参ノ巻 一夜明け
皇紀2680年 平成32年 7月23日 午前8時2分
日の光の眩しさで司は目が覚めた。
カーテンが少し開いていて、そこから朝日が入ってきているようだ。
目覚めた部屋が自分の家では無いのに気がつくのに数分かかった。
どうしてここにいるのか確認しようと目線を左に向けた。
「おはようマスター。よく眠れたか?」
司の隣で寝ていた【ナナシ】が囁くように言った。
予想だにしない状況に司はベッドから転がり落ちた。
「どうしたマスター?何かあったか?」
ベッドから転げ落ちた司をニヤニヤとした表情で【ナナシ】は見下ろしていた。
「か 勝手に同じ布団の中に入らないでください!」
「そうか。次は許可を貰ってからにするよ。」
出会ってまだ1日くらいしか経って無いが、司は【ナナシ】というサーヴァントがどういう性格なのか分かってきた。
司があまり女性慣れしていない事が面白いらしく、何かにつけてからかってくるのだ。
昨日もシャワーを浴びようとしたら、一緒に入ってこようとしたの必死に止めるはめになった。
転げ落ちた事で眠気は吹っ飛んでいた。
司は立ち上がり部屋を見回すと昨夜のことを思い出していた。
昨夜の戦いの後、朱引陣を手に入れてテレビの取材をそこそこで切り上げて十兵衛達と合流した。
既に自宅が敵に割れている事を考慮して、拠点を変えるべきだという十兵衛の意見で領地内のホテルに泊まっているのが今の状況である。
ホテルに着いてからも大変だった。
なにせテレビ中継に映ってしまったせいで親と知り合いから連絡が何件も入ってきたのだったから。
友人達からの連絡は凄いとか頑張れよとか暖かいものが多かったが、両親からお説教の電話だった。
特に母親は司がマスターになった事と家が滅茶苦茶になった事で大荒れであった。
今すぐマスターを止めて帰ってこいという返答がきた。
合戦を避け明日から祖父の家に行く予定だったので当然だろう。
父親は割と応援してくれているようだったが、母をなだめるのに精一杯な様子だった。
激論の末、母が折れ危険だと判断したらすぐに辞退する事を条件に聖杯合戦に参加する事を認めてくれた。
両親は予定通り祖父の家に行くことになった。
その後司は疲れからすぐにベッドで就寝したのだった。
昨晩の事を思い返しながら司は自分の手の甲に刻まれた令呪をジッと見つめる。
まるで現実離れした出来事が続けざまに起こっていたが、この紋章が夢では無い事を明確に示していた。
平凡な自分の人生の中でこんな日がくるなんてと考えるだけで口角が上がってしまう。
「大将!おはゆう!」
ドアが開き別の部屋にいた十兵衛と桐野が挨拶しながら入ってきた。
「主殿。起きてすぐで申し訳ないのですが、
今後の方針を立てたいのですがよろしいですかな。」
司としては特に異存は無かったのだが、ある事の方が気になった。
「その般若のお面はどうしたんですか?」
声で十兵衛だと分かったが、何故か般若のお面を付けていて服装も黒の着流しに変わっていた。
「これは失礼。」
面を取りながら十兵衛が説明を始めた。
「拙者どうも姿が特徴的すぎるゆえ変装する事に致しました。
名前の方も人前では【般若】と及びください。」
聖杯合戦においてサーヴァントの真名を隠す事は基本中の基本である。
真名が分かってしまった場合、武器や戦い方はもちろん弱点なども分かってしまう
恐れがあるため極めて危険だからだ。
「ナナシは良いとして、桐野はどうするかの。」
「コイツは知名度低いから隠さなくていいだろ。」
ナナシが揶揄する口調で言った。
「第一正体を隠すならその妙な喋り方を変えるべきだろ。」
「なんだとこあ!聞き捨てならんぞ!」
すぐさま桐野がその言葉に噛み付く。
