気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ以外の視点です。


ラディッツ、驚かれる。

「お父さん!おじさん死んじゃうよ!」

「そうだ!幾らラディッツが強いからって敵いっこない!」

 

 ラディッツが特戦隊のメンバーと戦い始めた頃、悟空が仙豆をクリリンに食べさせた後の会話。

 

 悟飯とクリリンは直接対決した経験から一緒に戦うべきだと悟空に話していた。

 だが、目の前の光景を見ながら悟空は冷静に話し始める。

 

「でぇじょうぶだ。心配することねぇ。見てれば分かる」

 

 悟空の言葉に困惑をするがクリリン、悟飯は心配しながらもラディッツの戦闘を見始める。

 

「……え?なんで」

「どうなってるんだ?」

「な!心配ねぇだろ?」

 

 ラディッツは戦闘を始め、リクーム、バータ、ジースの三人相手に圧倒する。

 驚くクリリンと悟飯。

 何が起こっているのか、未だに理解できないでいた。

 

「にいちゃんオラより強いかんな」

「え?お父さんよりも」

「そうだ」

 

 悟飯は悟空の言葉にさらに驚く。

 

「で…でもよ。悟空には界王拳があるだろ?悟空より上ってのは言い過ぎじゃないのか?」

「たしかに界王拳使えばパワーやスピードでは勝る。……けど、界王拳があったとしても簡単ににいちゃん相手に攻め込めねぇんだ」

「ま……マジかよ」

 

 悟空の言葉に驚くクリリン。だが、驚くあまり、悟空の意味深な発言に気がつかない。

 

 界王拳を使っても勝てると断言できない。その発言が何を意味しているのか、それを分かるのはラディッツ本人と悟空だけ。

 

 6日間共に修行したが、全力では戦っていない。それをしたら宇宙船が壊れるから。

 

 だが、悟空の発言には確信があった。共に修行し、ラディッツが一人で行っていた修行を見学していたから。

 

 

 戦闘は進みバータ、リクームを一撃で倒した。

 ジースの一撃を容易く弾き飛ばした。

  

「あ!逃げた」

 

 だが、最後に残っていた逃げたジースをラディッツは追うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体どうなってる……明らかにサイヤ人の戦闘レベルを超えてやがる」

 

 仙豆により全回復したベジータは目の前で起こった戦闘に驚いていた。

 だが、それよりも怒りや疑問が今のベジータの心境だろう。

 

「……何故ラディッツがこの俺を」

 

 超えているのか?

 ベジータはプライドを大きく傷つけられた。今まで格下だと思っていた相手が……地球の戦闘では圧倒していたはずの雑魚。

 クリリンたちから悟空とラディッツがナメック星に向かっている……そう聞いても正直、ラディッツには期待していなかった。

 ナッパに手こずるようなやつだ。来ても望みが薄い……そんな認識をしていた。

 

 悟空と修行をしながらナメック星に向かっている。

 そう聞いても期待できなかったのに。

 

「ちくしょう……まさかカカロットの野郎も」

 

 格下と思っていた奴らがサイヤ人の王子である自分を超えた。 

 認めたくない。そう思うも、目の前で見せつけられた実力差に悔しがる。

 

 そんな中でも戦闘は進む。だが、ラディッツの戦闘に怒りが湧く。

 ラディッツはバータとリクームにとどめを刺さなかった。それどころか一人を逃した。

 

「あの野郎……」

 

 ベジータはジースが退散した後、動けなくなったバータとリクームにとどめを刺した。

 

「ベジータ……何故とどめをさした?」

「うるさい!……ラディッツ貴様、強くなったからって調子に乗ってるな?貴様といいカカロットといい。気に入らん」

 

 ベジータは変わってしまった元仲間に少し呆れていた。

 今のラディッツに比べれば性格は前の方がマシであった。

 格下相手の戦闘を好み、同等以上の相手と戦うのを嫌っていた。

 

 それでも必ず相手にとどめを刺していた。

 

 だが、ラディッツは地球で過ごし、人が変わってしまった。

 実際に別人が憑依しているので人間性が変わるのは当たり前だが……ベジータは知る由もないだろう。

 

 だからこそ、いくら強くなろうが甘さが生まれたから、なりきれなかったのだと思いこう結論づけた。

 

 残酷な一面がなくなったからこそラディッツはスーパーサイヤ人にはなりきれなかったのだと。

 

 




補足説明。
ベジータはラディッツを認め始め、原作の悟空と同じような扱いになっている。

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