P4GS   作:笠井裕二

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続きです。

とりあえず、今回で横島sideの過去話は終わりです。
何だか上手くまとまらなかったので、その内、手直しするかもしれませんが・・・(笑)。

次回から新章(の予定)です。
思わぬキャラが登場する・・・かも?


その後 3

 

・・・

 

番長side

 

「後はお前も知ってる通りだ。俺は正式に老師の弟子になり、こうして妙神山に住みながら、日夜修業に取り組んでる、ってワケさ。」

「なるほどな・・・。」

 

中々に壮絶な過去である。

と同時に、俺は妙に納得もしていた。

 

俺が付き合ってきた中で、まぁ真面目な部分だったりお人好しの部分も見てはいるが、基本的に横島は面倒くさがりな普通の高校生だ。

そんな彼が、GSになる為とは言えど、こんな風に修業に打ち込んでいたのは違和感があったのだが、そうしなければならない事情があったのならば、それも納得できたからである。

 

まぁその理由が、まさか自分の命が関わっているとは想像もつかなかった訳であるが・・・。

 

「じゃあお前は、すでに()()のコントロールにも成功したんだな?」

「あ、いや、それなんだが・・・。」

「・・・?違うのか?」

 

俺がそう確認すると、横島はお茶を濁すような発言をした。

いや、短い付き合いとは言え、コイツがあまりに普通だったから、てっきりすでにそれらの問題を乗り越えたものと思っていたのだが・・・。

 

「残念じゃが、コヤツはまだまだ()()のコントロールに関しては完璧にはマスターしておらん。」

「まぁそもそも、神魔の力を人間が簡単にコントロールする事などほぼ不可能に近いのです。それでも横島さんは、その元来のセンス故にかなり良い線まで行っていますが、これに関しては種族差というものですからね・・・。」

「ま、そりゃそーだ。悠くん達もアッサリやってのけているけど、本来“神降ろし”なんて事は、不可能に近いんだよ。何故ならば、神の力を行使した瞬間、人間なんて塩の柱になっちゃうからねぇ〜。それほどまでに、神魔の持っている力ってのは、情報量が多いんだ。」

「そ、そうなのかっ!?」

 

イザナギの言葉に驚愕する俺。

俺達って、そんなに危ない事をしてたのか・・・。

 

「まぁもちろん、キミらの場合は“ペルソナ”を介した間接的なものに過ぎないし、ボクにしても、ボク自身が制御しているからキミに負担はないよ。だけど横島くんの場合は、“ペルソナ”もなしにこれをやろうというのだから、無茶苦茶な話なワケだよ。本当なら、とっくに塩の柱になるか、魔物に堕ちるかしているハズだけど、いやはや、凄い人間ってのはどこの世界にもいるもんだ。」

「ま、まぁ、半分はバンダナ(コイツ)のお陰なんすけどね。」

「・・・バンダナ?」

「うむ。ナギの言う通り、いくらコヤツがいくら才能があっても、“人間”である以上、神魔の力を完璧に扱う事は不可能に近い。ならば別のアプローチじゃ。コヤツや美神令子も体験しておるが、実は神魔、正確には龍神の力を扱う事は不可能ではないのだ。もっともこれは、“アイテム”という形になるがの。」

「もちろん、“アイテム”だからといっても、使い続ければ人間の身体なんかすぐにボロボロになってしまいますがね。実際、美神さんも私のヘアバンドと籠手を使って、全身筋肉痛になった事もありますし。」

「へぇ〜・・・。」

 

美神さんの事だ。

あわよくばもらっちゃおう、とか考えていた事だろうが、そんなリスクがあるならおそらく諦めたんだろうなぁ〜。

 

「なるほど・・・。つまり、“アイテム”にサポートさせよう、って事か。例えばその“バンダナ”で魔力を封じるとか、自動で魔力を消費させる、とかね。」

「そっす。言わば、二代目の“心眼”っすね。」

「“心眼”?」

「ああ、お前は知らんよな。俺が霊力に目覚めたキッカケの“アイテム”さ。当初俺は、自分の霊力も満足に扱えなかった。ま、元々素人だし、霊能力者の家系でもなかったからなぁ〜。そこで、いち早く俺の潜在能力に勘付いていた小竜姫さまが俺に与えてくれたんだよ。」

「“心眼”は、言わば“サポートアイテム”なんです。人間が歩き方を覚える際に、歩行器を使うみたいに、霊力の扱い方を学ぶ為の物。これを応用して、今度は“魔力”をコントロールしてもらっているのです。」

「まぁ、半分は封印に近い形なんだがな。結局は、魔力の余剰エネルギーが俺の身体を蝕んでいたワケだから、それを完璧にコントロールするか、あるいは最初からそれが発生しなけりゃいい、ってワケさ。」

「なるほど。だからお前は今は普通に生活できていたワケか。」

「そ。っつっても、結局は根本的な解決にはならんから、こうして修業に励んでいるってワケよ。・・・ルシオラの為にも、な・・・。」

「・・・。」

 

最後にそうポツリと呟く横島。

よっぽどルシオラさんを愛していたのだろうか・・・?