顔を合わせればこの2人は口喧嘩ばかりしている。
あまり相性は良くないようだ。
「待て待て、そう喧嘩ばかりするな。今から現状を話し合わなければならんというのに」
そう言うと十兵衛は机の上に地図を広げた。
東京23区の地図のようだ。
「まず我らセイバー組だ。荒川区、台東区、文京区を拠点に昨夜新たに千代田区を手に入れ陣地を4つに増やした。
ランサー組は港区、目黒区、品川区を抑え我らと同じく昨夜、空白地の渋谷区を手に入れ陣地は4つ。
ライダー組はバーサーカー組の北区を襲撃しこれを獲得した。陣地は4つ。
バーサーカー組は1つ減らし陣地は2つ。アーチャー、キャスター、アサシンは変わらず3つのままだ」
十兵衛が地図にペンで色を塗りながら現在の戦況を説明する。瞬く間に23区の地図が7つに色分けされていく。
「夜通しテレビとにらめっこしていると思っていたが、情報を集めてたのか。」
「一歩も動かずとも情報が手に入るとは便利なものよの。」
十兵衛がニヤリと笑い話を続ける。
「陣地4つとアーチャー組との同盟の効果によって我らが1番人気のようです。主殿お喜びください。」
「めでたか!まこてめでたか!」
はしゃいでるでいる桐野とは対象的に司の心境は複雑であった。
「喜んでいいのかな...」
1番人気ということは現状ではもっとも優勢であると言えるが、裏を返せば他の勢力から狙われやすくなるということでもある。
過去の聖杯合戦でも突出した勢力が袋叩きあって敗退した事例は少なく無い。
出る杭は打たれるというやつだ。
昨日の事を司は唐突に思い出した。
アーチャーのマスターと連絡する約束をしていた事を。
早速昨日貰ったメモに書いてある電話番号にかけてみる。
2コール目で電話の主は出た。
「よう。」
昨夜と同様のぶっきらぼうな口調だ。間違いなくアーチャーのマスターだろう。
「ええと...昨日はどうも。」
何がどうもなのか。
どんな話からしてよいのか分からずついこんな言葉が出てしまった。
「どうも。高城司くん。」
その返答に司は動揺する。
「どうして俺の名前を?」
アーチャーのマスターには自分の名前を言って無いはずだ。
司は思わず聞き返す。
アーチャーのマスターは心底呆れたようにため息をついて。
「テレビつけてみろ。」
とだけ言った。
言われるがままリモコンを手に取りテレビをつける。
聖杯合戦の情報を報道している番組のようだ。
「…それではセイバーのマスターである高城 司くんのインタビューの映像をどうぞ」
画面に自分とナナシの姿が映る。
「…あ」
名前を知っていて当然だ。テレビでいやというほど流れているのだから。
「高城くんは都内高校に通う高校生で、部活は剣道部に所属してるとのことです。」
マスコミの取材の時に名前以外は情報を一切しゃべっていないが、すでに調べてあるようだった。
「おい!どこの世界に自分から名乗るマスターがいるんだ!」
「ご ごめんなさい!」
司は電話越しの怒鳴り声に謝ることしか出来なかった。
「まあもうしょうがないか。それで今お前どこにいるんだ?まさか自宅にはいないよな?」
「えーと、駅前のホテルです。」
「よーし、そこは賢いな。自宅だと他のマスター襲撃されるかもしれないからな。」
もう既に襲撃されてるんだけどと思いながら司は話を聞いてる。
「今後の方針を話し合いたい。そうだな、昼の1時に今から言う場所で落ち合おう。」
アーチャーのマスターが指定した場所は中央区の中華料理店のようだ。
すぐに机にあったメモ用紙に書き込む。
「盗聴の危険もある。電話はこのへんにしよう。じゃあな、遅れるなよ。」
それだけ言うとアーチャーのマスターは電話を切った。
