P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

ここでプロローグが終了。
次の日からキャラクターをある程度自由に動かせる状態となります。(ゲーム脳)


そして始まる新たなる日々

 

◇◆◇

 

道化師side

 

「で、押し切られた、と。」

「ああ、あまりに必死だったんでな。・・・それに、俺の叔父さんも刑事なんだが、犯罪捜査ってのは端から見ても大変そうだったんでな。そう考えると、断るに断われなかったんだよ。」

「なるほどなー。っつか、叔父さん、刑事(デカ)なんかいっ!?」

「あれ?言ってなかったか?」

「・・・いや、そういや言ってたよーな気もする。ま、野郎の事なんか、話し半分で聞く癖がついちまってるからなー。美女や美少女の情報は、一度聞いたら忘れないのだが・・・。」

「お前も中々ブレないな・・・。」

 

鳴上の学校の話で美神さんのトコに行ったと思えば、結果的にそれは何とかなりそうだったんだが、それに加えてひのめちゃんのベビーシッターと、西条んトコ、ってかオカルトGメンの特別外部協力員という肩書きまでついてくるおまけ付きであった。

 

人の事は言えんが、鳴上は色んな事に巻き込まれる運命のもとに生まれてきたのかもしれん。

ま、これについてはヤツだけのせいではなく、美神さんに関わった時点でそうなる運命だったのかもしれんが。

 

で、今は“妙神山”に戻ってきたところである。

 

「ハッハッハ、いやー、大変だったねー。」

「他人事みたいに。半分以上、お前のせいだろう!?」

「ハハハ、まあまあ、落ち着いて。さっきも言ったけど、これはキミの為にもなるんだよ。」

「それはそうなんだが・・・。」

 

聞けば、イザナギさまはあくまで鳴上のペルソナとしてこの場に存在しているらしい。

つまり、コイツと離れて活動する為には、何らかのエネルギー補給が必要なんだとか。

 

ま、それについては、解決の方法があるらしいのだが、やっぱり一番は宿主である鳴上の力、霊力を上げるのが手っ取り早いらしく、それでイザナギさまは意図的にベビーシッターや特別外部協力員になる様に仕向けたそうなのである。

妙神山(ここ)”については言わずもがな。

 

「それと、これは菜々子くんの為でもあるんだよ。」

「何っ!?菜々子のっ!!??」

 

しかし、さっきまではイザナギさまの所業に辟易していた様子の鳴上も、今のイザナギさまの言葉で急に反応が変わっていた。

ってか、菜々子って誰だ?

 

「なんじゃ、鳴上ー。菜々子ってのは彼女か?」

「違うわっ!堂島菜々子。俺の従姉妹だよ。」

「ほーん。」

「で、詳しい話を聞こうか、イザナギ?」

「OKOK。」

 

目の据わっている鳴上をよそに、軽い調子でイザナギさまは応じた。

なるほど、その菜々子ちゃんとやらは、美神さんにとってのお金絡みの様なモノで、鳴上を動かす上では重要なキーワードってトコか・・・。

なんだかんだこの神様、悪どいかもしれんなー。

 

「当然ながら、菜々子くんは、キミが八十稲羽を去ってしまった事によって、以前の状態に戻ってしまった事になる。もちろん、キミが遼太郎くんと菜々子くんとの間を取り持った事で、以前よりも関係性としては遥かに良好となっている訳だが、これは物理的な話だよ。当たり前だけど、遼太郎くんには刑事としての仕事があり、そして仕事しなければ菜々子くんを養う事ができない。しかし、そうなれば、キミが居なくなった分、菜々子くんは一人きりの時間が増える事となる訳だね。」

「一人って、母親はおらんのかいな?」

「菜々子の母親は、数年前に交通事故で亡くなっている。」

「あ、こりゃすまん。」

「いいさ、お前は知らない事だからな。」

 

気になって横から口を挟んでしまったが、やぶ蛇だったよーだ。

しかし、父子家庭か。

そりゃ、母子家庭以上に大変そうだなー。

 

