続きです。
GS本編を知らない方に、簡単なダイジェスト版でお送りしております。
詳しく知りたい方は、単行本などを御覧下さい(笑)。
まぁ、冗談はさておき、本作的にはアシュタロス編以降の経緯が重要なのですが、やはり何があったのかが理解できないと説得力がないだろう、という事で、あえて簡単にアシュタロス編を解説しています。
すでに知っている方はスルーしても問題ありません。
・・・
キッカケは、先にも語った通り、大樹の海外赴任であった。
(余談ではあるが、これは大樹の出世を妬む専務による陰謀だったのだが、まぁそちらは大樹の手腕とナルニアがレアメタルの産出国だった事もあり、すでに数年後には大手を振って本社に帰る事が確定している。
まぁ、それはともかく。)
それも色々と語った通り、結局横島夫妻はナルニアへ、忠夫は日本に残って学校に通う、という話で決着した。
そんな訳で、忠夫は晴れて高校生にして自由な一人暮らしと相成った訳であるが、しかし現実問題としては意外と一人暮らしというのは大変なものだった。
当然ながら、家の事もしなければならない訳であるし、もちろん両親から仕送りは送られていたのだが、結局それだけでは生活が立ち行かなかったのである。
(もっとも実際には、大樹の稼ぎはかなりのものであるから、本来ならば忠夫がバイトをする必要もなかったのであるが、ここら辺は先にも語った通り、色々と思惑が存在していたのであるが。)
そんな事もあって、忠夫はバイトを探す事としたのである。
足りない分は自分で稼ぐ。
なるほど、案外ちゃらんぽらんに見えて、忠夫は中々に自立した少年のようである。
しかし、そこは横島忠夫であるから、できれば女の子がいっぱいいるバイト先を熱望していたのである。
まぁ、当然そういうバイトもない事はないのであるが、そんな矢先、何の因果が美神と出会う事となったのである。
この頃の美神は、唐巣のもとを独立して、自身の事務所を立ち上げたばかりであった。
意外、でもないだろうが、GSの仕事は、当然ながら悪霊などと戦うだけではない。
事前に下調べをしたり、道具一式を持って移動したり、事務仕事だってあるのである。
とてもではないが、一人で全てをこなすには、中々の重労働なのである。
まぁもっとも、その“能力”によっては道具を必要としない霊能力者もいるので多少の余力はできるだろうが、いずれにせよ、場合によっては過酷な場所で数日間過ごす事もあるので、その為の準備などは必要となる。
そんな訳で、彼女は助手を探していたのであった。
そして本編通り、美神の色香に迷った忠夫が、薄給で良い、との条件で、美神の助手に収まったのであった。
とは言えど、当初の忠夫は潜在的な霊能力は相当なものであったし、何故か人以外の妖怪や悪霊などに好かれる、という特異体質は持っていたものの、あくまでただの荷物持ち(兼いざと言う時の盾)に過ぎなかった。
忠夫の才能が開花したのは、小竜姫から贈られた“心眼”がキッカケである。
そこからはメキメキと頭角を現し、ただの荷物持ち、兼賑やかし、兼ギャグ要員だった少年は、いつしか美神に並び立つほどの霊能力者となっていたのであった。
その過程の中で、美神が一部過激派な魔族から狙われている事が発覚。
当初は“時間移動能力者”を危険視した魔族達が、それを屠る為だと思われていたが(実際、美智恵も狙われていた)、美神が彼らのブラックリストに載ってからはそれも何故かピタリと止んだ。
その後の調査で、これは美神を探す為の口実だった事が発覚。
最初から彼らは、“美神令子”という人物を探していたのであった。
これは、美神と彼らの間に、前世からの因縁があったからであった。
美神令子は、今でこそ“人間”であるが、前世では“メフィスト・フェレス”という名の悪魔、魔族であった。
彼女は、とある目的の為に横島の前世である高島に近付き、彼と“契約”を結んだ。
その目的とは、“魂”を集める事。
更に大きなとある目的の為に、それらをひとつに加工する為であった。
もっとも、これは上手くいかなかったのである。
調査の為にこの時代を訪れていた美神達が現れた事で、メフィストの気配が二つに増える、というイレギュラーな事態が生まれてしまったからである。
メフィストの生みの親である魔神アシュタロスはその事を危惧して、メフィストを切り捨てる事を決定。
結果、切り捨てられたメフィストはアシュタロスを裏切り、生き残る為に彼らが加工していた魂、“エネルギー結晶”を奪い取ったのである。
当然ながら、それをアシュタロス奪い返しに来たのであるが、美神に同行していた神族の調査官であるヒャクメの機転によってアシュタロスを数百年後にタイムスリップさせる事によって難を逃れる。