電話を終えた途端にグーとお腹がなり、空腹感を覚える。
そういえば昨日の夜から何も食べて無い。
「ははは!やっぱいふとしが減っているよな。そげん思もしこわんなときましたぞ大将。」
桐野が笑いながら皿を持ってくる。
皿の上にはトーストにハム、ゆで卵、サラダが乗っている。
「用意してくれたの?ありがとう。」
司は桐野に礼を言う。
腹はペコペコで動く気力も無かったので本当に助かる。
「てっきりお前が食べるのかと思ったぜ。食い意地張ったサーヴァントって言ってやろうかと思ったのに。」
横から【ナナシ】が茶々を入れる。
「いちいちやぞろしな。さあ、大将うっくれんか。」
司が食事に手をつけようとした時、十兵衛が制止する。
「主殿、しばしお待ちを。桐野、この食事どこから持ってきた。」
「るーむさーびすってやつじゃ。わいが席をはじちょっ時に給仕がふんできた。」
ふむと十兵衛は自身の顎を触る。
これは考え事をする時の十兵衛の癖のようだ。
そうして十兵衛はトーストをほんの少しちぎり持っていたコップの中に入れた。
「何をやってるんだ?」
【ナナシ】が十兵衛に問う。
「ロビーに熱帯魚がいたであろう。あれを一匹拝借してきたのよ。」
見ると確かにコップの中に小さな熱帯魚がパン屑をつついている。
十兵衛は暫くその様子を眺めていたが、急に眼を細めてから司に声を掛けた。
「主殿、すぐにここを離れたほうがよろしゅうかと思います。」
そういうと十兵衛はコップ中をこちらに見せた。
さっきまで元気泳いでいた小魚は痙攣しながら水面に浮かんでいた。
皇紀2680年 平成32年 7月21日 午前8時30分
「鮫洲です。」
「鷺宮です。」
「笹塚です。」
「芝です。」
「高尾です。」
「立川です。」
「中里です。」
「野毛です。」
「町田です。」
「青山です。」
「はいストップ。ストップ。」
ここは陸軍省の会議室の一室。
それなりに広い部屋の中で聖徳太子は軍服の男達に囲まれていた。
「あのですね。そんな一斉に喋られても聞き取れないですし、名前も覚えられるわけないでしょう。
そこのところ考えてくださいよね。」
辟易とした顔で太子は答える。
「はっ!申し訳ありませんでした。太子様の逸話は余りにも有名なのでこのくらいは造作もなくこなされるかと思いまして。」
先頭に立っている鮫洲 少佐が答える。
「いや毎回10人の受け答えしているわけじゃ無いですよ。簡便してくださいよ。それで何の話でしたっけ?」
露骨に嫌そうな顔しながら太子は話を促す。
「先ほどもお話した通り憲兵隊から参りました鮫洲です。本日より太子様の身の回りのお世話をさせていただきます。」
敬礼をしながら鮫洲が明快に答える。
「帰ってもいいですか?」
太子は立ち上がってそそくさと部屋を出ようとする。
しかし鮫洲の部下たちに回り込まれて扉にたどり着けない。
「太子様。聖杯合戦の裁定者を憲兵隊が補佐するのは第1次から習わしです。勝手を言われては困ります。」
鮫洲は鉄仮面のように表情を一切変えずに言った。
「特に手伝って貰う必要も無いんですけどねー。
無駄に多すぎないですかそんなに頭数要ります?男だらけでむさ苦しくてしょうがないですしね。
こういう時はもっと女性を補佐につけてくださいよー。気遣いが足りないなまったくもー。」
聖徳太子はくどくどと愚痴をこぼしている。
昨日の生放送が終わってからホテルに案内され、朝からこうして陸軍省に呼び出される。
丁重な対応こそ受けているものの、行動を拘束されるのは太子にとって不愉快なことであった。
「申し訳ありません。しかし聖杯合戦は我が国にとっては一大行事です。
臣民の関心も高い。万が一にも失敗することは許されないのです。そのためなら我ら何でもやるという所存です。」
