続きです。
陽介達もその傾向がありましたが、番長には原作より更にぶっ飛んだ“完璧超人”になってもらっています。
ま、番長なんで。
もっとも、それによっていらないトラブルや想定外の事も起きるんですけど、ま、番長なんで(笑)。
・・・
クズ親父side
「な、何だ、あの若造っ・・・!?本当に高校生かっ・・・!!??」
一方の政樹の父親は、思わぬ番長の実力に驚愕の表情を浮かべていた。
まぁ普通に考えればまだ高校生ぐらいの若者が、このクズ親父に散々厳しく育てられた政樹についていける訳がない。
(あくまで秀才の範疇ではあるが)霊能力にしても学力にしても、優れた才能を持つ政樹、それは今現在は六道女学院の教師として教壇に立てるほどの実力から見れば明らかであろう。
だがしかし、残念ながら番長に“常識”というものが全く通用しなかった。
もっともこれは、番長自身も望んで手に入れたものではないのであるが。
横島も若干勘違いしていたが、あくまで“ペルソナ使い”は“ペルソナ”を介して人々の集合的無意識と繋がっている。
つまり間接的に繋がっているに過ぎないが、彼はその特殊なワイルドの能力もあってか(つまり、仲間達とは違い、特定の“ペルソナ”を持たない事。もっとも、イザナギがある種、番長の専用ペルソナに近いものではあるが、友人達との“絆”によって、所謂“本物”を召喚してしまった関係で、イザナギ自身が独立した存在として成り立ってしまっている。)、“ペルソナ”を介さずとも彼自身が直接人々の集合的無意識と繋がっている。
故に、他の“ペルソナ使い”以上に、無意識にそれらから情報を引き出す事によってか彼は高いステータスを持つに至っているのであった。
しかもそれが、
言わば、カンストから更に限界突破を果たしているような状態なのである。
驚きを通り越して呆れるほどの番長の完璧超人っぷりは、その事に由来するのであった。
まぁしかし、今現在の状態では、その完璧超人っぷりが裏目に出た形であった。
本来、今回の件は、あくま政樹に花を持たせる為の作戦に過ぎないのであるが、それが“不正を働けない”、つまり逆に“手を抜けない”事によって、政樹とここまで互角の勝負になってしまったからである。
まぁむしろ、このある種チート状態である番長と互角である事が政樹の優秀さを表しているのであるが、端から見た分には分からない事でもあるし、思惑を外されたこのクズ親父からしたら焦りを募らせる要因となってしまったのであるが・・・。
「・・・作戦変更や。このままでは、政樹が負ける事もありうるからな・・・。」
それ故に、これまで傍観に徹していたこのクズ親父は、いよいよ本格的に介入するつもりとなったのであるが、はたしてーーー。
・・・
番長side
本来の予定ではすでに敗退している予定だったのだが、あれよあれよと言う間に勝ち進んでしまっていた。
これには俺も、流石に焦りを感じていた。
まぁ、流石は六道家が目をつけただけあって、政樹さんもしっかりと勝ち進んでいるのが不幸中の幸いか・・・。
しかし、どうしたもんかな・・・。
「ええ、ええ、分かりました・・・。」
そんな事を考えていると、何やら
どうやら、何らかの指令があったようである。
それに頷くと、
「ええぇ〜、ご当主様からのご命令で、このままでは決着がつきそうにないので、いささか急ではありますが、次の試練で最終試験とするそうです。」
マジか・・・。
では、俺にとっては、ある意味では次がラストチャンス、って訳だ。
上手い事負けないとな・・・。
で、気になる試験内容であるが・・・。
「では、最終試験の内容をご説明致します。これまでお二人には、知識や教養、マナーなどを競って頂きましたが、やはり六道家はあくまで霊能力者の家系でもありますから、お嬢様のお相手にはやはりそれ相応の方がふさわしいと思われます。そこで、最終試験では、お二人の霊能力者としての実力を見極めたいと存じます。」
「「・・・。」」
まぁ、これは予測できた事だ。
前にも説明してもらったが、六道家は陰陽師を源流とした“式神使い”の家系らしいからな。
美神さんも言っていたが、霊能力者の血筋を色濃く残す為には、やはり霊能力者同士の婚姻が手っ取り早いそうだ。
もちろん、所謂一般人の中にも高い霊能力の素養を持っている者達もいるそうなので、全てが血筋で決まる訳ではないそうなのだが(つまり、霊能力者の血に連なる者達でなくとも、強力な霊能力者となる可能性があるのだ)、六道家ほどの名家ならば、やはりお相手にはそれ相応の高い霊能力者か、それに類する“潜在的な”霊能力者が望ましい訳だ。
で、冥子さんのお父さん、すなわち葉子さんの旦那さんは、所謂一般人ではあったが、この“潜在的な”霊能力者だったそうで、結果冥子さんが生まれている事からもこれは明らかである。
そして、俺と政樹さんは、間違いなく霊能力者であるから、その点においてはすでにクリアしている。
ならば、後はその実力によって優劣を決めよう、という訳だろう。
「具体的には、所謂“障害物競走”、ですな。この広い六道家の敷地内のルートを先に走破した方が勝ちとなります。もちろん中には、人間の力では突破できない箇所も複数存在しますから、そこは自身の霊能力によってクリアして下さい。また、罠や妨害なども存在しますので、それらも何とかしのいで頂きたい。つまり身の危険、すなわち事故に遭う確率も非常に高いので、もちろんこの場で棄権したとしても問題はありませんが・・・。」
・・・その場合は、当然お見合いの資格を失う事と同義、か。
もちろん、(勝つ事が目的ではないから)俺としてはここで棄権したいところではあるが・・・。
「僕はやるで・・・!」
・・・ですよねぇ〜。
政樹さんは意を決した表情でそう宣言した。
それに
・・・ここで棄権するのは、あまりに不自然過ぎる、かな?
