P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

今回の話は、番長の完璧超人っぷりにはこうした背景があるのではないか?、という独自解釈ですのであしからず。


完璧超人 鳴上悠

 

GS世界における神族と魔族は、当然ながら対立する関係にある。

しかしながら、お互いに反目し合う関係だけでもなかったりもする。

何故ならば、神族と魔族が本格的に衝突した場合、聖書級崩壊(ハルマゲドン)が引き起こる可能性があるからである。

 

もちろん、陰と陽はお互い相容れない間柄でもあるが、ここまで霊的に進化した惑星はかなり珍しい事のようで、神族と魔族は所謂“緊張緩和(デタント)”、崩壊を招かない程度に“秩序ある対立”を模索していたのであった。

 

ここら辺は、人間の大国同士にも見られる政治的な話だ。

どちらか一方が勝利する事によって、世界全体のバランスが崩壊し、結果争いに次ぐ争いとなり、人類滅亡へのカウントダウンを引き起こしてしまう恐れがあるからだ。

現在では各国の外交努力の末に、微妙なバランスが成り立ち、仮初の平和が保たれているのである。

まぁ、それはともかく。

 

しかし、これはあくまでも上層部の思惑に過ぎない。

彼らは彼らで、秩序を維持する責任を持っているが、しかし一方で、そんな事は関係ない、とばかりに、全く何も考えていない者達も多いのである。

例えば、テロリスト達である。

 

彼らは、大局というものが全く見えていない。

いや、それ以上に自分の欲望に忠実なのだ。

自分の主義・主張を認めさせる事しか考えていないので、結果逆に疎まれる事となるのである。

 

当たり前だが、コミュニケーションとはお互いの主張を押し付け合うものではなく、お互いの主義・主張を認め合い、その上でもっともお互いに納得のいく妥協点を探る事なのである。

交渉のテーブルにすら付かず、一方的な暴力によって事を成すのは、ハッキリ言ってナンセンスである。

そんな事は、子供ですら理解している事だ。

 

だが、そんな子供以下の大人、という存在は、どこの世界にもいるものである。

そしてそれは、神族や魔族にも当然ながら存在するのであるーーー。

 

・・・

 

???side

 

「・・・これは何の実験なんスか、リーダー?」

「ちょっとした()()試験だよ。人々の“願い”がどの程度の力を発揮するのか?という実験も兼ねている。また、対象者はあくまで一般人寄りではなく、れっきとした霊能力者だ。やはり霊能力者の方が相性が良いのか?という結果も同時に出てくる事となるだろうな。」

「ほぉ〜ん?・・・しかし、例の要注意人物が今回も関わっているようっスけど?」

「問題はない。今更全容がバレたところで、奴らにはもはや止められないところまで来ているからな。」

「ま、それもそうか。」

 

一方、番長と政樹が『お見合いデスマッチ』を行っている頃、それを画面越しに覗いていた男達の存在があった。

春からこっち、何度となく番長達と間接的にではあるが、関わりのある例の男達である。

 

すでに、六道家、葉子は気付いていたが、政樹の父親に接触したのは、当然ながら彼らであった。

 

「後は、これは確率は低いかもしれんが、仮に対象が上手く六道家に潜り込んだあかつきには、私達の計画を補強する事にもなる。六道家の財界や政界、GS業界に与える影響力は思いの外大きいからな。まぁ、なくとも問題はないのだが。」

「なるほど・・・。じゃ、マジで夏に向けての一種の前夜祭ってとこっスか。」

「そうだな。」

 

彼らには彼らで、何やら思惑があるようであるが果たしてーーー。

 

こうして、様々な思惑が混じり合う中、『お見合いデスマッチ』が開始される事となったのであるがーーー。

 

・・・

 

番長side

 

『お見合いデスマッチ』が開始された。

渋いおじさんに促され俺達が移動した先は、学校のような施設であった。

 

ってか、ここって私有地だよな?

