気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ、死にかける

「はぁぁぁ!」

 

 フリーザに対峙している俺は気を最大限高める。フリーザに本気を出させるには攻撃を繰り返し、怒らせること。

 まだ離れた位置にサーズディレイもあるので俺とフリーザのいる上空に移動させる。

 

「来ないのかい?」

「いくぞぉぉぉ!」

 

 気を高めた俺は特攻を仕掛ける。すでにサーズディレイの移動も終わりいつでも攻撃できる。

 俺はフリーザに左拳打を放つ。

 

「ふ」

 

 フリーザは上空に飛び上がることで躱した。俺はそんなフリーザの注意を引くため迎撃用のエネルギー弾を放つ準備だけする。

 

「くらえぇ!」

 

 視線が俺に向いているのを確認し、上空からサーズディレイを降下させ、フリーザにぶつける。

 

「うお!」

 

 ドカン。

 空中から放たれた三つのサーズディレイが直撃する。

 少しは効き目があって欲しいが……だめらしい。

 

「はぁぁ!」

 

 俺は追撃でエネルギー弾を放ち直撃させ、フリーザが爆煙の中にいるうちに視界に入らないような岩陰や水中にサーズディレイを合計十発放つ。

 

「きぇぇぇ!」

 

 フリーザは気合いで土煙を吹き飛ばし、上空を見上げ話し始める。

 

「姑息な手だ……はあ!」

 

 フリーザは上空に浮いているサーズディレイを全て破壊した。俺は破壊された瞬間上空に飛び上がりフリーザに攻撃を仕掛ける……しかし。

 

「ふん!」

「ぐあ!」

 

 攻撃は空を切りフリーザの蹴りを喰らい、地上に落下する。フリーザはそのまま俺を追撃してくる。

 

「はぁ!」

 

 地上に落下直前、エネルギー砲を地面に放ち体勢を整える。そのままフリーザにエネルギー弾を放とうとするが……見失う。

 

「こっちだよ」

「ぐぅ!」

 

 背中から痛みが。

 あの一瞬で背後に回り込まれ攻撃を喰らってしまうもそれだけでは終わらない。

 勢いを殺して静止しようとするが。

 

「どうした?」

「ぐは!」

 

 再び背後から攻撃を喰らい、再び蹴り飛ばされる。

 フリーザはまたも同じように背後に移動した。少し変化をつけてみるか。

 このままなら同じように喰らうだけだ。

 俺は飛ばされている状態でエネルギー砲を放つ準備をする。

 

「こっち……」

「今だ!」

「ぐあ!」

 

 俺は声がした瞬間エネルギー砲を放ちスピードをあげ、フリーザに激突する。

 フリーザは体勢が崩れ、俺はその隙に体勢を整える。

 

 フリーザはすぐに威力を殺しその場で制止したのでそのタイミングで接近、拳打、蹴撃を繰り返す。

 

「うりゃ!だ!だ!だ!」

「その程度ですか?」

 

 全てを避けるフリーザ。話す余裕があり受け止める素振りすら見せない。

 

 本当に怪物だよ。だが、少し戦って気が読めてきた。

 

「きぇ!」

「ぐぁ!」

 

 全てをよけ切り、左右に捌き俺の真横から拳打を喰らう。

 

 フリーザは基本的に格下相手に遊んでいる時、実力をわからせるために真正面からは攻撃を仕掛けない。

 

 真横や後ろなどから攻撃を仕掛けてくる。

 ま、確証はないけど。

 

「ふ!」

 

 俺は地面に両手をついてバク転しながら体勢を整える。

 

 フリーザはそのまま正面から俺に接近してきたので近づいたタイミングで右拳打を繰り出す……が。

 

「遅いよ」

「ぐは!」

 

 空を切り右脇腹にフリーザの蹴りを喰らう。

 すぐに勢いを殺して体勢を整えるが、またも見失ってしまった……だが、なんとなく居場所は予測できる。

 俺の真上……一体何をする気で。

 

「こんなのはどうかな?」

 

 なんとなくだが、これを喰らうのはまずい気がした。

 今までとはフリーザの雰囲気が違うし、意図的に何かをしようとしているようだ。

 

「は!」

 

 フリーザが何かをしようとする前に合掌をして気を最大限高め、全力で周囲に気を放出させる。

 

 フライデリバーシ。

 