「・・・俺もやります。」
そう考えて、俺も参加を表明した。
それに
「結構です。では、一旦昼食も兼ねてインターバルを挟んだ後に、最終試験を開始したいと思います。」
「了解や。」
「分かりました。」
その後、各々別室の控室に通された俺達は、一旦そこで別れる。
一応、ライバル同士で昼食を共にするのは気まずいだろうからな。
控室には豪勢な昼食が用意されていた。
・・・いや、流石に量が多すぎやしないだろうか。
「お〜う、お疲れー。」
「お疲れ様ー。」
と、思っていると、美神さんや横島、ついでにシロとタマモがぞろぞろと入ってくる。
ああ、彼らの分も用意されていたのか。
彼らは各々好きな席に腰掛け、豪勢な昼食に手を付け始める。
「鳴上も食っとけ。午後はハードな事になりそうだからなー。」
「あ、ああ。」
「っつかお前、別にあの時点で棄権したとしても問題なかったっぽいぞ?なんで参加を表明したんや?」
「あ、いや、ここまで来て棄権、というのは、流石にあまりに不自然だ、と思ってな。」
「・・・まぁそうね。政樹さんからしたら、快進撃を続ける鳴上クンが我が身可愛さにここで棄権したら、違和感は半端ないと思うわ。最悪、何か疑惑を持たれたとしても不思議な話じゃないわねぇ〜。」
「なるほど・・・。まぁヤツも、かなり察しの良さそうな方だもんなー。」
「そういう事だ。それに、次の競技でなら、俺もしっかり
「・・・どういう事だ?」
訝しげな表情を浮かべる横島達に、俺は今までの経緯を説明していた。
「なるほど。不正の防止措置がそんな形で裏目に出たのね・・・。」
「まぁ、普通“ズル”って言ったら、できない事をできるように見せるモンだもんなぁ〜。例えば、カンニングとか。」
「そうね。そして、そうした“ズル”を全て排除して、自分の実力を十全に発揮するように舞台を整えた。けど、逆に言えば、あえて“手を抜く”って事もできなくなっていたのね。」
「そうです。そもそも俺は、今回の件では政樹さんを舞台に上げた時点でお役御免ですからねー。」
「なるほど、合点がいったわ。なーんでお前、本気でやっとるんだろうなー、とはこっちも思っとったんだわ。そういう事だったのか・・・。」
「まあでも、それは鳴上クンにそれだけの実力があったから、って事でもあるんだけどね。」
「・・・確かに。」
最近では、特に特別な勉強をしなくても、何だか知識が溢れてくる感覚があった。
多分、
「けど、次の競技では霊能力が解禁となるわ。となれば、先程までのこの不正の防止措置が解除される事となる。当たり前だけど、霊能力はある意味で何でも有りだからね。そこに制約をつけちゃったら、何の為の試練か分かんなくなっちゃうし。もちろん、相手を直接攻撃する事はダメかもしんないけど、足留めや妨害は有りかもしれないし、“知識”を試すのと実践的な技術を試すのでは、やはり色々とルールも違うしねー。」
「確かになー。特に鳴上の場合、いまだに霊力に不安がある。戦略として、霊力を温存する事ができんかったら、あっという間に霊力切れを起こしちまうかもしんねーし、それはある意味では不公平っスもんねー。」
「そう。だから、この競技ならば、俺は“手を抜く”事ができるんじゃないかと踏んだんだよ。」
「ふむ。」
実戦形式なら、ハッキリ言って最初から最後まで全力、なんて事は現実的な話じゃない。
それだと、作戦も何もあったもんじゃないからな。
横島の言う通り、俺のネックは霊力量、というか出力できる霊力が
だから、なるべく温存しながらやりくりしないと、途中で霊力切れ、すなわちある意味棄権、という状況となってしまうのである。
当然ながらそれは、横島の言う通りある意味不公平であるから、次の競技では、“不正を防止する結界”が張られていないと思ったのである。
もちろん、別の意味での不正への対処はしているだろうが。
「そういう事なら納得ね。それに、ここまで来れば逆に正々堂々勝負したけど、霊能力者として一歩劣っていた、という印象を与える事もできるし、鳴上クンの若さもあって、それも不自然ではないしね。」
