P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

幕間話ですが、結構本編に関わってくる横島の過去話です。
ある程度はGS本編を踏襲しますが、やはり独自解釈や独自設定も出てきますので苦手な方はご注意を。


アシュタロス事件とその後
語られる過去 1


 

・・・

 

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???side

 

「忠夫のヤツ、しっかりやってるかしらねぇ〜?」

「今は“妙神山”、ってところでお世話になってるんだろ?なら心配はいらんと思うが・・・。」

「まぁそうなんだけど、小竜姫さま、だっけ?って、えらい美人だったじゃない。」

「そっちの心配かいっ!いや、ゆーて、相手は神様だろ?なら忠夫も無茶なマネはせんと思うぞ?」

「どうだかね・・・。アイツ、アンタに似て節操なしだから、ねぇ〜?」

「・・・・・・・・・。」(-_-;)

 

その日、一組の夫妻が日本に帰国していた。

 

男性の方は、メガネにヒゲを蓄えた、40代そこそこのダンディな男である。

女性の方は、こちらも40代そこそこのキレイな女であった。

 

この二人、横島忠夫の両親である。

 

高校生とは言えど、一人息子である忠夫を置いて海外へと行っている二人であったが、これにはやんごとなき理由がある。

 

横島の父親、横島大樹(よこしまだいじゅ)の仕事の都合上、海外赴任を余儀なくされていたからである。

母親である横島百合子(よこしまゆりこ)は、大樹に付き合ってそちらの方で生活しているのである。

本来ならば、息子である忠夫も一緒に連れて行くところを、忠夫が拒否したのであった。

 

そんな事もあって、横島は高校生にして一人暮らし、という、まるでマンガやアニメのような状況となっていたのであるが、何も忠夫のワガママがそのまま通ったワケではない。

 

大樹の赴任先は、ナルニアという国なのであるが、ここは非常に政情が不安定な国なのである。

日本ではあまり馴染みがないが、ゲリラ活動やテロ行為も活発であり、そうなれば当たり前だが教育のレベルもそれ相応なのである。

 

今現在はともかく、忠夫はお世辞にも優秀な学生ではなかったが、それでも日本の教育レベルとそこのレベルでは、どう考えても日本の方が上であるから、彼の将来を鑑みれば、日本の学校に通い、そちらで卒業した方が良い。

 

そんな裏事情もあって、忠夫は日本に残ったワケであった。

 

(ちなみに余談だが、そうは言っても一緒に暮らしたい思惑が百合子にはあったようで、忠夫に対する仕送りは結構渋っていたようである。

忠夫が音を上げてそちらに来ると思っていたが、これは百合子の思惑通りにはならなかったのであった。)

 

ただ、百合子はその事を非常に後悔していた。

いや、先程も述べた通り、裏事情があったとは言えど、それでも忠夫を無理やり連れて行っていれば、あるいは・・・、という思いがあったからである。

 

まぁもっとも、これは前世からの深い因縁もあったので、ある意味忠夫の運命であった事も否定できない事実なのだが、それはともかく。

 

そんなワケで横島夫妻は、最近は忙しい中でも時間を作っては、定期的に忠夫の様子を見に来るようになったのであるが。

 

「さて、んじゃ、さっそく忠夫のアパートに直行、だな。」

「もう遅い時間だからねぇ〜。本当は事務所の方にも顔を出したいのだけれど。」

「おいおい。もうケンカは止めてくれよ。」

「それは反省してるわ。けど、あんなでも一人息子を危険にさらされれば、誰だって頭にくると思うわ。」

「・・・ま、それは否定せんが。ヘイ、タクシー。」

「はい、どちらまで?」

「練馬区の〇〇まで。」

「かしこまりました。」

 

二人は会話を交わしながら、タクシーに乗り込んだ。

一旦、忠夫のアパートに向かうようであるーーー。

 

・・・

 

番長side

 

「師匠、小竜姫さま。ちょっといいですか?」

「うむ。どうした、横島。」

「何でしょうか?」

 

こちらの世界でお世話になっている妙神山の居住スペース。

修業を終えてパピリオちゃんとくつろいでいると、横島が珍しく神妙な面持ちで老師と小竜姫さまにそう話を切り出した。

 

「突然なんすけど、ウチの両親が帰国したんすよね。で、今、こっちに向かってるそうで・・・。」

「ほう。」

「それは大変。お二人をお迎えする準備をしませんと。」

「すんません。自由奔放な親で。」

「良いのですよ。ご両親が貴方を心配する気持ちも分かりますから。」

「ま、そうじゃな。どれ、ワシも酒の用意でもしておくか。」

「ほどほどになさって下さいね、老師?」

「分かっとるわい。」

 

「横島の両親か・・・。そういえば、会った事はなかったな。」

「パピリオは会った事あるでちゅよ?面白いおじさんに、キレイなおば、あ、いや、おねえさんだったでちゅ。」

「へぇ〜。」

 

・・・何で一回言い直したのかはあえて突っ込まないが、老師や小竜姫さまの反応からみても、お二人とも面識はあるようである。

 

どんな人達なんであろうか?