 

あるいは、彼女が存在した事によって自分が不幸になった、などと言われないようにしているのかもしれない。

 

まぁ、結局のところ、そこら辺の心情は横島にしか分からない事だろうが。

 

「んで、色々世話になる、ってんで、親父とお袋も老師や小竜姫さまに挨拶をしていて、こうして知り合いになってる、ってこった。まぁ、まさかここまで仲良くなるとは思ってもみなかったけどなぁ〜(ボソボソ)。」

「ほうほう。(ボソボソ)」

 

ま、曲がりなりにも一人息子がお世話になるんだ。

親からしたら、しっかり挨拶をしておくべきだったのだろう。

 

「なるほどなるほど。いや、辛い過去を話させて悪かったね、横島くん。けど、こちらとしても大いに()()になったよ。」

「へっ・・・?」

「・・・もしやお主、鳴上の為に“英雄”の処遇を聞いておきたかったんじゃな?」

「あぁ〜・・・。」

「・・・そういえば、鳴上くんも“世界”を救った“英雄”で、その事が原因でこっちの世界に来ていた、って話でしたもんね。」

「そうだね。元凶が去った以上、“英雄”の存在は新たなる火種になる。少なくとも、“英雄”を手に入れる事は各勢力にとっては大きな意味を持つからねぇ〜。とはいえ、こっちの世界と違って、霊的な活動は活発ではないから、その影響は限定的なんだけど、それでも悠くんや仲間達を狙う勢力も現れている・・・。しかしなるほど。何かの庇護下に置く、か・・・。」

 

・・・なるほど。

イサナギが横島の過去話を聞きたがったのは、俺の為だったのか。

 

「いや、少し見えてきたよ。貴重な話を聞かせてもらって、ありがとうね、横島くん。」

「は、はぁ・・・。」

 

どうやらイザナギの中で何かしらの結論が出たのだろう。

そう横島に感謝の言葉を述べる。

 

まぁ、言われた側の横島は困惑していたのだが・・・。

 

「さて、結構長く語ってしまったの。今夜はもう遅い。修業もあるし、お主らはそろそろ眠るが良い。」

「うっす。」

「分かりました。」

「大樹と百合子も、今夜は泊まっていくが良い。」

「はい。」

「お言葉に甘えますわ。」

 

・・・

 

世界side

 

「ところで大樹くん、百合子くん。もう一つ、参考までに聞いておきたい事があるんだけど・・・。」

「はい、どうされました、イザナギさま?」

 

孫くんの号令でお開きとなり、各々が割り当てられた部屋に散らばっていく中、ボクは大樹くんと百合子くんを引き止めていた。

 

「いや、横島くんと悠くんにはあまり聞かれたくない話だったんでね。彼らが席を外したタイミングを見計らっていたんだが、その、お金の事はどうしたのか、と思ってね。」

「ああ、なるほど・・・。」

 

ボクの言葉に、大樹くん達は納得の表情を浮かべていた。

 

当たり前だが、人間が生きる以上、お金は非常に大事である。

 

しかし、各方面への配慮を鑑みると、その資格があっても、横島くんが大量の褒賞なんかを受ける事は難しいのだ。

 

にも関わらず、横島くんはすでに大量の資産を持っているようである。

もっとも、本人はあまり知らないようだが、そこら辺は管理している者達がいるのだろう。

 

では、誰がその管理をしているか、となると、親であるこの二人以外には存在しないワケで。

 

「とりあえず、我々の部屋でお話しませんか、イザナギさま?」

「了解したよ。」

 

しばし考えた上で、百合子くんがそう言った。

それに、ボクは二つ返事で了解の意を示した。

 

 

「結論から申しますと、忠夫への褒賞はどこからも出ていません。」

「ふむ・・・。」

 

まぁ、これに関しては予測通りだ。

 

