気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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いつも誤字報告、貴重な意見ありがとうございます。
書いてくださった感想を読んでいる時に、意見が多かったので前書きにて、補足失礼します。
当作品のラディッツは基本破壊神の存在を知っているくらいでドラゴンボール神の知識はほとんどない設定です。

また、フリーザを見逃した件については気の緩みが原因です。
フリーザはもう戦うための力はほとんどなく、四肢の欠損が目立っていため、もうこいつには負けることはないという慢心と悟空の意志を尊重して見逃そうとしたって感じです。




ラディッツ、……決断。

「何をした!」

「ち……パワーが足りなかったが……惑星の核を破壊した。もともとこの星は壊れかけてたしな……あと30秒ってところか?」

 

 悟空の元気玉でこの星は壊れる寸前、フリーザは核を壊してとどめを刺した。フリーザの言った時間が正しいかはわからない。

 

 ……それでも急がなくては。

 

「急ぐぞカカロット!」

 

 俺は悟空の手を引き、フリーザの乗ってきた宇宙船に向かう。だが、その前にフリーザにとどめをさす。

 

「死ねぇ!フリーザ!」

 

 上空からフリーザに向けてエネルギー砲を放つ。生死を確認している時間はない。

 今は急がねば。

 

「オラたちが乗ってきた宇宙船はあっちだぞ!」

「間に合うか分からないんだ!なら、少しでも希望が残ってる方に向かう!」

 

 今から向かったところで俺たちが乗ってきた宇宙船には間に合わないかもしれない。

 いつ壊れるかわからない星なんだ。あまり時間はかけるべきじゃない。

 

 

 操作ができるか……それも不明。だが、俺と悟空が助かるにはそれしか道はない。

 

 俺と悟空は近くの宇宙船に向かう。

 

 それから秒で着いた。

 さほど距離がないのと実力が上がった俺らには移動に時間はかからない。

 

 フリーザの宇宙船は地面の裂け目にギリギリで横になっていた。

 

 俺と悟空はすぐに宇宙船に入る。

 

「動くか?」

「知らん!とにかくボタンを押せ!」

 

 焦ったせいでまともに考えられない。だが、複雑な構造で操作がむずい。

 

 ブリーフ博士が作った宇宙船に比べボタン一つで操作できるほど簡単ではない。しかも俺と悟空にそれを操作するための知識もない。

 

 だから、ひたすらボタンを押す。

 

「だめだ!動かねぇ!どうするんだ!」

「ちくしょう!」

 

 だめだ。焦って思考がまとまらない。

 もしかしたら俺たちの乗ってきた宇宙船に行った方がよかったかもしれない。

 

「考えろ……考えろ!」

 

 どうすれば良い?思考を止めるな。

 

 …………あ、そうだ!

 ギニュー特戦隊が乗ってきた宇宙船。

 物語では悟空はそれに乗って助かった。

 ギニュー特戦隊は五人。探せば宇宙船はあるはず。

 

「カカロット!外に出るぞ!外に宇宙船の心当たりがある」

「本当か!」

 

 俺と悟空は外に出て探す。

 

「いいか!丸い宇宙船だ!探せ!」

「あ!ベジータたちが地球に乗ってきた奴か!」

「そうだ!近くにギニュー特戦隊が乗ってきた奴があるはずだ!」

 

 悟空に端的に指示し、血眼になって探す。

 どこだ……くそ!地形もだいぶ変わってしまっている。

 もう時間がない。

 頼む……見つかってくれ。

 

「にいちゃんあったぞ!」

「でかした!」

 

 悟空が指差した方向に向かう。

 

 そこには……地上に一つの宇宙船が。周囲を見るも地面は多くのひび割れがあった。

 運が良く一つだけ残っていたらしい。

 

「やったな!これで助かるぞ!」

「……そうだな」

 

 この宇宙船は一人用だ。

 二人も乗るスペースはない。どちらか一人しか助からない。

 ………なら。

 

「カカロット」

「ん、なんだ?早く乗ろうぜにいちゃん!早くしないと」

「すまんな」

「何を……うぐ!」

 

 俺は悟空のお腹に拳打をする。

 

「な……なんでだ」

「これは一人用だ。……助かるのは一人」

 

 こうなったのは俺の責任だ。フリーザが第三形態のまま倒していたら、あの時、悟空の意見を尊重せずにとどめを刺していたら、俺が失念していなかったら。

 

 挙げたらキリがないほどの要因。

 

 悟空にも原因はあるかもだが、大部分は俺だ。

 

「カカロット……元気でな」

「ま…まて……待ってくれぇ」

 

