P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

今回も独自解釈強めです。
あくまでペルソナ本編で亡くなったのは、山野真由美と小西早紀だけですからねぇ〜。(モロキンは人的殺害なので外しています。)


“鬼”

 

・・・

 

鎌田勘九郎という人間がいた。

彼は元々真っ当な“人間(?)”であったが(何故、?なのかと言うと、彼が所謂“オネェ”であったからであるが)、“元始風水盤”という特殊なアイテムや、魔族であるメドーサの配下であった事などの影響もあるかもしれないが、結果として彼は、最終的には“人”ではなくなり、所謂“魔物”、“妖怪”、“魔族”になってしまった人物であった。

 

それらの事件については割愛するが、つまり、元々“人”であった存在が、何らかの方法によって“変化”、つまり、“属性”を変えてしまう事は意外とよくある話なのであった。

 

特に日本においては、何らかの強い未練を残した存在が“悪霊”となり、その後悔の念があまりに強すぎた結果大いなる災いとなってしまい、それを鎮める為に、所謂“神”として祀った、なんていう事例も多く残っている。

 

有名な話で言えば、GS本編でも登場した“菅原道真”であろう。

彼は、人々に恐れられた怨霊であったが、現代では“天神様”や“学問の神”として崇められた存在である。

 

この様に、元々はただの“人”であった存在が、後に“鬼”や“神”になったとされる伝承は世界各地に存在するのであった。

 

これは、GSが活躍する現代でも、ありえない話ではなかったのである。

 

彼らが“祓う”対象は、やはり強い未練を残してしまった“悪霊”が多い。

もちろん、“妖怪”や“悪魔”と呼ばれる存在と対峙する事も全くない訳ではないのだが、母数から見ればやはり“人”が圧倒的に多い訳であるし、未練という要素から鑑みれば、特定の土地などに執着するケースが多い。

 

GSの本分は、あくまで“現代社会の秩序と安全、そして経済活動を妨げる存在と戦う”というものであるから、大抵の案件で対峙する存在は、この“悪霊”が圧倒的に多いのである。

 

以前にも言及したが、“悪霊”と呼ばれる存在も元々はただの“人”だったケースがほとんどだ。

しかし死後、“現世に対する未練”という要素も相まって、恐るべき力を発現してしまう事も多い。

 

実際、プロのGSであったとしても、仮に除霊に失敗すれば悲惨な最期を迎える事もある。

 

それだけ、未練、すなわち“想いの力”というのは、とてつもない力を内包しているのであった。

 

では仮に、強い力を持つ者が、生きたまま強い“執着心”などの負の感情に飲み込まれてしまったとしたら・・・?

しかも、それらを“増幅”するアイテムやデバイスの存在があったとしたら・・・?

 

先程の鎌田勘九郎の事例の様に、何らかの存在に“変化”してしまったとしても、それは不思議な話ではないのではなかろうか?ーーー。

 

・・・

 

道化師side

 

「な、何がどうなってるんだっ!?」

「おそらく、“生成り”よっ!勘九郎の時にもあったでしょっ!?あのクソ親父、多分何らかの方法で“変化”してしまったのよっ!!」

「っ!!!」

 

妙な波動を感じ取ったシロとタマモについてきた俺達が目撃したのは、先程とはまるで変わり果てた例のクズ親父の姿であった。

 

いや、その見た目的にはさして変わりがない。

着ていた服装は先程のままだし(ちなみに、所謂和服姿であった)、パッと見る分には“人”である。

 

だが、その額には鬼の角のようなものが存在するし、耳まで裂けた口からは牙のようなものも確認できる。

 

何よりも、その発している“霊気”が異常であった。

 

ここら辺は感覚的な違いになってしまうのであるが、種族によって、その発している波動、オーラのようなものが異なるのである。

 

主に神族と呼ばれる存在は、やはりどこか清らかなオーラを発しているし、魔族や悪霊、妖怪の、特に凶暴で人間に対して敵対的な者達は、禍々しいオーラを発していたりする。

 

そして人間は、そのちょうど中間辺りのオーラなのである。

 

これらの事からも、俺達霊能力者なら、ある程度対峙する存在の属性を見極める事が可能なのであった。

 

