気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ 、圧倒される。

「はははは!どうしたその程度か?」

「おりゃりゃりゃりゃ!」

「ふん!」

「うぁ!」

 

 

 ベジータと戦闘が始まり数分が経過した。

 だが、完全に遊ばれている。

 出来るだけ得意の地上での戦いをする様にしているが、それでも全く歯が立たない。

 

 攻撃は全て捌かれ、容易に攻撃を食らわせられる。

 

 くそ!ベジータどんだけ強いんだよ。

 ベジータとの力の差は開きすぎている。それを認識させるかの如く、天と地程の実力がある。

 攻撃を食らった瞬間エネルギー弾を飛ばし、背後にある岩山にぶつかる。

 

「ぐふ!……くらえぇぇ!」

 

ドカン!

 

 俺のエネルギー弾はベジータに直撃した。

 だが、全く効いていない。

 

「さっきナッパにした技はどうした?使わんのか?」

 

 ベジータは歩いて近づいてくる。

 さっきの技……正拳突きか。いや、あれなんで使えたのか分からないんです。

 だが、そう素直に言っても信じてくれなさそうだ。

 

「…ケホ…ケホ……使い勝手の悪い技でね」

「ほう……そんな技にナッパはやられたのか……間抜けとしか言えないな」

 

 絶望感を与えさせ、ゆっくり苦しめ殺す。

 

 ……それがこれか。

 完全に心を折りにきてやがる。

 

 ……どうするか。

 

「はぁ……サタデークラッシュ!」

「効かん!」

 

 会話の最中エネルギー砲を放つ。

 しかし、それは簡単に別方向へ飛ばされる。もう気がどんどん少なくなっているせいか、それほど威力は出せない。

 それに気を溜めて撃てば強い攻撃を繰り出せるが、それをするとベジータに物理的に潰される。

 ……どうすれば。

 

「……どうした?ナッパに使っていた技は他にもあっただろう?……ほら、やってみろ。もしかしたら俺に一撃くらい与えられるかも知れないぞ?」

「……くそ!」

 

 何か……何かないか。

 やつに隙を与える方法は……あれ?

 

 2つ……どんどん気が上がっている?ピッコロたちが少し離れた位置にいるのは知っていたが。

 ……まさか援護をしようとしているのか?

 

 それと……大きな気がこっちに向かってきている。

 ……ああ。あと少し。

 あと少しで悟空がくる。

 もしかしてピッコロたちは悟空が来ることを察してこのような行動に出ているのか。

 

 あと少しで悟空が来るから時間を稼ぐために。

 

 そうだ。この時のベジータは気を探れない。

 スカウターも戦闘の邪魔になると思い外している。

 ベジータはピッコロたちが何をしているかはわからない。

 

 だから、隠れた位置で気をためる大技を繰り出そうと準備し、隙を窺っているのかも知れない。

 だが、なかなか隙ができないのか。

 

 ……なら。俺がすることは。

 

「ほう。……次は何をするんだ?」

「サーズディレイ!」

 

 俺は周囲にサーズディレイを作れるだけ……俺がベジータに最後の一撃だけ技を放てるだけの気を残して俺の周囲にエネルギー弾を放つ。

 

「それは爆発するやつ……だったな。……舐めてるのか?……これだから弱虫ラディッツと言われるんだ。焦って戦い方が単純になってるぞ?……はぁぁ!」

 

 ベジータは周囲に気を放ちエネルギー弾を破壊、周囲は爆散し煙で視界が塞がる。

 

 それと同時に俺は次の技の準備にかかる。

 

「ほう、今度はなんだ?初めてみるやつだな?……まぁ、なにもさせる気は……?!」

 

 話している途中で何かの異変に気がつく。

 

 気を探れない奴ならば視界が塞がれば打つのに抵抗感があるだろう。

 だが、Z戦士たちは違う。

 気を読み……目だけではなく体の感覚で感じ取る。それを当たり前でやっているがサイヤ人にはできない。

 

 ベジータが気を探れていれば多少違ったが、今だからこそ出来る奇襲攻撃。

 

「気円斬!」

「魔貫光殺砲!」

「なに!」

 

 クリリン、ピッコロは自分の技で最も強力な技を放つ。突然の攻撃にベジータは焦る。

 貯めるのに時間がかかる、相手を切断する気円斬に、気を一点集中させ貫通力にすぐれている魔貫光殺砲。

 

 これが当たれば良いのだが……。

 

「小癪な!」

 

 ベジータは上空に跳躍して避けた。

 ……マジかよ。完全に死角からだろ。

 

 だが、これでいい。その一瞬の先は致命的だ。

 よくやったよピッコロ、クリリン。

 これで技の準備は整った。

 

「くらえ!……チューズデサルト!」

 

