気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ 、戦闘開始する。

「よぉ……待たせたなぁ」

 

 戦場に着いてからなんとなく格好つけたものの、皆の様子を見てやらなきゃよかったと思った。

 

 だって。

 

「チクショウ!」

「そ……そんな」

「なんでこんな時に!」

 

 ピッコロとクリリンは悔しがり、悟飯は怯える。

 ……いや、ね。俺も一応仲間な訳で。

 ま、言っても信じないと思うが。

 

 一方、サイヤ人側はと言うと。

 

「のたれ死んでればよかったものを」

「へ!殺されに来たか?」

 

 さて……俺、これからどうしよう。

 とりあえず、ベジータたちに謝罪するか?と色々考えていると、ベジータが俺に話しかけてくる。

 

「まぁ、いい。……何故星の掃除をしなかったかは後で聞くとして……多少は強くなったらしいな」

「おい、どうしたんだベジータ早くこの野郎を」

「待てと言っている」

「だが」

 

 未だ、ナッパはベジータに反論する。ベジータはチッと舌打ちをすると話し始める。

 

「戦闘力が僅か一年で倍近くに上がった。…まぁ、スカウターの故障かもしれんがな……」

 

 何故ベジータは俺を庇うようなことを。

 俺を殺すとばかり思っていたが。

 

 だめだ。話の展開が読めない。

 殺すのか?生かすのか?

 

「僅か一年で今まで上がることのなかった戦闘力が倍になった……。それが本当ならこいつの利用価値がまだある。なんだ?俺に反論する気か?」

「いや……すまなかった」

 

 ナッパ。

 お前どれだけベジータ怖いんだよ。

 

「このゴミどもを一人で片付けろ」

 

 なるほど。

 そう来たか。ここで頷けば俺はベジータの許しを得られる。

 

 だが……。

 

「ベジータ」

「……なんだ?」

 

 俺は悟飯たちのいる方向に歩く。気を上げる。

 

「ここ、地球の人間は自在に戦闘力を操れる。このようにな」

「……ほう。…戦闘力が……3200……3500……4000………4100……なるほどなぁ」

「な!……4100だと!あの弱虫ラディッツが!やっぱり壊れてんだ」

 

 確かナッパの戦闘力4000だったっけな。

 一応4000程度まで気を上げてみたが、残念ながらこれで八割……ナッパを超えたってことか。

 本気の戦闘力は5000ちょっとってところか。まぁ、これで相手の気を感じること、比べることの感度は間違ってないことがわかった。

 

 

「……どうするピッコロ」

「……覚悟を決めるしかないだろ」

「……お……お、父さん」

 

 あーあ。どうやら悟飯たちは怯えてしまっているらしい。

 ここで気にしたら負けだな。

 

「そしてもう一つ。10ヶ月程度、この星で過ごしてわかったんだがな。俺はどうやら……」

 

 俺はその場で立ち止まり、片手に気を溜める。

 そして。

 

「この星がどうも居心地がいいらしい」

 

 俺は振り返り雷の形状のエネルギー弾、サタデークラッシュを放ち、ベジータとナッパがいた場所は爆発した。

 この一撃は区切り。

 ベジータたちとの対立を意味する。

 そんなに威力は込めていない。

 

「……な!……一体どうなって!」

「え?!」

「……」

 

 クリリン、悟飯は驚き、ピッコロは黙って俺の様子を窺っている。

 目の前で起こっていることに整理がついていってないんだ。

 爆風はすぐに収まった。

 

「殺す……殺してやる!ベジータ、俺にやらせてくれ!」

「チッ!……ここまで愚かだとはな……好きにしろ」

 

 ナッパとベジータは苛立っていた。

 さて、敵対の意志は示した。

 

「お前たちは下がってろ」

 

 俺が味方だと理解させるにはまずは一人サイヤ人を倒すのが手っ取り早い。

 

 ベジータは静観するらしく、相手はナッパただ一人。

 

 初陣だ。

 

 さぁ、ここからが正念場だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

「お前たちは下がってろ」

 

 クリリン、ピッコロ、悟飯の3人は目の前で起こっていることが理解できていなかった。

 それは突然すぎた。

 

