気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ、勘違いする

 リクーム達との戦闘が一段落した。

 とりあえず死人はいないようで安心した。

 だが、とどめを刺さなかったこと、ジースを逃したことをベジータに怒られてしまった。

 まぁ、ジースを逃したのはギニューを呼びに行ってもらっただけだし。

 ギニューの能力は厄介。自分と相手の体を取り替える能力だ。

 だから、早めに倒しておいた方が良いと判断した。

 

 それにしても別に怒ることねぇと思ったが、以前に比べてラディッツは人格そのものが変わったしな。

 

 少し怪しまれてる感じがする。少し言動には気をつけよう。もし仮にアニメ知識から本来のラディッツが知らないはずの知識を発言したらどう思われるかわからないしな。

 

「まさかフリーザの恐ろしさが分からんはずなかろう?」

 

 話は進み、俺と悟空はスーパーサイヤ人になりきれないと発言された。

 まだ、この時の俺はスーパーサイヤ人の存在は知らない。ラディッツから受け継いだ記憶からそうだ。

 

 おそらくスーパーサイヤ人の存在は高位サイヤ人しか知らないのだろう。

 

 だから、下手なことを言わないため知らないふりをした。

 

「まぁ、まてベジータ。オラはそのフリーザってやつがどんだけ強いかしらねぇ。だが、オラとにいちゃんは強くなった。それでも勝てねぇんか?」

「そうだぜベジータ。さっきの戦い見てただろう?俺たちが敵わなかった奴らを圧倒したんだ。ラディッツに勝てるやつはいねぇだろ」

 

 悟空、クリリンと話をするが、多分勝てないだろう。

 第一形態でも53万だったか?

 

 今どのくらいかわからない。

 可能性があるとしたら俺の潜在能力を引き出してもらうことだな。

 

 最長老にどうにか事情を話して底上げしてもらうように頼んでみようかな。

 

「やってみなきゃわからん。……必ず勝てるとは約束はできんよ」

「貴様には勝てん。絶対にな」

「何故断言できる?」

「簡単なことだ。フリーザは今頃ドラゴンボールの力で不老不死を手に入れてしまっているはずだ。これでどう考えても勝ち目はあるまい」

「そんな……」

 

 一応驚くフリをする。

 この時点ではまだのはずだ。その答えはクリリンが出してくれた。

 

「いや…あいつはまだ願いを叶えて無いと思うな」

「なんだと!何故分かる?」

「もしここのドラゴンボールが地球のと一緒なら神龍が出るときに暗くなるはずだろ?それなのにさっきから明るいままだ」

 

 ベジータの疑問にクリリンが答える。一応、俺は知っている。

 だが、実際に神龍を見たことがない。悟空が復活する前一度空が暗くなったが念のため確認するか。

 

「……そういえばベジータとナッパが地球に来る数日前、真っ昼間に空が暗くなったが、それか?」

「そうだ。だから願いは多分まだじゃ無いかと」

「神龍て…なんだそいつは!ドラゴンボールが揃うと何かが出てくるのか?」

 

 これでいいだろう。

 悟空たちは会話からまだ仲間が生き返られると希望が見えたと喜んでいる。

 

 フリーザと戦うのも興味があるが、それよりもブルマとの約束を守らなければいけない。

 まずは優先すべきはドラゴンボールで叶えること。

 

「まて……何かくるぞ!」

 

 ふと、俺たちに近づいてくる二つの気に気がつく。

 ギニューとジースだろう。どうやらちゃんと連れてきてくれたらしい。

 

「……お前が逃したからジースがギニュー隊長を連れてきた。今度は一筋縄ではいく相手じゃないぞ」

「わかってるさ。……それにしても」

 

 ベジータに責められるが初めから狙っていたことなので放っておく。

 一番気になるのは……この巨大な気。多分フリーザの気だが、念のため。

 俺は指を差しながら話す。

 

「あっちからとてつもない気がするが……もしかしてフリーザの奴か?」

 

 ベジータは示した方向の気を探る。

 悟空たちも同じようにして驚いていた。

 