 俺は悟空を宇宙船に入れる。そして中からボタン操作をして行き先を見る。

 ……ヤードラット星か……ちょうどいい。

 時間もない。

 

「カカロット……俺を兄と呼んでくれてありがとな……嬉しかったぞ。また会おう」

「に…いちゃん」

 

 多分クリリンたちは俺をドラゴンボールで生き返らせてくれるだろう。

 だから、今生の別れではない。

 俺はそのまま宇宙船を起動した。

 

 この宇宙船の操作は覚えている。操作できてよかった。

 

 宇宙船のドアが閉まり、上空に飛び立つ。

 悟空は宇宙船の窓を叩き何かを訴えていた。

 

「……ふ」

 

 笑いが止まらない。

 なんで最後に締まらないんだ、

 

「最長老様との約束……守れなかった」

 

 せっかく力を引き出してもらったのに、私情を優先したからこのザマか。

 

「畜生……畜生!」

 

 俺は心の内から煮え返すような激しい怒りを地面を両手で叩きながら八つ当たりをする。

 ………俺にもっと力があれば。

 

「……あ…れ?」

 

 そこで自分に変化が起こったことに気がつく。

 力がみなぎり、少し理性が飛びそうな感覚。

 

「は……はは」

 

 サイヤ人は穏やかな心を持ち、激しく怒るとスーパーサイヤ人に覚醒する。

 

 俺はもともと別人格の穏やかな心を持っていた。地球ではラオたちと過ごしてサイヤ人のS細胞が増え続けたのだろう。

 

「今更遅ぇよ……こんな力」

 

 空中に揺れるように逆立つ金色の自分の髪の毛を見て呟く。

 本当に今更だな。

 

「……もう終わりか」

 

 ナメック星はマグマが地面から噴火し始めており、それがリミットを示しているようだ。

 

 俺は黙って目を閉じてその場で待機する。それから数秒で消滅するナメック星と共に命の灯火が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでだよ……」

 

 悟空は宇宙船の中から悔しがっていた。

 

「オレが……止めなければ」

 

 ラディッツがフリーザにとどめを刺すのを止めなければこんなことにはならなかった。

 

「くそ…くそ…くそ!」

 

 悟空は己の行動、力のなさに苛立ちが増していく。

 だが、今の悟空は気がついていない。

 自分の一人称が変わっていること、己の体に変化が起こっていることを。

 

 悟空はこのままヤードラッド星に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナメック星が……消滅した」

「なんだって!……フリーザは元気玉で倒したんじゃないのですか!」

 

 界王は星からナメック星の様子を窺っていた。

 ラディッツからの提案で地球の神とやりとりし、生き返らせた者を地球に避難をさせた。

 その後、元気玉でとどめを差した。だが、ナメック星は消滅することはなかった。

 

 全てが無事に終わった。

  

 そう思っていたのに。

 

「元気玉をまともに喰らってもなお生きておったのだ。それでもう後がないと判断したフリーザは……ナメック星を破壊したのだ」

「で……では、悟空も……ラディッツも」

 

 ヤムチャは界王に確認をするように話す。

 だが、界王は首を横に振る。

 

「悟空だけは……ナメック星爆発前に脱出した」

「悟空……だけ?」

「そうだ。……ラディッツは死んだ」

「そんな」

 

 皆ショックを受ける。

 悟空が生き延びたことに喜ぶも、ラディッツが死んでしまった。

 

 一度も会ったことはなく、会話もしたことのない人物。

 人伝で存在は知っていただけの人物だが、返せないほどの恩を感じていた。

 

 地球を守るために仲間であったサイヤ人たちと戦ってくれた。

 自分達を生き返らせるため、ナメック星に行き、悟空と共闘しフリーザと戦ってくれた。

 

 ヤムチャ、チャオズ、天津飯は俯く。

 だが、その時、天津飯が界王に話しかける。

 

「界王様……あのギニュー特戦隊とか言う連中のようにラディッツをここの星に呼ぶことは可能ですか?……直接会ってみたいのです」

「ふふふ。ワシも思っておった。閻魔大王にすでに話して許可をもらっておる。直にここにくるだろう」

 

 界王の言葉に三人は少し表情が明るくなる。

 界王は閻魔大王に頼んで肉体を残してもらうようにした。

 仮にドラゴンボールで蘇らせたとして、魂が消滅したナメック星にあると復活はできない。その対策の一環も入っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは?」

「お!きたか待っていたぞ!」

 

 気がつくと目の前にヒゲを生やしたツノがある巨人が椅子に座っていた。

 あたりを見渡すと天井が遥か上にあり、白い壁に巨大な窓。

 

 ここは一体。

 

「ここは天国か地獄かを決める裁判の場だ」

「……そうか。……それで?俺は地獄行きか?」

「いや……過去に犯した悪事はあるが……改心し過去を覆す功績がある。……行くとしたら天国だな」

「そうか……そりゃよかった」

 

 こいつは閻魔大王か。

 だが、天国ならいいか。

 フリーザとまた会いたくないし。

 

 それにしてもなんで俺は肉体があるんだ?

