気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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以前投稿していた19話と20話を消去して、一話にまとめただけです。
すでに読んだ方は読み飛ばしてください。

これから投稿するにあたって詳しいことは活動報告にて。


今回の投稿はフリーザ編投稿のお知らせも兼ねています。
投稿開始は本日11時予定。



ラディッツ、いざ宇宙へ

 ブルマとの会話から一週間後、怪我の治療が終わったクリリンと悟飯の二人にブルマを合わせた3人はナメック星に向けて出発した。

 

 どうやら大昔、神様が地球に来た時に使った宇宙船を改造して向かったそうだ。これはブルマから聞いた話だが、今ブルマの父……ブリーフ博士が遅れていく俺と悟空の乗る宇宙船を作っているそうだ。

 この地球に残っていた宇宙船は2つ。

 1つは俺の乗ってきたやつ、もう一つは幼少期悟空が乗ってきたもの。

 俺のやつは壊れてしまったが、悟空のは無事。それを改造してくれているそうだ。もちろん修行のための重力装置も設置して。

 

 俺はフリーザの存在を伏せた。

 微妙に流れが変わっている可能性があるからだ。クリリンたちがナメック星についた後報告を受け、物語と同じ流れになっているかを確かめるためだ。

 

 全て順調に進んでいるので一先ず俺は療養に専念した。だが、悟空は少し動けるようになった後、病室で腹筋をしたり、病院を抜け出し修行に向かってしまった。初めの頃はイメージトレーニングをお互いにしていたが、悟空はこのトレーニングに向いていなかったようで数日で終わってしまったので俺一人で戦闘のシミュレーションをしていた。

 本当にあのバカは。

 安静にしていたこともあり、入院後二週間で完治し、退院することになった。医者たちは驚いていたが、俺が一番驚いていただろう。

 本当にサイヤ人の体はすごいと再認識した。

 したのだが……。

 

「悟空さ!少しはお義兄さを見習うだ!」

「にいちゃんずりぃぞ!」

「安静にしてないお前が悪いだろ!……チチ……弟がすまない」

「お義兄さが謝ることないべ!全て悟空さの自業自得だ!」

 

 こんなやりとりを続ける孫夫妻。

 俺は何を見せつけられているのやら。

 

 そんな二人を見て羨ましいと思うも、まだまだ悟空とチチのやりとりは続くと思いその場を後にした。

 

 仙豆ができるまで後一週間ほど。

 カリン様も一月で新しい仙豆ができると言っていた。ブルマたち3人のナメック星到着もそのくらい。

 後は連絡が来るのを待つだけだ。

 

 方針を改め、用意してもらった服に着替え病院を出た。

 着ている服は黒いパンツに白色の無地の半袖シャツ。これは俺がお願いしたものだ。他人にお任せで頼むのが怖かった。

 ベジータもフリーザ編終了後地球にいた時ダサイ服を着ていたからだ。

 

 話は逸れたが、この服を着たのはこれから向かうところがあるからだ。向かう先はオレンジシティの病院。

 

 ブルマの配慮により、ライムの入院費は全てカプセルコーポレーションが持ってくれた。

 今チャズケ村のラオたち3人はオレンジシティのホテルにいるらしく、ライムが完治するまでいるらしい。

 ライムは完治しているが、元気が戻っておらず、大事をとって入院しているとか。

 大丈夫だろうか?

 俺は心配になるも、空を飛び移動した。

 移動には一時間もかからずに着いた。

 

 俺は病院に着くと手続きし病室へ向かう。

 

 ……元気にやっているだろうか?元気がないと言っていたが。

 

「失礼する」

 

 俺はライムの名前が書かれている病室へ着くとノックし入室。

 この病室はVIPの患者専用の個室らしい。一泊いくらするのやら。カプセルコーポレーションの財力は無尽蔵なのかよ。

 

「ラディッツさん」

 

 俺を出迎えてくれたのはラオたち。

 俺を見るなり微笑んでくれた。

 

「……久しぶりだ」

 

 こう返すのが妥当だろう。

 俺は病室に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワシらはテレビでお前さんの活躍を見ていた…まぁ途中から映らなくなってしまったがな」

「あの宇宙人たちに有名な武術家の方がやられてしまった時……不安でした」

「そのピンチをラディッツさんが一変させた時は鳥肌が立ちましたよ!」

 

 ラオ、キウリ、レンモの順に言われた。

 病室に入りラオたちに最初に言われた言葉は賞賛だった。ライムはまだ寝ており、ラオたちには事前に俺が行くと伝えていた。

 