「大変だ!最長老さんのとこだぞ!……そうか!フリーザの奴、願いが叶わないから合言葉を直接ナメック星人に聞きに行ったんだ。まずいぞ」

「あいつ、願いの叶え方を聞いたら最長老さん殺しちゃうかも!最長老さん死んだらドラゴンボールも消えちゃうよ!」

「なんだと!」

 

 クリリン、悟飯が発言する。

 フリーザは最長老を殺すことはないだろう。物語だと事前に付き人のナメック星人のネイルがフリーザに伝えていたはず。

 

 だが、急いだ方がいい。ドラゴンボールの場所はフリーザの宇宙船がある場所にある。

 

 物語と流れは変わっていないが、俺がいることで違いが出てくるかも。

 なら、最優先事項はドラゴンボールを使うこと。

 だが、その前にこの場に向かっているギニューをどうにかせねば。

 

「きた!」

 

 悟飯の発言で皆警戒する。

 そこには先程逃げたジースと、紫色の肌に短いツノが2本生えた人物……ギニューがきた。

  

「クリリン、悟飯お前たちは先行け!」

「わかった」

「はい」

 

 俺の指示にクリリンと悟飯はその場から空へ。

 

 

 ギニューは一撃で終わらせよう。まだ使う気はなかった。だが、こいつの気の高さは俺と同等くらい。不意打ちだが、初見ならこの技は躱せない。

 俺はギニューに攻撃を仕掛けようとしてーー。

 

「待てよにいちゃん。そいつの相手はオラがする」

 

 前に出た瞬間悟空に止められる。いや、さっき俺が全て相手するって言ったんだけどなぁ。

 

「まて……いや、なんでもない。勝手にしろ」

「わりーな」

 

 悟空の嬉しそうな表情を見たら手を出すな……なんていえないじゃないか。

 

 ふと、ベジータを見るとギニューから視線を離していない。

 物語なら悟空にジースの相手をするように頼まれていたけど離脱されていたっけな。

 そうされると流れが狂う。せめてジースは確実に仕留めておきたい。

 

「ベジータ……すまないがお前もドラゴンボールの元へ」

「黙れ!俺に指図をするな!……舐めやがって」

「……すまん」

 

 またも怒られてしまった。

 

「おいベジータ……そんな怒るなよ……そんなむしゃくしゃしてんならあのジースっちゅうやつの相手頼めねぇか?」

「おい、カカロット何を言って」

「にいちゃん二人も相手をしたんだ。一人くれぇいいじゃねぇか」

「そういう問題じゃない!」

 

 悟空が突然ベジータに余計な提案をしてきた。

 このままだと物語と同じ流れになる可能性がある。どうにか俺が相手をする流れに戻さなければ。

 

「でぇじょうぶだ。ベジータは死にかけてんのが治ったから力がグンと上がったはずだ。……おめぇもやられっぱなしは嫌だろ?」

「……知っていたのか……いいだろう」

「そういうことだ!にいちゃんは先に行っててくれ」

 

 なんか勝手にベジータと悟空のタッグ誕生してんだけど。本当にこれ信用していいものか?

 ……しょうがない。近くに待機していてベジータが離脱したら援護に行けばいいか。

 

「カカロット、……油断するなよ。ギニューはおかしな能力を持つと噂で聞いたことがある。速攻仕留めてお前も来い」

「ああ」

 

 俺は悟空に言えるだけの忠告をして空に飛び立つ。できる限り遅く飛び気を探りいつでも戻れるように準備をする。

 ………だが。

 背後で悟空とベジータの気が上昇した。

 4つあった気は二つずつに分かれた。

 

 戦闘は開始し、ベジータはジースと戦っているようだ。

 

 ………疑ってごめんベジータ。

 

 

 

 




補足説明。

ベジータの心境は原作と同じ。目の前で対面したことがあるにもかかわらず、ジースをあえて逃したのだが気に入らなかった。
ラディッツは前まで強くなかったので、フリーザを甘く見ていると判断した。

ラディッツは怪しまれないように会話に入った。
クリリンの説明を聞いている時、同じ現象を見たことがあると聞くのは不自然じゃないと判断したから。


 ラディッツが関わりベジータの心境変化が起きた。自分だけやられっぱなしは嫌なこと。ラディッツがベジータもクリリン達のところは行くように促されたことで舐められていると思ったのが原因でジースと戦うことにした。

 

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