 俺は全身にエネルギー弾の気を纏い、右肩部分に気をため、全力でベジータに特攻する。

 チューズデサルトは全身特攻技。全ての防御を捨て本気で捨て身タックルをする。

 特攻することに全てをかけるので、今ある技の中では最速で最強。

 

 また、他の技のようにためる時間があまりかからない。

 

 技の効果は絶大だ。

 

「くたばれー!」

「なに!ぐあ!」

 

 全力のスピードに技の威力が上乗せされる。流石のベジータも避けきれないようだ。

 だが、この技はこれだけでは終わらない。

 

 エネルギー弾を体に纏っている。

 特攻でぶつかり、俺が纏っていたエネルギー弾はそのままベジータにまとわりつき。

 

 そして。

 

「はぁ!」

 

 俺はそのエネルギー弾を爆発させる。

 二重に仕掛けられた二段攻撃。これは流石のベジータにも効果があるだろう。

 

 ベジータは背後に飛ばされ、岩山にぶつかる。

 ただぶつかるだけではなく、複数の岩山を貫通していた。

 

「へっ、ざまぁみろ」

 

 つい、その言葉が出てしまう。

 今の一撃が初めて与えた攻撃。

 ……今のは多少は堪えたろう。

 

 だが、今の一撃で気を使い果たした。

 

 クリリンもピッコロも気をかなり消費したらしく、二人は肩で息をしている。

 

 これで倒れてくれていたらよかったのだが……。

 

「ペッ!……今のは効いたぜ」

 

 ベジータは何もなかったかのように歩いてくる。

 多少ダメージはあるはずだ。

 

 戦闘には支障のない、些細なダメージ。

 

 ベジータは立っている俺に高速で接近して。

 

「ぐは!」

「今のは仕返しだ。……どうだ?痛いだろ?」

 

 俺は腹の痛みに耐えられなくなり、その場に蹲る。

 

「……ちく……しょう」

「さっきので力を全て使い切ったようだな?」

 

 ベジータは倒れる俺を見下ろし話す。

 

「ふん!」

「ぐぁ!」

 

 ベジータは俺を蹴り飛ばす。

 ……痛い。

 もう体に力が入らない。

 

「さて……無様だなぁラディッツ。ま、当然だな。サイヤ人の誇りを貶した汚点だからなぁ」

 

 ベジータは俺に近づいてくる。

 ……何する気だよ。

 

「さて……この!」

「ぐぁぁぁぁ!」

 

 いてぇぇぇぇぇぇ!

 こいつ俺の右腕踏み潰しやがった!

 

「さて……次は足か?ほらよ!」

「ぐぁぁぁぁぁ!」

 

 次は右足か。

 だめだ。痛覚が麻痺して痛み感じねぇわ。

 

 でも、ここで気を失うわけには。

 俺死ぬかもな。

 ……あ、そうだ。そういえば一つベジータは勘違いしていたんだった。

 俺の尻尾についてを。死ぬ前にこれだけは訂正しておこう。

 

「……一つ……誤解していることがある。少しくらい話……聞いてくれねぇか?」

「なんだ?藪から棒に……な!」

「ぐぁぁぁぁあ!」

 

 次は左腕を踏み潰されたか。

 

「それでなんだ?」

 

 つまり、話すには四肢一本ってか。笑えない冗談だ。

 

「……俺の尻尾な……地球人に斬られたんじゃない。……自分で抜いたんだ」

「……なんだと?」

 

 あれ、次は左足かと思ったが。

 視界がぼやけてうまく見えないが、興味を示してくれたらしい。

 

 だが、どこか聞き返してきた時怒っていたな。

 

「大猿化すると……俺は理性がなくなる。……はぁ……はぁ。…だが、それで力は手に入っても大切なものを奪うだけだ。……そんな力じゃ何も守れない……何も得られない」

 

 まさか全て話させてくれるとは思わなかった。

 

「だから尻尾を抜いた……と?」

「ああ」

 

 なんだ?

 

「貴様は……どれだけ……どれだけサイヤ人の誇りを貶しやがるんだ」

 

 ベジータの声は震えていた。

 ああ、ここまで怒っているのは記憶ではないな。

 

「もういい!……消えろぉぉぉ!」

 

 ………終わったな俺の人生。

 ベジータはその場で気を溜め、そして俺に放とうとする。

 

 俺の人生……いっぺんの悔いなし。

 

 

 

 

「やめろぉぉぉぉ!」

「よせ悟飯!」

「ぐわ!」

 

 それは突然だった。

 俺への攻撃は放たれることはなかった。

 

 ベジータは何者かに攻撃された。

 

 その正体は怒り狂う悟飯の一撃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足説明。
ベジータは時間をかけて苦しめるため、時間をかけて戦った。

ベジータはスカウターを付けていないので悟空がすることはわからないでいる。

クリリンとピッコロは悟空の気を感じたので、奇襲で少しでも時間を稼ぐため、ダメージを与えるため攻撃をした。

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