「こんなところだ」
「へぇ……そんなことがあったの」
ブルマを連れて移動中、今何が起こっているのか話した。いや、説明するように強要されたのであったことを全て説明した。
「それにしてもアンタや孫くんが勝てるかわからない相手がいるなんて……想像もできないわ」
「だろうな……お、見えたな」
飛んでいると大きなフリーザの宇宙船が見える。
フリーザの宇宙船に到着し、ブルマを地上に下ろすと周囲を見渡す。……だが、誰もおらず何故かドラゴンボールが掘り起こされていた。
「あ!七つ揃ってんじゃない!ラッキー!」
「そうだな」
ブルマは喜ぶ。だが、おかしい。確か物語だとドラゴンボールは埋められていて、それをクリリン達が掘り起こした。
掘り起こした跡があるから誰かが取り出したと思うのだが。出しっぱにしても見張りがついてないのはおかしい。
ん?岩陰から物音!
「ちょっ!どうしたのよ!」
ブルマをそばに寄せ警戒する。
俺はエネルギー弾を放つ準備をし、掌を物音がした岩山に向ける。
「ラディッツ!……ちょ!俺だよ俺!」
「おじさん……とブルマさん!」
「お前達か」
クリリンと悟飯が出てくる。俺の気を感じて隠れていたようだ。
「クリリンと悟飯君じゃない」
「ラディッツ、なんでブルマさん連れて来ちゃったんだよ!」
「……私がいちゃ悪いわけ?」
「そ、そう言うわけじゃ……」
ブルマはクリリンを睨む。それにビビっているのか、クリリンは萎縮してしまう。
一応クリリンのフォローしておくか。
「ブルマは危険を承知で連れてきた。恐竜がいるナメック星で一人でいる方が危ない。ならいっその事連れてきて宇宙船の中にでも隠れてもらっていた方が安全だと思ってな」
「そりゃそうだけどよ。これからフリーザと戦うかもしれないんだぞ?……そっちの方が危ないんじゃないか?……だから連れてこなーー」
「つべこべうるさいわね」
クリリンが文句を言い、ブルマは両手を腰につけクリリンに視線を合わせて詰め寄る。
言いたいことはわかる。俺も脅迫されて連れてきたようなものだし。
「そう揉めるな。フリーザの宇宙船の中に居れば多少は安全だ。何かあったらその時対処すればいい。今はドラゴンボールだ。確認だが、これを掘り起こしたのはお前達だな?なら早く願いを叶えたらどうだ?」
切るように話を進める。
今は確認最優先。
俺の問いはクリリンが答えた。
「いや……残念ながら願いは叶えられなかったんだ。合言葉が違うらしくて」
「……そうか」
物語と同じだな。ナメック語で喋らないといけないんだっけな。
「詳細を最長老の元へ聞きに……」
俺は途中で発言をやめた。こちらに向かっている気が一つ感じたためだ。
かなり早い。
「お父さんだ!」
「敵かもしれないぞ?」
向かっている気が一つということからその可能性がある。
だが、悟空ならもっと早く飛べるはずだ。スピードを抑えているだけか?
それから少し時間が経ち、こちらに向かってきた正体がわかる。
「悟空だ!もう、ラディッツが変なこと言うから警戒しちまったじゃねぇか」
「え、孫君がきたの!」
クリリン、ブルマが発言する。それから数秒後、悟空は着陸する。
「悟空、良かった!あいつらは倒せたんだな!」
何も違和感なく近づくクリリン。
やはり違和感は拭いきれない。姿は悟空そのものだ。だが、確認するとところどころに違和感が。
何故スカウターをしている?何故俺らに声をかけない?何故警戒している?
結論はすぐにわかる。
悟空のやろう……あれだけ忠告しておいたのに。ギニューにしてやられたな。
俺はクリリンの肩に手を置き制止する。
「なんだよラディッツ」
「クリリン……こいつはカカロットじゃない」
「何言ってんだ?目の前にいるのは悟空じゃなかったら誰なんだよ」
「違和感を覚えないか?何故スカウターをつけている?何故俺らに話しかけてこない?よく見れば警戒もしている。……おかしいとは思わないのか?」
「そう言われてみれば」
クリリンは俺に指摘され違和感を覚える。すると、今度はギニューが話しかけてくる。
「貴様何者だ?……この体の持ち主が妙なことを言っていたが……何を知っている?」
「やはりお前はギニューか」
口調や発言内容から確信を持つ。……厄介だな。殺すなら簡単だが、そうなると困るのは俺たちだ。
仮にボコボコにして体を取り替えられたら詰む。
「ちょっとちょっと!?目の前にいるの孫くんよね?さっきから何言ってんのよ!」
ブルマは何が起こっているのか分からず混乱している。だが、どうするか。
悟空が来るまで時間を稼ぎたい。ギニューは俺に興味を持っている。なら少し話で時間を稼げるか?
