気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ 、警戒される

「……チッ!通信が途切れやがった」

 

 ここは地球から遠く離れた惑星。

 その惑星に2人のサイヤ人がいた。高身長でスキンヘッドのナッパ。そして小柄で髪がギザギザ来ている青い戦闘の鎧を着ているサイヤ人の王子ベジータ。

 二人は宇宙の帝王フリーザの指示で星の生物の掃除をしていた。

 

「ラディッツめ、使えんやつだ。たかが戦闘力千ちょっとのやつに手こずるとは」

「どうする?この星を後回しにしていくか?」

「ラディッツのやつは最後の方に興味深いことを口にしていたな……なんでも願いが叶う玉があるとか」

 

 ナメック星人は並はずれた戦闘力に不思議な能力を持ち、魔法使いのようなことができる種族。

 ベジータとナッパは通信が途切れる前、ラディッツが口にしていた言葉に興味が惹かれていた。

 

「役立たずのあの野郎を殺してやろうと思ったが……少しは役に立つものだな。……よし、行こう」

「何を願うんで?」

「そうだな……俺たちがこのまま歳を取らず……永遠の命を……てのはどうだ?」

「うぅん?」

「そうすれば永遠の戦闘を楽しめるぞ」

「なるほど……そりゃいいぜ……ふはははは!」

 

 ベジータとナッパは宇宙船に乗り込む。

 地球に向けて出発したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは地球。

 ブルマ、クリリン、亀仙人の三人はラディッツとの戦闘に向かった悟空とピッコロを追うため飛行船で向かっていた。

 

 悟空とピッコロはブルマが作ったドラゴンボールの反応を見るレーダー……ドラゴンレーダーを元にラディッツを追いかけた。

 

 ブルマは大体の方角と場所がわかったため、記憶をたよりに向かっていた。

 

「あれ!あそこに誰か倒れてる!」

「立っているのは……」

「ピッコロじゃ」

 

 飛行船から見える窓から何かを見つけたブルマ。

 ブルマは人が倒れている場所に着陸した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーと言うわけだ」

 

 ブルマ、クリリン、亀仙人は着陸後、一連の説明をピッコロから聞いた。

 それを聞き、そこにいた一同は顔が青ざめた。

 ラディッツ を倒せなかったこと。一年後に悟空とピッコロを圧倒したラディッツよりさらに強いサイヤ人が襲来することを聞いて。

 だが、それよりも

 

「悟空!しっかりしろ!」

「大丈夫そうね……悟飯くんは気絶しているだけみたい」

 

 クリリン、ブルマは倒れている二人の安否を確認する。

 

「よ……」

 

 すると、先程反応がなかった悟空から声がする。

 クリリンは急ぎ悟空に向き、安心したように息を吐いた。

 

「気がついたか」

「すまねぇ……負けちまった。……チチにどやされちまう」

「そんなの気にすることねぇよ!」

「悟空!」

 

 悟空の言葉にクリリンは否定し、亀仙人は名前を呼ぶ。

 だが、悟空は辺りを見渡し誰かを探す。

 

「……ご…はんは?」

「無事よ……孫君の隣にいるわ」

「そ…うか、は…は…は。どうやら……や…くそく…はでーじょうぶみてぇだな」

「約束?なんのことだ?」

 

 クリリンは悟空の絞り出すように喋る言葉を聞き漏らさないため、

 

「く…りりん」

「ああ」

「しぬっていうのは……いやなもんだな」

「何言ってんだよ悟空!お前らしくないぞ!」

「こ……今度ばかりはだめ……みてぇだ」

「安心しろ……すぐに生き返らせてやるから!」

「ああ……た…のむ」

「悟空ぅぅぅ!」

 

 悟空は最後にそれを言い残し、死んでいった。

 その場にいるピッコロを除いた三人は涙を流す。

 

「どうすりゃいいんだよ!まだあのサイヤ人が地球にいるって言うのに!」

 

 クリリンの叫びはその場にいる全員の表情を暗くする。

 

「……?!」

「消えおった!」

 

 それは突然起こる。

 あったはずの悟空の死体が跡形もなく一瞬で消えた。

 戸惑う一同。 

 だが、その疑問はピッコロによって解消される。

 

「そうか……神の仕業だな」

「「えぇ?」」

「こんなことできるのはやつぐらいなもんだ。あの野郎またくだらんことを考えてやがる」

 

 皆の視線がピッコロに刺さる。

 

「どうするつもりなんだろう?」

「しかし、神様じゃったら安心して良かろう」

 

 クリリン、亀仙人が続けて話す。

 今はどうすれば良いかはわからない。

 だが、今やるべきことは決まっている。

 

「どうなるにせよ、早く他の六個のドラゴンボールを集めて悟空を生き返らせてやらなくちゃ」

「集めるのはいいが、どうするつもりだ?あのサイヤ人がいつ襲ってくるかわからんのだぞ?」

「そ……それは」

 

