式神――それは高い妖力を保有し、得意な属性を操り主人をサポートする存在。
さくらみこの式神である金時は雷属性だ。
【鏡桜・影分身】による桜影状態では主人の写し身――式神の力も主人へ写すため、さくらみこも金時の妖術を行使出来る。
事実上の戦力二倍。奥の手とも言える術だ。
「「――――
みこと金時が放った二つの極雷が洗脳いろはを挟み込む。
「みこ! ぶちかませ!」
「いっくでぇぇぇぇ!!!」
直後に金時が発生させた稲妻がみこに纏っていく。
(おれさまの妖力とみこの霊力……この二つがおれ達のエネルギー合計値っ! おれもみこも互いの力を借りることは出来るが、他者の力は出力を見誤ってごっそり持ってかれちまう! それは主人と式神の関係でも防げない、絶対不変のルールだ)
(でも、みこ達の力を合わせないといろはには勝てないにぇ。だから――――!)
(おれの力はおれが使う!)
(みこの力はみこが使う!)
互いに互いを支え合う、サポート交代制。
妖力と霊力のハイブリッドエンジンで、邪気
「妖力加算、【
「かける霊力ッ! ひゃくにじゅうぱーせんと! 【巫女式・猫霆】ッ!!!」
さらに、いろはの逃げ場を無くすために放った極雷を
加えて金時が
「式神製の
クリーンヒット。
いろはの体は吹き飛び、桜の木に衝突した。
「や、やった! 意外と動かないのかな」
「風速が光速に勝てるかよ!」
雷による加速は、風に勝る。
「
「おうよ! 任しとけ!」
再び、同じ動作を繰り返す。
極雷でレールを作り、磁界を発生させて加速。
その手に雷を宿して放つ、
刹那――いや、刹那という表現では到底追いつけない、神速。
最終加速値へ達した瞬間に雷が渦を巻き、突き出したみこの拳がいろはに刺さった。
その轟音が響き渡れば木々がざわめき、圧倒的なまでの熱量がいろはを焼き焦がす。
――――はずだった。
「…………ゴフッ……ぁぇ?」
「――みこッ!?」
倒れたのは、みこの方だ。
金時は瞬時に雷纏いによる加速を行い、みこを回収していろはの追撃から逃れる。
神社の瓦が砕けるほど強く着地し、荒い呼吸の中で何度もみこの名前を叫んだ。
(よ、良かった。致命傷ではなさそうだ……! これくらいの傷ならみこの霊力で治る!)
傷の原因は妖力が足りないことによる、身体の保護不足。
人が電磁加速するなど元々無理はあったが、妖力による火力や防御力の保護があれば話は別だ。
しかし……。
(なんだ、今の一瞬で何が起きたんだ!? 痺れてないし……いやそこじゃない。おれが、自分の出力を見誤ったのか? いや、そんなことはない……そんなことは、有り得ないッ! 確かに足りていたはずだ。それに、火力強化より防御強化に妖力を回してたんだぞ!!)
そう、敵を打ちのめすなら存分に雷を喰らわせていたが、今の敵は、敵に操られているだけの仲間。手加減していたのだ。
だが、手加減した反動にしては大きすぎる。
「お前……一体何をした!」
「…………」
「お前に言ってんだよ。いろはじゃねぇ……いろはン中に居座ってやがるお前に! おれさまは聞いてるんだッ!」
感情を剥き出しに、金時はいろはの中に居るそいつを睨み付ける。
「……なんだ、気付いていたのか」
いろはの瞳の色が変わる。まるでこの世で最も美しい景色を見ているかのような気分に駆られるほど、神秘的なまでの黄金の瞳。
しかし、その奥には底知れぬ闇を抱えているような、不敵な笑みだった。
「っ、出やがったな……人の体を使って、本体は高みの見物か? いいご身分だな」
「上に立つ者は、部下を上手く使わないとな」
「……駒にしてるだけだろ」
「いいや……私の部下だよ。可愛いだろう? もう一人の私が育てた自慢の部下だ」
「……! そうか、そうかよ……読めたぜ。お前、つい数ヶ月前に出てきた奴だろ? 地下からよ、でっけぇ力を感じ取ってたんだ」
「くふっ、ふふ……あっははははっ! 今の私をその頃の私と比べないでくれよ。もう私は、
刹那、刃が空気を斬る。
一刻、無音が広がった。
その、次の瞬間――――神社が崩れた。
「あぁっ!? そこまで斬れ味が……!?」
未だ昏睡状態のみこを庇うように瓦礫に埋もれた金時は、すぐに雷で瓦礫を砕き、吹き飛ばす。
「違う……? なんだこれ……木が……神社の柱が
それに気付くと、ヒビ割れていた鳥居もバラバラに砕け散った。
それだけじゃない。電脳であるが故に、永遠に咲き誇っているはずの桜の木が全て、枯れ果てている。
正確に言えば花を描写出来ていないのか、割れたモニター画面のように虹色のグリッチで枝が乱れていた。
「ひとつ教えてやろう。私が風真いろはに与えた力は〝
「なんだと……? そんなの、やってみなきゃ分からないだろ!」
「いいや判る。残念ながら決定事象なんだよ。既に未来は確定した。私が居るからだ」
そう、全ては決まっている。だからこその余裕。
沙花叉クロヱが洗脳を解くことも当然の未来。
判り切っているが故に、動じることはない。
「お前は、何者なんだ……っ!」
「何者か、だと? くはは、全く……
いろはの体を借りたソレは、口の端を吊り上げた。
「――そこに跪け、迷い仔よ。私こそが
それはたった独りの名乗り口上。
彼女は、星の未来を統べる