 

「・・・なんだか面白そうだねぇ〜。」

「イザナギ。」

「やあやあ悠くん。」

「あ、イザナギのおじちゃんでちゅ。」

「こんばんは、パピリオちゃん。」

 

「何じゃ、ナギ。お主も来ておったのか。」

「向こうでの仕事が一段落ついたからねぇ〜。たまには悠くんに顔を見せないと、心配しちゃうかもしれないし。んで、横島くんのご両親が来るんだって?」

「はい、そうっす。」

「ふむ。キミのご両親には、キミの状況は分かってる、って事でいいんだね?」

「あ、はい。今は老師達のもとでお世話になってる事も、神魔族の事もある程度理解してるっす。」

「ほうほう。」

 

訳知り顔で頷くイザナギ。

・・・そういえば、俺はどうして横島が今現在の状況になっているのかは詳しく知らなかったな。

 

考えてみれば不思議な話だ。

いや、俺やあいかの例のあるのである程度は理解もできるが、普通に考えれば、まだ高校生で一人暮らしってのも中々に珍しい話だからな。

 

もちろん、それは踏み込んだ事情かもしれないが、濃い時間を過ごしている事からも、俺は横島に対してそれなりに友情を感じている。

だからこそ、知りたい、と思う気持ちもあったのであった。

 

「そういえば、何で横島は一人暮らしなんてしてるんだ?ってか、そもそもそれだけならまだしも、何で妙神山でお世話になるような状況になってるのかも俺は知らないな。」

「・・・。」

 

そんな思いもあってか、俺の口は、勝手にそうな質問をしていたのであった。

 

「・・・悠くん。ボクが言うのも何だけど、人には語りたくない事の一つや二つはあるものだよ?」

「・・・そうだな。すまん。」

「あ、いや、大丈夫っすよ、イザナギさま、鳴上。仲間達は知ってる事ですし、オメェも今は俺達の仲間の一人だしな。」

「横島・・・。」

 

いつも元気いっぱい、って感じのコイツではない、たまに見せるシリアスな顔のコイツが、大人びた笑顔でニカッと笑う。

 

「あら、良いオトコじゃない。」

「ゆ、百合子っ!?う、浮気はダメだぞっ!?」

「アンタが言う?って、そういう話じゃないわよ。忠夫にもちゃんとした男友達がいたんだな、って話よ。」

「そ、そうだよな・・・?」

「どわっ!き、急に現れるなよっ!」

「あら、ご挨拶ね。さっき連絡したでしょ?」

「そ、そりゃそうなんだけどさぁ〜・・・。」

 

と、その時、タイミングを図ったかのように、二人の男女が現れた。

話から察するに、この人達が横島のご両親なのだろう。

 

やはりというか、どことなく雰囲気が似ている。

 

「久しぶりじゃな、ご両人。息災そうでなによりじゃ。」

「ご無沙汰しております、老師。愚息がいつもお世話になっております。」

「忠夫が迷惑かけてないですか、小竜姫さま?」

「いえいえ。こちらではいつも真面目に修業に取り組んでいますよ、百合子さん。」

「パピリオちゃんも元気だったかっ!?」

「うんっ!」

「そーかそーか。これ、ナルニアのお土産な。」

「わぁ〜、キレイな石でちゅねぇ〜。」

「お、親父・・・。それって、レアメタルなんじゃ・・・。」

「なぁ〜に。一つや二つ、ガメてきてもバレんよ。」

「私からもお土産よ、パピリオちゃん。ナルニアの珍しい生物の図鑑よ。」

「わぁ〜、ありがとうでちゅっ!」

「二人っとも、パピリオには甘いんだよなぁ〜・・・。っつか、実の息子には何もなしかいっ!」

「バカ言うなっ!今はお前の方が稼いでるだろっ!」

「けどそれは、お袋が管理してるし・・・。」

「アンタが卒業するまでは、ね。それまでは、無駄遣いしないようにしておかなきゃ。お金のありがたみを身に沁みて感じときなさい。」

「・・・へいへい。」

 

やはり家族と共にいると、横島もそれなりの年齢に見える。

 

いや、普段もバカやっている時は年相応なのだが、時折俺よりも大人びた表情をする時があるからな。

 

「やあやあ、こんにちは。はじめまして、ですね?私はイザナギ。悠くんのペルソナをやってる者です。」

「「は、はぁ・・・。」」

 

