気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ、時間浪費する

「まさかおめぇと一緒に戦うことになるなんてな」

「勘違いするな。……俺はあの野郎に舐められたのが気に入らんだけだ」

 

 悟空、ベジータはラディッツが去った後、会話をした。

 会話する二人の視線はギニューとジースに向いており一分も隙がない。

 

 ベジータはラディッツに舐められていると思ったことに相当イラつきを覚えた。不老不死の願いを叶える目的があるものの、このままだと自分のプライドがそれを許さないため、ジースの相手をすることにした。

 

 今のベジータの力はジースを大きく上回る。死にかけから回復したことで力が跳ね上がった。

 クリリンと悟飯はドラゴンボールの合言葉を知っている。始めは聞き出してから殺そうと思ったが、ポルンガの叶えられる願いは三つ。

 

 願いを叶えている最中にクリリンと悟飯を片づけて願いを叶えればいい。どうせ悟空はギニューとの戦闘で時間がかかる。

 だから多少出遅れたとしても問題ない。

 ジースを殺す時間は誤差にしかならないと結論付けた。

 

「行くぞベジータ!」

「俺様に指図をするな!」

 

 二人は同時にそれぞれの相手にかかる。悟空はギニューに。ベジータはジースに。それぞれ一対一の戦闘が始まる。

 悟空とギニューの実力は拮抗していた。お互いに譲らない攻防が繰り広げられる。

 だが、もう一つの組みは完全に実力差があった。

 

「な!……なぜこの俺がベジータ如きに」

「ふ……サイヤ人は死の淵に立つと限界を更に超え強くなるんだ。もう貴様如きじゃ相手にならん」

「ふ……ふざけるな。ギニュー特戦隊は宇宙中から集められたエリートの集まりだ!……貴様のような猿野郎に負けるはずないんだ!」

「ほう……なら試してみるか?」

「舐めるなぁ!」

 

 ベジータの煽りにジースは連続でエネルギー弾を放つ。

 だが、その攻撃は通用することなく、ベジータはジースの後ろに一瞬で回り込む。

 

「どこを狙っている?」

「い…いつのまに」

「ふふふふ」

 

 ベジータは笑いながら右手の掌をジースに向ける。

 

「た……助け」

「消えろぉぉ!」

 

 ベジータはエネルギー砲を放ち命乞いをするジースにとどめを刺した。

 

「ジース!」

「ベジータ!……そこまですることねぇだろ!」

 

 ジースが死んだことに気がついたギニューと悟空。

 二人は戦闘を中断していた。

 

「いつまでも甘い戯言をほざいていろ。そうしているうちは貴様は超サイヤ人にはなれん」

 

 笑いながらも発言する。ベジータは今の戦闘で自分の力の上がり具合に驚いていた。いくら死にかければ戦闘力が上がるからといっても、この上がり具合は異常だ。これをベジータはサイヤ人のエリートだからと結論づける。

 

 やはり超サイヤ人になる資格があるのはサイヤ人の王子である自分だと。非道になれない悟空やラディッツでは不可能だと。

 

 だが、その前にするべきことがあると考えを切り替える。

 不老不死になることだ。

 まだ、空は暗くなっていない。そのためドラゴンボールは使われていない。急げば間に合うとわかる。

 

「カカロット!精々頑張るんだな!」

 

 ベジータはそのままドラゴンボールの元へ向かった。

 フリーザの宇宙船に着くと未だにフリーザ軍の兵士が待機していた。

 だから、邪魔な兵士を一掃した。

 周囲を見るも先にいる可能性があったクリリンや悟飯がいないのを確認する。

 

「……奴らより先についたか?……いや、待てよ。確か戦闘力を0にして待機している可能性も」

 

 ベジータは周囲を探るも姿が見えない。だが、あることに気がつく。

 

「……ここに向かっている気が二つ……。フリーザはここにはいないようだ。好都合だ。どうせなら戦闘服を新調したかったが……ドラゴンボールがどこにあるか分からん。ここに待機しているか……気づかれないよう巧く戦闘力をなくさんとな」

 

 ベジータは宇宙船近くの岩山に気を無くして潜伏する。

 その後、ブルマからドラゴンレーダーを受け取り、到着したクリリンと悟飯によってドラゴンボールを掘り起こされ、神龍を呼び出すための合言葉を言うものの、変化は起こらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリリンたちの気を探り追いかける。

 気を探るも動きは一直線ではなく途中止まったり移動したりと繰り返していた。二人は何をやっているんだか。

 

 一方で悟空たちは変化が現れた。感じていた気が一つ減った。ジースが殺されたか。

 

 そこから一つ大きな気が速いスピードで移動しているからおそらくベジータ。

 

 ちゃんと倒してくれるのはありがたいが、もう少し時間がかかると思っていた。ベジータが来る前にクリリン達と合流したいと思っていたが、計算が少し狂った。

 しょうがない。今からベジータを追うか。

 俺は考えを切り替え急いで向かおうとする……が。

 

「おーい!」

「うん?」

 

 急に地上から声が聞こえる。

 ふと下を見ると……恐竜の死体があってその近くに……ワンピース型の黄色い服を着ている青髪の女が両手を大きく振っていた。

 

「ブルマか?」

 

 でもなんでここにいるのだろう?