その結果、メフィストから美神に受け継がれた“エネルギー結晶”を探し出す為に、彼らは“時間移動能力者”を血眼になって探す、という、ある意味原因を自分自身で作った様な状況となってしまったのである。
ちなみに、メフィストは、その後“エネルギー結晶”を使って人間になり、高島はアシュタロスとの戦いの中で命を落とし、魂はメフィストのものとなったのであるが、彼女はそれを解き放ち、後にそれは横島となったのであった。
この様に、美神と横島の因縁も、前世からの深い縁だったのである。
とは言えど、あくまで魔神アシュタロスとの戦いは、ある意味では魔族同士の内ゲバに過ぎなかったのである。
言うなれば横島は、それらに巻き込まれただけに過ぎないのだ。
いくら才能がある、前世からの因縁があると言っても、あくまで現在ではただの高校生に過ぎない横島が、世界の命運すらかけた戦いに身を投じるのは違和感があった。
だが、ここでも横島は自身の才能によってそれらに深く関わってしまう事となったのであった。
事の起こりは、アシュタロスが本気で美神令子を狙ってきた事であった。
もちろん、すでに彼女の存在が彼ら側にバレていたので、いつ襲われても不思議な話ではなかったのだが、ここら辺はアシュタロス側も色々と準備も必要だったのである。
彼が行おうとしている事は、今現在の
まぁ、彼は魔族であるからそれも自然な流れではあるのであるが、神魔族上層部では
つまり、何も考えずに美神に突っ込もうものなら、神魔族両陣営からフルボッコにされる状況になっていたのである。
アシュタロスは最強の魔神ではあったが、流石にそれら相手では勝ち目がなかったのだ。
そこでアシュタロスは、まず神魔族をどうにかする事から始めていたのである。
具体的には、全世界に存在する、神族、魔族の俗界に置ける108ヶ所の拠点を襲撃する事であった。
当たり前だが、神族、魔族は、人間に比べて非常に強力な存在であるが、俗界において活動する為には制限があった。
その制限とは、霊的拠点からのエネルギー供給であり、そこから離れると著しく活動が制限されてしまうのであった。
(例えば小竜姫は、妙神山に括られた神様であるから、そこから遠く離れると長く活動ができない。
日本ならばまだそこまでの制限はないが、遠く離れた海外では、数分しか全力を出す事が叶わないのである。)
これらは、神魔族全体に適応されるルールである。
つまりその108ヶ所の拠点を全て破壊されてしまうと、冥界とのチャンネルが遮断されてしまい、神魔族はエネルギーの供給を受けられなくなり、急速に衰弱、弱体化してしまうのだ。
神魔族さえどうにかしてしまえば、アシュタロスに敵う者など存在しなくなるので、後はやりたい放題、という訳であった。
もっともその為には、アシュタロス自身の全霊力を使う必要があったので、神魔族の妨害に成功した後、彼は深い眠りについてしまったのである。
だが、美神にとっては嬉しくない事に、自身の手足となって働く部下達が残っていたのである。
美神らは、神魔族のサポートが受けられない中で、人間達だけで強力なアシュタロス一派と相対する事となってしまったのであった。
んで、美神の助手という事もあって、横島もその件になし崩し的に巻き込まれる事となってしまったのだ。
まぁ、ある種世界の命運をかけた戦いであったので、良いとか悪いの話ではないのだが。
しかしここでも、横島の持つ、“人外に好かれる”、という特性と、非常に珍しい能力を持っていた事もあって、アシュタロスの部下の一人であったパピリオに気に入られ、拉致られる事となってしまったのだった。
当時のパピリオは、子供っぽい見た目とは裏腹に、やはり魔族である事もあって冷徹な心も持っていた。
彼女に逆らう事は死を意味する。
そう考えた横島は、美神のもとで鍛えた丁稚根性を存分に発揮し、自分には利用価値があると必死にアピールしたのであった。
そんな折、時間を超えてきた美智恵が現れ、アシュタロス一派の襲撃をやり過ごした美神らは、彼女の指揮下に入り、何とか脱出に成功していた横島も正式にアシュタロス討伐部隊の一員となったのであった。
そして横島に課せられた任務は、拉致されていた事を逆に利用して、潜入捜査、すなわちアシュタロス一派の動向を探るスパイを任される事となってしまったのであった。
こうして、彼自身の特性もあって、彼は一番危険な任務をやるハメになってしまったのだが、そこは横島であるから、徐々にルシオラ、ベスパ、パピリオの魔族三姉妹と仲良くなり、実質的な彼女らの上司である
そしてそんな中で、魔族三姉妹の衝撃の境遇を知る事となる。
先程も言及した通り、美神の前世であるメフィスト・フェレスも、元々はアシュタロスの部下、彼自身が作り出した存在である。