で、このクズ親父であるが、先程までは確かに人間としてのオーラを放っていたのに対して、今は完全に禍々しいオーラを発していたのであった。

俺が戸惑うのも、無理からぬ話であろう。

 

ただ、美神さんの推測に、俺はすぐに状況を理解する。

 

いや、もちろん、何故そんな事が起こっているのかは知らないが、俺は以前、人間から魔物へと姿を変えた人物を知っていたからである。

 

鎌田勘九郎。

強さを求めた結果、人という姿を捨て、魔族になってしまった男(?)である。

 

それと同じように、このクズ親父も、何らかの要素によって、“変化”をしたのだろう。

 

「み、美神さんっ!?それに、横島にシロにタマモまでっ・・・!」

「よう、鳴上っ!鬼道も無事みてぇだな。」

「き、君等か・・・。」

 

俺達の存在に気付いた鳴上と鬼道は、クズ親父の変貌ぶりに戸惑いながらも、臨戦態勢を維持しながら俺達に合流する。

 

「単刀直入に聞くわっ!何が起こったのっ!?」

「い、いや、俺もたまたま出くわしただけで、詳しい事はサッパリ・・・。」

「僕も同じや。いや、事前に父さんとは話をしとったけど、一体何が起こったんかはっ・・・!」

「・・・そう。」

 

流石に冷静な美神さんは、状況を確認すべく短く問答をする。

それに、流石に色々と疑問はありつつも、簡潔に要点を答える鳴上と鬼道。

が、原因は不明である、との事であった。

 

まぁそれは、最悪後で調べたとしても問題ない事だろう。

ここで推測だけであれこれ言っても仕方ないからな。

 

・・・むしろ問題なのは、このオッサンをどう止めるか、って話の方である。

 

「グオォォォォォッ〜〜〜ン!!!」

 

ビリビリビリッ!!!

 

もはや、見た目的にも“人”の見た目からほど遠くなりつつあるこのオッサンから発せられたオーラに、俺達は軽く気圧される。

 

「マジかっ・・・!こりゃメドーサクラスの霊圧ですよ、美神さん。」

「そのようね・・・。まぁ、今の私達なら、止められない相手ではないけど・・・。」

 

メドーサは、アシュタロスの配下だったヘビおばはんだ。

とある一件で、俺と美神さんで倒している。

 

しかし、レベル的に言えば中級魔族クラスであったから、当時の俺達だけでは本来は敵わない相手であった。

 

中級魔族クラスとは、言うなれば小竜姫様クラスの使い手だ。

はっきり言って、人間には太刀打ちできないレベルである。

 

しかし、俺達は、竜神族の武具の力(身に付けると、小竜姫様と同じレベルの力を授かる事ができる)や、“文珠(もんじゅ)”、それに月神族の力も借りて、ようやく倒せたのである。

 

もっとも、その後対峙したアシュタロスは、それらを軽く上回る力の持ち主であり、曲がりなりにもコイツを倒している今の俺等なら、一対一ならともかく、みんなの力を合わせればそこまで脅威となる相手ではなくなっている。

・・・なくなっているが。

 

「そ、そんな事はともかく、早く父さんを止めてやらなっ!」

「そうですね!」

「・・・それはその通りなんだけど、アンタ、その覚悟はあんの?」

「なんや、その覚悟って・・・?」

 

俺と美神さんの会話に割って入り、鬼道はそう訴える。

それに、鳴上のヤツも賛同しているが、それに対して美神さんは、ビックリするくらい冷徹な声で、逆に鬼道に向かってそう返した。

 

「何って、あのオッサンを()()()()よ。残念ながら、あのクラス相手には、こちらも手加減する余裕はないわ。それに、私達には、一度堕ちた人を元に戻す術もない。まぁ、カオスのじーさんか、神魔族ならできるかもしれないけど、この場にはいないしね。」

「そ、そんなっ・・・!」

「っ!!!」

 

そうなのだ。

先程例にあげた鎌田勘九郎も、結末としては雪之丞の手によって死んでいる。

そうしないと、止められなかったからである。

 

もちろん、美神さんの言う通り、カオスのじーさんか神魔族の知恵を借りれば、もしかしたら元に戻す方法もあるかもしれないが、しかし、今はこの場にはいないし、俺等も殺られてやるつもりはない。

 

つまり、このオッサンを止める事はできるはできるが、その場合、=殺す、という事になる。

 