何でもあるな、ここは・・・。(-_-;)

 

「では、先程も述べた通り、まずは一般教養の試験を受けて貰います。八割以上の正答でクリアとさせて頂きます。もし、どちらかが、あるいは両方が八割に満たなかった場合、その時点で試験は終了となります。よろしいですか?」

「大丈夫や。」

「俺もです。」

「結構。」

 

想像していたものとは大分違うものであるが、ま、ドンパチだけが試験ではないだろうしな。

それに、一応聞いていた話だと、政樹さんをこの場に立たせた時点で俺はお役御免となる。

後は適当に負ければ良いのでは、これはもしかしたら絶好のチャンスかもしれない。

 

「後、あらかじめ言っておきますが、不正などを防ぐ為に、この場には結界が施されています。それ故に、カンニング等などは不可能ですから、どうぞご安心下さい。」

「「・・・。」」

 

そういえば前に、美神さんも言っていたっけか。

霊能力を悪用すれば、大学受験などの重要な試験なども、簡単にクリアしてしまう事も可能らしいからな。

その為に、様々な対策があるようだが、これもその一環か。

ま、カンニングなどするつもりはないので、俺には意味のないものでもあるが・・・。

 

 

「試験結果が出ました。両者、無事にクリアです。おめでとうございます!」

 

・・・と、思っていた時期が俺にもありました。

元々こっちの住人ではないし、まだ高校生の俺なら、ここで脱落しても不自然ではないと考えていたのだが、何故か“手を抜く”という事ができずに、結果、無事に合格してしまったのである。

 

どうやら、その結界とやらは、対象者が不正を働く事なく、“万全の状態”で臨む、という効果があったらしい。

 

ま、普通に考えれば、あえて手を抜く人もいないしなー。

それに、“手を抜く”という行為自体、場合によっては不正、という事か・・・。

 

思惑が外れて、試験は次の段階に進んでいったのであるーーー。

 

・・・

 

道化師side

 

「ふぅあ〜あ。なーにやっとんのじゃ、アイツ?」

 

俺は、あくびをしながら鳴上にツッコミを入れる。

 

「彼、やっぱりアンタと違って地頭が良いのねー。」

「頭が悪くてえろうすんまへんなぁ〜!」

「けどぉ〜、本当にちょっと想定外だったわねぇ〜〜〜。一応、大学卒業レベルの問題を用意したつもりなのにぃ〜〜〜。」

「まぁ、政樹さんなら余裕だろーけど、高校生の鳴上クンには、ちょっとばかり難しい問題、だったんでしょーけど・・・。」

「そういやアイツ、今の時点でも余裕で大学受験に合格できる、ってイザナギさまも言っとったもんなー。まぁ、まさか大学卒業レベルでも余裕だとは思わんかったが。」

「そうなのね〜〜〜?あの若さで、あのレベルなら、本当に冥子の婿に欲しいわねぇ〜〜〜。」

「彼が“異世界人”じゃなかったら、ですけどね。しかしおば様。その、本当に大丈夫なんで?」

「ええ〜〜〜。言ってもこれは、まだ小手調べですわ〜〜〜。六道家当主のパートナーならば、やはり政治・経済への理解も欲しいところですからねぇ〜〜〜。次は、間違いなく彼は落ちると思いますわぁ〜〜〜。」

「ま、冥子じゃ、霊能力者としてはともかく、そこら辺は激しく不安ですもんねぇ〜。」

 

・・・確かに、バリバリ仕事をこなす“キャリアウーマン”、ってイメージは冥子ちゃんにはないわな。

美神さんなら、全く違和感はないんだが。

 

ってなると、当然ながら旦那になる人がそこら辺をカバーできんと、六道家の存続は難しいだろう。

ま、当面は冥子ちゃんのお母さんや上の連中がいるから問題はないのだろーが。

 

しかし、冥子ちゃんのお母さん達の発言に俺はフラグ臭を感じていた。

・・・鳴上って、結構ハイスペックなんだよなー。

ま、流石に、政治学や経済学にまで詳しいとは思わないんだが・・・。

 

 

・・・そう思っていた時期が俺にもありました。

 

