでっち上げたのであった。
中々
それに、やる事の規模が大掛かりでもあった。
流石はお金持ち、かつ、あの美神さんと付き合いのある人物といったところか・・・。
とりあえず、鬼道さんを舞台に上げた事で、俺の仕事は八割方終わったと言っても良い。
後は、上手い事敗退して、鬼道さんと冥子さんのお見合いが上手く行くように事を運べばそれでお役御免となるのであるが、しかしわざとらしく負けるとあらぬ疑念を抱かれてしまうので、適度に本気で、適度に手を抜いて競技に臨む、という、ある意味非常に難しいミッションにこれから挑まなければならないのである。
・・・今更ながら、ちょっと早まっただろうか?(-_-;)
・・・
道化師side
「良かったですね、おば様。鳴上クンが引き受けてくれて。」
「ええ〜〜〜。好ましい青年ですわ〜〜〜。彼がこちらの世界の住人ならば、本当に冥子の婿とした可能性もありますわね〜〜〜。」
結局、鳴上はこの話を引き受ける事とした。
ま、謎の勢力に狙われてるかもしれない現状では、六道家の協力が得られれば、色々と都合が良いだろうからなー。
俺らは、鬼道と鳴上の対面を見守りながら、そんな会話を交わしていたのであった。
しかし、まぁ、美神さんは冥子ちゃんの友達ではあるが、ある程度は付き合いはあるとは言っても、今回の件に関しては直接的には関係のない俺らが何故この場に立ち会っているかというとーーー。
話は、六道親子の事務所襲来へとさかのぼる。
結局、鳴上がなし崩し的にこの件を引き受けることとなり、それならばと、一応は
お互いの“式神”と“ペルソナ”を見せ合う為だ。
当然ながら、お互いに協力体制を築き上げるならば、お互いの手札を共有しておく必要がある。
そう、冥子ちゃんのお母さんが提案したのである。
ちなみに、おキヌちゃんもそちらに同行していた。
んで、残った俺らはどうしているかというと、
「ところでおば様。お話というのは?」
そうなのだ。
冥子ちゃんのお母さんは、俺と美神さんに内密な話があったようで、こうしてわざわざ鳴上達がいなくなったタイミングを待っていたようなのである。
「それがですね、お二人には先程のお話とは別に、少々ご協力頂きたい事がありましてね〜〜〜。」
「「???」」
先程の話というのは、婿入りがどうの、って話の事だろう。
鳴上がそちらに協力する以上、俺らにはあまり関係のない話だよなー。
ま、美神さんは冥子ちゃんの友達だし、なんだかんだ言っても色々協力しそうな話ではあったが。
ちなみに俺は、先程はああいう態度を取ってはいたが、内心では冥子ちゃんの婚姻に関しては応援している。
今の俺は、女の子を本気で幸せにする事はできないだろうからなー。
少なくとも、ルシオラの事を完全に吹っ切った訳ではないし。
と、俺の話はともかく、とりあえず冥子ちゃんのお母さんの話の続きを聞いてみよう。
「先程はああいう事を言いましたが、実は政樹さんには一つの懸念事項がありますの〜〜〜。」
「と、申しますと?」
「鬼道ちゃん、つまり彼の父親の存在ですわ〜〜〜。」
「「ああ・・・。」」
あのクズ親父か・・・。
確かに、あのオッサンの存在は、鬼道にとっちゃ完全なる汚点だろう。
少なくとも、婚姻なんかではマイナス要素となる。
しかし、
「けど、あのオッサン、彼を捨てて隠居しましたよね?ま、あの手の手合は面の皮が厚いから、息子が六道家に婿入りするとなったら、ホイホイ帰って来るかもしれませんが・・・。」
そうなのだ。
式神対決の際、鬼道が敗戦濃厚になると、アッサリと息子を裏切ってあのオッサンは逃げた。