非情な現実ではあるが、魔に堕ちるとはそういう事なのである。

 

特に鬼道にとっては、キツイ選択肢であろう。

曲がりなりにも身内を討たなければならないからである。

 

もっとも、仮にコイツが反対したとしても、俺達はここでこのオッサンを討たなければならない。

いや、変な正義感から言ってるワケではない。

 

この手の出会いは、すでに自我がぶっ飛んでいる事が多いので、手当たり次第破壊行為を行おうとするケースがほとんどで、しかも今は俺等と対峙している状況だ。

つまり、逃げるに逃げられない状況であり、安全に生還する為にはこのオッサンを倒さなければならないからだ。

 

まぁその結果、人々への霊災が回避される事ともなるのかもしれないが。

 

鬼道が短く葛藤している間にも、状況は刻一刻と変化している。

オッサンの変化は、すでに完了しつつあったからである。

 

これは、答えを待っている余裕はないかもしれないか・・・。

 

「えっと、ちょっと待って下さい。」

 

と、そんなタイミングで、鳴上のヤツがおずおずと美神さんに声をかける。

 

「何、鳴上クン。悪いけど、今は悠長に話している余裕は・・・。」

「それは何となく分かりますが、それでも聞いて下さい。えっと、正直状況が全く飲み込めてないのですが、あの方は政樹さんのお父さん、って事で良いですよね?」

「そ、そや。」

「で、それが何らかの原因によって、“シャドウ化”している、と。」

「正確には魔物化、あるいは魔族化よ。アンタの言う“シャドウ化”って、あくまで“精神世界”での現象でしょ?」

「そうかもしれませんが・・・。いえ、で、その彼を止める為には、倒すしかない。いえ、言葉を濁さずに言えば、殺すしかない、と?」

「ええ、酷な話かもしれないけどね。私達も、殺されてやるつもりはないから、生き残る為にはそうするしかないわ。まぁ、相手が大人しく見逃してくれるなら、逃げるのも選択肢には入るけど、それは希望的観測過ぎるでしょ。」

「ふむ・・・。しかし、少し思ったのが、殺す必要はないかもしれませんよ?」

「は・・・?アンタ、話聞いてた?確かに、色々と気まずいし、私にだって殺人を喜ぶような趣味はないわ。でも、殺らなきゃ殺られる状況なのよ。だったら・・・。」

「いえ、俺も下手な正義感から言ってる訳じゃありませんし、美神さん達が、所謂“善良な人”・・・。いえ、少なくとも好き好んで殺人を犯したい人々ではない事は、短い付き合いでも分かります。ですから、そんな貴女達がそう判断するなら、そうするべき理由があるのでしょう。けど、俺が考えているのは、もしかしたら俺の力なら、何とかなるかもしれない、という事です。」

「・・・どういう事?」

 

鳴上のヤツは、普段は冗談も言う事もあるが、こういう場面でも冗談を言うタイプではない。

その鳴上が、マジの表情でそう言う以上、ヤツの人となりを少しは知っている美神さんも、真剣な表情でヤツに向き直った。

 

「最初に断っておきますが、あくまで可能性の話です。俺も絶対の確信がある訳じゃない。」

「それは分かってるわ。」

「では、かいつまんで簡単に説明します。美神さん達はもう知ってると思いますが、俺達は向こうの世界の“マヨナカテレビ”内で戦っていた訳です。」

「ええ。それで、“シャドウ”って化け物達とやり合ったワケでしょ?最終的には、黒幕であった“神様”とも。」

「そうです。それと、戦ったのはそれだけじゃありません。仲間達の“影”や、“影”に飲み込まれて怪物となった()()とも戦ってるんです。」

「あっ・・・!!!」

 

・・・そういや、そんな事も言っていたな。

鳴上の仲間達はあくまで独立した“影”の話だったが、少なくとも三人の人間は、そいつ自身が怪物になっちまったんだよな・・・。

 

・・・ん?

ちょっと待てよ?