 

「し、試験結果が出ました!両方、共にクリアです!!」

「くっ・・・!」

「・・・。」(-_-;)

 

 

「あ、あらあらあらぁ〜〜〜!?」

「いやいやいや。いくら何でもハイスペック過ぎんだろっ!?何だっ!!??完璧超人かっ!!!???」

「・・・そういえば失念していたわ。確かに鳴上クンの“ペルソナ能力”には、意外な副産物がついているのよね。」

「「副産物???」」

「ええ。“何某かの存在を使役する”という点においては、“式神使い”と“ペルソナ使い”は似通っているわよね?けどそこには、決定的な違いも存在するのよ。」

「と、言いますと〜〜〜?」

「“式神”は、あくまで実在する存在をベースにしているわ。有名な安倍晴明は、鬼すら使役したとされているわね。六道家の十二神将にしても、鬼をベースにしているわよね?」

「そっすね。っつか今更っすけど、鬼なんて実際に存在したんすねー。」

「アンタ何年私の助手してんのよ?鬼どころか、妖怪や悪霊なんて嫌ってほど見てきてるじゃない。」

 

ま、それもそーか。

 

「話を戻すわね。しかし一方の“ペルソナ使い”は、これは鳴上クンの世界にも関わる話だけど、こちらの世界(GS世界)と違って、霊的な存在は一般的ではないそうよ。もちろん、一般人は知り得ないだけで、そうした存在がいないワケではないと思うわ。そもそも、人間が存在する以上、霊的な存在がいないハズもないしね。」

「そーなんすか?」

「そうね〜〜〜。人間という存在がいる以上、悪魔や妖怪はともかく、悪霊がいないハズはないわね〜〜〜。何らかの強い未練や後悔を持って亡くなった者達の成れの果てが“悪霊”ですもの〜〜〜。」

「そっか。じゃ、人間が存在している以上は、“悪霊”も生まれちまう、ってコトっすね?けど、それはこっちと違って一般的ではない、と。」

「イザナギさまのお話では、こちらの世界とは比べ物にならないくらい霊的な活動は大人しいみたいだからね。多分、その発生頻度もこちらの世界とは比べ物にならないくらい低いんだと思うわ。」

「ふむふむ。」

「つまりね?こちらの世界とは違い、悪魔や妖怪、鬼なんかの存在が実在し、なおかつそれらを使役する事なんて困難な状況なワケよ。」

「ま、一般的にその存在が認識されてなきゃ、見つけるだけでも困難っすもんねー。」

「しかしそれでは、“ペルソナ”って何なんですか〜〜〜?」

「そこなんです、おば様。イザナギさまのお話によれば、“ペルソナ”はあくまで人々の集合的無意識から生じた神や悪魔の似姿。発現した本人の生き方、在り方が形となったもの。つまり、本物ではない、という事なんですよ。」

「ふむふむ〜〜〜。」

「だから、こっちと違って、実在したそれらを使役する必要がそもそもない、と?」

「その通りよ。ま、私も詳しい事は知らないんだけど、重要なのはそこじゃないわ。ここでポイントとなるのは、“ペルソナ使い”は“ペルソナ”を発現した段階で、人々の集合的無意識と強い繋がりを持つ点よ。」

「ああ〜〜〜!そういう事ですか〜〜〜!!」

「???それのどこが重要なんすか?」

 

冥子ちゃんのお母さんは分かったらしいが、生憎俺は、まだまだ知識の面では勉強している段階だからなー。

 

「集合的無意識ってのは、心理学の用語ね。詳しく説明するとかなり時間がかかるから乱暴に要約すると、人々が体験した事や経験した事、すなわち人々の記憶や記録が集約された情報の海、のようなものと考えてればいいわ。」

「ほぉ〜ん?」

「“ペルソナ使い”は、そこと深く繋がっているの。本来は、それほど膨大な情報に接したら人は簡単に廃人になってしまうわ。考えてもみて。少なくとも今いる人々の人生の経験なんかが、一気に頭の中に入ってくるのよ?」

