音楽チートで世に絶望していたTS少女がSIDEROSの強火追っかけになる話 作:鐘楼
「優菜先輩、買い出し付き合ってくれてありがとね〜」
「全然いいよ、これくらい……これ、お菓子の材料だよね?」
「ケーキを作るんだ〜、あ!優菜先輩も一緒にやりませんか?」
私、本城楓子は一つ上の先輩である池揉優菜先輩と、趣味のお菓子の材料を買いに来ていた。
ダメもとで誘ってみたけど、先輩は案外あっさりと快諾してくれた。なぜ先輩を誘ったのかと言えば、彼女に興味があったから。
優しくて、でも抜けていて。音楽に限ってだけど、物知りで……どこか影があって。その美貌も合わさってまるで少女漫画から出てきた人みたいなのだ。本人にそんな自覚が全くなさそうなのも、その神秘性に拍車をかける。
「私で良いの?あくびちゃんとか……」
「はーちゃんはねー……食べる方なら付き合ってくれるんだけどね〜」
そんなこんなで、家に先輩を招き、早速ケーキ作りを始める。薄力粉に、卵に、砂糖に……と調理を始めたのだが。
「えっと……えと……」
「あー!違いますよ先輩!」
優菜先輩は、かなりのポンコツだったのだ。最初はそれで苦労したが、気質は真面目なようでだんだんとレシピ通りにはできるようになり……やがて、まさに自家製!といった感じのケーキが完成した。
「ふふ、優菜先輩って〜、苦手なことあるんですね〜」
「その……ごめん、上手くできなくて……」
しゅん、と申し訳なさそうに俯く優菜先輩。確かに一人で作るよりもケーキの出来は落ちてしまったかもしれないけど、先輩の一面が見れて私は満足していた。
「ねぇ先輩〜、先輩のこと、ゆーちゃん先輩って呼んでもいいですか〜?」
「え……私のことはなんて呼んでくれてもいいけど……」
「じゃあ、私のこともふーちゃん、って呼んでください!」
「!……」
親しみを込めて呼んでほしい、と私のそんなお願いに、顔をほんのり赤く染める先輩。
「……ふ、ふーちゃん……どう、かな?」
「♪……ゆーちゃんせんぱーい!」
それから、先輩と二人で食べたケーキの味は、私の大切な思い出になった。
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「せんぱぁ〜い、お一人ですかぁ?」
「あ、うん。おつかれ、幽々ちゃん」
「も〜、幽々でいいですってぇ」
池揉優菜先輩。幽々にもよくしてくれる貴重な人で……とんでもないのが憑いた不思議な人。
「じゃ、じゃあ幽々。これ差し入れ、貧血なんでしょ?」
そう言って、先輩が差し出したのは、処女の生き血こと……幽々お気に入りの鉄分サプリ。いつもなら常備しているが、ちょうど切らしていたものだった。
「お〜、気が利きますねぇ……」
ちらり、と優菜先輩のことを見る。ふと、湧いた疑問が口をついた。
「優菜先輩ってぇ〜、幽々のこと不気味に思ったりしないんですかぁ〜?」
「え?……個人的にね、幽々の魔力っていうの……信じてもいいかなっていう体験があって……もっと知ってみたいっていうか」
「あ〜」
ちらり、と今度は優菜先輩に憑いたソレのことを見る。見たところこれは善いものなので幽々の趣味じゃないが、これだけ強ければ何か体験していてもおかしくない。
「それに……その、サタン様?もそうだけど、幽々のこともっと知りたいし、気味悪がってる場合じゃないからさ」
「っ……」
そう、なんの他意もなく言ってのける優菜先輩。
「……良いんですか〜?先輩みたいな人がサタン様に近づくと痛い目に遭うかもしれませんよぉ〜?それに、先輩にはもう……」
「……え?やっぱり、私何か憑いてるのかな?」
「……無自覚に変なことを言う悪い先輩には教えてあげませ〜ん」
そんな捨て台詞を吐きながら、幽々は……頬の朱色を見せないように、そのまま席を立った。
まぁぼざろで一番“ある”のはあくび×楓子だからな……
それとざっと読み返すと幽々が「ヨヨコ先輩」と呼んでいるシーンを見つけられなかったので年齢がわかりませんがここでは後輩ということで