 去年敵であったラディッツが何故か仲間であるはずのサイヤ人たちと対立し、戦闘を開始した。

 

 そして、目の前で起きている戦闘を茫然と見ていた。

 

 

「も……もしかしてあの人……僕達の味方なのかな?」

「そんなはずあるか。あいつは非道なやつだ。……だが、分からん。何故」

 

 それは疑問。

 去年ラディッツが行ったことと今なぜ地球のために戦っているのかがわからない。

 

「まぁ、なんにせよ、同族で潰しあってくれるとは好都合だ」

 

 ピッコロは片方が勝手に死んでくれるのなら願ってもないのだ。

 願わくば相打ちをしてくれれば。

 

 そう願うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「おおおお!」」

 

 ナッパとの戦い。

 それはお互いの雄叫びからは始まった。

 

 ナッパは右からの拳打。

 俺はそれにたいし左腕に気を溜め、正面から受け、右の拳打をナッパの顎めがけて攻撃。

 

「うらぁ!」

「く!」

 

 俺の拳打を当てることが出来たが、受けた衝撃を受けきることが出来ず後ろへ退く。

 

「はぁ!」

 

 体勢が崩れていたこともあり、俺は迎撃のためエネルギー弾を二発放つ。

 

ドカン!

 

 エネルギー弾は直撃したが、効き目はなく。

 

「おらおらおら!どうした!その程度か?」

 

 ナッパはすぐに距離を詰め、拳と蹴りの高速の連撃がくる。俺はナッパの攻撃を直接受け止めることはせず、避けるか捌くを繰り返す。

 荒削りなナッパの攻撃の動きは読みやすい。

 

 攻撃をするタイミングで隙ができる。

 

 多分あまり考えて戦闘をしてない。向かってくる敵を正面から叩き伏せる。受け止める。

 自分の本能やセンスに任せている。

 

 だが、だからこそ脅威だ。その単調な攻めはまさに剛。一発の攻撃が重く、戦闘力が同じだが、気を左腕に溜めたのに受け切ることができなかった。

 

 一発もらったら終わる。

 細心の注意を払う。

 だが、防戦一方では勝つことはできない。今の少しのやりとりで狙うところはわかった。

 

「おらおらおらおらおら!」

 

 狙いは攻撃と攻撃の一瞬の隙。

 俺は隙を突いて後ろにバク転して手を地面につけ、ナッパの顎に蹴りをかます。

 

「おりゃ!」

「ぐわぁぁ!」

 

 ナッパは後ろに退き、倒れる。

 

 その隙に距離を空けて間合いをとり、エネルギー弾を再び放ち迎撃する。

 

ドカーン!

 

 こいつもまともに当たった。

 

「ふぅ…ふぅ…ふぅ……」

 

 俺は呼吸を整え様子を窺う。

 今ので動けなくなれば良いのだが……。

 

「ふはははは。今のは効いたぜ?……少し痒いなぁ?」

「………チッ!」

 

 こいつ、化け物かよ。顎にクリーンヒットしたのになんで平気でいられるんたよ。

 脳を揺らすことが目的だったのだが……少し厄介だな。

 

 ケロッとしてるとはアイツはタフすぎる。

 

 少し戦闘力が上回っていたから、行けると思ったが……。

 こいつは戦闘力以上の攻撃力に持ち前の耐久力。

 

 しょうがない。

 出し惜しみはしていられない。この期間で身につけた技のお披露目と行こう。

 

 修行の成果を見せてやるよ。

  

 

 

 




補足。

ラディッツはどちらにも歓迎されていない。
ベジータたちはクリリンたちからラディッツのことは聞いていた。

ラディッツの戦闘力は5000程度。気を読み取る感度が正しいか不安だったからこのような行動に。
慎重な性格だからこそ不安要素は消しておきたかった。

ベジータはラディッツの戦闘力が上がったことに疑問を持つも、クリリンたちは戦闘力を変化させる、気を読み取れる能力があると知っている。

利用価値を見出せたため、以前のラディッツよりも強い地球の人たちを相手させ、確かめようとした。


ピッコロは去年戦った時と違いすぎて戸惑っている。

最後の一言、完全にノリ。

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