 そして話をしているとラオたちはテレビ中継を見ていたらしい。それどころか録画もしていた。

 どこまで映っていたのかを聞くと俺がナッパを倒したところまで映っていたそうだ。

 録画をコピーしてあげると言われたが流石に断った。

 何がよくて自分の戦いを見なければならないのやら……。

 

 その後軽く今まで何をしていた、などの話をした。

 

「……ん?」

 

 会話をしているのが原因か、寝ていたライムは起きた。まだウトウトしているものの意識がはっきりしてきたのか周囲を見渡す。

 

「?!…おじ…さん?」

 

 俺と目が合うなり目を見開き驚く。……何に驚いているのやら。

 

「ああ。……久しぶりだな……ライム」

「おじさん!」

 

 二週間ぶりの再会。ライムはベッドから立ち上がると俺に抱きついてくる。

 

 俺にとってはたかが二週間、だが4歳に満たない子供にとってはその時間は長く感じていたんだろう。

 

「うぇぇぇん!」

 

 抱きつくとライムは号泣した。

 俺は足に抱きつくライムをそっと抱き上げ背中をゆっくりとさすり、その光景をラオたちは温かい目で見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから30分ほどでライムは泣き止んだ。

 

「おじさん……おけが…だいじょうぶ?」

 

 泣き止んだライムは俺から離れようとせず、抱っこされた状態のまま話しかけてくる。

 降ろそうとしても「いや!」と我儘を言われたためそのまま。……一体なぜこんなにも懐かれたのやら。

 

「もう完治……いや怪我は治った」

「そうなんだ!……よかった!……おじさんのにおい……おちつく」

 

 えへへっとライムは笑いながら返事し、顔は俺の胸あたりにつけて匂いを嗅ぐ。

 

「……ライム」

「ん?」

 

 俺はこれからライムに伝えなければいけない。

 また一月は会えなくなるかもしれないことを……いや、今後はたまにしか会えなくなることも。

 

「約束を覚えているか?」

「やくそく?」

「ああ。……俺はお前の家に帰ることはない」

 

 俺は自立する。

 このままチャズケ村にいるのもいいかも……そう思うもやはり一人で生きていきたい。これから続く戦闘で俺は死ぬかもしれない。そうしたらこの人たちを悲しませることになる。

 

 修行に関してももっと適した場所に行きたいしな。

 

 ライムは泣くかもしれない。それでもこれだけは譲れない。

 

 ライムは我儘を言うかもしれないが。

 

「うん!だいじょうぶだよ!」

「申し訳ないがそれは……」

 

 はえ?

 いま何て言った?

 だいじょうぶ?

 

「……すまない今大丈夫と言ったか?」

「うん!だっておじいちゃんが7にちに1かいはくるっていってたし!」

 

 俺はラオを見るも……おい、なんで視線を逸らす!

 俺一言も言ってないぞ!

 

「ラオ……」

「どうしても嫌だと言われてな……ラディッツさんなら可能ではないのか?空飛べることだし」

「いや……しかし」

「それを守らなきゃ娘は一生離れようとしないかもですね」

 

 ラオとキウリは申し訳なさそうに返答する。

 今言われたことが想像できてしまうから何も言い返せない。

 ………一週間に一回か。

 

「ライムが満足するまでだ。……そうしたら頻度は減らす」

「そ!そうか。すまんの」

「断られたらどうしようかと思ってました!」

「いやぁ、ダメもとだったけどよかったよかった」

 

 ラオ、キウリ、レンモは安心したように言う。

 しょうがない。

 

「ライム。7日に1回……家に行こう」

「わかった!やくそく!」

 

 だが、ここでこれからナメック星に行くと言うと解放されなさそうだから言わない。

 確か宇宙船で6日。フリーザとの戦いで1日。

 ギリギリ間に合いそうだ。

 死ぬかもしれないが、今の段階では生き残る前提で話を進めよう。

 

 人間の活力は意志の強さ。

 

 果たさなければいけない約束があればそれだけ生存本能が強くなる。

 

「あのね……おじさん」

「なんだ?」

 

 すると、ライムは真剣な表情で話しかけてきた。

 

「おじさんってまた、けがするの?」

「ん?……まぁ、するかもな」

 

 急にどうしたんだ?たしかにこれから戦いは過激になるし、怪我はするだろう。

 

「わたしね。しょうらい、おいしゃさんになる!……それでおじさんのけが、なおしてあげる!」

 

 今回のことがきっかけで医者を志すようになったのかな?