ここら辺は、良いとか悪いの話ではない。

いくらそれだけの働きをしたからと言っても、またそれがある意味正当な労働に対する当然の対価だとは言っても、受け取ってしまった以上、ある種の“関係性”が発生してしまうからである。

 

横島くんの立場は非常に微妙なのはこれまで聞いた通りだ。

だとしたら、あえてそれらの話を断ったとしても無理はないのである。

 

しかし、

 

「では、どうして忠夫は、今現在、かなりの資産を持っているのか?イザナギさまは、そこが気になるのですわよね?」

「そうだね。悪いんだが、そういう事は意識しなくても分かってしまうんだよ。これでも、一応は神の端くれなもんでね。」

「フフ、そうでしたわね。」

 

今のボクは“人間形態”であるから、彼女達もすっかり忘れているかもしれないが、これでも神様の一柱だからねぇ〜。

 

「その答えは意外とシンプルですよ。美神さんがしっかりとしたお給金を支払っているからです。」

「・・・へっ?」

 

ボクは間の抜けた声を上げた。

え?

それだけ?

 

言葉にしなくとも、ボクの言いたかった事を理解したのだろう。

百合子くんは、説明を続けた。

 

「もしかしたらお聞き及びかもしれませんが、お恥ずかしい話、忠夫は元々時給250円で美神さんに雇われておりまして・・・。」

「いやいや、それは普通に労働基準法違反だろう。」

「ええ。そうなんですけど、お互いに納得の上で契約を結んでいましたからね。まぁ、仰る通り普通に労働基準法違反なんですが、まぁ、それに関しては致し方ない部分も存在します。美神さんの色香に迷った末の事らしいですし、普通にセクハラ行為もあったみたいですからね。ここでごねても、普通に訴えられておしまいです。むしろ、それでも給料が支払われているだけマシと考えた方が良いかと。」

「ほ、ほぉ〜。」

 

何ともギャグみたいな話だが、まぁ、突っ込むだけ野暮、なのかな・・・?

 

「ですが、後にそれもある程度解消したみたいです。忠夫が、霊能力者として覚醒した頃から、まぁ、それでもまだまだ労働基準法以下ではありましたが、マシな給料が支払われる事となったんです。」

「ふむふむ。」

「で、今回の件です。私達には分かりませんが、忠夫はかなり実力のあるGSになっている。もちろん、忠夫が美神さんの弟子、という立ち位置なのは変わりませんが、同時に美神事務所の従業員という立場でもあり、なおかつ所長である美神さんをその実力ではすでに抜いている・・・。となれば、同然ながらそれ相応の待遇にしなければならない。そうしなければ、つまりは美神さんがナメられる事になりますからね。それほどの実力を持つGSに、満足な給料も支払えないのか、とね。」

「確かに。」

 

ここら辺は、良いとか悪いの話ではない。

 

人々の記憶を改竄しているとは言えど、アシュタロス事件の記憶を普通に持っている者達もそれなりにいる訳だ。

その多くは、事情にかなり詳しい筈だから、所謂一流どころのGSがいかに貴重か、また、それに見合うほど高給取りなのはある種常識だ。

 

例えるならば、プロスポーツの一流選手が高い年俸を貰うのと同じである。

それだけの価値があり、仮にそれができなければ、ただ単に他に持っていかれてしまうだけの事である。

 

まぁ、横島くんの場合はまだ美神くんの弟子、という立場だから、今現在は横槍を入れる事はできないが、彼が晴れて独立した暁には、高額のギャラを条件に、所謂“ヘッドハンティング”を仕掛ける事は別に咎められる事ではない。

 

もっとも、そちらに関しても孫くんによって牽制される事とはなっているが、しかし問題なのは美神くんのメンツの話である。

 

先程も述べた通り、すでに横島くんが飛び抜けた存在である事を関係者達は知っている訳だから、そんな存在が薄給でいる事は、ある意味格好がつかない。

 

言ってしまえば、

 

“美神令子は自身の弟子、しかも自分を超えるほどの実力を持つ者に満足に給料も支払えないのか”、

 

という訳である。

 

美神くんがケチである事はかなり有名なようであるが、しかし、それとこれは全く話が別だ。

何なら、弟子に嫉妬して冷遇している、なんて憶測すら流れてしまう可能性もある。

 

もちろん、彼女がそんな誹謗中傷なんかに臆するタマではないが、しかし、ビジネスマンとして見た場合、ある程度は周囲の評判も気にしなければならない。

 

そうでなければ、単純に商売をしていけなくなるからね。

 