 

「もちろん、その戦った場所が、“マヨナカテレビ”っていう特殊な環境だった事もあるかもしれませんが、しかし同時に俺達や彼らは、自分の肉体も持っていました。そんな彼らは、その時に倒しはしましたが、今も生きています。」

「け、けど待って。でもそれは、アンタ達が手加減したからってだけじゃ・・・。」

「正直、そんな余裕はありませんでしたし、当然ながら俺達も、今の状況と同じで、彼らを元に戻す方法など知りません。しかしそこで思ったのですが、これってイザナギが言うように、俺達の力の特殊性から来てるんじゃないですかね?」

「っ!!!そうかっ!“ペルソナ能力”っ!!」

「そうです。イザナギが言うには、俺達の力の主戦場は、あくまで“精神世界”とか“異界”などの特殊な環境であり、なおかつ“ペルソナ”はその人の“精神性”を具現化した存在。これまでの事を鑑みると、“ペルソナ”はその“精神”、つまり“負の部分”()()を退ける事が、もしかしたら可能なんじゃないでしょうか?」

「「「っ!!!」」」

 

・・・確かに、その可能性を失念していた。

 

これは少し違うかもしれないが、以前に悪魔ナイトメア(精神寄生体の悪魔。本体はメチャクチャ弱いが祓うのは非常に困難。)に乗っ取られた人も、俺等の能力では、被害者共々叩くしかない状況だった。

まぁ、その時は殺さないギリギリのラインで霊力を送り続けたワケだが(まぁ、結果は失敗だったが)、その後、冥子ちゃんが“精神”に直接乗り込める式神(確か、ハイラだったか?)を持っていたお陰で、ヤツだけを直接討ち取る事ができたし、被害者も無事だった。

 

今この場に冥子ちゃんはいないが、仮に鳴上のヤツの“ペルソナ能力”が、似たような条件で、被害者とそれを操っている“何か”を別々にして、その“何か”だけを倒す事が可能ならば、鬼道の親父を殺す必要はなくなるかもしれない。

 

まぁ、あくまで可能性の話だし、“マヨナカテレビ”とは状況も違うだろうが、このままだったら殺すしかない状況なのだから、万が一助かる可能性があるんだったら、やってみても損はないだろう。

 

「やってみる価値はあるかもしれないわね・・・。どっちにしても私達の能力だけじゃ、あのオッサンを止める為には本体ごと叩くしかないけど、万一鳴上クンの能力が通用するなら、オッサンは無事に済むかもしれない。ま、“何か”に取り憑かれていると決まったワケじゃないから、ある意味一か八かの賭けだけど、ね。」

「ま、悪い賭けじゃねぇ〜だろ。で、どうする、鬼道?」

 

しばし考えた後、美神さんはそう結論づけた。

鳴上の話に乗ってみよう、という事だろう。

 

俺もその意見に賛成だったので、複雑な表情を浮かべている鬼道に水を向ける。

 

「っ!」

「・・・。」

 

一瞬、鳴上と鬼道の視線が交錯する。

鳴上のヤツも、自分で言っていた通り絶対の自信があるワケじゃないだろうから無責任な言葉は言わなかったが、しかしその力強い視線には、何とかなるんじゃないか、という妙な説得力があった。

 

鬼道もそう感じたのだろう。

ややあってヤツも、覚悟を決めた男の表情で頷いた。

 

「それしかなさそうやな・・・。分かった。君等と、鳴上クンに賭けてみよう。何、仮に失敗しても、運がなかったと諦めるさ。」

「決まりね。じゃあ、この場は鳴上クンに任せた方が良いのかしら?」

「いえ、どちらにせよ彼の力は削ぐ必要があると思います。ですので、ギリギリまで追い詰めて下さい。最後のトドメだけ、俺がやってみます。」

「了解よ。シロとタマモも聞いていたわね?」

「了解でござるよ!」

「分かったわ。」

 

頭脳労働は不得意なシロと、空気を読んで黙っていたタマモも、オッサンを警戒しつつも話はしっかり聞いていたのだろう。

美神さんがそう確認すると、二つ返事でそう答えを返してきた。

 

「ウガアァァァァ〜〜〜!!!」

 

そうこうしている内に、オッサンの“変化”が完了したのか、すでに人間としての面影を失ってしまったオッサンが、こちらをジロリと睨み、威嚇らしき叫び声を上げる。

 

「じゃあみんな、油断せずに行くわよ!」

「「「「「応っ!!!」」」」」

 

 

こうして俺達は、突如巻き起こった謎の現象に対処すべく、死闘を演じる事となったのであるがーーー。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
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