「もちろん、以前と違い、遼太郎くんは菜々子くんと向き合う事ができているので、そこら辺の事は考えている様だよ。例えば、近所の人達に菜々子くんの様子を見る様にお願いしていたり、キミの仲間達、特に学校には行っていないクマくんにも、様子を見る様にお願いしている様だ。捜査隊のメンバーにとっても、菜々子くんはアイドル的存在だし、頼まれなくとも構って上げるとは思うけどね。」

「違う、菜々子は天使だ。」

 

・・・どうやら、鳴上はシスコン(従姉妹の場合そう言うのか分からんが)、のよーだな。

 

「おっと失礼。そんな捜査隊のメンバーだって、遼太郎くんと比べればマシかもしれないが、学校やバイト、プライベートは存在するから、そう頻繁にはその天使である菜々子くんにかまりきりになれない事情は存在するよね?で、そこでボクの出番、って訳さ。」

「お前が?」

「そう。キミと離れて活動する上で、キミの霊力以外にも、他のエネルギー補給を可能とする方法があると言ったけど、それは八十稲羽の土地の事なんだ。あそこは、元々イザナミの治める土地な訳だけど、ボクは彼女の対となる存在だからね。つまり、関係性が近しい故に、彼女への信仰は、そのままボクへのエネルギー源ともなる。ま、コンビの芸人とかそういうのを想像してもらえると分かりやすいかも。」

 

・・・なるほど。

アダム、って言ったらイブ、みたいなモンで、イザナミって言ったらイザナギ、みたいな感じに、セットで認知される事が多い訳だから、ピンで営業してても、“アダムとイブ”、“イザナギとイザナミ”っていうコンビを連想するから、結果としてイザナミへの信仰(エネルギー)は、そのままイザナギさまへの信仰(エネルギー)に変換可能ってワケか。

よく考えてるな、この人。

 

「なるほどな。」

「ま、そんな訳で、向こうの世界では、エネルギーの問題もあって、基本的には八十稲羽に滞在する予定だ。で、そうなれば、ボクも手が空いた時間は、菜々子くんの様子を見て上げる事もできるんだよね~。もちろん、他の神々への根回しもあるから、ずっと居られる訳じゃないけど。」

「なん・・・だと・・・!」

「それと、これはキミには伏せていたんだけど、キミが姿を消したとなれば、次に狙われる可能性が高いのは堂島親子だ。キミの両親はすでに海外へと渡っているから、必然的にそうなるだろうね。もちろん、八十稲羽はさっきも言った通り、イザナミが治める土地な訳だから、他の神々は容易には入ってこれないけど、人間にはそうした制限はないからねー。で、そうなれば、キミを引きずり出す為に、どこが狙い目になるか分かるかい?」

「っ!?菜々子っ!!??」

「そうだよ。遼太郎くんは大人の男性で刑事だから、彼をどうこうする事はかなり大変な事だろう。特に人間にはね。ところが菜々子くんはまだ幼い少女だ。彼女をどうこうする事は、簡単だと思うよ?けど、今のボクは、あくまでキミのペルソナである事が主体となるから、神としての力はほとんどないんだ。その代わりに、ペルソナとしての情報系の能力は高まっている訳だけどね。しかし、それもキミの霊力が高まれば、同時にボクの力も増す事となる。となれば、それは回り回って菜々子くんを守る事にも繋がる事となる。言ったでしょ?()()()()()()()、って。」

「頑張らせて貰おうっ!」

「いや即答かいっ!何か、端から聞いてる分には、イザナギさまにハメられてる感じがするんだが・・・。」

「何を言う。イザナギはいいやつだ。菜々子の事は他の全てにおいて優先されるんだからなっ!」

「いやいや、分かって貰えて嬉しいよっ!!!」

 

ハッハッハ、と笑い合う鳴上とイザナギさま。

ま、本人が納得しとるなら、俺がどーこーゆーこっちゃねーんだけどよ・・・。

 

もしかしてだけど、イザナギさまって、思ったより腹黒いんじゃなかろーか?