 急ぎたいが放っておけないので事情を聞くことも兼ねて地上へ向かう。

 

「ナイスタイミングよ、ラディッツ!」

「はぁ」

 

 俺を来るなりブルマは喜んでいた。一体何があったんだよ。

 

「ブルマ、何故ここにいるんだ?」

「そんなことはどうだっていいのよ!アンタこれからドラゴンボールのところへ向かうんでしょ?私も連れて行きなさい!」

 

 えぇ。

 なんでこんなに自分勝手なんだよ。

 

「すまないが、無理だ。これから戦いは危険になる。フリーザとも戦うかもしれないんだ。だから」

「か弱いレディを置いていくつもり?……最低ね」

 

 えぇ……。どうしろと?

 邪魔なんだけど。

 

「何よ?何か文句があるの?……確かお父さんに恩があるんじゃない?」

「だからなんだ?」

「まさか恩を仇で返す気?」

「たしかにブリーフ博士には恩がある。だが、それとこれとは関係ない」

「大有りよ!」

 

 ……いや、関係ないだろ。なんで今そんなこと言うんだろう?

 

「ここで私を置いていったら多分死ぬわよ?」

「……そんなことはないだろう」

「さっきここにいる恐竜に食べられそうになったわ。……あーあ。お父さんどう思うかしらね?大切な大切な愛娘が死んだら?……そしたらアンタのせいよ!」

 

 ……どこまで気が強いんだこの女は。

 

「……いいだろう。だが、危険なことに変わりはない。……覚悟はしておけ」

「そんときはアンタが守ってくれるんでしょ?」

「……保証はできん」

「断らない時点で守ってくれるってことでしょ!期待してるわよ!」

 

 この気の強さ……少し苦手だ。さっさと向かおう。俺はブルマの両脇を抱えて飛ぼうとする

 

「ならさっさといくぞ」

「ちょっと待ちなさい」

「………まだ何かあるのか?」

 

 今度はなんだよ。

 

「どうやって連れて行こうとしたの?」

「いやどうと言われてもな……普通に両脇を抱えようと」

「……エッチ」

「は?」

 

 体を両手で押さえてブルマに言われる。

 いや、なんだよそれ。どうしろってんだよ。

 

「では、どうするんだ?背中にでも乗るか?」

「アンタ少しはレディの扱いを覚えたほうが良いわよ」

「どうするんだと聞いている。こっちは急いでいるんだ!」

 

 時間がない。いつフリーザが来るかわからない。

 そんな状況でこんなことをしている場合じゃ良い。

 

「怒鳴らなくてもいいじゃない!まぁいいわ。そうね……ならお姫様抱っこしなさい。それなら安定感ありそうだし」

「はぁ、わかった。なら早くするぞ」

「え?……ちょ!」

 

 俺は左手で足の太腿あたりを支え、右手で背中を支える。

 そして、空へと飛ぶ。

 

「ちょっとどこ触ってんのよ!」

「文句があるなら地上に落とすぞ!時間がないと言っているだろう!……急ぐぞ!」

「へ?……ちょっと!」

 

 もう俺は気にせずに向かう。今の会話でだいぶ時間をロスした。ブルマを抱えているから全力では飛ばない。

 

「ちょっといいかも……これ」

「何か言ったか?」

「なんでもない!」

「なら黙ってろ!舌を噛むぞ!」

 

 なんか呟いていたが、聞こえなかった。何でもないようなので忠告をした。

 

 何故かブルマの顔が赤くなっていたが多分怒っているのだろう。少し我慢してほしい。こっちは可能な限り急がなければいけない。ベジータはどう行動するかわからない。だが、少なくともクリリン達が神龍を呼ばない限りは殺すことはないだろう。

 

 それにナメック星のドラゴンボールはナメック語で話さないと意味がないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?……おめぇもまだ隠している力があるらしいじゃねぇか?」

「ほう……」

 

 ギニュー対悟空の戦闘は終わりを迎えていた。

 互角の戦いをした両者。ベジータによりジースが瞬殺される展開があったものの、最終的には悟空が界王拳で力を見せつけた。

 勝負はついた。悟空はそう判断するも、兄ラディッツからの言葉を思い出した。

 

「にいちゃんが言ってたんだ。オメェには隠している能力があるかもってよ」

「どこでその噂があったかは……後で貴様の兄に問い詰めるとして……いいだろう。見せてやろう」

 

 ラディッツの忠告は最悪な方向に進むことになる。

 悟空は興味を持ってしまった。ギニューの能力について。

 

「はぁぁぁ。ふん!」

「何?」

 

 ギニューは右手に気を溜め、自身の右胸に突き刺した。

 何をするのか警戒をしていた悟空は戸惑う。

 

「貴様の体!交換させてもらう!チェーンジ!」

 

 悟空とギニューの体は交換されてしまった。

 その後ギニューはフリーザの宇宙船に向かい、その後を悟空は追いかけたのだった。

 




補足説明


ブルマはエアロバイクでドラゴンボールが集まるところへ向かっていて、クリリンと悟飯に会う。そこでドラゴンレーダーを悟飯に渡す。
その後、悟空とラディッツのことを聞き、来ていることを知っていた。


ラディッツは急いで向かうも、偶々ブルマと再会した。そのせいで連れて行く羽目になった。ラディッツはブルマには頭が上がらなかった。


ギニューと悟空の対決は互角で終わる。悟空が少し手を抜いていた。その後まだ力を隠しているとギニューから指摘があり界王拳をつかった。

悟空はラディッツが余計なことを言ったせいで逆効果、ギニューと体を取り替えられてしまった。

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