「今なんでもやると言いました?」
一切表情を変えない鮫洲 少佐の顔を覗き込みながら太子は言った。
笏で口元を隠しているが、明らかにニヤついた表情であることが伺える。
「言いました。」
一切淀み無く鮫洲は言い切る。
「いや素晴らしい心意気です。この聖徳太子、感銘を受けました。つきましてはあなた達に重要な任務を与えます。よろしいですね。」
「はっ!何なりと。」
「大至急、美味しいお茶とお茶請けを持ってきてください。後むさ苦しいから全員この部屋から出ていくように。」
何でもやるとさっき言ったよね?といった表情でニヤニヤしながら太子はそう言った。
「…承知しました。太子様はここでお待ちしてください。勝手に出て行かれることはなきように。」
少し間を置いてから鮫洲が答えて、部下に指示をする。
「はいはい、分かってますよ。お茶はぬるめでお願いしますよー。」
椅子にだらしなく座りながら太子は鮫洲達が出て行くのを見送った。
「あいつ俺達をお茶くみ程度にしか思ってないぜ。」
苦々しく鷺宮曹長は文句を言ってる。
部屋から出るように言われた憲兵達は別の会議室に集まっていた。
部屋の内装は太子がいた部屋と同じ間取りである。
大きく違うのはモニターがいくつかあり、モニターには太子が映っていることだった。
彼ら憲兵隊の本当の任務はルーラーの補佐では無い。
ルーラーの監視である。
サーヴァントごときに仕切られては困る。
あくまで仕切るのは政府でなければならないというのが、大日本皇国の見解である。
「何が英霊だ。所詮使い魔ではないか。何故俺達がヤツのお守りをせねばならんのだ。」
吐き捨てるように言った鷺宮の言葉に他の憲兵もそうだそうだと同意する。
彼らはルーラー監視のために選抜された優秀な兵士達だ。
それゆえに誇り高い。
小間使いのような扱いに我慢できないのである。
サーヴァントは所詮魔術師の使い魔だ。
魔力が無くなればたちまち霧散する程度の存在という考えがある。
これは彼らに限らず軍全体を覆う考えだが。
加えてあの聖徳太子を名乗るサーヴァントである。
彼らもサーヴァントを見たことが無いわけでも無い。
彼らが見てきたサーヴァントはどのサーヴァントも圧倒的存在感があり威厳に満ち溢れており、まさに英雄を名乗るに相応しい者達である。
ところがあの聖徳太子はそういった威厳や威圧感といったものが皆無であった。
そこらを歩いてる人間と同じようにしか見えなかったのである。
おまけにふざけた言動ばかりしている。
そういった要素もあり彼らは聖徳太子を腹の底では侮っていた。
「例えばこんなことをしてもあいつは気が付かないぜ。」
会議室の机に太子用のお茶と菓子がお盆に乗せて用意してあった。
鷺宮はお茶を持つとペッと唾を吐いて入れた。
鷺宮のその行為に他の仲間達は面白そうに下品に笑っていた。
ひとしきり笑いが収まると会議室のドアが開く。
上司への報告をしに席を外していた鮫洲中尉が入ってきた。
「用意は出来たか?」
「はい。この通りです。」
「よし。では鷺宮と芝は一緒に来い。他の者はここで待機だ。ヤツが怪しい動きを見せたらすぐに私に知らせろ。」
「了解しました。」
鷺宮が盆を持ち、3人は太子が待つ会議室に向かう。
距離はさほど離れていない。
すぐに部屋の前に着く。
鮫洲がノックしてから声を掛ける。
「太子様、失礼します。」
「はい、どうぞ。」
その声がしてからドアを開ける。
太子はだらしなく座り、暇なのか笏をいじっている。
「お茶をお持ちしました。どうぞ召し上がってください。」
鮫洲の言葉に反応して、鷺宮が太子の横に移動しお茶と菓子を置く。