「俺は、むしろその若さで、すでにぶっ飛んだ知識や教養を持っている、と知れた事の方が問題だと思いますが・・・。」
「いえいえ逆よ。知識や教養は勉強でいくらでもカバーできるけど、事実践、となったら、急にできなくなる事はよくある事よ。特に若い人に多いわね。例えば、新卒の新入社員は、学校での成績は優秀だったけど、仕事はそこまでだった、なんて例も珍しくないわ。これは、学力と仕事に必要なスキルの違いによるものね。もちろん、本来の鳴上クンは、すでにこちらの方もかなり優秀なんだけど、それは政樹さんには分からない事よ。」
「確かに・・・。」
「まぁ、正直騙すようで気はひけますが・・・。」
「気にしなさんな。世の中には、良い嘘と悪い嘘があるのよ。アンタの場合は前者。何でもバカ正直にやる事が全て良い訳じゃないのよ?」
「はぁ・・・。」
「さっすが、嘘ばっかりついている人は言う事が違いますねー。」
「やっかましいっ!!」
「プギャーッ!!!」
余計な一言を言ったせいで、いつもの如く美神さんにぶっ飛ばされる横島。
「・・・なんで余計な事言うのかしら?」
「口は災いのもとですよー、先生。」
「まぁ、あれが二人なりのコミュニケーションなんだろう。・・・そっとしておこう。」
すでにその光景にも慣れた俺は、シロとタマモと共に、昼食を済ませるのであったーーー。
・・・
政樹side
「鳴上クン、か。やはり冥子はんのお相手候補だけあって、ただの高校生やあらへんな・・・。」
一方の政樹は、番長とは違い一人で昼食を取っていた。
まぁそもそも、シロとタマモはイレギュラーだったが、美神と横島も彼の父親関連で呼ばれただけであり、それがなければ番長も一人だった筈だ。
とはいえ、政樹はこれでも六道女学院の教師を務めるほど優秀な男であり、それは霊能力者としても同様である。
まぁ、それでも天性の才能を持つ冥子に比べれば“式神使い”としての格は落ちるが、しかし、“人に教える”という事に関しては、当然ながら冥子より優れている。
これは、逆に、自分にもフィードバックする事でもあった。
例えば、人に教える事は、自分が一度納めた事を、ある意味で復習する事ともなる。
故に、逆に自分にとっても、新たなる発見や学びがある事もあるのである。
人を育てる事とは、自分も成長する事でもあるのだ。
つまり、元々秀才だった彼ではあるが、それがより進化していたのである。
番長がおかしいだけで、六道家の厳しい試練を政樹がパスしてきたのも、そうした背景もあったからである。
そして最終試験は、ある種の実践形式(実戦形式)である。
政樹は先程述べた通り、霊能力者としても進化しており、それは作戦を考える事でも同様であった。
一方の番長は、(政樹視点で言えば)まだまだ高校生であるから、実践形式(実戦形式)には不慣れだとしてもおかしな話ではない。
故に、仮に美神達からそれらのアドバイスをもらったとしても、彼としては特に文句もなかったのである。
ここら辺は、大人としての余裕というか配慮であった。
とはいえど、彼もここで負けてやるつもりはなかった。
彼の冥子を思う気持ちは本物だったからである。
故に政樹も、昼食を取りつつ、頭の中では様々なシミュレーションを想定するのであった。
「・・・ただ、懸念事項があるとしたら、やはり父さんの事やな・・・。あの様子なら、いらんちょっかいをかけてくるかもしれへんし・・・。」
ただ、その中にあって、彼には懸念があった。
番長の影響もあったが、今回彼がこの『お見合いデスマッチ』に参戦する事となった大きなキッカケは、
政樹とて大人であるから、そこに何某かの思惑がある事などすでに看破していたが、具体的に何をしてがすかまでは分かっていなかった。
もっとも、本来ならばそのクズ親父も、流石に六道家に対して大それた事ができる人物でもなかったのであるが、はてさてーーー。
こうして、様々な思惑が交差する中、最終試験が刻一刻と近付いていくのであったーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。