「そりゃ、脳みその容量を完全にオーバーしてるっすねー。」

「そ。けど、“ペルソナ使い”は“ペルソナ”を介して接触するから、比較的安全にアクセスできるみたいね。で、ここがさっき言ってた副産物、ってワケ。集合的無意識は非常に危険性が高いけれど、使いこなせればその恩恵も大きいわ。何せ、色んな情報が手に入るんだもの。鳴上クン達は、以前はただの高校生に過ぎなかったみたいだけど、“ペルソナ”に目覚めてからは“シャドウ”って化け物達と渡り合ってきたわ。当たり前だけど、ただの高校生が戦う術なんて持っているワケないわ。私自身だって、まだ高校生当時なんて、悪霊と戦った事すらなかったしね。」

「まあ、武術でもかじってない限り、普通は戦う事もないっすもんねー。」

「けど、彼らは戦う事ができ、なおかつ生き抜く事もできたわ。これは、集合的無意識から、“戦う術”という知識を引き出したからなのよ。」

「なるほど・・・。世の中には、戦う事を生業としている人もいるんすもんね。あ、じゃあ、そんな事ができる、って事は、知識なんかも引き出す事ができる、ってコトっすか!」

「その通りよ。これならば、鳴上クンの完璧超人っぷりも説明がつくわねー。もっとも、さっきも言った通り、そもそも集合的無意識にアクセスする事自体、非常に危険が伴うし、結局は他人の記憶や記録に過ぎないから、それを自分のものとするとなるとかなり難しい事だから、鳴上クン自身のスペックが高い事自体は否定しがたいけどね。」

「なるほどなぁ〜。」

 

や、集合的無意識については、ある程度イザナギ様に教えられて知ってはいたが、しかしあくまでそれは、“ペルソナ”が扱うモンだと思っていた。

しかし今の美神さんの話だと、術者本人にも、その恩恵がある、ってコトか・・・。

 

ま、あくまで“ペルソナ”を介した能力(の副産物)だから、やはり“ペルソナ能力者”だからこそ、ってところもあるんだろーが。

 

・・・しかし、こうやって考えると、言い方はあれだが、“ペルソナ能力者”の応用範囲はメチャクチャ広いな。

 

「・・・と、なると、知識面などでふるいにかけるのでは、鳴上クンの方が有利となってしまう、って事ですよねぇ〜〜〜?」

「彼がどの程度情報を引き出せているかは不透明ですが、今までの結果を見ればおそらく・・・。」

「・・・それだと、このままじゃ鳴上のヤツが勝っちまいませんか?」

「「・・・。」」(-_-;)

 

そうなのだ。

鬼道のヤツも食らいついているが、ある意味では無数の知識を引き出せる(かもしれない)鳴上の方が圧倒的に優位な状況にある。

まぁ、それでも、一人でここまでのスペックを持つ鬼道も十分に凄いのだが、このままじゃ地力の差で鳴上に軍配を上げっちまう可能性の方が高いのだ。

 

これが単純な勝負ならそれでも構わないのだろうが、今回に関しては、あくまでこれは茶番であり、最終的には鬼道に勝って貰わんと困るんだが・・・。

 

「・・・これは、やはり“霊能力者”としての素養で勝敗を決するしかないかしら〜〜〜?」

「けど、鳴上のヤツは、最近じゃ“霊能力者”としてもかなりの実力を身に着けてるっすよ?本当に大丈夫なんすか?」

「・・・多分、おそらく、メイビー。」

 

いや、ホンマに大丈夫なんかいっ!?

 

「ま、まぁ、最悪それでも鳴上クンが勝っちゃったら、本当に彼に婿入りして貰おうかしらねぇ〜〜〜?」

「「・・・。」」

 

いやいや、無理だからね?

鳴上は異世界人だからね?

 

鳴上の予想外の実力に、無茶を言い始める冥子ちゃんのお母さん。

さて、事の顛末がどうやる事やら・・・。

 

 

ってか、オッサンの方も注意しなきゃならんしなー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」にて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
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