すぐにお茶に手をつけるかと思われたが、聖徳太子はお茶をジッと見つめるだけで飲もうとしない。
「太子様、いかがされました?最高級の玉露ですよ。」
太子が動かないので見かねた鮫洲が声を掛ける。
「鷺宮くんでしたね。」
太子が鷺宮に声を掛ける。
突然、自分に声を掛けられた鷺宮は内心驚いたが表情は変えずに答える。
「はっ。何でしょうか?」
「このお茶あげますよ。飲んでください。」
ドキリとした。
まさかバレているのか。
いや、そんなはずは無いと鷺宮は返答しようとする。
「これは太子様のために用意したものですから私が…」
「私は飲めと言ったのです。飲めないのですか?鷺宮くん。」
鷺宮の返答を遮って太子は静かに答える。
その声は先程までのふざけた口調とは明らかに違っていた。
太子は真っ直ぐに鷺宮を見据えている。
その視線は氷のように鋭く、まるで浅はかな腹の底まで見通しているようだった。
「…あ…」
その視線を受けた鷺宮は一歩も動くことが出来なくなっていた。
辛うじて呻き声を上げるのがやっとであった。
まさに蛇に睨まれた蛙である。
鷺宮 曹長は臆病な男では無い。
むしろ常に先陣切って飛び込む優秀な兵士であった。
その男が身じろぎすら出来ないほど固まってしまっている。
「まさか毒でも入っているんですかね?怖いなぁ。」
太子のその言葉に反応して鮫洲が動いた。
太子の近くまで歩みより湯飲みを掴むと一気に中のお茶を飲み干した。
「部下が大変失礼をしました!」
そう言うと鮫洲 少佐は深々と頭を下げた。
太子はその姿を横目でしばらく見つめるとふーと息を吐いて。
「新しいお茶をお願いしますね。今度は熱いのを。」
「はっ。ただいま。」
鮫洲はそう答えるとすぐに茶器類を片付け部下を連れ退席した。
廊下に出てしばらく歩くと部下達に問い詰める。
「貴様ら何をした。」
鷺宮たちを白状させ何が起きていたか把握した鮫洲は、静かにだが確かに怒っている口調で言った。
「馬鹿な真似をしたものだ。いいか、我らの作戦に失敗は許されない。
例えどんな下らない仕事でも完璧にこなすという気概を持て。そうでなければ貴様らを罷免させる。」
「中尉お話は分かりましたが、一つ解せない事があります。」
「何だ?」
鷺宮は質問する。
「ヤツはまるで我らのやったことを全て分かっているようでした。あの部屋から一歩も出ていないのにどうして…。」
「ヤツは見ていたのだ。部屋から一歩も動かずにな。」
「どういうことですか?」
「兼ねて未然を知ろしめす、兼ねて未だ然らざるを知ろしめす。兼知未然。つまりヤツは未来を見通す。」
「そんなまさか…。」
鷺宮の顔が真っ青になる。
「いいか今一度言う。我らが相手にしているものは常識を超えた超常の存在だ。けして気を抜くな。
その気なれば我らを皆殺しにするなど容易い。それを肝に銘じろ。」
それだけ言うと鮫洲は一瞥もせず廊下を歩いていった。
湯気が立った湯飲みを眺めつつ聖徳太子は一人会議室で思案に耽っていた。
補佐といい付けられた憲兵は大方、自分への監視だろうということは察しがついてた。
一体自分に何を嗅ぎまわれたくないのか今の所見当もつかない。
「面倒ですね…。」
聖徳太子の心の底からの言葉である。
ただでさえ21騎のサーヴァントのによる規格外の聖杯戦争である。
その上軍部、いやこの国自体にもどうやら秘密があるようだ。
ただ聖杯戦争の運営だけすれば良いというわけにもいかないないようだ。
「まったく無茶ばかり言いますよね。私、仕事したくないタイプなんですけどね。」
心底めんどくさそうな表情で太子は独り言を言う。
当面の方針は情報収集に徹っし、相手の出方を待つ。それでいこう。
考えが纏まったところで太子は湯飲みを手に取り、熱いお茶を啜った。