 気を周囲に勢いよく放出させる緊急回避のための反射技。

 ドラゴンボールの物語で気のバリアを使うキャラがいたから参考にした。

 

 だが、これはただ防ぐのではなく反射をさせるので別物だが。

 フライデリバーシにより俺の周囲を囲うように現れた赤い気が発散する。

 

「なに!」

「うりゃ!」

「ぐあ!」

「ざまぁみろ」

 

 突然のことで動揺するフリーザの顔面に左拳打を放つ。

 おそらく、奴は金縛りで動きを封じ俺で遊ぶつもりだったか。

 

 そういえば物語では悟空も食らい、ボールみたいに蹴られて遊ばれていたな。

 

「はぁ…はぁ…はぁ」

 

 戦ってそんなに時間が経っていないのに……もう呼吸が乱れてきた。

 

「今のを避けるなんて……やるね」

「はぁ…はぁ…そうかよ」

 

 フリーザは平然と歩きながら話しかけてくる。顔面へのパンチ全く効いてねぇわ。

 ある程度の距離を詰めたフリーザは俺の様子を見て話しかけてくる。

 そしてフリーザは。

 

「ふ!」

「ふが!」

 

 俺の視認できない速度で接近し拳打をしてきた。

 ……マジかよ。全然見えなかった。

 真正面から来たのはわかったけど時間が飛んだようだ。

 

「誇ってもいいよ。…この僕に少し本気を出させたんだから」

「ぜ……全然見えなかった」

 

 ついに少しは本気を出してくれたらしい。

 そして、タイミングとしてはちょうどいい。クリリンとデンデの気の動きが止まった。

  

 宇宙船についたか。

 なら、直に悟空がくる。

 

「はぁぁぁ!」

「無駄なことを」

 

 俺はフリーザに接近して拳と蹴りをひたすら繰り返す。

 全てをよけられそして。

 

「遅いよ」

「ぐは!」

 

 すぐに凄まじい速度で反撃を喰らう。……それでも。

 

「ぐは!」

 

 懲りずに接近して……背後に回り込もうとして……足元を攻撃しようとして。

 

 ただひたすらにさまざまな角度から攻撃を喰らい続ける。

 

「がぁ……はぁ…はぁ」

「無駄なことだってわからないのかい?これだから猿は嫌なんだよ」

 

 俺の行動に呆れるフリーザ。

 だが……まだ攻撃は喰らえる。速度にも少しなれた。

 目で見えなくても気を探れば攻撃のタイミング、方向がわかるようになってきた。

 

 これでも何割の本気かわからない。

 なら最後に本気の一撃を喰らいたい。

 

 よかった。保険で技を仕掛けておいて。挑発するにはもってこいの技だから。

 

「その猿に攻撃を喰らった間抜けはどこのどいつだ?……どんな気分だ?俺のようなサイヤ人ごときに攻撃をされたのは」

「……死にたいのかな?」

 

 額に血管が飛び出るフリーザ。

 ……ああ。やりすぎたか?これで死んだらシャレにならんな。

 

「はぁ!」

ドカン!

 

 あらかじめ設置しておいた計十発のサーズディレイがフリーザに直撃した。

 俺は全身の感覚を使いフリーザの気を探る。

 

「かは!」

「もういいや」

 

 フリーザは20メートルあった距離を今までで最も早い速度で接近し俺の腹を貫いた。

 フリーザは俺の腹から腕を引き抜き空中に投げ飛ばす。

 

 こんなの……まともにやったら勝ち目ねぇよ。物語で界王が言っていた。フリーザと戦ったらいけない。

 それが身に染みてわかった。

 

 ……何をされたか全くわからなかった。ここまで実力差があるとは想像していなかった。

 こんな怪物を本気にさせたので何処か嬉しかったのだが、逆にこうも思う。

 こいつは最終形態にさせてはいけなかったと。

 

 正直潜在能力を解放してもらったから互角かと思っていたが、考えが甘かった。

 

「ばいばい」

「あ……はは」

 

 こんなやつに挑んでいたのかよ。

 もうアホらしくなってきた。

 

 フリーザから放たれたエネルギー砲が俺に迫るが、冷静でいられた。

 

 このエネルギー砲は当たることがないからだ。

 

「……待たせたな」

「かかろ……と」

 

 やっときたか悟空。タイミングはばっちりだ。

 死にかけたが、これでフリーザの動きはある程度予測できるようになった。

 

 これで数分なら持ち堪えられる。


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