そんな事を仕出かしておいて、今更どの面下げて息子に会いに来れるかは甚だ疑問ではあるが、しかし美神さんの言う通り、あの手の手合はプライドなどあってないようなモンだから、自分にとって都合がよくなれば、再び鬼道の前に立つ事も懸念されるわな。
身内に面倒なのがいると大変やなー。
ま、俺も人の事言えんけど。
「それなのですわ〜〜〜。昔も、私に求婚して、それが断られたにも関わらず、それでも平気で借金をしようとしたくらいですから、今回も機を見ては政樹さんにちょっかいかける可能性があるのです〜〜〜。」
「「・・・。」」
このおばはんも結構キツいよなー。
ま、男を見る目はあるようだが。
「けど、それなら、六道家の方から圧力をかけておけばどうとでもなるのでは?あるいは、政樹さんによく言い含めておくとか・・・。」
「ところがそうもいかないのよ〜〜〜。あんなでも親である以上、政樹さんは強く言えないでしょうし、それに六道家の方から圧力をかけるのも中々難しいのよ〜〜〜。」
「それは、軽く無視されるから、ですかね?」
「それもあるんだけど、どうやら今の鬼道ちゃん、変な連中と付き合いがあるみたいなのよね〜〜〜。」
「・・・変な連中?」
「ええ〜〜〜。六道家の情報網を持ってしても、中々その全容が分からない連中よ〜〜〜。確かな事は、何か大きな事を画策しているらしい、って事くらいね〜〜〜。もしかしたら、令子さん達も心当たりがあるんじゃないかしら〜〜〜?」
「・・・っ!?ま、まさかっ・・・!!??」
「・・・もしかして、っすけど、俺らを狙ってる連中?」
「かもしれないわね〜〜〜。で、彼らが何を狙ってるかは分からないけれど、政界や財界にもその根をおろしたいのはわかりきった事だわ〜〜〜。となれば」
「六道家を取り込めば、そいつらからしたら万々歳、って事か。それで鬼道氏に接触している、と?」
「おそらくは〜〜〜。」
なんてこった。
春からこっち、色々と巻き込まれてるが、今回は結構直接的な手段に出てきたなー。
ま、それで尻尾を掴めれば、こちらとしても万々歳だが・・・。
「それで、私達にどうしろと?」
「万が一の事を考えた上で、今回の件に“立会人”として同席してほしいのよ〜〜〜。表向きは冥子の友人として、ね。」
「んで、万が一何か良からぬ事が起きたら、対処して欲しい、と?」
「ええ〜〜〜。」
「お言葉ですがおば様。私達はあくまでGSです。そういう事なら警察組織、今回の場合は霊能関連ですから、オカルトGメンを頼った方がよろしいのではないでしょうか?」
「それはそうなんですけど、この件ではオカルトGメンを動かすのは難しいと思いますわ〜〜〜。どうやら上から圧力を受けているようなんです〜〜〜。表向きは、公平公正な立場から、一つの家に肩入れするのはよろしくない、という理由ですね〜〜〜。もちろん、その連中が何かした結果でしょうけどね〜〜〜。」
「・・・思ったより、結構なところまで食い込んでいるんですね?」
「そうなのよ〜〜〜。ね、お願い〜〜〜。おばさん、他に頼る人がいないのよ〜〜〜。」
「「・・・。」」
絶対嘘だ。
六道家の財力なら、それこそ私設軍隊くらい用意できそうなもんだからな。
しかし、霊能が関わる以上、オカGがダメなら民間に頼るのが自然、か。
「もちろん、依頼料は奮発するわよ〜〜〜?」
「あっ・・・。」
その言葉は、美神さんを動かすには十分過ぎる効果をもたらした。
先程までは、(まぁ、なんだかんだ最終的には渋々引き受けたのだろうが)面倒事はゴメンとばかりにのらりくらりかわしていたのだが、そのセリフを聞くやいなや、目を爛々と輝かせて大きく頷いた。
「お引き受けしましょうっ!!!」
「・・・ですよねー。」
「まぁ、ありがたいわ〜〜〜。じゃあ、よろしくねぇ〜〜〜?」
「お任せ下さいっ!!!・・・ちなみに、私としましてはこのくらいが希望なんですけど・・・。」(ボソボソ)