しかし、イレギュラーもあって自身で切り捨てたとは言えど、結果として自身の一番大事にしていた“エネルギー結晶”を奪われる、という苦い教訓もあって、ルシオラら三姉妹には、数々の制限が与えられ、しかも神魔族の封印が保つ1年間、という短い間だけ生きられるように
更には、ルシオラと恋仲になった事で、横島は重大な決断を下したのである。
すなわち、“アシュタロスを倒す”、であった。
アシュタロスを倒せば、人間界も救われるし、三姉妹を縛るものもなくなる。
もっとも、人間が魔族の、それも超上位に位置するアシュタロスを倒す事など無茶とか無謀を超えて不可能なのであるが、彼は言い切る。
“無理じゃねぇッ!!”、と。
こうして、これまではなし崩し的に巻き込まれていた横島は、この時初めてと言っても良いかもしれないが、自分が闘う決意を固めたのであった。
そこからの成長は著しかった。
元々小竜姫曰く、“潜在能力
更には、そのチート的能力、“
美智恵には葛藤があったのだ。
今回の件で、神魔族が行動不能となり、実質的に人間の勢力だけで、アシュタロス一派と戦わなければならなくなった。
それ故に、世界GS本部はある決定を下していたのだ。
それが、“美神令子の暗殺”、であった。
非常に非人道的な決定であったが、実はこれが一番安全で合理的な判断だったのである。
アシュタロス一派の狙いは、美神令子の魂に結びついてしまっている“エネルギー結晶”の奪還である。
その為、美神を守りつつ、アシュタロス一派を倒す事が勝利条件となるのであるが、神魔族のサポートがない中でそれをする事は実質的に不可能に近い。
ならば逆転の発想だ。
美神が死ねば、その魂は転生する。
つまり、その魂はしばらく行方不明となり、いつ、どこで戻ってくるのかは誰にも分からないのである。
アシュタロスが神魔族を封じていられるのは一年の間だけ。
その間に美神が捕まらなければ全てが解決する。
神族によって美神の時間移動能力が封じられている以上、暗殺がもっとも安全な選択だった訳である。
人類全体の命運がかかっている以上、良いとか悪いとかの話ではなかったのである。
もちろん美智恵とて、その話に“はいそうですか”、と納得した訳ではない。
そこで美智恵は、本部に掛け合い猶予を要請した。
自分が指揮すれば、アシュタロスの調伏は可能であると説得したのである。
もしそれが叶わない場合、美智恵自らの手で令子を殺すという条件で、である。
しかし、いくら厳しい訓練を施しても、すでに完成しつつあった美神のパワーをこれ以上引き出す事は困難であったのだ。
このままでは人類の安全の為に、自身の娘を自らの手で始末しなければならない、という葛藤が美智恵にはあったのである。
しかし、そこに横島が現れた事で、解決の糸口が見えたのである。
霊力の完全同期連係。
つまりは“合体技”であった。
単純に個人のパワーアップが期待出来ないのならば、令子のパワーに他人のパワーを上乗せすれば良い。
波長がシンクロして共鳴すれば、理論的には相乗効果で数十〜数千倍のパワーを獲得できる方法である。
ただ、このアイデアのカギは、“どこまで霊波を同期させて共鳴を引き起こせるか”、なのだ。
波長が完全に同期すればその効果は絶大だが、人間である以上はわずかなブレは不可避なのである。
だが、横島だけはそれをクリアする切り札を持っていたのである。
“
力の方向を完全にコントロールする能力である。
またこのプランは、令子と横島の力が同格になったからこそ成り立つものでもあった。
しかし、一縷の望みが現れたかと思われた矢先、アシュタロスが美智恵らを強襲。
もっともこれは、あくまでただのコピーであり、美智恵らによって簡単に一蹴されてしまうが、やはりアシュタロスの方が一枚上手であった。
自らを囮とし、密かに仕込んでおいた蜂の妖毒によって、美智恵に致命的なダメージを与えたからであった。
母親の命を人質に取られた格好になった令子であったが、悪魔の取引には応じない、という美智恵の信念により、その場はひとまずアシュタロスらを追い払う事に成功する。
で、倒れた美智恵をヒャクメや医療班に任せて、案内役のホタルを伴い、令子の仲間達は独自に南極に向かう事としたのである。
もちろん、こちら側の敗北条件である令子は監禁しつつ、であったが、またしてもアシュタロスの策略によって、大量の核ミサイルを奪われ、令子の暗殺に対して牽制をしたのである。
もし彼女の身に何かあれば、この
こうして、晴れて一致団結する事となった人類は、先行していたGSチームに令子を加え、打倒アシュタロスを掲げて南極へと向かったのであったーーー。
to be continued
誤字・脱字がありましたら、御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。