 達成できるか微妙だが、幼いながらも目標ができた。今はそれを喜ぶべきだろう。

 

「そうか、医者か。……なら勉強を頑張らないとな」

「うん!」

「だがその前に」

 

 その前にしなければいけないことがある。

 ライムは疑問符をあげた。

 

「まずは元気にならんとな」

「わかった!わたし、もうげんきだよ!」

 

 なんともまぁ単純な奴だ。

 子供はこれくらい元気な方が似合っている。

 

 その後ライムは元気に退院した。俺はラオたちが泊まっているホテルで共に食事し、別れた。ラオたちはまだ宿泊期間があるらしくゆっくりと過ごした後帰るそうだ。

 

「あ、そうだラディッツさん。これはワシらからの気持ちだ。受け取ってほしい」

「ありがたくもらおう」

 

 別れる時、ラオから服が入った包み紙をもらった。中を見るとそこには道着が入っていた。

 

 俺はそれを受け取るとお礼をいい、空へと飛び立った。空から見るとライムが大きく手を振っていた。

 あの時、ライムを優先した俺の行動は正しかった。

 それを再認識し、俺はブリーフ博士のいるカプセルコーポレーションへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カプセルコーポレーションに着くと上空から巨大な宇宙船が見えた。

 俺は近づき声をかける。

 

「ブリーフ博士はいるか!」 

 

 声をかけると宇宙船のドアが開き青髪口髭の老人が出てきた。

 

「おお!来たか……君がラディッツくんか!」

「ああ。……宇宙船はできたのか?」

「心配いらんよ。だがメンテナンス中でな。まだ出発はできんのじゃよ」

「いや、まだ弟が来ていない。後一週間後に出発予定だ」

「そのくらいなら間に合うじゃろう」

 

 西の都のカプセルコーポレーション。ブルマとその両親の住む場所だ。

 

 ブリーフ博士は警戒することなく快く歓迎してくれた。

 

「人工重力装置はもう使えるか?」

「ん?それなら問題なく使えるぞ」

「……なら今すぐ使いたい」

「うーん……じゃがな。まだ細かいメンテナンスが終わっておらんのじゃよ」

「……ちなみにどんな内容だ?」

 

 そういえば物語だとしょうもない内容だったような。

 

「実はな、音楽を聴くためのデータインプットとスピーカー設置が終わっとらんのだよ」

「……は?」

 

 物語だと悟空が来た時、スピーカーの設置場所で考えていたっけ。

 そんなもの必要ない。

 

「そんなものは必要ない」

「え?いやいや、気分をリラックスするのに音楽は必要じゃよ!」

「音楽は俺も弟も聴かない。心遣い感謝するが、一刻も早く修行を開始したい。操作方法を教えてくれ」

「……せっかちな奴だな。……わかった。入りなさい」

 

 その後俺はブリーフ博士から操作方法を教わり修行を開始した。

 

 またもう一つ重要な問題に気がついたので指摘した。それは食糧。

 

 巨大な冷蔵庫にはパンパンになるまで食糧があったが、それでも足りない。だから三倍の量を頼んだ。

 俺は全てチェックが終わると修行を開始した。

 

 目標は悟空復活までに100Gの重力を克服すること。

 

 俺はその日以降、ブリーフ博士の家にお世話になりながら修行した。

 

 その日からちょうど一週間後、ブルマたちから救援要請がきた。

 やはりフリーザはナメック星に来ていたらしい。

 

 俺はラオからもらった上が白、下が黒のカンフーのような道着を着て悟空を待つ。

 

「にいちゃん!」

 

 筋斗雲にのる悟空が到着し、ナメック星に出発した。

 

「にいちゃん……腕上げたな」

「ああ。一週間修行をしたからな。お前も早く100Gでも動けるようになるんだな」

「ああ。すぐ克服して見せるさ」

「期待しているぞ」

 

 向かうはナメック星。そこには宇宙の帝王フリーザがいる。

 だが、どこかワクワクしていた。それがサイヤ人の本能なのか、心強い仲間がいるからなのかはわからない。

 

「待ってろよみんな!」

 

 悟空は常に前向きだ。

 その背中を俺は見ながらも改めて誓った。

 

 どんな強敵が現れようが大切なものを守るため立ち向かうと。

 

 一つになったラディッツに恥じない戦いをすると。

 

 

 俺は誇り高きサイヤ人なのだから。

 




補足説明。
悟空はどうしてもじっとしているのは苦手である……と作者が判断してイメージトレーニングは長くは続かなかった。

ラディッツの怪我は重症だったが、サイヤ人の脅威の回復能力にしっかりと療養していたので二週間で治った。
本来、ラオとライムはセルにより両親を殺され、チャズケ村で暮らしていましたが、ラディッツが関わったことによりライムは医者を目指すように。

ラディッツは悟空と合流した時には7日の修行で100Gを克服した。どんな修行したかは………。

ラディッツの着ている服装はカンフー太極拳の上が白、下が黒を想像してください。









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