「あらあら〜〜〜。令子さんたら、結構ぼったくるのねぇ〜〜〜?」(ボソボソ)
「いやいや。お話を聞く限りですと、今回の件は私の専門とは少し違いますから、このくらいは色をつけて頂きませんと・・・。」(ボソボソ)
「いえいえ〜〜〜。」
「いやいや。」
などという、大の男も裸足で逃げ出すほどの雰囲気の交渉に巻き込まれた俺は生きた心地がしなかったのを、ここに追記しておこう。
ま、それはともかく。
こうした訳もあって、本来無関係なハズの俺達も、この場に立ち会っている、というワケであった。
決して面白半分の物見遊山で来ているワケではないのだ。
「結構なイケメンでござるなー。」
「そう?鳴上も、外見は負けてないと思うけど。」
「おやおや〜?タマモ〜?お前、鳴上どのに気があるのでござるか〜?」
「バッ、そ、そんなんじゃないわよっ!アンタこそ、あちこちに尻尾振る尻軽女じゃないっ!!」
「失礼なっ!拙者は先生一筋でござるっ!!」
「私だってそうよっ!」
「あの〜、美神さん。アイツらはどうしましょう?」
後ろでギャーギャー騒ぐシロとタマモを指差して俺はそう聞いた。
「ほっときなさい。勝手についてきちゃったんだから。ま、私達の邪魔をするようなら容赦なくシバくけど、それぐらいの分別はあるでしょ?」
美神さんは呆れたような表情でそう呟き、二人をジロリと睨む。
「も、もちろんでござるよっ!」
「大人しく観戦してるわっ!」
「だ、そうよ?」
ニッコリと微笑む美神さん。
・・・なんか、圧を感じるんですけど。
「では、これより、“お見合いデスマッチ”を執り行いたいと思います!」
などという会話を交わしていると、所謂“執事さん”、みたいな人がそう切り出した。
「誰です、あのイケオジ。」
「ウチの筆頭執事の“
「・・・セバスチャン?」
「“
「ほぉ〜ん。」
・・・ま、ここではあんまりつっこむまい。
「では、初めに、すでにお聞き及びでしょうが、この“お見合いデスマッチ”の目的から確認されて頂きます。この“お見合いデスマッチ”では、冥子お嬢様のお見合い候補者同士が、そのお見合いの権利をかけて争うものであります。当然ながらこの勝者には、冥子お嬢様とお見合いする権利が与えられます。よろしいですか?」
「ええ。」
「はい。」
「結構。では、その勝負の方法ですが、これはいくつかの項目に分けて行いたいと存じます。」
「あれ?俺はてっきりシバき合うモンだと思ってましたが・・・。」
「もちろん、そうしたものも用意してありますわよ〜〜〜。一応は、“霊能力者”としての実力も必要となりますからねぇ〜〜〜。しかし、次期六道家当主となる冥子のパートナー候補でもありますから、単純な“強さ”だけではいけません〜〜〜。幅広い知識に教養、それに、表に出ても恥ずかしくない、所謂“マナー”も必要となるのですわ〜〜〜。もっとも、それを全て完璧にこなせ、とは私も申しませんが、やはりある程度の下地はありませんと〜〜〜。」
「・・・なるほど。」
改めて、俺は、自分がこの役割でなかった事にホッとしていた。
ま、初めから俺に白羽の矢が立ったワケではないが、“霊能力者”としての実力ならばともかく、俺には幅広い知識や教養、品性などはまるっきりないからなー。
それで言えば、あくまで高校生である鳴上にも、かなり不利な条件ではあるものの、あくまでこの
・・・少しばかり、贔屓が過ぎる様な気もするが、理由については納得の行くラインだしな。
急遽でっち上げた割には、しっかりと考えられているものである。
「・・・以上です。両者、異論はありませんな?」
「結構や。」
「自分も大丈夫です。」
などと考えていると、二人に対する説明も終わったらしい。
