気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ 、決死の覚悟を決める

 俺は無力だ。

 クリリンに連れてきてもらったが、遠くにいるだけ。

 

 クリリンと悟飯は尻尾を斬るために行動を開始したが……もしも失敗をしてしまったら……。

 

 戦闘力が十倍になったベジータに3人では無理だろう。

 

「……あれ?」

 

 あれは……ベジータが作ったパワーボールか?

 ……あれを破壊できれば。

 残り少ない気だが……できることをしよう。

 

「く……」

 

 俺は痛む体を無理に動かしパワーボールの方へと向く。

 気を溜め、エネルギー砲を放つ準備をする。

 手は使えないから……口から放つ。

 

 ……初めての試みだが……やるしかない。要領は同じ。

 

 俺は口を開き……溜めた気を放とうとする……が。

 

ドクン……。

 

「な……んだ」

 

 突然心臓の鼓動が大きくなる。

 

ドクン…ドクン…ドクン。

 

 あ……れ?

 体が……変化していく……何で。

 

「は?」

 

 俺の尻の辺りから変な違和感が……。

 

「な……ん…で」

 

 尻尾は一年ほど前に抜いたはず。

 何でこのタイミングで再生するんだよ。

 

「……クソッタレ……ぐ……う……うお」

 

 どんどん体が大きくなっていく。固定していたツルは千切れ、巨大化する。……どうする?どうにか尻尾を切りたいが切れない。

 

 不幸にも左足以外は動かない。

 

 もう……だめだ。体の巨大化が終わる。

 理性が……なくなって………あれ?

 

 何でだ?体が大きくなったはずなのに理性が残ってる?

 

 ……だがこれは好都合かもしれない。

 身体中痛いが、気は上がった。

 

 俺は唯一無事の左足と再生したばかりの尻尾を使い、立ち上がる。

 

 気を溜めてチューズデサルトの準備をし、大猿化したベジータに特攻する。

 高速で移動するにはこの技が優れている。

 狙うは尻尾。

 俺に何かを斬る手段は持っていない。

 

 だが、大きくなったことで噛みちぎることはできる。

 

「ぐあああああ!」

 

 俺は雄叫びをあげベジータに接近。ぶつかる寸前にチューズデサルトを解除する。

 

「なに!」

 

 ベジータは驚きの声をあげるが構わず接近する。

 

ドスン!

「ぐは!」

 

 ベジータに技がぶつかり密着し抱きつき、尻尾に噛み付く。

 

「よ…よせ!」

「あああああ!」

 

 俺は暴れるベジータから離れないようにしっかりと抱きつくとそのまま尻尾を噛みちぎった。

 

「ち……畜生」

「よし!」

 

 ベジータは悔しがり、体がどんどん小さくなり俺は地面に転がる。近くにいたクリリンは喜びの声をあげた。

 

 よし……このままベジータにダメージを与えて瀕死に……地球から追い出せれば。

 

「な……なんだ」

 

 だが、残念ながらそれは長くは続かない。理由はわからない。地面に転がった時、頭を強打したがそれが原因か?それとも理性を保つのに限界があるのか?

 

「ぐ……」

 

 だめだ。

 気を抜けば理性が吹っ飛ぶ。

 このままじゃまずいな……ならせめて。

 

「はあああああ」

 

 俺は上空に浮かぶパワーボールに向けてエネルギー砲を放つ。

 

ドカーン!

 

 パワーボールは爆発した。

 ……これで大猿化は解除される。

 体が徐々に小さくなって行くのを確認し、安心する。

 

「貴様!まさか理性が残って……くそ!余計なことを」

「いいぞラディッツ!」

「やったぁ!」

 

 ベジータは苛立ち俺を睨んできて、クリリンと悟飯は歓喜した。

 

 俺は尻尾を使い左足で立ち上がる。

 まぁ、何もできないが。

 

「悟飯!クリリン!ベジータは力が落ちている!」

「「おう(はい)!」」

 

 クリリンと悟飯は俺の指示を聞くなり戦闘体勢に入る。

 

「舐めるな!」

「ぐは!」

 

 ベジータは怒りをあらわにすると俺を殴り後方へ飛ばされ大岩に激突する。

 

 ……痛い。

 

 痛みで気を失いそうになるもなんとか堪え、再び立ち上がる。

 尻尾は邪魔だと考えていたが、思いの外便利だ。今度から大切にしよう。

 そう心に誓う。

 

「あとは……頼むぞ」

 

 俺の役目はこれまでだ。

 

 だが……まだ気を失えない。

 この戦いが終結するまでは。

 

 俺は空を飛びゆっくりと戦場へと戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が戻ると悟飯がベジータと戦い、クリリンが二人の戦いを窺いながら右手から小さな球体を浮かべていた。

 

「あ……あれは……元気玉か?」

 

 あれが直撃すればベジータに勝てる。

 

「だれだ!」

 

 ふと、クリリンは一人ごとを言う。おそらく今界王がクリリンの心に話しかけている。

 元気玉について教えているのだろう。

 

 ……元気玉は悪の気を感じて放つ。そのことを教えている。

 

 チャンスは一度。 

 外せば希望はなくなる。

 

「はぁ……はぁ……ふぅぅ」

 

 俺は戦況を整理する。

 今、クリリンは元気玉を放つ機会を探っている。

 悟飯はベジータと戦っている。だが、追い詰められ、やられる寸前。

 

 ……俺ができることはベジータの注意を引きつけ元気玉を確実に当てること。

 

「最後だ……全てを絞り出せ」

 

 少しでも注意を引きつけることができる技はこれしかない。

 

「はぁぁぁぁ」

 

 俺は気を絞り出す。ベジータが知っていて、少しでも注意をひける技。

 

 チューズデサルト。ベジータに二度も直撃させた技。

 これなら少しは意識するだろう。

 

「く……くく……あと少し……これで技が放てる」

 

 後はクリリンが放つ寸前に大声を上げるなりして注意を引きつけるだけ。

 

「はははは!どうした!」

「わわわ!」

 

 だが、それまで悟飯が持つか?

 今、ベジータはエネルギー弾を悟飯に放ち遊んでいる。

 ……このままクリリンが間に合わなかったら?

 

 今ベジータは完全に俺のことを意識していない。

 そういえば物語ならベジータは元気玉が直撃してもやられてなかった。

 

 俺は……俺はどこまで甘いんだ。

 まだできることがある。少しでもダメージを与えて隙をつくる。

 体が壊れるかもと……これ以上は無理はするべきじゃないと思っていたのかもしれない。

 

「行くぞ」

 

 俺はそのままエネルギー弾を放ち続けるベジータに向かい正真正銘、最後の特攻を繰り出す。

 

「くらぇぇぇ!」

「なに?!」

 

 思わぬところからの一撃。威力は弱い。だがこの攻撃に確かな手応えを覚える。

 

ドカーン!

 

 ベジータは俺の特攻で飛ばされ、チューズデサルトの付属効果のエネルギーで爆発した。

 

 あ……もうだめだ。

 

 意識が保てない。

 

「とらえた!くらえぇぇぇ!」

 

 最後にクリリンが元気玉を放つのを確認し意識を失った。

 




補足説明。

ラディッツの尻尾が再生した件について。
本人も驚き。
突然再生した。

大猿化して理性が保てた理由。
ラディッツの心と憑依者の心が一つになったのが影響で理性が保てるようになった。
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