いや、まぁ、多分悪い人(?)ではないんだろーが。

 

・・・

 

番長side

 

「さて、そんな訳で、一通りの事は道筋がついた様だから、ボクは一旦元の世界に戻る事とするよ。」

「もう行くのか?」

「まあね。そこまで目くじら立てられる事ではないかもしれないけど、やっぱり神道系の存在であるボクが“妙神山(ここ)”に長居する事はあまりよろしくないからね。それに、向こうの世界での仕込みも始めておかないと、ね。」

「そうか。分かった。気を付けてな。」

「OKOK。キミも大変だと思うけど、頑張ってねぇ~。」

「ああ。」

 

そんな言葉を残して、イザナギは老師や小竜姫さまらに挨拶をしてから元の世界に戻って行った。

と、言っても、普通に鬼門達の間を通り抜けて出ていったのだが。

 

「ってか、今さら疑問なんだが、俺はどうやって別世界から渡ってきたんだろうか?」

「ま、こまけー事は気にすんなっ!少なくとも、こっちの世界でそんな細かいところまで気になってるよーじゃ、この先やってけねぇーよ。」

「・・・それもそうかもな。何たって、“妙神山(ここ)”から美神さん達の居る“人間界”に行く方法が、“ゲート”を通る事、だもんなー。」

 

まぁ、“マヨナカテレビ”である程度耐性はあったとは言え、現実世界で所謂“ワープ”を経験するとは思ってもみなかった。

 

「ま、通常の方法で“妙神山(ここ)”に来るには、相当な時間と体力が居るからなぁー。俺も普段は、学生やら美神さんの助手としての生活があるから、頻繁に行き来するには時間がかかりすぎちまう、って事で、特例でな。本来なら、それも含めて修業、なんだけどよ。」

「しかし、“ゲート”にも驚いたが、それを抜けた先がお前のアパートだった事にも驚いたよ。」

「ダハハハハッ、あんまりに汚くてビックリしたか?」

「それも多少はあるが、お前一人暮らしだったんだなー、って。高校生で一人暮らしは、少なくとも俺の周りには居なかったからな。」

「ま、色々事情があってなー。両親はナルニア国っつー海外のド田舎に出張中でなー。俺は都会を離れる事ができん体質だから、無理矢理こっちに残った、ってのは実は建前で、学校があったからなのよ。ナルニアはかなり情勢不安な国でなー。頻々にテロが起こるよーな国だから、教育レベルもお察しの通りだ。とは言え、親父は仕事で行かんきゃ仕方ないし、お袋もそれに付き合った、っつーワケさ。ま、本音は、親父の女遊びを危惧したからかもしれんがなー。」

「・・・何と言うか、お前の両親って感じだな。ってか、そんな国じゃ、親父さん達の事が心配だな。」

「ヘーキヘーキ。何度かテロ組織に狙われた事があったらしーが、その度に返り討ちにしてるみたいだからよ。親父は霊能力もねぇーのに悪霊を拳でしばき上げちまう様な野郎だし、お袋はハイジャック犯を単独で制圧しちまう様な人だしなー。心配するだけバカを見るぜ。」

「それは・・・、凄いな。」

「まーな。ま、そんな感じに色々()()な両親ではあるんだが、ま、これでもソンケーしてるんだぜ?俺の事、アレでも大事にしてくれてる、って分かったからよ・・・。」

「そうなのか。」

「ま、オメーにはいずれ話してやるよ。それより、色々あって疲れたし、明日からはオメーもひのめちゃんの相手をするんだろ?早めに寝ておかないと大変だぜ、子守りってのはよ。」

「そうだな・・・。今日は早めに寝ておくとするか。」

 

俺と横島は、まだ出会って数日しか経っていない。

しかし、色々濃い時間を共に過ごしているので、それこそ捜索隊のメンバー並みに気の置けない間柄にはなっているが、やはりまだまだお互いに話せない事もあるのだろう。

 

そんな事を考えながら、俺は眠りにつくのだったーーー。

 

 

「しまったぁーーー!真面目な話をしていて、小竜姫さまの入浴をのぞくのを忘れてたぁーーー!!!」

「うるさいぞ、横島!」

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら、御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿していますので、よろしければ本作共々御覧頂けると嬉しく思います。
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