「何か妙だと思っていたが、やはり特殊な能力を持っていたようだな。……体を入れ替える能力か」
「何故知っていたと聞いている」
「ふ……簡単なことだ。俺は臆病者だからな。常に情報を仕入れるようにしていたんだ。敵となり得る存在のな。その中で妙な噂を聞いただけだ」
「……特戦隊内だけにとどめていたと思っていたがな。……少々サイヤ人を見くびっていた。相当な切れ者らしいな。部下に欲しいくらいだ」
「大袈裟だ。ただビビリなだけさ」
「ふ……どうだ?貴様俺の元に来ないか?ちょうど特戦隊メンバー募集中だったんだ。今なら俺直々にフリーザ様に掛け合ってやるぞ?」
勧誘か。話で時間を稼ぐだけのつもりが誘われるとはな。
「ふ、誘いは嬉しい……だが、俺より弱い奴の下につく気はないんだ」
「貴様はもっと賢いと思っていたんだがな……この戦闘力18万以上の俺様より強いと言うのか?」
こいつやっぱり気がついていない。
精神と体が一致していないと力は100%引き出せないのだと言うことを。
……ふ、小さな気が一つ近づいてきた。やっと来たか悟空。
「うん?……思ったよりも早かったな」
「にいちゃん気いつけてくれ!そいつはギニューだ!体を取っ替えられちまった!すまねぇ!」
ギニューとなった悟空は右胸を押さえながら俺に話しかけてきた。悟空が来た。後は俺がギニューに体を交換する能力を使わせるだけ。
「え?……うそ……あれがお父さんなの?」
「大丈夫だ。俺がなんとかする。カカロットに伝えろ。俺がギニューと戦いで体を交換した能力を使わせるからそれに飛び込めと」
「……わかった」
悟飯は泣きながら悟空を見ていた。俺は端的に指示する。
「ラディッツ……気をつけなさいよ」
「大丈夫だ。お前たちは邪魔だ。さっさとカカロットのそばに移動しろ」
なんとなく雰囲気を察したブルマは俺を心配していたが、大丈夫だと返事した。
三人が悟空のそばに行ったのを確認した後ギニューに視線を向ける。
「……何度も言うが俺はお前の下につく気はない。その前にお前を殺すからな」
「ほう?……この俺様に勝てると思っているのか?」
「ああ。お前気がついてないのか?……弱体化してるぞ?」
「何を言っている?ハッタリは通用せんぞ?」
「ハッタリかどうか試してみるか?まぁ、どのみちお前は勝てんよ。俺はカカロットよりも気が……いや、戦闘力が上だからな」
「……ほう。戦闘力18万よりも上か」
よし……少し興味を持ってくれたか。とりあえずあとはボコして技を発動させよう。
「いくぞ!」
「こい!……ぐほ!」
俺は一瞬で接近して腹に肘打ちをかます。もちろん手加減をしている。死なれたら意味がないからだ。
「……たしかに早いな。だが、これからだ……はぁ!」
ギニューは俺に突撃をしてくる。
だが、その動きは単調でいかにも攻撃してくださいと言わんばかりに。
「隙だらけだ!」
「うあ!」
俺は接近するギニューの攻撃を躱し右足で蹴りをくらわす。だが、それだけで攻撃は終わらせない。
空中で先回りし5回攻撃を食らわせる。
そして、6回目の攻撃で悟空の近くに向かい地面に叩きつける。
「くらえ!」
「ぐは!」
ギニューは地上に背中をぶつける。
俺はそのまま、わざと接近しギニューに技を誘う。
「とどめだ!」
「ふ!引っかかったな!…お前のその体!いただくぞ!チェーンジ!」
体が動かない。
本当にこの技は厄介だ。
だが、狙いはうまく行った。
「なに!?どけぇぇ!」
悟空は俺とギニューの間に入ってきた。そして。
「よっしゃ……戻ったぞ」
「……ちく…しょう」
悟空の心は元に戻った。本当によかった。これで安心した。
あとは、ギニューにとどめを刺すだけ。
「はぁぁ!」
「な!しまっ……たぁ!」
俺は離れた位置のまま地上にいるギニューにエネルギー砲を放つ。
ギニューは消え去った。本来の物語ならカエルになって生き延びるんだけど、生きていられると厄介だしな。
俺は地上に降りて悟空の元へ向かう。
「にいちゃん……とどめを刺すことなかったんじゃねぇか?」
「また体を取り替えられたいのか?あいつは生きていると厄介だ。……お前に文句は言う権利はない」
「……そうだな。すまねぇ」
「全くだ。……他にも心配をかけた奴はいる。謝罪をしておくんだな」
「みんな、すまなかったな」
「よかったよお父さん!」
「はぁー」
悟飯は嬉し泣きをして、クリリンは安心し深呼吸をしていた。
「ベジータ!そこにいるのはわかってる!」
「「「え?」」」
俺はベジータの名を呼ぶと三人は疑問符をあげた。
「……ち、気づいていやがったか」
岩陰から隠れていたベジータが出てきた。本当にいたんだ。気がつかなかったわ。
「おそらくフリーザと戦うことになる。……協力してほしい。嫌だろうが、死ぬよりはマシだろう?」
俺の提案にベジータは黙って頷いた。その後、ベジータの案内で宇宙船に入り、悟空をメディカルマシーンに入れ、悟飯とクリリンはフリーザ軍の戦闘服を着た。
「やはりこの戦闘服の方が落ち着くな。ラオたちには悪いが」
やはり初期に着ていた黒とオレンジの戦闘鎧の方が落ち着く。
だが、戦闘鎧の下に着ているのは悟飯やベジータが着ているような手首、足首まで隠れる黒色の全身スパッツ。
「やはりそっちの方が様になっているな」
「そうか?」
背後からベジータにそう言われる。やはりそうかと俺も再び納得した。
俺は出ている尻尾を腰に巻く。
「たしかにこの格好はしっくりくる」
補足説明。
ラディッツは基本生死はどうでもいいが、障害や邪魔になると思ったら容赦なく殺す。
ラディッツが到着した時、
ブルマを連れていたからそこまで速度を出せず、ブルマとの会話で時間が経ってしまい到着が遅れた。
ラディッツはベジータがいるかもと呼んだだけ。
ベジータがラディッツの提案にのったのは死ぬよりかはマシだと思ったから。
ベジータはラディッツを認めてきている。ちなみに不老不死はまだ諦めていない。