「それでは、まずは一般教養の試験から開始したいと思います。」
「「・・・。」」(コクリ)
こりゃ、絵的にはかなり地味なのでは・・・?(-_-;)
「油断すんじゃないわよ、横島クン。オッサンがいつちょっかいかけてくるか分かんないんだから。」(ボソボソ)
「分かってますよ。」(ボソボソ)
・・・とは言ったものの、美神さんは金を貰ってるからいいだろーが、俺としてはあまりモチベーションが上がんないんだよなー。
それこそ昔ならば、カワイイねーちゃんでもいたら、メチャクチャハリ切ったところだが、今の俺は多少“枯れた”感もあるしなー。
ま、とは言え、一応はこれもお仕事だし、プロとしてはキッチリこなすとしましょうかね。
・・・
クズ親父side
「ふむ・・・。どうやらあの程度の若造なら、わしが直接手を下すまでもなく政樹の圧勝やろうな。」
一方その頃、セキュリティの厳しい六道家内にどうやって潜入したのかは不明ではあるが、鳴上と政樹の対決を密かに見守っていた影があった。
何を隠そう、この者こそ、鬼道政樹の父親であった。
美神らも語っていた通り、このクズ親父は、以前の鬼道家VS六道家の式神対決において、ピンチとなった政樹を見捨てて田舎に隠居した身である。
もっとも、冥子と美神の機転によって、政樹は無事であり、その後、政樹は六道家に拾われて、六道女学院の教師として生きるようになったのである。
まぁ、簡単に言えば、今更どの面下げて政樹に会えるのか、という立場なのであるが、そこはそれ、美神らもそう考えていたが、このタイプの手合に恥などないに等しいので、いけしゃあしゃあと政樹に接触していた訳であるが。
もちろん政樹とて、いくら肉親とは言えど、今更彼の言葉に素直に耳を傾けた訳ではない。
少なくとも、今の政樹は、六道家の世話になっている身であるから、六道家の迷惑となる事は忌避すべき事柄だからである。
しかし、このクズ親父は、別に政樹に金の無心をしに来た訳ではなかった。
六道家への婿入りの話を、政樹に強く勧めただけであった。
もちろん、政樹とて、最初はこのクズ親父が自分を使って六道家の乗っ取りを画策しているのでは?、との疑いを持っていた。
故に、のらりくらりと話をかわしていたのであるが、ここで番長が現れた事によって、以前から密かに慕っていた冥子の婚姻話が現実味を帯びた話になった事で、危機感が一気に高まってしまったのである。
結果、これは葉子の狙い通りではあったが、こうして政樹は冥子のお見合い候補として名乗りを上げたのである。
さて、ではこのクズ親父は、一体何の為には政樹に婿入りを勧めたのであろうか?
これは政樹が懸念していた通り、政樹を介して六道家を乗っ取る為であった。
もちろん、仮に無事に政樹が婿入りできたとしても、彼を傀儡として六道家をどうこうできるほど、六道家はヤワな家ではない。
そして、このクズ親父も、その程度の事は分かっていた。
それでも、このクズ親父がこうして
もっとも、やはり葉子の方が一枚上手であるから、すでに美神と横島に声をかけている。
美神は謙遜したが、彼女はGSとしてだけでなく、様々な事に精通した女傑である。
更には、この世界においては、もはや“英雄”とも呼べる活躍を果し、その実力、そしてその能力の応用性においては右に出る者はいないほどの男である横島が一緒にいる以上、このクズ親父の目論見がそう簡単に上手くいく事はないのであるが、さてはてーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりまので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。