 

「何故俺はここに?」

「なに……界王様からお願いされてな。貴様に肉体を残すよう頼まれたんだ」

「……なるほど」

 

 ……ありがたいな。後でお礼言っておくか。

 閻魔大王が右を示して話しかけてくる。

 

「詳しいことは界王様から聞いてくれ。今案内人を呼ぶ。そっちで待っておれ」

「わかった。……あ、いくつか聞きたいことがあるんだがいいか?」

「なんだ?ワシは忙しいんだが」

「すぐ終わる」

 

 俺が閻魔大王に確認したいことは悟空とフリーザの生死。

 ここならおそらく確認できるだろう。

 

「俺がここに来る前にカカロット……孫悟空とフリーザという名の奴が来なかったか?……俺と死ぬタイミングは同じくらいだったんだが」

「……ちょっと待っておれ」

 

 閻魔大王は分厚い何をパラパラとめくり調べる。

 

「いや、来てないな」

「そ、そうか」

 

 悟空が生きている安心とフリーザが生きている驚愕する。

 やはりとどめをさせなかったか。

 ………おそらく物語と同じように地球に来る可能性が高い。

 

「感謝する。……それで、こっちだったな」

「ん?ああ、そうだ……もういいのか?」

「知りたいことはわかったからな」

「そうか、なら行ってくれ」

「ああ」

 

 俺は閻魔大王に礼を言って示された方向に向かう。

 界王が何故俺にそのようにしたのかはわからない。

 

 だが、ありがたい。どのみち魂がナメック星にあったらドラゴンボールの願いを一つ消費しなきゃいけない。

 

 俺が界王星にいればその願いは消費することはない。

 界王の能力を使えば地球にいる人たちと話もできる。

 

 フリーザは生き延びている。……だが、地球に来るまでは時間がかかるだろう。

 だが、平気だ。あの時、俺はスーパーサイヤ人に覚醒した。

 

 まだ、それを制御するための時間がかかるが、それも界王星に行けば修行ができる。

 

 

 とりあえず今は早く界王星に向かおうか。

 

 行ってみないことには何も始まらないのだから。

 





補足説明。
フリーザの宇宙船に行ったのはいつナメック星が爆発するかわからないので希望のある方に向かった。

アニメ同様ギニュー特戦隊は界王星に来た。だが、界王の判断でギニュー一人だけ来なかった。

ラディッツは焦っていたからまともな判断ができなかった。

ギニュー特戦隊の宇宙船は一つだけ残った。他の宇宙船はどこかになくなった。
奇跡的な一つだけ残っていた。


ラディッツはどうしても弟を死なせたくなかった。ドラゴンボールで一度も復活してないから悟空を生き残らせるのを優先させた。

スーパーサイヤ人覚醒について。
ラディッツは己の無力さから強い怒りが。悟空は自分の行動が招いた結果、大切な兄を失ってしまった己の怒りから覚醒した。

ラディッツの魂について。北の界王の管轄外だが、アニメでギニュー特戦隊が界王星に現れたため、可能だと判断した。










これでナメック星編完結です。


ナメック星編と人造人間編の間、間話(無印編のようなもの)を挟みます。内容はラディッツの死後どうなったか……です。
 
今後の投稿ではアニメや原作では登場しないキャラの登場、作者の独自解釈、オリジナル設定の追加があります。

ドラゴンボール世界でラディッツが関わり大きく改変されていく世界……今後どのような展開になるのか……ラディッツは変わりゆく世界を生き残れるのか……如何に。

ナメック星編、最後までお付き合いいただきありがとうございました。


今後の物語の展開はプロット上だとオリジナルの展開が大きくなり、原作やアニメとはかなりかけ離れてしまうと思います。
 
もちろん可能な限りドラゴンボールの作品の雰囲気は壊さないようにしたいと思いますが、人によっては不可解な思いをする人が現れるかもしれません。
あくまで二次創作、私の妄想全開の作品なのでご了承ください。



最後になりますが、少しオリジナル作品投稿を挟みますので次の章までしばらく投稿休載します。
また投稿するタイミングになったら活動報告にてお知らせします。気長にお待ち下さい。

戦闘能力数値について。ぶっちゃけあった方がわかりやすいですか?非公式や作者の推測で表示してますが。

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