 早くドラゴンボールを集めなければならない。

 だが、地球にはラディッツがいる。

 

「あ!そういえば悟空が言ってた約束ってなんのことなんだピッコロ」

 

 突然に出た疑問。

 それは誰もが思いつく疑問だ。

 なぜラディッツはピッコロ含め悟空にとどめを刺さなかったのか。

 一体どのような約束が交わされたのか。

 

「知らん……孫悟空はあのサイヤ人にガキが殺されそうになったとき、助けを求めた……奴はガキを殺すことなく、肉親だから頼みを聞いたと言っていたが。……俺が知っているのはそれだけだ」

「「「?!」」」

 

 ピッコロの説明に三人は驚き顔を見合わせる。

 初めて会った時は残忍なやつだと思っていた。

 だが、もしかしてそこまで悪い奴じゃーー。

 

「その考えは捨て置くんだな」

 

 ピッコロによる冷静な指摘。

 三人はハッとなり、冷静さを取り戻す。

 

「た、確かにそうだよな……はぁ」

 

 淡い期待。 

 奴は敵なんだ。

 その認識は変えてはいけない。

 クリリンは冷静に考えを改める。

 

「わ、わりぃなピッコ……ロ?」

「く!はぁぁぁぁ」

 

 ピッコロは体に力を入れて何かをしていた。

 クリリンは戸惑う。すると。

 

「ふああ!」

「いうぇぇぇえ!」

 

 突然生えてきた腕に驚くクリリン。

 ブルマと亀仙人は声は出ていないものの、驚いていた。

 

「トカゲのしっぽみたい」

「貴様らはドラゴンボールを探せ、神の奴とて命を蘇らせるだけの力はない。…だがその孫悟空の子供はこの俺が預かる」

 

 冷静なクリリンのコメントを気にすることなくピッコロは話を続ける。

 

「ど、どう言うことよ!」

「その悟飯とかいうガキは訓練次第で強力な戦力になるはずだ。サイヤ人どもを迎え撃つにはそいつの力がいる。そのためにはこの俺が鍛えてやるしかなかろう」

「鍛えるっていっても、地球に残ってる奴はどうするだよ」

「あいつは知らん……放っておけ」

「そんな無茶な!もしも地球を侵略し始めたらどうするだよ!」

「あいつも相当ダメージを負っていたはずだ。しばらくは行動はしないだろう。多少の被害は仕方あるまい」

 

 多少の被害は出ても仕方がない。

 いつ行動を開始するかわからない不安要素は気にしない。それがピッコロの考え。

 

 だが、その考えに誰もが反論できない。今戦っても勝てないのは皆の共通認識。

 

 ならば今ラディッツが動けないかもしれない期間で少しでも強くなった方が良い。

 

「……なら、ヤムチャと天津飯も、探さなきゃ!」

「そ……そうだ。戦える人は一人でも多い方がいいですよね!」

 

 ……だが、戦うための戦力を探す。

 それは必要な行為だが、それでも。

 

「でも、どうしよう。……どこにいるかわからないわ……あ!そういえば、孫君の兄貴って奴……なんでいる場所がわかったのかしら?……それが分かればもしかしたらヤムチャたちの場所も」

「そこに落ちている奴が付けていた妙な機械だ。相手の強さと場所もわかるらしい」

 

 ブルマの疑問に答えるピッコロ。

 ラディッツが放置した機械はすぐ足元に落ちていて、ブルマはそれを拾った。

 

「ふーん」

 

 ブルマはスカウターを弄り始める。

 そして、ポケットからドライバーを取り出して調べ始める。

 

「うんと……ここがこうなって……ここが……すごいメカよこれ……故障しているけど、なんとかなりそうだわ」

「すごいんですねブルマさんって」

「これ、持って帰って修理すればヤムチャも天津飯ももしかしたら見つけられるかもしれないわね」

 

 ブルマはヤムチャと天津飯を見つける手がかりが見つかり、ふっと笑った。

 

「とりあえず一度亀ハウスに戻ろうかね」

「そうね。ここじゃどうしようもないしね」

「では、私はその後すぐにドラゴンボールを探しに行きます」

 

 亀仙人、ブルマ、クリリンの考えがまとまる。

 

「話し合いは終わったか?」

「……え?」

 

 話し合いが終わるタイミングを見計らったのか、ピッコロが話に入ってきて、その後超能力を使い亀仙人が抱えていた悟飯を自分の手元に。

 

「一年たったらこのガキを連れて貴様らの家に行く。孫悟空が蘇ったら楽しみに待ってろと伝えるんだな!」

 

 ピッコロは最後に言い終えると飛んでいってしまった。

 

 そして、最後に取り残された三人はと言うと。

 

「…チチさんになんと伝えれば良いのでしょう?」

 

 三人の表情は暗くなるのだった。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました

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