「こうした事もあって、今現在の忠夫は、高校生にしては破格の給料を貰うに至っているんですよ。一般的なサラリーマンなんか目じゃないくらいに。」

「何なら、私よりも貰っていますよ。親としては中々複雑ではありますが、まぁ、それだけ危険が伴う職業、ってコトでもありますがな。」

「あら、そこら辺は美智恵さんが気を使ってくれたからじゃない。あの人、忠夫に対する負い目があるからね。その贖罪じゃないけど、せめてこれくらいは、って事で美神さんを説得して、何なら各方面とも密かに交渉してくれたみたいよ。」

「・・・なるほどね。」

 

アシュタロス事件は人類の危機であり、なおかつ神魔族を頼りにもできなかった。

 

そんな中、アシュタロス討伐の指揮官として先頭に立ったのが美智恵くんだ。

 

全人類の存亡と、娘の命。

これを守る為には、超法規的措置が取られ、これによって未成年者であった横島くんやおキヌくんも作戦に加わり、特に横島くんはそれに大きく貢献した訳である。

 

だが、それによって横島くんは、大きな傷を持つに至った訳でもある。

 

仕方なかった、という側面はあるが、それでも横島くんに対して恩義や負い目を感じていたとしても不思議な話ではない。

 

そこへ来て、お金の話である。

本来はお金で解決できる事ではないかもしれないが、先程も述べた通り、人が生きていく上ではお金は重要だ。

 

しかも、この事件の表向きの最大の功労者は指揮官である美智恵くんだから、彼女が矢面に立って交渉する分には、横島くんの事情とは関係ない、ってワケか。

 

「正直、親としては思うところもありますが、娘を救いたかった彼女の気持ちも分かります。それに、忠夫の為にそこまで骨を折ってくれたのですから、ね。」

 

百合子くんからしたら、よくも息子を巻き込んでくれたな、という思いがあるのが普通であろう。

だが、それに対する謝罪の心や、具体的な行動があったからこそ、それを許す事にしたのであろう。

 

「まぁ、それらも含めて、忠夫は今現在、高校生にしてはかなりの資産を有するに至った訳なんですが、流石にあの子に任せるとすぐに使い切ってしまうと思うんですよ。」

「い、いやいや、流石にそれは・・・。」

「まぁ、半分は冗談です。ですが、早い内から大金を手にすると、金銭感覚が狂ってしまう可能性はあります。ですので、少なくとも社会人となるまでは、私達が管理、というか守る事で納得させました。社会人として、お金のありがたみをしっかり身に沁みてから渡す予定です。」

「ふむ、なるほどね・・・。」

 

孫くんが面倒見ているから心配はいらないだろうけど、確かに若い内から大金を手にするとロクな事にはならないだろう。

そうした意味では、百合子くんの判断に、ボクは納得していた。

 

「ま、本音を言いますと、それも親のわがままなんですがね・・・。私のメンツ、っていうバカげた事もありますが、どうせ忠夫は後一年にも満たない内に高校を卒業しちまいます。アイツの場合、もはや職業の選択肢はGS以外にはないですから、高校を卒業したら即社会人です。せめてそれまでは、私達が育てたんだぞ、って顔をしておきたいんですよ。」

「男の子は働き始めたら一人前ですからね。本来なら、それまでは手元に置いて卒業式に送り出してやりたいんですが、事情が事情ですから。だからせめて、お金だけは、ってね。」

「ふむ・・・。」

 

二人の親心、ってヤツか・・・。

 

ぶっちゃけると、もう今の横島くんなら、自分で自分の学費を支払えるだけの支払い能力を持っているが、せめて高校卒業までは俺らに甘えとけ、って事なんだろうなぁ〜。

 

まぁ、そこには、仕方なかったとはいえ、息子を一人にしてしまった事に対する贖罪の気持ちもあるのかもしれないけど、ね。

 

「いや、踏み込んだ事を聞いて悪かったね。もちろん、横島くんには内緒にしておくから安心してよ。」

「いえ。」

「助かります。」

 

・・・もっとも、すでに彼も、薄々気付いているかもしれないし、そうでなくとも、その内気付くだろう。

けど、それは本人が二人に、感謝なり、何なりを伝えるべき事であって、ボクが出しゃばる事ではないからね。

 

 

感謝の言葉を伝え、二言三言話した後、ボクは彼らにあてがわれた寝室から去っていった。

 

親子、か・・・。

 

 

to be continued




誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。

後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆&投稿しておりますので、もしご興味がおありでしたら、本作共々チェックして頂けると非常に嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
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