と、そこへ、突如として突貫するイザナギ。

 

フレンドリーなのは良い事だが、説明を省きすぎだ。

実際、横島のご両親も困惑していた。

 

「これ、ナギ。説明を省きすぎじゃ。それだと、何が何だか分からんだろう。」

「テヘッ。メンゴメンゴ。」

「すいません、ウチのイザナギが。改めまして、鳴上悠です。横島、あ、いや、忠夫くんとは同じ学校のクラスメイトで友人であり、弟弟子でもあります。」

「ご丁寧にどうも。忠夫の母の、横島百合子です。」

「父の大樹です。ハハハ、正統派なイケメンだな、忠夫?お前のキライな。」

「鳴上は別に良いぞ?コイツも俺と同じで、かなりの苦労人だからなぁ〜。」

「ほう・・・。」

「差し支えなければ、事情をうかがっても?」

「もちろんです。」

 

 

「・・・まさか異世界人とはなぁ〜・・・。」

「もう、大抵の事では驚かないつもりだったけど、まだまだ世の中には不思議な話は一杯あるんだねぇ〜・・・。」

 

その後、妙神山のいつもお世話になってる居住スペースにて、改めて自己紹介と俺達の事情をお二人に説明していた。

 

「しかも、“世界”を救った英雄か・・・。忠夫。同じ境遇でも、お前色々と負けとるぞ?」

「ほっとけっ!!!」

 

横島をイジりつつ、いつの間にか酒盛りを始めていた大樹さん、老師、イザナギはダハハハハッと笑い合っていた。

 

・・・仲良くなるの、早くない?

 

「しかし、神様ってのも大変なんですなぁ〜。」

「そうだねぇ〜。ここら辺は人と一緒さ。色々な思惑が交錯するから、政治的な話にもなる。大樹クンも、それは身に沁みて分かってるんじゃないかい?」

「ハハハ、流石にお見通しですな。」

「だが、コヤツの場合はすでに自力でどうにかしておる。流石は横島の父親だわい。」

「へぇ〜、やるもんだねぇ〜。表にこそ現れていないけど、やはり二人も潜在的な霊能力者なのかもしれないねぇ〜。」

「それはワシも感じとる。“運”とか“商才”ってのも、霊能力に通じる概念だからのぅ〜。」

 

「へぇ〜、そうなのかぁ〜。ご両親揃って、凄いんだな、横島の家は。」

「ま、あのクソ親父、素手で悪霊をのしちまうようなヤローだからな。むしろその方が納得できるわ。」

「そ、そりゃまた無茶苦茶だな・・・。」

「お袋はお袋で、直感力と判断力はピカイチみたいでよ。どんな事をしても会社に貢献しちまう、スーパーOLだったらしいぜ?ま、家では普通の、特売好きの主婦やってんだが。」

「・・・。」

 

この親にしてこの子あり、ってヤツだろうな。

聞けば聞くほど、ぶっ飛んだご両親のようである。

 

ま、ウチの両親も、そういう意味では負けていないけどな。

 

「ま、そんなワケで、向こうの事情が落ち着くまで悠くんには安全な場所に避難してもらった次第だよ。旧知の孫くんを頼ってね。彼なら、大抵の事には対処できるし、そもそも世界線が違うからね。」

「鳴上くん、若いのに大変なんだねぇ〜。」

「いえ、もう慣れましたから。」

 

百合子さんから同情の言葉を頂く。

しみじみと言われると、中々クるものがあるが。

 

「さて、と。じゃあ、今度はそちらの番だね。今までは深く聞かなかったけど、何で横島くんがこんな状況になっているのか、聞かせてもらっても良いかな?」

「あ、うっす。」

 

イザナギもやはり興味があったのか、横島にそう促した。

横島も横島で、軽い調子で頷く。

 

しかし、本来はそんな軽い話ではなかったのだが・・・。

 

「本来ならば、ある意味トップシークレットではあるのじゃが、まぁ、お主らは別世界の住人だし、問題ないじゃろ。しかし、念の為に確認しておくが、オフレコで頼むぞ?」

「分かってるよ。ボクも人の秘密を話して回る趣味はないからね。」

「俺も分かりました。」

「んじゃ、話していくぞ〜。っつっても、そんな面白い話でもないんだけどなぁ〜・・・。」

「「「「・・・。」」」」

 

あくまで軽い調子の老師と横島とは対象的に、小竜姫さま、パピリオちゃん、そして横島のご両親は軽く目を伏せていた。

・・・何だろうか?

 

「えっと、どこから話したモンかな・・・?そうそう。まずは、何で俺が高校生にして一人暮らしなんてやってるか、ってトコなんだが・・・。」

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
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